2014年4月14日のシリア情勢:諸外国の動き

化学兵器禁止機関は声明を出し、シリア政府が13回目の化学兵器関連物質のラタキア港からの搬出を行ったと発表した。

同声明によると、この搬出作業で、シリア政府は化学兵器関連物質の65%を国外に搬出したことになるという。

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GCCのアブドゥッラティーフ・ズィヤーニー事務局長は声明を出し、カフルズィーター市での化学兵器使用疑惑に関して「シリア政府が…孤立した民間人に毒ガスを使用した」と断じ、「国際社会の沈黙が正統性のない政権による…国際法違反、人道的価値、人権侵害を促す」と警鐘を鳴らした。

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EU外相会議がルクセンブルグで開かれ、シリア情勢、ウクライナ情勢などが協議された。

キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は会談後、シリア情勢に関して「民間人に対する残虐行為が日々行われているとの報告が伝えられ、事態は深刻」としたうえで、「この状態を終わらせる道は、政治的解決にいたることだけ」と述べ、ジュネーブ2会議の再開を呼びかけた。

アシュトン上級代表はそのうえで、アサド政権が、反体制勢力を「テロリスト」とみなし、ジュネーブ合意を拒否していることが、交渉再開の障害になっている、と批判した。

また会合後に出された声明において、EU各国外相は、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表による紛争和解に向けた交渉への支持を表明、アサド政権にジュネーブ合意、国連安保理決議第2118号、第2139号の遵守を求めた。

そのうえで「いかなる選挙も、ジュネーブ合意の枠内で行われなければならず…、現政権がジュネーブ合意の枠組みから外れておこなう大統領選挙などすべての選挙は…滑稽で、信頼を欠き、政治的解決追求の努力を脅かすことになる」と警鐘を鳴らした。

一方、シリア国内での人道犯罪、戦争犯罪については、シリアでの人権侵害を調査するための国際調査委員会(パウロ・セルジオ・ピネイロ委員長)の活動への支持を表明、「シリア政府とその同盟者」にこれらの犯罪の大部分に責任があるとする一方、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)などアル=カーイダとつながりがある組織の犯罪についても非難の意思を示した。

AFP, April 14, 2014、AP, April 14, 2014、ARA News, April 14, 2014、Champress, April 14, 2014、al-Hayat, April 15, 2014、Iraqinews.com, April 14, 2014、Kull-na Shuraka’, April 14, 2014、Naharnet, April 14, 2014、NNA, April 14, 2014、Reuters, April 14, 2014、SANA, April 14, 2014、UPI, April 14, 2014などをもとに作成。

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