シリア国内の暴力(2014年5月18日)

ダマスカス郊外県では、AFP(5月18日付)がシリア治安筋の話として、ムライハ市一帯での掃討作戦で数週間前に負傷した防空局長のフサイン・イスハーク少将(戦死により中将に特進)が死亡した、と伝えた。

Kull-na Shuraka', May 18, 2014

Kull-na Shuraka’, May 18, 2014

イスハーク少将は、レバノン内戦中の1982年(当時大尉)に、シルカ自走式高射機関砲で米軍戦闘機を撃墜するなどの功績を挙げ、ハーフィズ・アサド前大統領から勲章を授与されていた。

シリア人権監視団によると、イスハーク少将は、防空局本部で負傷したとしたうえで、その死がアサド政権に「心理的打撃」となると評した。

またイスラーム戦線は声明を出し、17日のムライハ市に突入しようとした軍を「革命家」が撃退した際に、イスハーク少将を負傷させたと発表した。

一方、SANA(5月18日付)によると、ダーライヤー市、ブカイン町、ザバダーニー市西部山岳地帯、ムライハ市周辺(TAMICO一帯など)で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、対ヨルダン国境、ゴラン高原にいたる戦略要所に対して、軍が激しい砲撃、空爆を行った。

一方、SANA(5月18日付)によると、サナマイン市郊外のウンム・アウサジュ村を軍が完全制圧し、サナマイン市、ズィムリーン村、ハーッラ丘を結ぶ街道を開放した。

また軍は、インヒル市、タスィール町、サフム・ジャウラーン村、アドワーン村、ダルアー市マンシヤ地区、キルク地区、ヤードゥーダ村、アトマーン村西部、ジャドル村一帯などで、反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、タッル・マラフ村で、軍とシャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線、ジャイシュ・シャーム、アジュナード・シャーム・イスラーム連合が交戦し、軍兵士18人とジハード主義武装集団戦闘員1人が死亡した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦の末、ラーイー村に加えて、同村近郊の丘陵地タッラト・ブフータを制圧した。

この戦闘でヌスラ戦線側の戦闘員19人が死亡、丘陵地周辺に撤退する一方、ダーイシュはマンビジュ市に向けて兵力を増強した。

一方、ARA News(5月18日付)によると、地元活動家らの呼びかけに呼応し、マンビジュ市でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の振る舞いに抗議するゼネストが実施された。

他方、SANA(5月18日付)によると、アレッポ市ザフラー地区、ライラムーン地区、ラーシディーン地区、バニー・ザイド地区、カースティールー地区、ハナーヌー地区、マンスーラ地区、ブアイディーン村、マーイル町、ハンダラート・キャンプ、ハーン・アサル村、ムスリミーヤ村、ダーラト・イッザ市、アナダーン市、アッザーン村、カフルナーハー村、マアーッラト・アルティーク村、シャイフ・ナッジャール市工業団地地区、アレッポ中央刑務所周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(5月18日付)によると、ラスタン市、タルビーサ市、フーシュ・ハッジュー村、ドゥワイル市、ナースィリーヤ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(5月18日付)によると、ラーミー村、タッルティータ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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SANA(5月18日付)によると、ダマスカス県、ダマスカス郊外県、ヒムス県、ハマー県で、反体制武装集団戦闘員192人が当局に投降した。

AFP, May 18, 2014、AP, May 18, 2014、ARA News, May 18, 2014、Champress, May 18, 2014、al-Hayat, May 19, 2014、Kull-na Shuraka’, May 18, 2014、al-Mada Press, May 18, 2014、Naharnet, May 18, 2014、NNA, May 18, 2014、Reuters, May 18, 2014、SANA, May 18, 2014、UPI, May 18, 2014などをもとに作成。

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