ロシア軍はイドリブ県各所を爆撃し住民1人を殺害、これを受けトルコ軍部隊が武器・装備を補給(2021年11月25日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機は、シャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ市近郊のクマイナース村、サルミーン市を3回、アリーハー市近郊のマジュダリヤー村、マアッルマアッルバリート村を2回にわたって爆撃した。

ロシア軍戦闘機はまた、「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のシャンナーン村一帯のオリーブ畑を爆撃し、住民らが収穫作業中だった女性1人が死亡、3人が負傷した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

爆撃が行われた地域にはいずれもトルコ軍が拠点を設置している。

ロシア軍の爆撃を受けて、トルコ軍の車輌10輌からなる車列がトルコ領内からシリア領内に新たに進入し、タフタナーズ市、マストゥーマ村の基地に武器・装備を補給した。

一方、シリア軍は「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山のファッティーラ村、フライフィル村、スフーフン村を砲撃した。

これに対し、「決戦」作戦司令室もシリア政府支配下のミラージャ村、ハザーリーン村を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原の灌漑計画地区を砲撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室がシリア政府の支配下にある県西部各所を砲撃した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ムザイリーブ町で治安機関に協力する住民1人が正体不明の武装集団によって銃で撃たれて死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を6件(イドリブ県2件、ラタキア県2件、アレッポ県2件、ハマー県0件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は0件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を4件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, November 25, 2021、ANHA, November 25, 2021、al-Durar al-Shamiya, November 25, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, November 25, 2021、Reuters, November 25, 2021、SANA, November 25, 2021、SOHR, November 25, 2021などをもとに作成。

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