レバノン日刊紙:バイデン米政権はシリア政府の支配を脱している地域への経済制裁を解除し、大々的に経済支援を行う準備(2022年3月1日)

レバノン日刊紙の『アフバール』(3月1日付)は、クルド民族主義組織の民主統一党(PYD)の複数筋の話として、米国のジョー・バイデン政権がシリア政府の支配を脱している地域への経済制裁を解除し、大々的に経済支援を行う準備をしているとの情報は正しいと述べたと伝えた。

PYD、同組織の民兵である人民防衛隊(YPG)を主体とするシリア民主軍、その政治母体のシリア民主評議会は支配地に対する制裁の解除をこれまでにも度々行い、米国はこれをことごとく拒否してきたが、今回の決定はこうした方針を覆すものだという。

制裁解除は、北・東シリア自治局の支配地に限られず、トルコの占領下にあるシリア北部、北西部も含まれるが、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る北西部(イドリブ県)は、政府支配地とともに制裁が続けられる。

『アフバール』はこうした動きが現実のものとなれば、北・東シリア自治局支配地域産の石油の密輸が、イラク国境経由での米国による原油盗奪に限られず、トルコ占領地を経由での密輸にも拡がると警戒するとともに、「分離主義的な傾向」を煽ると懸念を示している。

AFP, March 1, 2022、al-Akhbar, March 1, 2022、ANHA, March 1, 2022、al-Durar al-Shamiya, March 1, 2022、Reuters, March 1, 2022、SANA, March 1, 2022、SOHR, March 1, 2022などをもとに作成。

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