2014年4月9日のシリア情勢:反体制勢力の動き(追記)

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の指導者の一人アブー・イブラーヒーム・ムーサッリー氏はビデオ声明(https://www.youtube.com/watch?v=Y8BYVPzuv4A)を出し、アル=カーイダ指導者のアイマン・ザワーヒリー氏を「盗人で裏切り者」と批判した。

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「イラク・シャーム・イスラーム国から聖戦アル=カーイダ機構へのメッセージ」と題された声明において、ムーサッリー氏は「我々の誠実で燃えたぎる言葉を、打ち震える裏切り者のアイマン・ザワーヒリーに送る」と述べたうえで、「イラクとシャームにおけるジハードの戦場での出来事、ダーイシュ(イスラーム国)の存在を揺るがす嵐は…、アブー・ハーリド・スーリー(シャーム自由人イスラーム戦線指導者)のような忌まわしい一団…打ち震えるアイマン・ザワーヒリー一味の行為に他ならない」と批判した。

またムーサッリー氏は「ザワーヒリーやその相方(アブー・ムハンマド・ジャウラーニー)といった連中に教えてやろう。おまえの玉座は瓦解し、正統性は消え失せた…。イスラーム国の砂漠から二つの大河にいたるどこにも、そしてシャームの山々にも海岸にいたるどこにもおまえたちの居場所はない」と宣言した。

 

Kull-na Shuraka’, April 10, 2014などをもとに作成。

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2014年4月9日のシリア情勢:諸外国の動き

国連安保理で、シリア情勢などに関する非公式会合が行われ、ナビ・ピレイ人権高等弁務官が同国の人道状況について報告、意見を述べた。

『ハヤート』(4月10日付)などによると、ピレイ人権高等弁務官は会合後に記者団に対し、「両当事者を比較することはできない…。なぜなら(シリア)政府にこそ(人権)侵害の主な責任があるからだ…。公正を実現しなければならない…。処罰を逃れることを食い止めねばならない」と述べた。

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『ハヤート』(4月10日付)によると、フランスは、シリアにおける人道犯罪、戦争犯罪の国際刑事裁判所への起訴を求める国連決議案を米英に回付した。

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ローマ法王フランシスコはヴァチカンの聖ペトロ広場で約4万5,000人の信者を前に演説し、7日にヒムス市で反体制武装集団メンバーに殺害されたイエズス会のオランダ人修道士、フランス・ヴァン・デル・ルフト氏の死に弔意を示すとともに、「武器の音を静め、戦争と破壊を停止」するよう呼びかけた。

AFP(4月9日付)が伝えた。

AFP, April 9, 2014、AP, April 9, 2014、ARA News, April 9, 2014、Champress, April 9, 2014、al-Hayat, April 10, 2014、Iraqinews.com, April 9, 2014、Kull-na Shuraka’, April 9, 2014、Naharnet, April 9, 2014、NNA, April 9, 2014、Reuters, April 9, 2014、SANA, April 9, 2014、UPI, April 9, 2014などをもとに作成。

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2014年4月9日のシリア情勢:レバノンの動き

ヒズブッラーのナイーム・カースィム副書記長はロイター通信(4月9日付)に「みながシリアには二つの選択肢しかないことを理解しなければならない。何らかの方法によって当事者間の合意、相互理解を経てアサドが残ること。あるいは、反体制勢力が代わりとなって、シリアを統治すること。しかしこれは、彼らが無力であるために不可能だ…。それゆえ選ばれる選択肢は明白だ…。西側は、誤った自分たちの願望や夢ではなく、シリアの現実に向き合わねばならない」と述べた。

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OTV(4月9日付)によると、北部県トリポリ市での治安維持活動にあたる軍がバーブ・タッバーナ地区で反体制武装集団と交戦の末、3人を逮捕、武器弾薬を押収した。

AFP, April 9, 2014、AP, April 9, 2014、ARA News, April 9, 2014、Champress, April 9, 2014、al-Hayat, April 10, 2014、Iraqinews.com, April 9, 2014、Kull-na Shuraka’, April 9, 2014、Naharnet, April 9, 2014、NNA, April 9, 2014、OTV, April 9, 2014、Reuters, April 9, 2014、SANA, April 9, 2014、UPI, April 9, 2014などをもとに作成。

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2014年4月9日のシリア情勢:国内の暴力

アレッポ県では、シリア赤新月社のハーリド・アラクスースィー氏(人道支援物資配給担当局長)はAFP(4月9日付)に対し、「昨日(4月8日)、UNHCRのチームとの協力のもと、ジスル・ハッジ通行所を経由して支援物資の搬入を実現した」と述べ、反体制武装集団が占拠するアレッポ市東部に対して人道支援が行われたことを明らかにした。

アラクスースィー局長によると、人道支援物資の搬入は、軍および反体制武装集団双方の発砲停止合意を受けて行われたという。

同局長によると、アレッポ市東部への人道支援は、2013年6月のアレッポ中央刑務所方面からの物資搬入以来2度目で、ジスル・ハッジ経由での搬入は初めてだという。

ジスル・ハッジを経由した人道支援物資搬入は、通行所の規模が小さいために、小型車輌が270回往復して行われ、食糧、調理器具、医薬品、毛布などが搬入され、UNHCRのチームやボランティア活動家によって配布されたという。

またシリア人権監視団によると、アレッポ市東部のジャムイーヤト・ハラフィーイーン地区、ザフラー協会地区で軍とシャームの民のヌスラ戦線、ムジャーヒディーン軍、イスラーム戦線などからなる反体制武装集団が交戦した。

Kull-na Shuraka', April 9, 2014
Kull-na Shuraka’, April 9, 201409

アレッポ・メディア・センターによると、この戦闘で、「革命家」は同地区の一部を制圧し、軍兵士および「シャッビーハ」多数を捕捉、空軍情報部があるダウワール・マーリーヤ方面に進軍しているという。

軍はまた、アレッポ市カラージュ・ハジャズ通行所(ブスターン・カスル地区・マシャーリカ地区間)で反体制武装集団と交戦する一方、マーリフ村を砲撃した。

一方、SANA(4月9日付)によると、アレッポ中央刑務所周辺、シャイフ・ナッジャール市工業団地地区、ハーン・アサル村、フマイマート村、アレッポ市ラーシディーン地区、ジャムイーヤ・ハラフィーイーン地区、ジュダイダ地区、ライラムーン地区、ブアイディーン村、アルバイド村、クワイリス村、ダーラト・イッザ市、カブターン・ジャバル村、ハーン・トゥーマーン村、アウラム・クブラー町、シュワイフナ村、マンスーラ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(4月9日付)によると、軍がランクース市を制圧し、安と安定を回復するとともに、同市周辺で、シャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団の「残党」の追撃を続けた。

『ハヤート』(4月10日付)によると、これに関して、シャームの民のヌスラ戦線のアブドゥッラー・アッザーム・シャーミー報道官は、ランクース市に同戦線が駐留しておらず、同市侵攻には価値がないとしたうえで「(軍が)制圧した(ランクース市郊外の)監視塔も重要ではなく、政府は「偽りの勝利」を鼓舞しようとしている」と述べた。

しかし、ヌスラ戦線はツイッターを通じて、ランクース市での戦闘で前線司令官のアブー・タルハ・バグダーディー氏が死亡したと発表した。

また、反体制組織のカラムーン報道機関は声明を出し、ランクース市陥落を否定した。

さらにシリア人権監視団は、ランクース市内および同市周辺で、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員がシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が依然として戦闘を続ける一方、軍が同市を砲撃していると発表した。

一方、シリア人権監視団によると、カラムーン地方、ムライハ市郊外、東グータ地方での軍の砲撃や、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員との戦闘で、ジハード主義武装集団戦闘員28人が死亡したという。

また、SANAによると、軍はハルブーン市、イフラ村、サルハ市郊外、ムライハ市郊外、アーリヤ農場、アルバイン市、ダーライヤー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ヌスラ戦線、シャーム解放旅団、ハビービ・ムスタファー旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区、ヤルムーク区を軍がする一方、未明からヤルムーク区で、PFLP-GCの民兵とシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が交戦した。

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ARA News, April 9, 2014
ARA News, April 9, 2014

スワイダー県では、スワイダー調整によると、ドゥルーズ派のシャイフ、ルーランス・サラーム師が治安当局に逮捕されたが、住民らの抗議デモを受けて釈放された。

クッルナー・シュラカー(4月9日付)によると、サラーム師釈放を求めるデモ参加者は、ドゥルーズ派シャイフ・アクル邸があるサフワ村に向かって行進を行い、シャイフ・アクル3人(ヒクマト・ヒジュリー師、ハンムード・ヒンナーウィー師、ユースフ・ジャルブーア師)が声明で、サラーム師を含むすべての逮捕者の釈放、軍事情報局スワイダー支局のワフィーク・アッバース(ワフィーク・ナースィル)支局長解任を求めた。

また国防隊の隊員70人も完全武装でデモに合流し、サラーム師釈放を求め、アサド大統領の写真を掲げてデモを排除しようとした「シャッビーハ」の1人を殴打したという。

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SANA, April 9, 2014
SANA, April 9, 2014

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市カラム・ルーズ地区(アラウィー派住民が多い地区)で、爆弾が仕掛けられた車2台が相次いで爆発し、少なくとも4人が死亡、多数が負傷した。

これに関して、SANA(4月9日付)は、この爆破テロで女性、子供を含む25人が死亡、107人が重軽傷を負ったと報じた。

またSANAによると、マシュラファ村に潜入しようとした反体制武装集団を軍が撃退した。

さらに、ヒムス市旧市街に籠城していた反体制武装集団戦闘員32人が当局に投降した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線とシリア軍がハーッラ市郊外で「捕虜交換」を行い、ヌスラ戦線が士官1名を、軍が女性8人を釈放した。

一方、SANA(4月9日付)によると、サムリーン村およびその周辺、ヌアイマ村、キヒール村、ウンム・マヤーズィン町、サムリーン村・ズィムリーン村分岐点、ハーッラ市、クワダナ村北西部、アイン・ズィクル村、アトマーン村、ジャドル村周辺、ダルアー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(4月9日付)によると、ダイル・ザウル市ハウィーカ地区、ラシュディーヤ地区、ウルフィー地区、旧空港地区、労働者住宅地区、ジュバイラ地区、ブール・サイード通り、マリーイーヤ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備、地下トンネルを破壊した。

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イドリブ県では、SANA(4月9日付)によると、ハーッジ・ハンムード村近郊、ハーン・スブル村、カルア・ガザール村、アブー・ズフール航空基地西部、アレッポ・サラーキブ街道、バウワービーヤ農場、アンダーン・シャイフ村、タッル・サラムー村、フータ村、ダイル・サンバル村、ハーン・シャイフーン市などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、ARA News(4月9日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線とシャーム自由人イスラーム運動が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘の末、シャティーフ村、ラカーヤ村を制圧した。

またカリー・スール村で、シリア・イラク国境地域に堀を建設するとしたイラク・クルディスタン地域政府の決定に反対するデモが民主統一党に近い革命青年運動の呼びかけのもとに行われた。

AFP, April 9, 2014、AMC, April 9, 2014、AP, April 9, 2014、ARA News, April 9, 2014、Champress, April 9, 2014、al-Hayat, April 10, 2014、Iraqinews.com, April 9, 2014、Kull-na Shuraka’, April 9, 2014、Naharnet, April 9, 2014、NNA, April 9, 2014、Reuters, April 9, 2014、SANA, April 9, 2014、UPI, April 9, 2014などをもとに作成。

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2014年4月9日のシリア情勢:反体制勢力の動き

ARA News(4月9日付)によると、イラク・クルディスタン地域のアルビル市のダーライン・ホテルで、新たに結成されたシリア・クルディスタン民主党の中央委員会(51人)が会合を開き、党首(中央委員会書記長)、政治局メンバーを選出した。

党首選挙には、サウード・ムッラー氏、アブドゥルハキーム・バッシャール氏が立候補し、ムッラー氏が33票を獲得し党首に選出された。バッシャール氏の得票数は16票だった。

また政治局選挙には、中央委員会メンバー32人が立候補、うち4人が立候補を辞退し、投票の結果、以下12人が選出された。

ラーズキーン・ファフリー
ナシュアト・ザーザー
アブドゥルカリーム・アフマド
ムフスィン・ターヒル
ムハンマド・アリー
ナーフィア・ビールー
ファルハード・シャーヒーン
ムスリム・ムハンマド
カーミーラーン・ハーッジュー
ムスタファー・マアムー
バッシャール・アミーン
フサイン・イーバシュ

AFP, April 9, 2014、AP, April 9, 2014、ARA News, April 9, 2014、Champress, April 9, 2014、al-Hayat, April 10, 2014、Iraqinews.com, April 9, 2014、Kull-na Shuraka’, April 9, 2014、Naharnet, April 9, 2014、NNA, April 9, 2014、Reuters, April 9, 2014、SANA, April 9, 2014、UPI, April 9, 2014などをもとに作成。

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