2014年4月14日のシリア情勢:反体制勢力の動き(追記2)

シャームの民のヌスラ戦線(南部地区)は声明を出し、「イスラーム教徒の血に対する復讐」の戦いの開始を宣言し、スワイダー県の軍、国防隊の施設、隊員住居、軍の兵站路などを攻撃すると予告した。

Kull-na Shuraka', April 15, 2014
Kull-na Shuraka’, April 15, 2014

al-Hayat, April 16, 2014、Kull-na Shuraka’, April 15, 2014などをもとに作成。

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2014年4月14日のシリア情勢:諸外国の動き

化学兵器禁止機関は声明を出し、シリア政府が13回目の化学兵器関連物質のラタキア港からの搬出を行ったと発表した。

同声明によると、この搬出作業で、シリア政府は化学兵器関連物質の65%を国外に搬出したことになるという。

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GCCのアブドゥッラティーフ・ズィヤーニー事務局長は声明を出し、カフルズィーター市での化学兵器使用疑惑に関して「シリア政府が…孤立した民間人に毒ガスを使用した」と断じ、「国際社会の沈黙が正統性のない政権による…国際法違反、人道的価値、人権侵害を促す」と警鐘を鳴らした。

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EU外相会議がルクセンブルグで開かれ、シリア情勢、ウクライナ情勢などが協議された。

キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は会談後、シリア情勢に関して「民間人に対する残虐行為が日々行われているとの報告が伝えられ、事態は深刻」としたうえで、「この状態を終わらせる道は、政治的解決にいたることだけ」と述べ、ジュネーブ2会議の再開を呼びかけた。

アシュトン上級代表はそのうえで、アサド政権が、反体制勢力を「テロリスト」とみなし、ジュネーブ合意を拒否していることが、交渉再開の障害になっている、と批判した。

また会合後に出された声明において、EU各国外相は、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表による紛争和解に向けた交渉への支持を表明、アサド政権にジュネーブ合意、国連安保理決議第2118号、第2139号の遵守を求めた。

そのうえで「いかなる選挙も、ジュネーブ合意の枠内で行われなければならず…、現政権がジュネーブ合意の枠組みから外れておこなう大統領選挙などすべての選挙は…滑稽で、信頼を欠き、政治的解決追求の努力を脅かすことになる」と警鐘を鳴らした。

一方、シリア国内での人道犯罪、戦争犯罪については、シリアでの人権侵害を調査するための国際調査委員会(パウロ・セルジオ・ピネイロ委員長)の活動への支持を表明、「シリア政府とその同盟者」にこれらの犯罪の大部分に責任があるとする一方、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)などアル=カーイダとつながりがある組織の犯罪についても非難の意思を示した。

AFP, April 14, 2014、AP, April 14, 2014、ARA News, April 14, 2014、Champress, April 14, 2014、al-Hayat, April 15, 2014、Iraqinews.com, April 14, 2014、Kull-na Shuraka’, April 14, 2014、Naharnet, April 14, 2014、NNA, April 14, 2014、Reuters, April 14, 2014、SANA, April 14, 2014、UPI, April 14, 2014などをもとに作成。

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2014年4月14日のシリア情勢:イラクの動き

イラキー・ニュース(4月14日付)によると、サラーフッディーン県のバイジー市で、治安部隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)戦闘員9人を逮捕した。

AFP, April 14, 2014、AP, April 14, 2014、ARA News, April 14, 2014、Champress, April 14, 2014、al-Hayat, April 15, 2014、Iraqinews.com, April 14, 2014、Kull-na Shuraka’, April 14, 2014、Naharnet, April 14, 2014、NNA, April 14, 2014、Reuters, April 14, 2014、SANA, April 14, 2014、UPI, April 14, 2014などをもとに作成。

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2014年4月14日のシリア情勢:レバノンの動き

マナール・チャンネル(4月14日付)は、ダマスカス郊外県マアルーラー市での取材を行っていた特派員ら3人が載っていた車が、武装集団の襲撃を受け、ハッジ・ハサン特派員が死亡、カメラマンとスタッフが負傷したと報じた。

Naharnet, April 14, 2014
Naharnet, April 14, 2014
Naharnet, April 14, 2014
Naharnet, April 14, 2014

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サウジアラビアで亡命生活を送るサアド・ハリーリー元首相は、リヤドのヤマーマ宮殿でムクリン・アブドゥルアズィーズ王子と会談した。

ハリーリー元首相の事務所によると、会談で元首相は、ムクリン王子が次期国王候補に選ばれたことに祝辞を述べたという。

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NNA(4月14日付)によると、ベカーア県バアルベック郡ラブワ村に、シリア領から発射されたロケット弾複数発が着弾した。

これに関して、バアルベック・スンナ派自由人旅団が声明を出し、犯行を認めた。

AFP, April 14, 2014、AP, April 14, 2014、ARA News, April 14, 2014、Champress, April 14, 2014、al-Hayat, April 15, 2014、Iraqinews.com, April 14, 2014、Kull-na Shuraka’, April 14, 2014、Qanat al-Manar, April 14, 2014、Naharnet, April 14, 2014、NNA, April 14, 2014、Reuters, April 14, 2014、SANA, April 14, 2014、UPI, April 14, 2014などをもとに作成。

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2014年4月14日のシリア情勢:国内の暴力

軍武装部隊総司令部は声明を出し、国防隊の協力のもと、軍がダマスカス郊外県カラムーン地方のマアルーラー市、サルハ市、ハッバ市の治安と安定を回復、周辺の丘陵地帯で「武装テロ集団」を殲滅し、同地を制圧したと発表した。

SANA, April 14, 2014
SANA, April 14, 2014
SANA, April 14, 2014
SANA, April 14, 2014

これに関して、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は「カラムーン地方はほぼ完全にヒズブッラー戦闘員と軍の支配下に入った」と認めつつ、反体制武装集団が、フーシュ・アラブ村やアッサール・ワルド町、カラムーン地方南部のザバダーニー市一帯の拠点から、軍やヒズブッラー戦闘員の検問所に対して夜襲をかけるなどして抵抗を続けていると述べた。

その一方、アブドゥッラフマーン代表は「ザバダーニー市の事態正常化に向けた空爆回避のための仲介」工作が行われており、過去数日間で、反体制武装集団戦闘員約40人が当局に投降したことを明らかにした。

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同じく、ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムライハ市およびその一帯で、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員がシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団と交戦した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団が籠城するヒムス市旧市街に軍が空爆を行い、ワアル地区への地対地ミサイルの攻撃でジハード主義武装集団戦闘員1人が死亡する一方、シリア政府の支配下にあるアクラマ地区で、爆弾が仕掛けられた車が爆発し、2人が死亡した。

一方、SANA(4月14日付)によると、フージュ・ハッジュー村、ザアフラーナ村、ハマーム村、下ミール村、カフルターハー村、タッルダハブ村、タッルドゥー市、ダール・カビーラ村、ドゥワイル村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、マッザ86地区、ダマスカス大学寮近くのカヤワーン地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾、またジャウバル区への軍の空爆で多数が死亡した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ジスル・ハッジ地区、ラームーサ地区、アンサーリー地区、マシュハド地区、アーミリーヤ地区を軍が空爆・砲撃した。

また、ザフラー協会地区の空軍情報部周辺で、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員が、シャームの民のヌスラ戦線などからなる外国人ジハード主義武装集団と交戦した。

この戦闘により、ヌスラ戦線などは、SADCOP地区、ラームーサ地区の燃料備蓄庫を制圧した。

このほか、ジハード主義武装集団は、サフィーラ市周辺の軍拠点を砲撃した。

一方、SANA(4月14日付)によると、アレッポ市ブスターン・バーシャー地区周辺、アワーリド地区、アーミリーヤ地区、シャイフ・ナッジャール市工業団地地区、ジュダイダ地区、ライラムーン地区、ハンダラート・キャンプ、ダーラト・イッザ市、バヤーヌーン町、マーリア市、アッザーン村、ハーン・トゥーマーン村、アターリブ市、ワディーハ村、カブターン・ジャバル村、クワイリス村周辺、アルバイド村、ラスム・アッブード村、ICARDA周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、カサブ町郊外のサルダリーン山周辺で、軍とジハード主義武装集団が交戦する一方、トルクメン山一帯(ナスル山周辺、ナブア・ムッル地方、ファルナルク地方、サムラ山一帯)を軍が「樽爆弾」で空爆・砲撃した。

一方、SANA(4月14日付)によると、カサブ町郊外のタシャールマー山(サッル・ダリーン山)山頂を軍と国防隊が制圧し、同地一帯で「テロリスト」の追撃を行った。

また、ARA News(4月14日付)によると、ジャルマーナー市に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、市民3人が死亡、10人が負傷した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線がラッカ市・シャッダーディー市街道でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の部隊を要撃し、「アミール」1人と戦闘員3人を殺害した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル航空基地周辺で、軍とジハード主義武装集団が交戦した。

一方、SANA(4月14日付)によると、ダイル・ザウル市ハウィーカ地区、マリーイーヤ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またARA News(4月14日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団との戦闘の末、スール村を制圧した。

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イドリブ県では、SANA(4月14日付)によると、カトルーン村、西ジュッブ村、カフルラーター村、ナリラヤー村、ムナイズィラ村、カフルルーマー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(4月14日付)によると、フラーク市、ナワー市、ラジャート高原、ヤードゥーダ村、ムザイリーブ町、アトマーン村、インヒル市、ヌアイマ村、ダルアー市内各所(Syriatel、ヤルムーク学校、ビラール・ハバシー・モスクなど)、サイダー陸橋で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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SANA(4月14日付)は、ダマスカス郊外県、ダマスカス県、クナイトラ県、ハマー県、ハサカ県、ダイル・ザウル県、ヒムス県で、反体制武装集団戦闘員638人が当局に武器を引き渡し、投降したと報じた。

AFP, April 14, 2014、AP, April 14, 2014、ARA News, April 14, 2014、Champress, April 14, 2014、al-Hayat, April 15, 2014、Iraqinews.com, April 14, 2014、Kull-na Shuraka’, April 14, 2014、Naharnet, April 14, 2014、NNA, April 14, 2014、Reuters, April 14, 2014、SANA, April 14, 2014、UPI, April 14, 2014などをもとに作成。

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2014年4月14日のシリア情勢:シリア政府の動き

外務在外居住者省は国連安保理議長と事務総長宛てに書簡を送り、そのなかで、米国、フランス、トルコ、サウジアラビアがシリアでの危機発生当初から、シリアへの敵対行為を続けるための陰謀を企てていると報告、シリア政府が化学兵器を使用したとの嫌疑を広めようとしていると非難した。

声明は、こうした動きが、シリア国内での「武装テロ集団」による化学兵器使用を促していると指摘、シリア国民に対する化学兵器使用の責任はこれらの国の政府にあると追及した。

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SANA, April 14, 2014
SANA, April 14, 2014

SANA(4月14日付)によると、ダマスカス郊外県ジャバル・シャイフ(ヘルモン山)地方の住民がジャンダル城で軍による「テロとの戦い」を支持するデモ集会を行った。

集会には、バアス党シリア地域指導部のヒラール・ヒラール副書記長ら要人も参加した。

AFP, April 14, 2014、AP, April 14, 2014、ARA News, April 14, 2014、Champress, April 14, 2014、al-Hayat, April 15, 2014、Iraqinews.com, April 14, 2014、Kull-na Shuraka’, April 14, 2014、Naharnet, April 14, 2014、NNA, April 14, 2014、Reuters, April 14, 2014、SANA, April 14, 2014、UPI, April 14, 2014などをもとに作成。

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2014年4月14日のシリア情勢:反体制勢力の動き(追記)

クッルナー・シュラカー(4月14日付)によると、民主的変革諸勢力国民調委員会の執行部メンバーのサフワーン・アッカーシュ氏(共産主義行動党幹部)が、ダマスカス県からスワイダー県に向かう途中、ヒルバト・シヤーブ検問所で逮捕された。

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アナトリア通信(4月14日付)によると、トルコのイスタンブールで11日から開かれていたイスラーム教宗教関係者、サラフィー主義者らの会合が、シリア・イスラーム評議会の結成を宣言して、閉幕した。

Kull-na Shuraka', April 14, 2014
Kull-na Shuraka’, April 14, 2014

シリア・イスラーム評議会は、シリア国内外で活動するスンナ派のイスラーム系組織40団体からなり、シリア国内で活動するシャリーア委員会も参加しているという。

 
AFP, April 14, 2014、Anadolu Ajansı, April 14, 2014、AP, April 14, 2014、ARA News, April 14, 2014、Champress, April 14, 2014、al-Hayat, April 15, 2014、Iraqinews.com, April 14, 2014、Kull-na Shuraka’, April 14, 2014、Naharnet, April 14, 2014、NNA, April 14, 2014、Reuters, April 14, 2014、SANA, April 14, 2014、UPI, April 14, 2014などをもとに作成。

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2014年4月14日のシリア情勢:反体制勢力の動き

『ハヤート』(4月14日付)は、ヒムス市の活動家ら(ヒムス報道センターなど)の話として、シリア政府(軍)とヒムス市内の複数の反体制武装集団が、戦闘員の市外への脱出を保障するための「人道回廊」開放などを骨子とする停戦協議を行っていると報じた。

同報道によると、「(軍による)厳しい包囲が続くなかで選択肢は限られており、一部では、ヒムス市が政権側の手に落ちることが近いという以外の選択肢を見つけられないでいる…。また、現段階では、包囲されているヒムス市を解放するための作戦を行えるような信頼できる武装集団への実質的支援はなされていない」という。

こうしたなか、反体制武装集団は、ヒムス市内の反体制武装集団が武器解除せずにラスタン市、タルビーサ市方面に脱出するためのルートを確保することを軍と協議しているという。

al-Hayat, April 14, 2014をもとに作成。

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