2014年4月30日のシリア情勢:諸外国の動き

国連安保理はシリア情勢に関する会合を開いた。

会合ではシリア国内への人道支援などをめぐって、米英仏とロシアが鋭く対立した。

複数の外交筋によると、米英仏は安保理会合で国連憲章第7章に基づいてシリア政府に人道支援受け入れを求める新たな決議の採択と、シリア国内での人道犯罪、戦争犯罪の国際刑事裁判所への提訴を主張した。

これに対して、ロシアは、シリア国内でのテロが人道支援活動を阻害する最大の要因だと反論したという。

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アブドゥッラー・ムアッリミー国連サウジアラビア代表大使は、国連安保理会合で、国連安保理の無策を批判するとともに、「紛争の一方の当事者が偽りの(大統領)選挙を実施し、今後7年間も現在の状況を押しつけようとするなかで、シリアの当事者たちがどうしてジュネーブ2会議に参加し、移行期政府を樹立できようか」と述べた。

『ハヤート』(5月1日付)が伝えた。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は声明を出し、シリアでの塩素ガス使用疑惑に関して「英国は調査実施を保障するよう強く圧力をかけ、化学兵器禁止機関に迅速に任務を行うよう呼びかける」と述べた。

AFP, April 30, 2014、AP, April 30, 2014、ARA News, April 30, 2014、Champress, April 30, 2014、al-Hayat, May 1, 2014、Iraqinews.com, April 30, 2014、Kull-na Shuraka’, April 30, 2014、Naharnet, April 30, 2014、NNA, April 30, 2014、Reuters, April 30, 2014、SANA, April 30, 2014、UPI, April 30, 2014などをもとに作成。

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2014年4月30日のシリア情勢:レバノンの動き

『アフバール』(4月30日付)は、マロン派のビシャーラ・ラーイー総大司教が、ズィヤード・バールード元内務地方自治大臣の大統領選挙への立候補を支持している、と報じた。

同報道によると、ラーイー総大司教は、ヴァチカン訪問に先だって、政府首脳にこのことを伝えたという。

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NNA(4月30日付)によると、ベカーア県バアルベック郡アルサール村郊外ラフワ地方で、レバノン軍が武装集団の要撃を受け、軍兵士8人が負傷した。

この要撃に関して、バアルベック・スンナ派自由人旅団が犯行を認めた。

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国民議会で予定されていた第2回大統領選挙投票のための臨時会は、変化改革ブロック、抵抗への忠誠ブロックなど、開発解放ブロックを除く3月8日勢力の議員がボイコットにより延期となった。

AFP, April 30, 2014、al-Akhbar, April 30, 2014、AP, April 30, 2014、ARA News, April 30, 2014、Champress, April 30, 2014、al-Hayat, May 1, 2014、Iraqinews.com, April 30, 2014、Kull-na Shuraka’, April 30, 2014、Naharnet, April 30, 2014、NNA, April 30, 2014、Reuters, April 30, 2014、SANA, April 30, 2014、UPI, April 30, 2014などをもとに作成。

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2014年4月30日のシリア情勢:国内の暴力

ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(4月30日付)によると、ハサカ市のハサカ駅一帯で西クルディスタン移行期民政局アサーイシュと国防隊が交戦し、民間人1人と国防隊隊員2人が死亡した。

民主統一党に近い消息筋によると、戦闘は、ムフティー地区とタッル・ハジャル地区の間に位置するアサーイシュ検問所を「覆面をした武装集団」が襲撃したことに端を発していたという。

これに対し、ARA News(4月30日付)は、人民防衛隊がクルドの旗を駅の施設内にある塔の一つに掲揚したことに対して、国防隊が撤去を求めたことをきっかけに戦闘が起きたと報じた。

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アレッポ県では、シャフバー・プレス(4月30日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がアレッポ・バーブ街道に位置するシャーミル村から撤退し、同地を軍およびアブー・ファドル・アッバース旅団に明け渡した。

一方、シリア人権監視団は、アレッポ市アンサーリー地区のアイン・ジャールート学校を軍が「真空爆弾」で空爆し、子供10人を含む18人が死亡したと発表した。

これに関して、シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、同軍への空爆を、28日の「停戦合意」(https://syriaarabspring.info/wp/?p=7715)違反と非難した。

しかし声明は、29日にシャームの民のヌスラ戦線が行ったヒムス市ザフラー地区(アッバースィーヤ地区)での爆破テロ(シリア人権監視団によると民間人約100人が死亡)やダマスカス県シャーグール区の学校への迫撃砲攻撃については何ら言及していない。

このほか、シリア人権監視団によると、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員がアレッポ市北部のブライジュ地区を制圧したほか、軍がアレッポ歩兵学校周辺、アレッポ中央刑務所周辺、ファーフィーン村、バービース村、シャイフ・ナッジャール市を「樽爆弾」などで空爆した。

他方、SANA(4月30日付)によると、アレッポ市ラームーサ地区、アーミリーヤ地区、ラーシディーン地区、ブスターン・カスル地区、ザバディーヤ地区、サーフール地区、サーリヒーン地区、ハナーヌー地区、マサーキン・シャバービー地区、バニー・ザイド地区、ハラク地区、ライラムーン地区、カースティールー地区、ジュダイダ地区、シャイフ・ナッジャール市工業団地地区、アレッポ中央刑務所周辺、ジュバイラ村、マーイル町、マーリア市、フライターン市、アナダーン市、マンスーラ村、シュワイフナ村、クワイリス村、ラスム・アッブード村、バービース村、ハンダラート・キャンプ、サイファーン村、カフルハムラ村、カブターン・ジャバル村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、軍がドゥーマー市、アルバインし、ザバダーニー市一帯、ムライハ市郊外を地対地ミサイルなどで砲撃、ドゥーマー市郊外で反体制武装集団と交戦した。

一方、SANA(4月30日付)によると、ムライハ市、ダイル・アサーフィール市、ハラスター市、ドゥーマー市、アーリヤ農場、アドラー市ウンマーリーヤ地区、ルハイバ市、ジャイルード市近郊、ダーライヤー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、タッル・アシュタル、ジュムーア丘に向かって「自由シリア軍」が進軍し、同地一帯で軍と交戦、またナワー市各所を軍が「樽爆弾」で空爆した。

一方、SANA(4月30日付)によると、ダルアー市旧税関地区南部、避難民キャンプ、ハマーディーン地区、アバーズィード地区など、アトマーン村、ヤードゥーダ村、ムザイリーブ町、ダーイル町、ムハッジャ村周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ワアル地区に地対地ミサイルが着弾した。

一方、SANA(4月30日付)によると、ヒムス市ハミーディーヤ地区、バーブ・フード地区、タルビーサ市、アーミリーヤ村、フーシュ・ハッジュー村、ガントゥー市、ダール・カビーラ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またタルビーサ市およびヒムス市で反体制武装集団メンバー41人が当局に投降した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、ラタキア市シャイフ・ダーヒル地区の近くで大きな爆発音が2度聞こえた。

またシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が北部のヒルバト・バーズ村、カタフ・サハーウィナ村を砲撃した。

一方、SANA(4月30日付)によると、アイン・ダブラ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人戦闘員39人を殲滅、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、マサール・プレス(4月30日付)によると、ジュライジーヤ村、ファディーン村をイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が襲撃し、「革命家」9人を殺害、両村を制圧した。

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ダマスカス県では、SANA(4月30日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(4月30日付)によると、上カストゥーン村、サフン村、タッル・ガザール村、アナブ村、アイン・ハムラー村、クマイナース村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, April 30, 2014、AP, April 30, 2014、ARA News, April 30, 2014、Champress, April 30, 2014、al-Hayat, May 1, 2014、Iraqinews.com, April 30, 2014、Kull-na Shuraka’, April 30, 2014、Masar Press Agency, April 30, 2014、Naharnet, April 30, 2014、NNA, April 30, 2014、Reuters, April 30, 2014、SANA, April 30, 2014、Shahba Press, April 30, 2014、UPI, April 30, 2014などをもとに作成。

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2014年4月30日のシリア情勢:シリア政府の動き

外務在外居住者省は、国連事務総長と安保理議長に宛てて書簡を送り、そのなかで「武装テロ集団」による民間人への攻撃に対して対処するよう求めた。

同書簡において、外務在外居住者は、29日にダマスカス県シャーグール区のバドルッディーン・フスニーシャリーア学院を「武装テロ集団」が迫撃砲で攻撃、また同日にはヒムス市の住宅地で「テロ集団」が爆弾を仕掛けた車2台を爆破し「虐殺」を行ったと報告するとともに、アレッポ市内の住宅地に対して「武装テロ集団」が重火器での攻撃を強めていると指摘した。

AFP, April 30, 2014、AP, April 30, 2014、ARA News, April 30, 2014、Champress, April 30, 2014、al-Hayat, May 1, 2014、Iraqinews.com, April 30, 2014、Kull-na Shuraka’, April 30, 2014、Naharnet, April 30, 2014、NNA, April 30, 2014、Reuters, April 30, 2014、SANA, April 30, 2014、UPI, April 30, 2014などをもとに作成。

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2014年4月30日のシリア情勢:反体制勢力の動き

シリア南部で武装活動を行っているという「穏健」(非ジハード主義)な武装集団「南部戦線」報道官を名乗るイブラーヒーム・ジャッバーウィー准将は、ヨルダンの首都アンマンでAFP(4月30日付)の取材に応じた。

ジャッバーウィー准将は、ヒムス警察の元警部補で、シリア・メディア委員会代表も務めるという。

ジャッバーウィー准将は、「南部戦線」に関して、「約2ヶ月前に55以上の革命武装集団によって結成され、その兵力は3万人」だという。

主な参加組織は、ヤルムーク旅団、ハウラーン殉教者旅団などで、クナイトラ県、ダルアー県などで「多数の特殊作戦」を行い、第61旅団の陣地などで「軍事的勝利」を収めているという。

ジャッバーウィー准将はまた、「南部戦線」にはアル=カーイダとつながりがあるシャームの民のヌスラ戦線やイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)は参加していない、と述べるとともに、「ダルアー県では、他の県と同様にヌスラ戦線の役割は限定的だ」と主張した。

クナイトラ県、ダルアー県での戦闘は、自由シリア軍参謀委員会が24日に開始を宣言した「耐え忍ぶ者たちに吉報をもたらせ」作戦を意味するものと思われる。

だが、ラタキア県カサブ町一帯での戦闘と同様、両県での攻勢を主導しているのはヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団であり、「穏健」な武装集団ではない。

ジャッバーウィー准将によると、「南部戦線」は、アサド政権打倒と多元的民主的文民国家樹立を目的としており、そのために「シリアの友(欧米諸国、トルコ、湾岸アラブ諸国)の支援を期待しており、対空兵器など高度な兵器が供与されることを望んでいる」と述べた。

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シャームの民のヌスラ戦線は声明を出し、29日のヒムス市ザフラー地区で発生した自動車2台による爆弾テロ(https://syriaarabspring.info/wp/?p=7742)に関して、「ヌサイリー派(アラウィー派)のアッバースィーヤ地区入り口に至る主要道路で爆弾を仕掛けた2台の車」を爆破させ、「最初の爆発で、多数のシャッビーハを殺害し…、2回目の爆発で最初の爆発を逃れた者を致命的打撃」を与えたと発表し、犯行を認めた。

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ARA News(4月30日付)は、ハサカ県マルカダ町で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が、商店再開、シャームの民のヌスラ戦線との戦闘で被害者への補償など「改革」措置を講じる一方、ヒジャーブを着用しない女性の外出禁止、バス乗車禁止、喫煙禁止などを決定したと報じた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長は『シャルク・アウサト』(4月30日付)に対し、「政治的解決と危機終結の唯一の糸口は…、シリア大統領であるバッシャール・アサドの体制を軍事的且つ早急に打倒することだ」と述べた。

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ムジャーヒディーン軍司令官のムハンマド・アブドゥルカーディル中佐がクッルナー・シュラカー(4月30日付)の取材に応じ、シャームの民の合同作戦司令室の戦況について語った。

アブドゥルカーディル中佐によると、ムジャーヒディーン軍が指導するアレッポ市ラームーサ地区での戦いで、反体制勢力は同地区の50%、軍市場、ライラムーン地区各所、シュワイフナ山などを制圧したという。

AFP, April 30, 2014、AP, April 30, 2014、ARA News, April 30, 2014、Champress, April 30, 2014、al-Hayat, May 1, 2014、Iraqinews.com, April 30, 2014、Kull-na Shuraka’, April 30, 2014、Naharnet, April 30, 2014、NNA, April 30, 2014、Reuters, April 30, 2014、SANA, April 30, 2014、al-Sharq al-Awsat, April 30, 2014、UPI, April 30, 2014などをもとに作成。

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2014年4月30日のシリア情勢:大統領選挙をめぐる動き

ムハンマド・ジハード・ラッハーム人民議会議長は、大統領選挙に関する議会臨時会で、6人が新たに最高憲法裁判所に対して大統領選挙への立候補の届け出を行い、2014年4月30日付届出第12~17号として登録されたと発表した。

新たに立候補を届け出たのは、マフムード・ハリール・ハルブーニー氏(1946年、ダマスカス郊外県ハラスター市生まれ)、ムハンマド・ハサン・カナアーン氏(1964年、ダルアー県サナマイン市生まれ)、ハーリド・アブドゥフ・クライディー氏(1966年、クナイトラ県アール村)、バシール・ムハンマド・バラフ氏(1931年、ダマスカス県生まれ)、アフマド・ハッスーン・アッブード氏(1962年、ダイル・ザウル県マヤーディーン市生まれ)、アイマン・シャムディーン・イーサー・アラム氏(1967年、ダマスカス郊外県フサイニーヤ町生まれ)の6人。

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SANA(4月30日付)によると、ハマー市の綿糸紡績公社、大学寮、タルトゥース市、ダルアー市、ハサカ市、ダイル・ザウル市、イドリブ県ジスル・シュグール市、ダマスカス大学医学部、スワイダー県のスワイダー市とハブラーン村で、メイデーを記念してデモ集会が実施され、大統領選挙実施、アサド大統領の三選、軍による「テロとの戦い」への支持が表明された。

集会には、バアス党ハマー支部指導部幹部、人民諸組織(労働総連合など)、職業諸組合メンバーらが参加した。

AFP, April 30, 2014、AP, April 30, 2014、ARA News, April 30, 2014、Champress, April 30, 2014、al-Hayat, May 1, 2014、Iraqinews.com, April 30, 2014、Kull-na Shuraka’, April 30, 2014、Naharnet, April 30, 2014、NNA, April 30, 2014、Reuters, April 30, 2014、SANA, April 30, 2014、UPI, April 30, 2014などをもとに作成。

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