2014年4月8日のシリア情勢:諸外国の動き(追記)

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月8日付)は、シリア情勢への関与のありようをめぐって、バラク・オバマ政権内で意見の対立が生じていると報じた。

同報道によると、ジョン・ケリー国務長官とサマンサ・パワー米国連大使が、シリアの反体制勢力の教練のため米特殊部隊を派遣することをオバマ大統領に進言したのに対し、チャック・ヘーゲル国防長官、マーティン・デンプシー統合参謀本部議長は、反体制勢力に教練などの支援を行うべきという点で意見を同じくしているもの、こうした介入に消極的だという。

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国際刑事裁判所報道官は『ハヤート』(4月9日付)に対して、裁判所がシリアでの紛争における戦争犯罪、人道犯罪についての報告、証拠を収集しているが、シリアが加盟国でない現状において、起訴には安保理決議の承認が必要であるとし、起訴が事実上不可能であることを認めた。

国連安保理でフランスが訴追に向けた動きを本格させていることを受けた発言。

AFP, April 8, 2014、AP, April 8, 2014、ARA News, April 8, 2014、Champress, April 8, 2014、al-Hayat, April 9, 2014、Iraqinews.com, April 8, 2014、Kull-na Shuraka’, April 8, 2014、Naharnet, April 8, 2014、NNA, April 8, 2014、Reuters, April 8, 2014、SANA, April 8, 2014、UPI, April 8, 2014、The Wall Street Journal, April 8, 2011などをもとに作成。

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2014年4月8日のシリア情勢:イラクの動き

イラキー・ニュース(4月8日付)によると、ディヤーラー県で軍・警察合同部隊が県内でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の車輌11台を破壊した。

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イラキー・ニュース(4月8日付)によると、アンバール県ファッルージャ市で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が数日前に制圧した同市のダムを開門し、下流地域への水の供給を再開した。

同ダム奪還に向けた軍の大規模作戦を避けるのが目的だという。

AFP, April 8, 2014、AP, April 8, 2014、ARA News, April 8, 2014、Champress, April 8, 2014、al-Hayat, April 9, 2014、Iraqinews.com, April 8, 2014、Kull-na Shuraka’, April 8, 2014、Naharnet, April 8, 2014、NNA, April 8, 2014、Reuters, April 8, 2014、SANA, April 8, 2014、UPI, April 8, 2014などをもとに作成。

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2014年4月8日のシリア情勢:レバノンの動き

NNA(4月8日付)は、イスラエル軍のメルガヴァ戦車2輌がブルーライン上に設置された有刺鉄線を越えて、ナバティーヤ県ビント・ジュバイル郡ルマイシュ村に約2時間にわたり侵入したと報じた。

メルガヴァ戦車の進入を受けた同地では、複数の銃声が聞こえたという。

またビント・ジュバイル郡およびマルジャアユーン郡上空をイスラエル軍戦闘機が領空侵犯した。

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NNA(4月8日付)によると、北部県アッカール郡フナイディク村・カムーア村間の街道(無人地帯)をパトロール中の軍部隊が武装集団の襲撃を受け、士官1人を含む兵士2人が死亡、2人が負傷した。

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NNA(4月8日付)によると、北部県トリポリ市バラーニヤ地区で、軍の治安維持活動に反対する抗議行動が行われる一方、軍に対して手榴弾が投げ込まれた。

AFP, April 8, 2014、AP, April 8, 2014、ARA News, April 8, 2014、Champress, April 8, 2014、al-Hayat, April 9, 2014、Iraqinews.com, April 8, 2014、Kull-na Shuraka’, April 8, 2014、Naharnet, April 8, 2014、NNA, April 8, 2014、Reuters, April 8, 2014、SANA, April 8, 2014、UPI, April 8, 2014などをもとに作成。

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2014年4月8日のシリア情勢:国内の暴力

ダマスカス郊外県では、マナール・チャンネル(4月8日付)によると、軍がヒズブッラー戦闘員ともにカラムーン地方のランクース市一帯の掃討作戦を本格化させた。

シリア人権監視団によると、これに伴い、軍はランクース市に対して激しい空爆を行った。

またAFP(4月8日付)は、軍消息筋の話として、軍がランクース市郊外のレーダー施設がある丘陵地帯などを制圧したと報じた。

シリア人権監視団によると、戦闘はサフナーヤー市周辺でも激しく行われたという。

一方、SANA(4月8日付)によると、ランクース市周辺の丘陵地帯に設置されているレーダー施設などの拠点を軍が制圧、また同市周辺、サルハ市郊外、ムライハ市西部、アイン・タルマー村、アーリヤ農場、ザバダーニー市郊外、ダーライヤー市で、シャームの民のヌスラ戦線などと交戦し、複数の戦闘員を殺傷した。

またカナーキル村では、反体制武装集団戦闘員13人が当局に投降した。

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ダマスカス県では、『ハヤート』(4月9日付)によると、ジハード主義武装集団がジャウバル区を手製の迫撃砲で攻撃、またラウダ地区、ウマウィーイーン広場、ダマスカス大学建築工学部、ドゥワイラア地区、ジスル・カッバース近くに迫撃砲弾が着弾し、複数の市民が負傷した。

これに関してSANA(4月8日付)は、ダマスカス大学建築工学部に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、学生2人を含む5人が負傷、ドゥワイラア地区に迫撃砲弾が着弾し、子供1人が負傷したと報じた。

またSANAによると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、ナースィリーヤ村を軍が「樽爆弾」で空爆した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ヌアイマ村各所を軍が砲撃した。

Kull-na Shuraka', April 8, 2014
Kull-na Shuraka’, April 8, 2014

また、クッルナー・シュラカー(4月8日付)によると、インヒル市シャリーア委員会のシャイフ、アリー・ジャマール・ファルワーン氏(アブー・イバーダ)が、アーリヤ村・アイン・ティーナ村間を車で移動中に迫撃砲による攻撃を受け、死亡した。

一方、SANA(4月8日付)によると、アトマーン村、ヌアイマ村、ワルダート村、クワダナ村、ズィムリーン村周辺、ナワー市、ダルアー市ミスリー交差点地区などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、カサブ町一帯を軍が砲撃、ハラーミーヤ山、ナスル山一帯で、軍、国防隊がシャームの民のヌスラ戦線、ジュヌード・シャーム、シャーム自由人イスラーム運動、イスラーム・シャーム運動などと交戦した。

一方、SANA(4月8日付)によると、ナスル山南部のハラーミーヤ山に軍と国防隊が進軍し、同地を制圧した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市とタドムル市を結ぶ街道で爆弾が爆発し、軍兵士4人が負傷、またヒムス市ワアル地区で、軍とジハード主義武装集団が交戦した。

一方、SANA(4月8日付)によると、キースィーン村、ヒンダーウィー村、アイン・フサイン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またヒムス市旧市街各所に籠城していた反体制武装集団戦闘員49人が当局に投降した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハーッジ・ハンムード村、ラーミー村を軍が空爆する一方、ハーン・シャイフーン市周辺、バーブーリーン村近郊で軍とジハード主義武装集団が交戦した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ブスターン・カスル地区、アンサーリー地区、スッカリー地区、ライラムーン地区、カフルナーハー村、アウラム・クブラー町を軍が空爆・砲撃する一方、スライマーニーヤ地区、ジュマイリーヤ地区がジハード主義武装集団の砲撃を受けた。

またアレッポ市シャイフ・サイード地区、シャイフ・ナッジャール市では軍と反体制武装集団の戦闘が続いた。

一方、SANA(4月8日付)によると、アレッポ市ジャンドゥール地区、アーミリーヤ地区、アレッポ中央刑務所周辺、シャイフ・ナッジャール市工業団地地区、アターリブ市、ムスリミーヤ村、ハンダラート・キャンプ、フライターン市、ハーン・アサル村、ダーラト・イッザ市、ハーン・トゥーマーン村、ブライジュ村、バフラト・シャラファ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またハラブ・ジャディーダ地区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、市民2人が死亡、15人が負傷した。

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ハサカ県では、『ハヤート』(4月9日付)によると、民主統一党アサーイシュがカフターニーヤ市で外出禁止令を出した。

同市で「爆弾テロ」を行おうとする「スリーパー組織」が潜入したのがその理由で、この直後爆破事件が発生したもの、アサーイシュは多数の容疑者を逮捕したという。

一方、ARA News(4月8日付)によると、マルカダ町郊外のマルカダ山、ハスィーン村をイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が砲撃する一方、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団も反撃し、マルカダ町一帯を砲撃した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(4月8日付)によると、ダイル・ザウル市ラシュディーヤ地区、ジュバイラ地区、工業地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, April 8, 2014、AP, April 8, 2014、ARA News, April 8, 2014、Champress, April 8, 2014、al-Hayat, April 9, 2014、Iraqinews.com, April 8, 2014、Kull-na Shuraka’, April 8, 2014、Naharnet, April 8, 2014、NNA, April 8, 2014、Qanat al-Manar, April 8, 2014、Reuters, April 8, 2014、SANA, April 8, 2014、UPI, April 8, 2014などをもとに作成。

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2014年4月8日のシリア情勢:シリア政府の動き

SANA(4月8日付)によると、バアス党結党(4月7日)67周年を記念して、ダマスカス大学殉教者バースィル・アサド大学寮で、軍による「テロとの戦い」支持を訴える集会が開かれた。

集会にはバアス党シリア地域指導部のヒラール・ヒラール副書記長、教員組合ダマスカス支部長ら党の要人らも参加した。

またカーラ市(ダマスカス郊外県)、スワイダー市、ヒムス市アクラマ地区、ハサカ市でも同様のデモ行進が行われた。

 

SANA, April 8, 2014
SANA, April 8, 2014

 

SANA, April 8, 2014
SANA, April 8, 2014

 

SANA, April 8, 2014
SANA, April 8, 2014

 

SANA, April 8, 2014
SANA, April 8, 2014

 

AFP, April 8, 2014、AP, April 8, 2014、ARA News, April 8, 2014、Champress, April 8, 2014、al-Hayat, April 9, 2014、Iraqinews.com, April 8, 2014、Kull-na Shuraka’, April 8, 2014、Naharnet, April 8, 2014、NNA, April 8, 2014、Reuters, April 8, 2014、SANA, April 8, 2014、UPI, April 8, 2014などをもとに作成。

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2014年4月8日のシリア情勢:反体制勢力の動き

タウヒード旅団(イスラーム戦線)は、アレッポ県北部のバーブ・サラーマ国境通行所経由でシリアに入国しようとしたイラン人女性を3月16日に拘束したと発表、その映像をユーチューブで公開した。

拉致されているイラン人女性(1963年生まれ)は映像のなかで、イラン政府に対して、自らの釈放・帰国に向けた交渉を早急に行うよう求めた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のルワイユ・サーフィ報道官はアナトリア通信(4月7日付)に、連立が、アフマド・トゥウマ暫定内閣に政治、福祉、軍事、人道支援など行政のすべてを移管したと述べた。

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シリア革命反体制勢力国民連立アフマド・トゥウマ暫定内閣は、トルコのガズィアンテップ市でフランスのエリック・シュヴァリエ駐シリア大使(本国召還中)と会談した。

連立広報局が発表した。

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シリア革命反体制勢力国民連立広報局は声明を出し、アフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長が14日に中国を訪問すると発表した。

AFP, April 9, 2014、Anadolu Ajansı, April 9, 2014、AP, April 9, 2014、ARA News, April 9, 2014、Champress, April 9, 2014、al-Hayat, April 10, 2014、Iraqinews.com, April 9, 2014、Kull-na Shuraka’, April 9, 2014、Naharnet, April 9, 2014、NNA, April 9, 2014、Reuters, April 9, 2014、SANA, April 9, 2014、UPI, April 9, 2014などをもとに作成。

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2014年4月8日のシリア情勢:諸外国の動き

『ハヤート』(4月8日付)は、米国が「穏健な反体制派」とみなしている武装集団に「漸進的に支援を増大させる」ことを決定し、対戦車砲供与、戦闘員の教練が行われていると報じた。

これを受け、自由シリア軍参謀委員会前政治広報調整官で参謀委員会を離反したルワイユ・ミクダード氏が指導しているとされる「ハズム運動」(12組織)に対戦車ミサイル600基が供与された、という。

事実、Youtubeでは、イドリブ県での戦闘で反体制武装集団が米国が開発したTOW対戦車ミサイルを使用している映像がアップされたという。

同紙が西側消息筋の話として伝えたところによると、バラク・オバマ米大統領は、米軍・治安当局高官やシリアの周辺諸国からの提言に従い、隣国(複数)で毎月300人から600人の戦闘員を教練すること、伝統的兵器、通信機器、対戦車砲などを供与することを決定したという。

提言のなかには、中東地域諸国から「使用を限定し、誤った者に手渡さないことを、指紋捺印のうえ誓約させる」ことを条件に携帯式の対戦車ミサイルを供与するとの案も示されたが、オバマ政権は慎重な態度を示したという。

「暫定的武器供与増大」には、二つの目的があり、第1の目的はシリア国内での「パワー・バランス」を変化させ、アサド政権に移行期統治委員会樹立に向けた交渉を通じた紛争の政治的解決を受け入れされることで、これが実現しない限りにおいて、米国はジュネーブ2会議の交渉再開には消極的な姿勢をとり続けることになるという。

第2の目的は、「穏健な反体制派」にアル=カーイダ系の武装集団に対抗する能力を与えることで、これに関して米国は、シリア領内のイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の拠点空爆の可能性さえも否定していないという。

なお、米国は反体制勢力への支援戦略として、シリア革命家戦線、ムジャーヒディーン軍、イスラーム戦線と「穏健な反体制派」の対話を通じて、タウヒード旅団、シャームの鷹旅団などの懐柔をめざしているが、シャーム自由人イスラーム運動については、シャームの民のヌスラ戦線に近いという理由で排除しようとしているという。

al-Hayat, April 8, 2014をもとに作成。

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