米軍主導の有志連合はシリア領内で2回の爆撃を実施(2016年5月19日)

米中央軍(CENTCOM)は、5月19日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して17回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は2回で、ラッカ市近郊(1回)、タドムル市近郊(1回)に対して攻撃が行われた。

CENTCOM, May 20, 2016などをもとに作成。

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シリア軍は反体制武装集団の内部対立に乗じてダマスカス郊外県東グータ地方南部一帯の10市・村を制圧(2016年5月19日)

ダマスカス郊外県では、クッルナー・シュラカー(5月19日付)、シリア人権監視団によると、シリア軍が東グータ地方のダイル・アサーフィール市、ザブディーン村、フーシュ・ドゥワイル村、バイヤード村、ラカービーヤ村、ヌーラ村、フーシュ・ブズィーナ村、フーシュ・ヒムスィー村、ハラスター・カンタラ村、バーラー村に空爆、砲撃を加え、ジハード主義武装集団と交戦し、同地を制圧、同地方南部一帯がシリア政府の支配下に入った。

同地への攻勢は、イスラーム軍と、シャームの民のヌスラ戦線に近いラフマーン軍団、ウスターと軍との対立に乗じるかたちで行われた。

同地域は2012年以降、イスラーム軍、ラフマーン軍、シャームの民のヌスラ戦線などの反体制武装集団の支配下にあった。

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ラタキア県では、クッルナー・シュラカー(5月19日付)によると、ナスル軍、シャーム自由人イスラーム運動などからなる反体制武装集団は、イドリブ県との県境に位置する戦略的要衝のハッダーダ丘を米国製のTOW対戦車ミサイルなどで攻撃し、シリ軍兵士13人を殺害、同地を奪還した。

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ヒムス県では、クッルナー・シュラカー(5月19日付)によると、シリア軍戦闘機およびヘリコプターがラスタン市およびハウラ地方を空爆し、17人が死亡した。

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アレッポ県では、ARA News(5月19日付)によると、シリア軍がアレッポ市ブスターン・バーシャー地区に突入を試み、反体制武装集団と交戦した。

また、ARA News(5月19日付)によると、ファトフ軍に所属しない複数の武装集団が、「ウスラ軍」として統合した。

「ウスラ軍」を結成したのはファトフ軍の幹部の一人アブドゥッラッザーク・マフディー氏で、ファトフ軍と連携することが目的だという。

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ダルアー県では、シリア人権監視団などによると、ダマスカス郊外県とクナイトラ県の県境に位置するいわゆる「死の三角地帯」でシリア軍とジハード主義武装集団が激しく交戦し、シリア軍がカフル・ナースィジュ村、アクラバー村、ハーッラ市一帯を空爆した。

一方、SANA(5月19日付)によると、シリア軍がタッル・カリーン村一帯でシャームの民のヌスラ戦線、南部戦線に属すフルカーン旅団などからなる反体制武装集団と交戦した。

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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、5月18日に7件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はダマスカス郊外県で発生し、いずれもイスラーム軍による砲撃だったという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は550件。

AFP, May 19, 2016、AP, May 19, 2016、ARA News, May 19, 2016、Champress, May 19, 2016、al-Hayat, May 20, 2016、Iraqi News, May 19, 2016、Kull-na Shuraka’, May 19, 2016、al-Mada Press, May 19, 2016、Naharnet, May 19, 2016、NNA, May 19, 2016、Reuters, May 19, 2016、SANA, May 19, 2016、UPI, May 19, 2016などをもとに作成。

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ダーイシュはアレッポ県北西部のトルコ国境の5カ村を奪還(2016年5月19日)

アレッポ県では、ARA News(5月19日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が県北西部トルコ国境地帯でハワール・キリス作戦司令室と交戦し、ジャーリズ村、シャイフ・リーフ村、バッル村、ファイザリーヤ村、ヤフムール村を奪還した。

一方、シリア人権監視団によると、有志連合と思われる戦闘機がジャラーブルス市のダーイシュ(イスラーム国)拠点を空爆した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)が、ダーイシュ(イスラーム国)の中心拠点であるラッカ市(国立競技場一帯、スーク・ハミース地区、ジャズラ交差点一帯など)、タブカ市一帯、ハムラートを空爆した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(5月19日付)によると、シリア軍がダイル・ザウル市南西部のパノラマ交差点一帯、マリーイーヤ村でダーイシュ(イスラーム国)と交戦、これを撃退した。

スワイダー県では、SANA(5月19日付)によると、人民防衛諸集団がダルアー県(ラジャート高原)に潜入しようとしたダーイシュ(イスラーム国)を要撃した。

AFP, May 19, 2016、AP, May 19, 2016、ARA News, May 19, 2016、Champress, May 19, 2016、al-Hayat, May 20, 2016、Iraqi News, May 19, 2016、Kull-na Shuraka’, May 19, 2016、al-Mada Press, May 19, 2016、Naharnet, May 19, 2016、NNA, May 19, 2016、Reuters, May 19, 2016、SANA, May 19, 2016、UPI, May 19, 2016などをもとに作成。

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米財務省はヌスラ戦線、ダーイシュへの資金提供者6人に制裁を発動(2016年5月19日)

米国務省は、リビアで活動するダーイシュ(イスラーム国)を移民国籍法第219条が定める外国テロ組織(FTO)に、イエメン、サウジアラビのダーイシュを大統領令第13224号に基づく特別指定グローバルテロ組織に指定したと発表した。

また米財務省は、シャームの民のヌスラ戦線、アラビア半島のアル=カーイダ、ダーイシュに対して資金供与を行っているとして6人の資産を凍結した。

制裁対象となった6名は、ヌスラ戦線に資金供与を行っていたとされるクウェート人のアブドゥッラー・ハーディー・アブドゥッラフマーン・ファイハーン・シャルバーン・アーニズィー氏、アブドゥルムフスィン・ザビーン・ムティーブ・ナーイフ・ムターイリー氏、イエメン人のムスタファー・マフムード氏、アラビア半島のアル=カーイダに資金供与を行っていたとされるイエメン人のナーイフ・カイスィー氏、ガリーブ・アブドゥッラー・ザイディー氏、ダーイシュを支援していたとされるサルミー・サラーマ・サーリンム・スライマーン・アンマール氏。


AFP, May 19, 2016、AP, May 19, 2016、ARA News, May 19, 2016、Champress, May 19, 2016、al-Hayat, May 20, 2016、Iraqi News, May 19, 2016、Kull-na Shuraka’, May 19, 2016、al-Mada Press, May 19, 2016、Naharnet, May 19, 2016、NNA, May 19, 2016、Reuters, May 19, 2016、SANA, May 19, 2016、UPI, May 19, 2016などをもとに作成。

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リヤド最高交渉委員会委員長のヒジャーブ元首相は「ESCWAの報告書が対シリア制裁解除を求めることは理解できない」と非難(2016年5月19日)

リヤド最高交渉委員会の委員長を務めるリヤード・ヒジャーブ元首相は国連の潘基文事務総長宛に書簡を送付、そのなかで、ESCWAの報告書「Syria
at War: Five Years on」(https://www.unescwa.org/sites/www.unescwa.org/files/publications/files/syria-war-five-years.pdf)が欧米諸国、トルコ、アラブ湾岸諸国がシリアに対して科している経済制裁の解除を提言していると非難した。

ヒジャーブ元首相は書簡のなかで、報告書が「飢餓、無差別空爆、拷問…といったシリア政府の犯罪を無視し、言及していない」「報告書は5年間におよぶシリアの危機を特徴づける戦争犯罪、人道に対する犯罪に沈黙した」としたうえで、「制裁が今日まで、シリア政府の行為を抑えるために科せられている唯一の懲罰であるにもかかわらず、国連にその軽減を求めることは理解できない」と非難した。


AFP, May 19, 2016、AP, May 19, 2016、ARA News, May 19, 2016、Champress, May 19, 2016、al-Hayat, May 20, 2016、Iraqi News, May 19, 2016、Kull-na Shuraka’, May 19, 2016、al-Mada Press, May 19, 2016、Naharnet, May 19, 2016、NNA, May 19, 2016、Reuters, May 19, 2016、SANA, May 19, 2016、UPI, May 19, 2016などをもとに作成。

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アサド大統領が南アのムフェケト国際関係協力副大臣と会談(2016年5月19日)

アサド大統領は、シリアを訪問中の南アメリカのノマインディア・ムフェケト国際関係協力副大臣および同大臣に随行する使節団とダマスカスで会談し、シリア情勢などについて意見を交わした。

会談でムフェケト副大臣は、外国の介入なきシリア危機の解決への支持と、一部当事国によるテロ組織支援停止の必要を強調した。

これに対して、アサド大統領は南アフリカを初めとするBRICs諸国のシリア政策が国際関係の均衡をもたらしていることを高く評価、こうした政策がなければ、欧米諸国のヘゲモニーが拡大し、内政干渉の試みも増していただろうと述べた。

会談では、両国関係、とりわけ文化、経済面で協力を行い、大学生ら若い世代間の交流を促進することなどが重要だとの点で合意したという。

SANA, May 19, 2016
SANA, May 19, 2016

AFP, May 19, 2016、AP, May 19, 2016、ARA News, May 19, 2016、Champress, May 19, 2016、al-Hayat, May 20, 2016、Iraqi News, May 19, 2016、Kull-na Shuraka’, May 19, 2016、al-Mada Press, May 19, 2016、Naharnet, May 19, 2016、NNA, May 19, 2016、Reuters, May 19, 2016、SANA, May 19, 2016、UPI, May 19, 2016などをもとに作成。

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