シリア人権監視団は「シリア内戦」での死者総数が28万人を越えたと発表するも、「離反兵」の死者数の処理に不明瞭な点残る(2016年5月26日)

アラビーヤ・チャンネルによると、シリア人権監視団は、シリア国内での紛争による死者総数が28万人を越えたと発表した。

同監視団によると、2011年3月18日から2016年5月26日早朝までの5年2ヶ月強の間で28万2,283人が死亡したことを確認、うち民間人は8万1436人(子供1万4,040人を含む)に及ぶという。

また反体制武装集団およびシリア民主軍(西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊主導)の戦闘員の死者数は4万8,568人、シリア軍およびシリア人・外国人親政府武装組織の死者数は10万1,662人(レバノンのヒズブッラー戦闘員1,247人を含む)、ダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団に戦闘員死者数は4万7,095人、身元不明者は3,522人を記録しているという。

なお、シリア人権監視団は2016年2月23日に紛争による犠牲者総数が27万1,138人を記録したと発表しているが(https://syriaarabspring.info/?p=26586)、それぞれの内訳の差は以下の通りである

民間人:2,330人増加
反体制武装集団:4,677人増加(ただし2016年2月のデータにおける離反兵2,561人が5月のデータにおける反体制武装集団に含まれていると考えると、2,116人)
シリア軍、親政権武装集団:3,820人増加(ただし2016年2月のデータにおける離反兵2,561人が5月のデータにおけるシリア軍に含まれていると考えると、1,259人)
ジハード主義武装集団:2,805人増加
身元不明者:132人増加

AFP, May 26, 2016、Akbar al-An, May 25, 2016、Alarabia, May 26, 2016、AP, May 26, 2016、ARA News, May 26, 2016、Champress, May 26, 2016、al-Hayat, May 27, 2016、Iraqi News, May 26, 2016、Kull-na Shuraka’, May 26, 2016、al-Mada Press, May 26, 2016、Naharnet, May 26, 2016、NNA, May 26, 2016、Reuters, May 26, 2016、SANA, May 26, 2016、UPI, May 26, 2016などをもとに作成。

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米軍主導の有志連合はシリア国内で2回の爆撃を実施(2016年5月26日)

米中央軍(CENTCOM)は、5月26日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して25回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は2回で、ラッカ市近郊(1回)、アイン・イーサー市近郊(1回)に対して攻撃が行われた。

CENTCOM, May 27, 2016などをもとに作成。

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ヌスラ戦線幹部のアトワーン氏は、米国がシリアのイスラーム教徒を裏切り、アサド政権寄りの姿勢に転じたと非難(2016年5月26日)

シャームの民のヌスラ戦線の広報部門マナーラ・バイダー(5月25日付)は、シューラー評議会メンバーに一人アブドゥッラー・アトワーン氏(アブー・アブドゥッラー・シャーミー)の映像(https://www.youtube.com/watch?v=1zjiGBvWzjY)を配信した。

13分の映像のなかで、アトワーン氏は、米国がシリアの「イスラーム教徒人民」を裏切り、アサド政権やその同盟者寄りの姿勢へと転じたと厳しく批判した。

アトワーン氏は「シリア危機に対する米国の決定におけるもっとも重要な特徴とは、混迷、策略、二枚舌で…。これら一連の政治的振る舞いは、ヌサイリー体制を利し、アサドに与するもので、死刑執行人どもに反旗を翻したイスラーム教徒人民の意思をくじくものだ」と批判した。

また米国の対シリア政策は、シリア分割、イスラエルの庇護をめざすもので、「米国はユダヤ人の安全と利益を守るための政治的バランスをもたらすため、アサドを存続させる以外道はない」と考えていると断じた。

そのうえで、シリア軍による空爆、とりわけアレッポ市南部郊外への空爆を許し、ムジャーヒディーンのアレッポ市への進軍を阻止しようとしていることなど、シリア軍の攻撃を黙認していることを「米国の罪」と断罪した。

Youtube, May 26, 2016
Youtube, May 26, 2016

AFP, May 26, 2016、AP, May 26, 2016、ARA News, May 26, 2016、Champress, May 26, 2016、al-Hayat, May 27, 2016、Iraqi News, May 26, 2016、Kull-na Shuraka’, May 26, 2016、al-Mada Press, May 26, 2016、Naharnet, May 26, 2016、NNA, May 26, 2016、Reuters, May 26, 2016、SANA, May 26, 2016、UPI, May 26, 2016などをもとに作成。

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シリア政府がダーイシュから奪還したアレッポ県東部に住民約100世帯が帰宅する一方、シリア民主軍とダーイシュの戦闘激化を受け、ラッカ県の住民がハサカ県、ダイル・ザウル県方面に避難(2016年5月26日)

アレッポ県では、SANA(5月26日付)によると、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の末、2015年11月に奪還したサフィーラ市東部の農村地帯の村々に100世帯以上の住民が帰宅した。

SANA, May 26, 2016
SANA, May 26, 2016

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ラッカ県では、ARA News(5月26日付)によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍による「北ラッカ解放作戦」開始に伴うダーイシュ(イスラーム国)との戦闘激化を受け、多くの住民がハサカ県、ダイル・ザウル市の方面に避難、地元活動家によると、ラッカ市から住民数千人がダイル・ザウル県に流入した。

なお、ダーイシュはシリア民主軍と有志連合の攻撃を回避するため、同地の住民の退去を禁じているという。

AFP, May 26, 2016、AP, May 26, 2016、ARA News, May 26, 2016、Champress, May 26, 2016、al-Hayat, May 27, 2016、Iraqi News, May 26, 2016、Kull-na Shuraka’, May 26, 2016、al-Mada Press, May 26, 2016、Naharnet, May 26, 2016、NNA, May 26, 2016、Reuters, May 26, 2016、SANA, May 26, 2016、UPI, May 26, 2016などをもとに作成。

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YGP主導のシリア民主軍は有志連合の爆撃支援を受けラッカ県北部でダーイシュとの戦闘を続ける(2016年5月26日)

ラッカ県では、ARA News(5月26日付)によると、ラッカ県北部(アイン・イーサー市近郊)で西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍とダーイシュ(イスラーム国)が交戦を続け、有志連合が同地一帯を空爆した。

ダーイシュはシリア民主軍と有志連合の攻撃を回避するため、同地の住民の退去を禁じているという。

また、シリア人権監視団によると、有志連合はラッカ市北部のヒーシャ村一帯を空爆、また同地で西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍とダーイシュ(イスラーム国)が交戦した。

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ハサカ県では、ARA News(5月26日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がシャッダーディー市郊外で西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊の拠点に対して自爆攻撃を行い、隊員4人が死亡した。

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ラッカ県では、ダーイシュ(イスラーム国)の広報部門アアマーク通信によると、ダーイシュが西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊の車列に対して爆弾を仕掛けた車で攻撃を加え、人民防衛隊員28人を殲滅した。


AFP, May 26, 2016、AP, May 26, 2016、ARA News, May 26, 2016、Champress, May 26, 2016、al-Hayat, May 27, 2016、Iraqi News, May 26, 2016、Kull-na Shuraka’, May 26, 2016、al-Mada Press, May 26, 2016、Naharnet, May 26, 2016、NNA, May 26, 2016、Reuters, May 26, 2016、SANA, May 26, 2016、UPI, May 26, 2016などをもとに作成。

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ロシアのラヴロフ外務大臣は米国がシリアでの対テロ爆撃で協力する用意ができていないと批判(2016年5月26日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はモスクワでの記者会見で、米国がシリア領内でのテロ組織への空爆でロシアと協力する用意ができていないと批判した。

ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣は20日、ヌスラ戦線を含むテロ組織への一方的空爆を25日から開始することを米国に提案したと述べたが、米側はこれを拒否していた。

ARA News(5月26日付)が伝えた。

AFP, May 26, 2016、AP, May 26, 2016、ARA News, May 26, 2016、Champress, May 26, 2016、al-Hayat, May 27, 2016、Iraqi News, May 26, 2016、Kull-na Shuraka’, May 26, 2016、al-Mada Press, May 26, 2016、Naharnet, May 26, 2016、NNA, May 26, 2016、Reuters, May 26, 2016、SANA, May 26, 2016、UPI, May 26, 2016などをもとに作成。

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シリア軍はダイル・ザウル県、ヒムス県のダーイシュ拠点を爆撃(2016年5月26日)

ダイル・ザウル県では、SANA(5月26日付)によると、シリア軍がダイル・ザウル市南西部パノラマ交差点一帯、バルーク丘、ダイル・ザウル航空基地西方、サルダ山一帯でダーイシュ(イスラーム国)拠点を空爆した。

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ヒムス県では、SANA(5月26日付)によると、シリア軍がジャズル油田一帯、シャーイル油田一帯でダーイシュ(イスラーム国)と交戦、その拠点を空爆した。

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スワイダー県では、SANA(5月26日付)によると、シリア軍、人民防衛諸集団が、アシュハイブ丘南部、ラフム・ダウラ村でダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。


AFP, May 26, 2016、AP, May 26, 2016、ARA News, May 26, 2016、Champress, May 26, 2016、al-Hayat, May 27, 2016、Iraqi News, May 26, 2016、Kull-na Shuraka’, May 26, 2016、al-Mada Press, May 26, 2016、Naharnet, May 26, 2016、NNA, May 26, 2016、Reuters, May 26, 2016、SANA, May 26, 2016、UPI, May 26, 2016などをもとに作成。

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ヌスラ戦線と「穏健な反体制派」の連合部隊がアレッポ市シャイフ・マクスード地区を砲撃する一方、シリア軍はアレッポ県各所を爆撃(2016年5月26日)

アレッポ県では、ARA News(5月26日付)によると、「穏健な反体制派」の第16師団、シャームの民のヌスラ戦線、タフリール軍、シャーム軍団、ヌールッディーン・ザンキー運動などからなる反体制武装集団がアレッポ市シャイフ・マクスード地区一帯を砲撃し、住民5人が負傷した。

一方、シリア軍はアレッポ市北部のカースティール街道を封鎖すべく進軍し、トルキスターン・イスラーム党、シャームの民のヌスラ戦線と交戦した。

またシリア軍はカフルハムラ村、アナダーン市、フライターン市一帯を空爆、住民数千人が避難した。

他方、SANA(5月26日付)によると、反体制武装集団がアレッポ市サラーフッディーン地区、バニー・ザイド地区を砲撃し、1人が死亡、5人が負傷した。

このほか、ARA News(5月26日付)によると、アレッポ県で活動するサラーフッディーンの盾大隊は、ヌールッディーン・ザンキー運動に統合された。

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ダルアー県では、クッルナー・シュラカー(5月26日付)によると、サイダー町、インヒル市でヤルムーク軍の車輌の近くで爆弾を仕掛けた車が相次いで爆発し、4人が負傷した。

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イドリブ県では、クッルナー・シュラカー(5月26日付)によると、シリア軍がイドリブ市郊外で羊の売買が行われている仮設市場を空爆し、1人が死亡、15人が負傷した。

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ダマスカス県では、クッルナー・シュラカー(5月26日付)によると、シリア軍がジャウバル区に突入を試み、同地を占拠する反体制武装集団と交戦した。

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ダマスカス郊外県では、クッルナー・シュラカー(5月26日付)によると、シャーム自由人イスラーム運動などからなる反体制武装集団が、シリア軍との戦闘の末、ダイル・ハビーヤ村を制圧した。

またARA News(5月26日付)によると、シリア軍がダーライヤー市への突入を試み、同地を支配下に置く反体制武装集団と交戦した。

一方、クッルナー・シュラカー(5月27日付)によると、ドゥーマー市に国連とシリア赤新月社のチームが人道支援物資を搬入した。

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ヒムス県では、SANA(5月26日付)によると、シリア軍がガジャル村、タッル・ウマリー村でシャームの民のヌスラ戦線の拠点を空爆した。

AFP, May 26, 2016、AP, May 26, 2016、ARA News, May 26, 2016、Champress, May 26, 2016、al-Hayat, May 27, 2016、Iraqi News, May 26, 2016、Kull-na Shuraka’, May 26, 2016、May 27, 2016、al-Mada Press, May 26, 2016、Naharnet, May 26, 2016、NNA, May 26, 2016、Reuters, May 26, 2016、SANA, May 26, 2016、UPI, May 26, 2016などをもとに作成。

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フスタート軍はカタールでのイスラーム軍とラフマーン軍団の停戦合意を歓迎(2016年5月26日)

ダマスカス郊外県東グータ地方で、ラフマーン軍団とともにイスラーム軍と対立してきたフスタート軍が声明を出し、24日にカタールの首都ドーハで交わされたラフマーン軍団とイスラーム軍の和平合意に歓迎の意を示した。

Kull-na Shuraka', May 26, 2016
Kull-na Shuraka’, May 26, 2016

 

AFP, May 26, 2016、AP, May 26, 2016、ARA News, May 26, 2016、Champress, May 26, 2016、al-Hayat, May 27, 2016、Iraqi News, May 26, 2016、Kull-na Shuraka’, May 26, 2016、al-Mada Press, May 26, 2016、Naharnet, May 26, 2016、NNA, May 26, 2016、Reuters, May 26, 2016、SANA, May 26, 2016、UPI, May 26, 2016などをもとに作成。

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