米中央軍(CENTCOM)は、5月4日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して18回の空爆を行ったと発表した。
このうちシリア領内での空爆は3回でマーリア市近郊に対して攻撃が行われた。
CENTCOM, May 5, 2016などをもとに作成。
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Detail Report on the Arab Spring in Syria: Latest Situation in Syria / アラビア語の新聞、通信社、ウェブサイトなどを通じて収集した情報をもとに、シリア情勢をより網羅的に把握・紹介することをめざします。
国連安保理では、英仏の要請を受けるかたちでシリア情勢、とりわけアレッポ市での戦闘への対応を協議するための会合が開かれた。
会合で、英国は、シリア軍によるアレッポ市への攻撃を非難する報道声明案を示し、米英仏の国連大使は、シリア政府がアレッポ市での戦闘、民間人への攻撃、人道支援物資搬入を阻止していると批判した。
しかし、ロシアのヴィタリー・チュルキン国連大使は、安保理での審議を提案した英仏の姿勢を「プロパガンダを通じたクーデタ」と非難、安保理での審議を要請する前に、米国とロシアが共同議長を務めるISSG(国際シリア支援グループ)に問題を提起すべきだったと指摘し、報道声明案を廃案に追い込んだ。
また、「シリア軍はアレッポ市で、ジハード主義集団の大規模な攻撃に対峙している…。我々は、「穏健な反体制派」を自認する武装集団がシャームの民のヌスラ戦線との関係を絶ち、その支配地域から撤退するとの確約を得ていた。しかし今のところ、そうしたことは実際には起こっておらず、これらの勢力に影響力を持っている国々の政治的意思への疑問が残る」と述べた。
また議長国であるエジプトのアムル・アブー・アター国連大使は、ロシアの主張に同調し、「アレッポ市でヌスラ戦線を、テロのブラックリストに記載されていないその他の武装集団を取り込むことは受け入れられるものではない…。テロ組織の停戦対象からの除外が理解しがたい政治的理由で受け入れられているが、ヌスラ戦線は停戦に乗じるかたちでアレッポ市などでの支配地域を拡大している…。ヌスラ戦線とその同盟者は、ダーイシュと同じく危険な存在であり、シリア国民は彼らを受け入れておらず、この地域の諸国民も受け入れていない」と主張した。
『ハヤート』(5月6日付)などが伝えた。
AFP, May 5, 2016、AP, May 5, 2016、ARA News, May 5, 2016、Champress, May 5, 2016、al-Hayat, May 6, 2016、Iraqi News, May 5, 2016、Kull-na Shuraka’, May 5, 2016、al-Mada Press, May 5, 2016、Naharnet, May 5, 2016、NNA, May 5, 2016、Reuters, May 5, 2016、SANA, May 5, 2016、UPI, May 5, 2016などをもとに作成。
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ハサカ県では、ARA News(5月4日付)によると、シリア政府支持者らがハサカ市の中心街で米国の内政干渉に反対するデモが行われ、米国が西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍を支援するために軍専門家250人を派遣したことに異議が表明された。

AFP, May 4, 2016、AP, May 4, 2016、ARA News, May 4, 2016、Champress, May 4, 2016、al-Hayat, May 5, 2016、Iraqi News, May 4, 2016、Kull-na Shuraka’, May 4, 2016、al-Mada Press, May 4, 2016、Naharnet, May 4, 2016、NNA, May 4, 2016、Reuters, May 4, 2016、SANA, May 4, 2016、UPI, May 4, 2016などをもとに作成。
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アレッポ県では、ARA News(5月4日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が反体制武装集団の拠点の一つマーリア市に対して激しい攻撃を加えるとともに、カサージク村、シャアバーニーヤ村、イッザーティーヤ村、シャーヒーン農場を制圧した。
これに対して、ハワール・キリス作戦司令室(スルターン・ムラード旅団、シャーム軍団)はアキダ村を攻撃、これを制圧した。
AFP, May 4, 2016、AP, May 4, 2016、ARA News, May 4, 2016、Champress, May 4, 2016、al-Hayat, May 5, 2016、Iraqi News, May 4, 2016、Kull-na Shuraka’, May 4, 2016、al-Mada Press, May 4, 2016、Naharnet, May 4, 2016、NNA, May 4, 2016、Reuters, May 4, 2016、SANA, May 4, 2016、UPI, May 4, 2016などをもとに作成。
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反体制活動家のアフマド・スウード中佐はツイッターのアカウントを通じて、アレッポ県などシリア北部で活動する反体制武装集団13組織が、武装集団間の戦闘を回避するための兵力引き離し部隊を設置したと発表した。
兵力引き離し部隊の設置に参加した武装集団は、シャーム戦線、ヌールッディーン・ザンキー運動、イスラーム自由旅団、アンサール・イスラーム戦線(北部地区)、ムジャーヒディーン軍、第1連隊、ナスル軍、シャーム軍団、山地の鷹旅団、北部師団、タフリール軍、「命じられるまま正しく進め」連合。

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ダマスカス郊外県では、東グータ地方で活動するフスタート軍は声明を出し、ラフマーン軍とイスラーム軍による停戦に応じ、戦闘を停止すると発表した。
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ダルアー県では、クッルナー・シュラカー(5月4日付)によると、アイン・ズィクル村、サフム・ジャウラーン・ダム一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うヤルムーク殉教者旅団と南部戦線所属組織が交戦した。
AFP, May 4, 2016、AP, May 4, 2016、ARA News, May 4, 2016、Champress, May 4, 2016、al-Hayat, May 5, 2016、Iraqi News, May 4, 2016、Kull-na Shuraka’, May 4, 2016、al-Mada Press, May 4, 2016、Naharnet, May 4, 2016、NNA, May 4, 2016、Reuters, May 4, 2016、SANA, May 4, 2016、UPI, May 4, 2016などをもとに作成。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がタドムル市北東部郊外のワーディー・アフマル地区およびシャーイル石油ガス採掘所にあるシリア軍拠点複数カ所を襲撃し、これを制圧した。
これに関して、ダーイシュ・ヒムス州広報局は、ダーイシュがシャーイル地区のシリア軍検問所13カ所を制圧し、シャーイル石油ガス採掘所内のガス会社施設を射程圏内に捉えたと発表した。
AFP, May 4, 2016、AP, May 4, 2016、ARA News, May 4, 2016、Champress, May 4, 2016、al-Hayat, May 5, 2016、Iraqi News, May 4, 2016、Kull-na Shuraka’, May 4, 2016、al-Mada Press, May 4, 2016、Naharnet, May 4, 2016、NNA, May 4, 2016、Reuters, May 4, 2016、SANA, May 4, 2016、UPI, May 4, 2016などをもとに作成。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団がシリア政府支配下のアレッポ市ザフラー協会地区、ハーリディーヤ地区を砲撃、またシリア軍も反体制武装集団支配下のアレッポ市スッカリー地区を地対地ミサイルなどで砲撃した。
また3日に反体制武装集団が制圧していたアレッポ市西部のファミリー・ハウス地区一帯では、シリア軍が増援部隊を派遣し、同地を奪還した。
しかし、ARA News(5月4日付)によると、ヌールッディーン・ザンキー運動とシャームの民のヌスラ戦線はアレッポ市西部ファミリー・ハウス地区に近いダフラト・マフナー地区を制圧したという。
なおSANA(5月4日付)によると、アレッポ市住宅地に迫撃砲弾複数発が着弾し、3人が死亡した。
一方、ARA News(5月4日付)によると、反体制武装集団が、西クルディスタン移行期民政局の支配下にあるアレッポ市シャイフ・マクスード地区を砲撃した。
また反体制武装集団はアフリーン市郊外のバーフルーン村に対しても砲撃を行った。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、東グータ地方各所をシリア軍が20回以上にわたり空爆、またダイル・アサーフィール市などでシリア軍とジハード主義武装集団が交戦した。
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ダルアー県では、SANA(5月4日付)によると、シリア軍がダルアー市スーク・スワイダーン地区、旧税関地区、カラク地区、スィーバ地区、マンシヤ地区でシャームの民のヌスラ戦線、南部タウヒード旅団などからなる反体制武装集団と交戦した。
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ハマー県では、クッルナー・シュラカー(5月4日付)によると、ハマー中央刑務所での座り込みデモでの要求に応えるかたちで、収監者20人が釈放され、シリア赤新月社に伴われ、カルアト・マディーク町に到着した。
収監者らは200人の「政治犯」の釈放を求めている。
AFP, May 4, 2016、AP, May 4, 2016、ARA News, May 4, 2016、Champress, May 4, 2016、al-Hayat, May 5, 2016、Iraqi News, May 4, 2016、Kull-na Shuraka’, May 4, 2016、al-Mada Press, May 4, 2016、Naharnet, May 4, 2016、NNA, May 4, 2016、Reuters, May 4, 2016、SANA, May 4, 2016、UPI, May 4, 2016などをもとに作成。
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シリア軍総司令部は声明を出し、5月5日午前1時から48時間の期限付きで、アレッポ市に「講和規定」を適用すると発表した。
また、米国務省は声明を出し、米国とロシアがアレッポ市に停戦地域(「講和規定」適用地域)を拡大することに合意したと発表、また両国が停戦を監視するためのしくみを強化するため調整を行っていくことを明らかにした。
AFP, May 4, 2016、AP, May 4, 2016、ARA News, May 4, 2016、Champress, May 4, 2016、al-Hayat, May 5, 2016、Iraqi News, May 4, 2016、Kull-na Shuraka’, May 4, 2016、al-Mada Press, May 4, 2016、Naharnet, May 4, 2016、NNA, May 4, 2016、Reuters, May 4, 2016、SANA, May 4, 2016、UPI, May 4, 2016などをもとに作成。
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英国とフランスは、国連安保理議長(エジプト)に対して、アレッポ市の情勢に対処するための緊急公開会合を召集するよう要請した。
AFP, May 4, 2016、AP, May 4, 2016、ARA News, May 4, 2016、Champress, May 4, 2016、al-Hayat, May 5, 2016、Iraqi News, May 4, 2016、Kull-na Shuraka’, May 4, 2016、al-Mada Press, May 4, 2016、Naharnet, May 4, 2016、NNA, May 4, 2016、Reuters, May 4, 2016、SANA, May 4, 2016、UPI, May 4, 2016などをもとに作成。
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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はスプートニク・ニュース(5月4日付)のインタビューに応じ、米国とロシアが「アレッポを停戦対象地域(「講和規定」適用地域)に含めるために行動している」としつつ、米国がアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線を停戦の対象に含めようとしていると批判した。
そのうえで、米国に対して、トルコをはじめとする同盟国に対して「テロリストと「穏健な反体制派」を区別」し、シリアのすべての社会勢力をジュネーブでの交渉に参加させるため圧力をかけるよう呼びかけた。
一方、シリア国内で戦闘を続ける反体制武装集団について、「穏健な反体制派」を自認する組織は…ヌスラ戦線の支配地域にとどまり、空爆を回避したり、停戦を反故にしようとしているように感じる…。ロシアは力でシリアの危機を解決しようとはしていない…。しかし、ヌスラ戦線を支援して、停戦を反故にし、事態を力で解決するためにでき得ることなら何でもしようとする者がいる。しかしそうした者は完全に拒絶されることになろう」と厳しく非難、「多くの当事者」が停戦を妨害しようとしているとしたうえで、トルコを批判した。
他方、今月中に再開が予定されているシリア政府と反体制派の和平協議(ジュネーブ3会議第4ラウンド)に関して、リヤド最高交渉委員会の「無責任な振る舞い」ゆえに引き続き間接交渉となるだろうと述べた。
アサド大統領については「ところで、アサド氏は我々の同盟者ではない。我々は「テロとの戦い」とシリアという国家維持のために支援しているが、トルコが米国の同盟国であるようには、彼は我々の同盟者ではない」と述べた。
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ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官は、ラタキア県フマイミーム航空基地に駐留するロシア空軍のSu-25戦闘機30機を撤退させると発表した。
しかしコナシェンコフ報道官によると、この撤退はロシア軍のシリア領内での「テロとの戦い」には影響はないとしたうえで、過去4日間でラッカ県、ダイル・ザウル県、ヒムス県(アーラーク油田一帯)のダーイシュ(イスラーム国)拠点に対して87回の空爆を実施したことを明らかにした。
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