米中央軍(CENTCOM)は、5月22日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して17回の空爆を行ったと発表した。
このうちシリア領内での空爆は7回で、シャッダーディー市近郊(1回)、ラッカ市近郊(3回)、アイン・イーサー市近郊(1回)、マーリア市近郊(2回)に対して攻撃が行われた。
CENTCOM, May 23, 2016などをもとに作成。
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Detail Report on the Arab Spring in Syria: Latest Situation in Syria / アラビア語の新聞、通信社、ウェブサイトなどを通じて収集した情報をもとに、シリア情勢をより網羅的に把握・紹介することをめざします。
シリア人権監視団は、シリア治安組織(空軍情報部、総合情報部など)、遺族、サイドナーヤー刑務所の信頼できる複数の消息筋から得た情報をもとに、2011年3月18日から2016年5月21日までの5年間でシリア国内の刑務所・拘置所で、少なくとも6万人が拷問、食糧・医薬品不足が原因で死亡したと発表した。
また同監視団は1万4,456人がこの期間に獄中死したことを確認したと付言、うち18歳未満の子供が110人、18歳以上の女性が53人も含まれていることを明らかにした。
遺体の一部は遺族に返還されたが、一部はいまだに返還されないまま、死亡診断書も発行されておらず、収監者からの情報として死亡が確認されているのみだという。
AFP, May 21, 2016、AP, May 21, 2016、ARA News, May 21, 2016、Champress, May 21, 2016、al-Hayat, May 22, 2016、Iraqi News, May 21, 2016、Kull-na Shuraka’, May 21, 2016、al-Mada Press, May 21, 2016、Naharnet, May 21, 2016、NNA, May 21, 2016、Reuters, May 21, 2016、SANA, May 21, 2016、UPI, May 21, 2016などをもとに作成。
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ダーイシュ(イスラーム国)の広報部門の一つフルカーン広報制作機構は、ダーイシュ公式報道官のアブー・ムハンマド・アドナーニー氏の音声とされる声明(https://www.youtube.com/watch?v=Q_C6bWsDhkI)を発表した。
アドナーニー氏は声明のなかで「十字軍どもに災いあれ、ユダヤ人どもに災いあれ」と述べたうえで、米国のイラク政策を批判、米国に対して、「戦争は終わっていない。お前たちはまだ勝ってもいない。アッラーのお許しのもと、お前たちは敗北を喫することになる。待ってろ」と脅迫した。
またシリア情勢に関しては、以下のように述べ、米国をはじめとする欧米諸国が、ダーイシュのみを批判し、アサド政権やロシア軍の「虐殺」を黙認していると批判した。
「米国とその同盟国は…ロシアとヌサイリー派が日々、イスラーム教徒を虐殺しても痛みを感じず…、涙を流すこともない」。
「米国とその同盟国は、グータ、ザバダーニー、マダーヤー、ムウダミーヤト・シャームで…数千の人々が無為に命を落とし、子供、女性、老人が包囲を受けていることに関心がない。これらの国はハイル市(ダイル・ザウル市のこと)で包囲されている者どものことしか関心を示さない。これらの国は彼らを助けようと、毎日、ヌサイリー派に食糧を投下している。欧州の人々、そしてそのほかの地域の背教者は、ロシアが病院や住宅地を破壊することに動揺もしない…」。
そのうえで、「イスラーム教徒たちよ…。我らがコーランは我々に世界のすべてと例外なく戦うよう求めている」と主張、「我々はアッラーのための宗教が確立するまで戦い続ける」と徹底抗戦の構えを示した。
AFP, May 21, 2016、AP, May 21, 2016、ARA News, May 21, 2016、Champress, May 21, 2016、al-Hayat, May 22, 2016、Iraqi News, May 21, 2016、Kull-na Shuraka’, May 21, 2016、al-Mada Press, May 21, 2016、Naharnet, May 21, 2016、NNA, May 21, 2016、Reuters, May 21, 2016、SANA, May 21, 2016、UPI, May 21, 2016などをもとに作成。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍とロシア軍の戦闘機がアレッポ市北部のカースティールー街道一帯および同市北西部一帯を40回にわたり空爆した。
同監視団によると、空爆は2月27日に米・ロシアの敵対行為停止合意が発効して以降最大規模で、なおかつアレッポ市一帯にロシア軍が空爆を実施するのは2月27日以来初めてだという。
一方、SANA(5月22日付)によると、反体制武装集団がヌッブル市、アレッポ市ハムダーニーヤ地区を砲撃し、女児1人が死亡、また子供1人を含む4人が負傷した。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がイドリブ市各所を空爆し、ジハード主義武装集団の戦闘員4人が死亡した。
戦闘機はまた、カフルサジュナ村各所を空爆し、女性1人、女児1人が死亡した。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がカフルラーハー市各所を空爆、またシリア軍がヒムス市ワアル地区を砲撃した。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がハーン・シャイフ・キャンプ一帯に対して「樽爆弾」少なくとも40発を投下した。
シリア軍はまたタッル市を砲撃、クッルナー・シュラカー(5月23日付)によると、シリア軍と国防隊がタッル市への突入を試み、反体制武装集団と交戦、士官1人を含む兵士4人が死亡した。
また、ARA News(5月22日付)によると、反体制武装集団がダーライヤー市周辺の拠点複数カ所をシリア軍から奪還した。
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ハマー県では、SANA(5月22日付)によると、シリア軍がザーラ村一帯でシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団と交戦し、戦闘員25人を殲滅、車輌3輌を破壊した。
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ダルアー県では、SANA(5月22日付)によると、反体制武装集団がダルアー市スィハーリー地区、カーシフ地区を砲撃し、子供3人が負傷した。
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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、5月21日に8件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。
停戦違反はダマスカス郊外県で発生し、いずれもイスラーム軍による砲撃だったという。
米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は575件。
AFP, May 22, 2016、AP, May 22, 2016、ARA News, May 22, 2016、Champress, May 22, 2016、al-Hayat, May 23, 2016、Iraqi News, May 22, 2016、Kull-na Shuraka’, May 22, 2016、May 23, 2016、al-Mada Press, May 22, 2016、Naharnet, May 22, 2016、NNA, May 22, 2016、Reuters, May 22, 2016、SANA, May 22, 2016、UPI, May 22, 2016などをもとに作成。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、タドムル市北東部のマザール山、一帯でシリア軍とダーイシュ(イスラーム国)が交戦した。
SANA(5月22日付)によると、シリア軍がタドムル市北東部マザール山方面でダーイシュ(イスラーム国)と交戦、同地の戦略拠点3カ所(ハリー砦、第619地点、第711地点)を制圧したという。
シリア軍はまた、アブー・ハリース村、ウンク・ハワー村、ウンム・サフリージュ村、ウンム・リーシュ村、ウンム・タバービール村一帯のダーイシュ拠点を空爆した。
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スワイダー県では、SANA(5月22日付)によると、シリア軍がカスル村一帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を攻撃した。
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ダイル・ザウル県では、ARA News(5月22日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)の幹部の一人アブー・フザイファ・ミスリー氏(エジプト人、ハイル州前ワーリー(統治者)がダイル・ザウル航空基地一帯でのシリア軍との戦闘で死亡した。
一方、SANA(5月22日付)によると、シリア軍がダイル・ザウル航空基地一帯、ダイル・ザウル市南西部一帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆した。
AFP, May 22, 2016、AP, May 22, 2016、ARA News, May 22, 2016、Champress, May 22, 2016、al-Hayat, May 23, 2016、Iraqi News, May 22, 2016、Kull-na Shuraka’, May 22, 2016、al-Mada Press, May 22, 2016、Naharnet, May 22, 2016、NNA, May 22, 2016、Reuters, May 22, 2016、SANA, May 22, 2016、UPI, May 22, 2016などをもとに作成。
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ラッカ県では、ARA News(5月22日付)によると、トルコの国境警備隊がタッル・アブヤド市郊外で農作業をしていた住民に越境発砲し、殺害した。
AFP, May 22, 2016、AP, May 22, 2016、ARA News, May 22, 2016、Champress, May 22, 2016、al-Hayat, May 23, 2016、Iraqi News, May 22, 2016、Kull-na Shuraka’, May 22, 2016、al-Mada Press, May 22, 2016、Naharnet, May 22, 2016、NNA, May 22, 2016、Reuters, May 22, 2016、SANA, May 22, 2016、UPI, May 22, 2016などをもとに作成。
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サウジアラビアが支援するイスラーム軍、トルコが支援するシャーム軍団(シリア・ムスリム同胞団系)など反体制武装集団39組織は声明を出し、「敵対行為停止を後援する当事者(米、ロシア)に48時間の猶予を与え、本合意の「残骸」を救い出し、アサド体制とその同盟者に蛮行の即時完全停止を強いる」よう要求した。
声明を出したのは、イスラーム軍、シャーム軍団、シャーム戦線、ヌールッディーン・ザンキー運動、ヤルムーク軍、北部師団、ラフマーン軍団、ナスル軍、ザーウィヤ山の鷹旅団、カシオン旅団、ムジャーヒディーン軍、タフリール軍、ヒムス解放運動、イスラーム覚醒大隊、中部師団、第16歩兵師団、第13師団、ハビーブ・ムハンマド旅団、イスラーム自由旅団、ヒムス軍団、スルターン・ムラード旅団、第1連隊、アンサール・イスラーム戦線、アサーラ・ワ・タンミヤ戦線、ハウラーン自由人連合、第1砲兵連隊、部族師団、シャバーブ・スンナ師団、第313旅団バドルの兵、アンサール・シャーム大隊、シリア革命家戦線、第46歩兵師団、カーディスィーヤ師団、第10沿岸旅団、アッラーの獅子ガーリブ連合、ハック師団、ハスム師団、アフル・ナスル旅団連合、「命じられるまま正しく進め」連合。
声明において、イスラーム軍、シャーム軍団らは、シリア軍に対して、ダマスカス郊外県ダーライヤー市などの「解放区」への砲撃と国際社会の沈黙を非難し、米・ロシアによる敵対行為停止合意(2月27日発行)が「完全に崩壊した」と断じた。
そのうえで、同合意を遵守してきた武装集団に対して「すべての戦線、とりわけダーライヤーに対する犯罪者政権の攻撃を食い止めるまで、住民を守るためあらゆる合法的な手段を駆使して抵抗するだろう」と表明した。
またシリア政府に対して、5月14日以降に制圧した地域からの撤退を要求した。

AFP, May 22, 2016、AP, May 22, 2016、ARA News, May 22, 2016、Champress, May 22, 2016、al-Hayat, May 23, 2016、Iraqi News, May 22, 2016、Kull-na Shuraka’, May 22, 2016、al-Mada Press, May 22, 2016、Naharnet, May 22, 2016、NNA, May 22, 2016、Reuters, May 22, 2016、SANA, May 22, 2016、UPI, May 22, 2016などをもとに作成。
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