シリア民主軍による「ラッカ北部解放作戦」開始にもかかわらず、米主導の有志連合によるシリア領内はたった2回(2016年5月24日)

米中央軍(CENTCOM)は、5月24日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して17回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は2回で、アイン・イーサー市近郊(1回)、マーリア市近郊(1回)に対して攻撃が行われた。

AFP, May 25, 2016、AP, May 25, 2016、ARA News, May 25, 2016、Champress, May 25, 2016、al-Hayat, May 26, 2016、Iraqi News, May 25, 2016、Kull-na Shuraka’, May 25, 2016、al-Mada Press, May 25, 2016、Naharnet, May 25, 2016、NNA, May 25, 2016、Reuters, May 25, 2016、SANA, May 25, 2016、UPI, May 25, 2016などをもとに作成。

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ダーイシュが発行する『ナバア』誌がジャブラ市とタルトゥース市での連続爆破テロの実行犯の氏名を公開(2016年5月24日)

ダーイシュ(イスラーム国)が発行する週刊誌『ナバア』第32号(5月24日付)は、23日にラタキア県ジャブラ市とタルトゥース県タルトゥース市で発生した連続爆破テロの実行犯の氏名を公表した。

同誌によると、攻撃は10人のメンバーによって敢行されうち5人がタルトゥース市、5人がジャブラ市での爆破攻撃を成功させたという。

タルトゥース市で攻撃を行った5人は、アブー・アブドゥッラー・タルトゥースィー、アブー・ジュライビーブ・タッルカラフ・ヒムスィー、アブー・ウマル・ムハージル(外国人)、アブー・ウスマーン・ダルアーイー、ジャッラーフ・バーニーヤースィー。

ジャブラ市で攻撃を行った5人は、アブー・タマーム・サーヒリー、アブー・マーリク、ジャブラーウィー、アブー・ヤズィード・ラーザカーニー、アブー・アイマン・シャーミー、スィラーカ・ルブナーニー(レバノン人)。

氏名から、10人のうち8人がシリア人で、そのほとんどが沿岸地方のラタキア県、タルトゥース県出身者だったことが分かる。

Kull-na Shuraka', May 25, 2016
Kull-na Shuraka’, May 25, 2016

AFP, May 25, 2016、AP, May 25, 2016、ARA News, May 25, 2016、Champress, May 25, 2016、al-Hayat, May 26, 2016、Iraqi News, May 25, 2016、Kull-na Shuraka’, May 25, 2016、al-Mada Press, May 25, 2016、Naharnet, May 25, 2016、NNA, May 25, 2016、Reuters, May 25, 2016、SANA, May 25, 2016、UPI, May 25, 2016などをもとに作成。

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ロシアのラヴロフ外務大臣は「ラッカ北部解放作戦」に関して、有志連合と連携する用意があると述べるとともに、地上で戦う者たちを支援する必要を強調(2016年5月24日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が「ラッカ北部解放」作戦の開始を宣言したことに関して、米国主導の有志連合と連携する用意があると述べた。

ラブロフ外務大臣は「こうした作戦が開始されたとの報道が本当かは確認できない。しかし、ラッカ市はイラクのモスル市と同様、対テロ同盟のン目標の一つである…。今こそ、こうした調整(ラッカ市奪還に向けた有志連合との調整)を行う好機だ、と我々は責任をもって明言したい」と述べた。

また「ロシア空軍と米国主導の有志連合の空軍は同時に協調して行動し、テロ組織と実際に地上で戦っている者たちを支援すべきだ、と我々は考えている」と述べ、シリア国内での作戦に際してはシリア軍との連携が不可欠だとの見方を示した。

RT(5月24日付)などが伝えた。


AFP, May 24, 2016、AP, May 24, 2016、ARA News, May 24, 2016、Champress, May 24, 2016、al-Hayat, May 25, 2016、Iraqi News, May 24, 2016、Kull-na Shuraka’, May 24, 2016、al-Mada Press, May 24, 2016、Naharnet, May 24, 2016、NNA, May 24, 2016、Reuters, May 24, 2016、RT, May 24, 2016、SANA, May 24, 2016、UPI, May 24, 2016などをもとに作成。

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YPG主体のシリア民主軍は米国からの武器供与を受け「ラッカ北部解放」作戦を開始(2016年5月24日)

西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の司令官らが、ラッカ県タッル・アブヤド市南部のシャルガラート村で記者会見を開き、「ラッカ北部解放」作戦を開始すると発表した。

ARA News(5月24日付)が伝えた。

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ロジャヴァ・ニュース(5月24日付)は、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が主導し、米軍が後援するシリア民主軍の司令官の話として、シリア民主軍が米軍からの武器供与を受け、24日付でダーイシュ(イスラーム国)の中心都市ラッカ市(ラッカ北部ではない)制圧に向けた作戦を開始したと伝えた。

作戦開始を受け、人民防衛隊、女性防衛部隊などからなるシリア民主軍はラッカ県北部のアイン・イーサー市南部のファーティサ村、小ハッシュ村、大ハッシュ村方面に向けて進軍を始めたという。

また人民防衛隊の戦闘員の一人サルハド・アッバース氏は、ARA News(5月24日付)に対し、人民防衛隊が、戦車・装甲車数十輌、重火器を投入していることを明らかにした。

一方、ARA News(5月24日付)は、シリア民主軍の司令官の一人アブドゥルカリーム・ウバイド氏が「シリア民主軍は、米軍中央司令部(CENTCOM)司令官に就任したジョセフ・ヴォーテル大将の訪問後、米国から新たに武器を受け取った」と述べたと伝えた。

米国防総省のスティーブ・ウォーレン報道官は、シリア民主軍が(ラッカ県)北部農村地帯を浄化するための作戦を開始し、これはラッカ市に圧力をかけることにつながる」と述べ、米国主導の有志連合がシリア民主軍の作戦を空爆によって航空支援していることを明らかにした。

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ARA News(5月24日付)によると、ラッカ市解放作戦開始宣言を受け、シリア民主軍はタッル・アブヤド市に「総合関係調整局」を開設した。

民主統一党を支える社会団体の民主連合運動(TEV-DEM)の総合関係局メンバーのウマル・アッルーシュ氏によると、総合関係調整局はラッカ県のアラブ人部族との連絡を目的としており、ラッカ県で有力な7つのアラブ人部族のうち5つのアラブ人部族の長らが、西クルディスタン(ロジャヴァ)における連邦制樹立に支持を表明しているという。

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ラッカ県では、ARA News(5月24日付)によると、有志連合がラッカ市北部郊外一帯のダーイシュ(イスラーム国)拠点に対して空爆を実施した。

またアイン・イーサー市郊外のジブリヤート・ハリール村、ムタマスリジュ村一帯で、有志連合の空爆と合わせて、シリア民主軍とダーイシュが交戦した。

なお、シリア人権監視団によると、北ラッカ解放作戦には、シリア民主軍1万~1万5,000人が参加していると推計しているが、『ハヤート』(5月27日付)によると、実際には数千人しか参加していないと見込まれるという。

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アレッポ県では、ARA News(5月24日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がアイン・アラブ市西部郊外の村々を砲撃し、4人が負傷した。

AFP, May 24, 2016、AP, May 24, 2016、ARA News, May 24, 2016、Champress, May 24, 2016、al-Hayat, May 25, 2016、May 26, 2016、May 27, 2016、Iraqi News, May 24, 2016、Kull-na Shuraka’, May 24, 2016、al-Mada Press, May 24, 2016、Naharnet, May 24, 2016、NNA, May 24, 2016、Reuters, May 24, 2016、Rojava News, May 24, 2016、SANA, May 24, 2016、UPI, May 24, 2016などをもとに作成。

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イドリブ県では、シリア軍がヌスラ戦線のタンクローリーを攻撃し破壊(2016年5月24日)

イドリブ県では、SANA(5月24日付)によると、シリア軍が県西部ルージュ平原のジーラー村、アドワーン村にあるシャームの民のヌスラ戦線の拠点を攻撃した。

シリア軍はまた同県北部のタッルアーダ村・タルマーニーン村間の街道を移動中のヌスラ戦線の車列(タンクローリー)を攻撃、これを破壊した。

なお、クッルナー・シュラカー(5月23日付)によると、前日の23日には、マアッラト・ヌウマーン市で、燃料不足と燃料代高騰に抗議するデモが行われ、活動家が道路を封鎖していた。

AFP, May 24, 2016、AP, May 24, 2016、ARA News, May 24, 2016、Champress, May 24, 2016、al-Hayat, May 25, 2016、Iraqi News, May 24, 2016、Kull-na Shuraka’, May 24, 2016、al-Mada Press, May 24, 2016、Naharnet, May 24, 2016、NNA, May 24, 2016、Reuters, May 24, 2016、SANA, May 24, 2016、UPI, May 24, 2016などをもとに作成。

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アレッポ県では、西クルディスタン移行期民政局支配地域から燃料代高騰に喘ぐ反体制派支配地域に向かったタンクローリーが爆撃を受ける(2016年5月24日)

アレッポ県では、クッルナー・シュラカー(5月24日付)によると、西クルディスタン移行期民政局の拠点都市アフリーン市と、反体制武装集団(アレッポ・ファトフ軍作戦司令室)の支配下にあるダーラト・イッザ市を結ぶ街道で人民防衛隊が敷いてきた交通規制が解除され、アフリーン市側から灯油を積んだタンクローリー複数輌がダーラト・イッザ市側に入った。

Kull-na Shuraka', May 23, 2016
Kull-na Shuraka’, May 23, 2016

ダーラト・イッザ市広報局なる団体が発表したところによると、交通規制解除は、23日にアレッポ県郊外の名士らが開いた会合で交わされた合意に基づく措置だという。

Kull-na Shuraka', May 23, 2016
Kull-na Shuraka’, May 23, 2016

またこの合意に先立ち、アレッポ・ファトフ軍作戦司令室は22日に声明を出し、人民防衛隊が交通規制を解除しない場合、武力で街道封鎖を解除すると脅迫していた。

Kull-na Shuraka', May 23, 2016
Kull-na Shuraka’, May 23, 2016

アレッポ県北西部の反体制武装集団支配地域では、人民防衛隊による交通規制により、物資の搬入が滞り、燃料代などの物価が急騰していた。

しかし、地元の複数の消息筋によると、交通規制解除を受けてアフリーン市を発った車列は、その数時間後にダーラト・イッザ市郊外の農地でロシア軍の激しい空爆を受け、運転手1人が死亡、複数人が負傷した。

一方、ARA News(5月24日付)は、空爆がシリア軍によるものだと伝えた。

AFP, May 24, 2016、AP, May 24, 2016、ARA News, May 24, 2016、Champress, May 24, 2016、al-Hayat, May 25, 2016、Iraqi News, May 24, 2016、Kull-na Shuraka’, May 24, 2016、al-Mada Press, May 24, 2016、Naharnet, May 24, 2016、NNA, May 24, 2016、Reuters, May 24, 2016、SANA, May 24, 2016、UPI, May 24, 2016などをもとに作成。

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シリア軍はダマスカス郊外県ダーライヤー市を爆撃(2016年5月24日)

ダマスカス郊外県では、クッルナー・シュラカー(5月24日付)によると、シリア軍がダーライヤー市を空爆した。

ロシア外務省は23日、ダーライヤー市と東グータ地方でシャームの民のヌスラ戦線を除く反体制武装集団との戦闘を72時間停止すると発表していた。

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ハマー県では、SANA(5月24日付)によると、シリア軍がシャフシャブー山一帯で反体制武装集団と交戦した。

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アレッポ県では、SANA(5月24日付)によると、バヤーヌーン町に拠点を置く反体制武装集団がザフラー町を砲撃し、女性2人が死亡、2人が負傷した。

一方、ARA News(5月25日付)によると、アレッポ市南部郊外のハーン・トゥーマーン市一帯での戦闘でイラン人戦闘員14人が死亡したと伝えた。

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ラタキア県では、ARA News(5月24日付)によると、シリア軍がアイン・イーサー村などトルクメン山一帯で反体制武装集団と交戦した。

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ヒムス県では、ARA News(5月24日付)によると、ヒムス解放運動がナーイム村を砲撃した。

ナーイム村はアリー・マムルーク国民安全保障会議議長の生地。

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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、5月23日に6件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はダマスカス郊外県、ラタキア県で発生し、イスラーム軍が砲撃を行ったという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は591件。

AFP, May 24, 2016、AP, May 24, 2016、ARA News, May 24, 2016、May 25, 2016、Champress, May 24, 2016、al-Hayat, May 25, 2016、Iraqi News, May 24, 2016、Kull-na Shuraka’, May 24, 2016、al-Mada Press, May 24, 2016、Naharnet, May 24, 2016、NNA, May 24, 2016、Reuters, May 24, 2016、SANA, May 24, 2016、UPI, May 24, 2016などをもとに作成。

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シリア軍はヒムス県でダーイシュとの戦闘を続ける(2016年5月24日)

ヒムス県では、SANA(5月24日付)によると、シリア軍がタドムル市東部郊外、シャーイル油田一帯、ヒヤーン・ガス社一帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点、車輌を空爆した。

一方、ダーイシュ(イスラーム国)ヒムス州は声明を出し、カルヤタイン市郊外のサワーナ町をシリア軍との戦闘の末に制圧したと発表した。

クッルナー・シュラカー(5月25日付)が伝えた。

AFP, May 24, 2016、AP, May 24, 2016、ARA News, May 24, 2016、Champress, May 24, 2016、al-Hayat, May 25, 2016、Iraqi News, May 24, 2016、Kull-na Shuraka’, May 24, 2016、al-Mada Press, May 24, 2016、Naharnet, May 24, 2016、NNA, May 24, 2016、Reuters, May 24, 2016、SANA, May 24, 2016、UPI, May 24, 2016などをもとに作成。

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第2期人民議会は6月6日に召集、ハルキー内閣はジャブラ市とタルトゥース市での連続爆破テロの被害者への補償を決定(2016年5月24日)

アサド大統領は2016年政令第146号を発し、第2期人民議会を2016年6月6日に召集することを定めた。

SANA(5月24日付)が伝えた。

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ワーイル・ハルキー内閣は定例閣議で、23日にラタキア県ジャブラ市とタルトゥース県タルトゥース市で発生した連続爆弾テロの被害者およびその家族に対して、被害状況に応じた補償金の支払いを行うことを承認した。

この決定は、アサド大統領の指示に沿ったものだという。

ハルキー内閣はまた、これと合わせて、テロで被害を受けたジャブラ国立病院の再建費などに総額8億5,000万シリア・ポンドを充てることを決定した。
SANA(5月24日付)が伝えた。

AFP, May 24, 2016、AP, May 24, 2016、ARA News, May 24, 2016、Champress, May 24, 2016、al-Hayat, May 25, 2016、Iraqi News, May 24, 2016、Kull-na Shuraka’, May 24, 2016、al-Mada Press, May 24, 2016、Naharnet, May 24, 2016、NNA, May 24, 2016、Reuters, May 24, 2016、SANA, May 24, 2016、UPI, May 24, 2016などをもとに作成。

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ダーイシュに忠誠を誓うダルアー県の二組織が統合し「ハーリド・ビン・ワリード軍」を結成(2016年5月24日)

ダルアー県で活動するヤルムーク殉教者旅団とイスラーム・ムサンナー運動は完全統合し、「ハーリド・ブン・ワリード軍」を名乗る新たな武装集団を結成した。

ヤルムーク殉教者旅団とイスラーム・ムサンナー運動はいずれもダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓う組織で、新設されたハーリド・ブン・ワリード軍の司令官には、アブー・ウスマーン・イドリビー氏が就任したという。

クッルナー・シュラカー(5月24日付)が伝えた。

Kull-na Shuraka', May 24, 2016
Kull-na Shuraka’, May 24, 2016

AFP, May 24, 2016、AP, May 24, 2016、ARA News, May 24, 2016、Champress, May 24, 2016、al-Hayat, May 25, 2016、Iraqi News, May 24, 2016、Kull-na Shuraka’, May 24, 2016、al-Mada Press, May 24, 2016、Naharnet, May 24, 2016、NNA, May 24, 2016、Reuters, May 24, 2016、SANA, May 24, 2016、UPI, May 24, 2016などをもとに作成。

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