米軍主導の有志連合はシリア国内で6回の爆撃を実施(2016年5月27日)

米中央軍(CENTCOM)は、5月27日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して34回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は6回で、ラッカ市近郊(1回)、アイン・イーサー市近郊(1回)、マンビジュ市近郊(1回)、マーリア市近郊(3回)に対して攻撃が行われた。

CENTCOM, May 28, 2016などをもとに作成。

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アレッポ県内の反体制武装集団支配地域が爆撃を受ける一方、ヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動らはハマー県の発電所を攻撃(2016年5月27日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がフライターン市、カフルハムラ村を空爆し、妊婦1人、子供2人を含む4人が死亡、またシリア軍戦闘機がアレッポ市バーブ街道地区、マイサル地区、ハラク地区、ブアイイディーン地区、ハイダリーヤ地区、カースティールー地区を「樽爆弾」で空爆した。

クッルナー・シュラカー(5月27日付)によると、空爆を行ったのはロシア軍戦闘機だという。

一方、SANA(5月27日付)によると、反体制武装集団がアレッポ市マイダーン地区、シャイフ・マクスード地区を砲撃し、女性1人が死亡、9人が負傷した。

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ハマー県では、SANA(5月27日付)によると、シリア軍がマアーン村一帯でシャームの民のヌスラ戦線と交戦し、戦闘員50人以上を殲滅した。

これに対して、ラターミナ町に展開する反体制武装集団がムハルダ市の発電所を砲撃し、従業員複数人が負傷した。

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イドリブ県では、クッルナー・シュラカー(5月27日付)によると、イドリブ市内西部のシュアイブ・モスク近くで爆弾が仕掛けられた車が爆発し、3人が死亡した。

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ダマスカス郊外県では、クッルナー・シュラカー(5月27日付)によると、ダーライヤー市でシリア軍が反体制武装集団との戦闘を続けた。

AFP, May 27, 2016、AP, May 27, 2016、ARA News, May 27, 2016、Champress, May 27, 2016、al-Hayat, May 28, 2016、Iraqi News, May 27, 2016、Kull-na Shuraka’, May 27, 2016、al-Mada Press, May 27, 2016、Naharnet, May 27, 2016、NNA, May 27, 2016、Reuters, May 27, 2016、SANA, May 27, 2016、UPI, May 27, 2016などをもとに作成。

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シリア軍が完全制圧したダマスカス郊外県東グータ地方南部一帯の住民数十世帯が帰宅(2016年5月27日)

ダマスカス郊外県では、SANA(5月27日付)は、19日にシリア軍が奪還したダイル・アサーフィール市など東グータ地方南部一帯でのインフラ復旧作業が進められるなか、避難していた住民数十世帯が帰宅したと伝え、その映像(https://youtu.be/wrFXJgDyFzU)を公開した。

SANA, May 27, 2016
SANA, May 27, 2016

なお、ARA News(5月27日付)によると、シリア軍は26日に反体制武装集団との戦闘の末、東グータ地方南部一帯地域を完全制圧していた。

AFP, May 27, 2016、AP, May 27, 2016、ARA News, May 27, 2016、Champress, May 27, 2016、al-Hayat, May 28, 2016、Iraqi News, May 27, 2016、Kull-na Shuraka’, May 27, 2016、al-Mada Press, May 27, 2016、Naharnet, May 27, 2016、NNA, May 27, 2016、Reuters, May 27, 2016、SANA, May 27, 2016、UPI, May 27, 2016などをもとに作成。

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ラッカ県北部で有志連合の支援を受けるYPG主体のシリア民主軍がダーイシュとの戦闘を続ける(2016年5月27日)

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、「北ラッカ解放作戦」を継続中の西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がタッル・アブヤド市・第17師団基地・アイン・イーサー市を結ぶ三角一帯制圧をめざして、ダーイシュ(イスラーム国)との戦闘を続けた。

AFP(5月27日付)によると、米軍主導の有志連合は、シリア民主軍を支援するため空爆を実施、過去4日間で150回以上の空爆を実施したという。

しかし、 米軍中央司令部(CENTCOM)の発表によると25日のシリア領内での空爆実施回数は5回のみ(26、27日の空爆実績については27日現在公表されていない)。

シリア人権監視団によると、シリア民主軍は、人民防衛隊、女性防衛部隊に加え、サナーディード軍、シリア正教軍事評議会、北の太陽大隊、ジュンド・ハラマイン旅団、ラッカ革命家戦線、ラッカ自由人旅団、解放旅団、第455特殊任務旅団、第99歩兵師団、カアカーア旅団、クルド戦線、サラージカ旅団、スルターン・サリーム旅団、アイン・ジャールート旅団、アレッポ部族軍団、ジャズィーラ旅団連合などからなり、米特殊部隊がこれを後援しているという。

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スワイダー県では、SANA(5月27日付)によると、シリア軍がカスル村でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を攻撃した。

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ハマー県では、SANA(5月27日付)によると、シリア軍が人民防衛諸集団とともにイスリヤー村一帯でダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、車輌を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(5月27日付)によると、シリア軍がシャーイル油田一帯、ジバーブ・ハマド村一帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点を空爆した。

AFP, May 27, 2016、AP, May 27, 2016、ARA News, May 27, 2016、Champress, May 27, 2016、al-Hayat, May 28, 2016、Iraqi News, May 27, 2016、Kull-na Shuraka’, May 27, 2016、al-Mada Press, May 27, 2016、Naharnet, May 27, 2016、NNA, May 27, 2016、Reuters, May 27, 2016、SANA, May 27, 2016、UPI, May 27, 2016などをもとに作成。

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ダーイシュはYPGと有志連合による「北ラッカ解放作戦」を尻目に、アレッポ県のトルコ国境地帯で勢力を一気に拡大(2016年5月27日)

アレッポ県では、ダーイシュ(イスラーム国)の広報部門アアマーク通信、シリア人権監視団によると、ダーイシュが県北西部のトルコ国境地帯(マーリア市およびアアザーズ市近郊)でトルコが支援するハワール・キリス作戦司令室に攻勢を強め、カフルカルビーン村、カルジャブリーン村、ナッダ村、ナイヤーラ村(および近郊の科学研究センター)、カフルブライシャ村、ターティーヤ村、タッル・フサイン市を制圧した。

シリア人権監視団によると、これによりダーイシュはアアザーズ市とマーリア市を結ぶ反体制武装集団の兵站線を遮断、マーリア市そしてその近郊のシャイフ・イーサー村への包囲が強化された。

これに関して、ドゥラル・シャーミーヤ(5月27日付)は、ダーイシュによる侵攻を認めたうえで、ハワール・キリス作戦司令室がその後、有志連合の空爆による航空支援を受け、このうちカルジャブリーン村内の複数拠点を奪還したと伝え、シリア人権監視団も有志連合の空爆などで、ナイヤーラ近郊の科学研究センターへのダーイシュの包囲が解除されたと発表した。

なお、シリア人権監視団によると、数週間前に、ダーイシュ最強部隊と目されるアブー・アンサーリー・ムハージル大隊がハサカ県南部およびラッカ県北部の前線からの撤退を命じられ、同大隊戦闘員約400人がアレッポ県北西部のトルコ国境地帯に再配置されていたという。

Kull-na Shuraka', May 27, 2016
Kull-na Shuraka’, May 27, 2016

ARA News(5月27日付)によると、ダーイシュの進軍を受け、住民約500人が、西クルディスタン移行期民政局の支配下のアフリーン市方面に避難した。

AFP, May 27, 2016、AP, May 27, 2016、ARA News, May 27, 2016、Champress, May 27, 2016、al-Durar al-Shamiya, May 27, 2016、al-Hayat, May 28, 2016、Iraqi News, May 27, 2016、Kull-na Shuraka’, May 27, 2016、al-Mada Press, May 27, 2016、Naharnet, May 27, 2016、NNA, May 27, 2016、Reuters, May 27, 2016、SANA, May 27, 2016、UPI, May 27, 2016などをもとに作成。

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大統領府はロシアが地方分権などを定めた新憲法案をシリア政府に提示したとの報道を全面否定(2016年5月27日)

シリア大統領府はFacebookの公式アカウントを通じて声明を出し、ロシアがシリア政府に新憲法草案を提示したとする一部報道に関して、事実に反するとして全面否定、「将来の憲法は、それがいかなるものであれ、外国から提示されず、シリア人によるものとなる」と強調した。

ロシアからの新憲法案提示は、シリア政府に近い立場をとるレバノン日刊紙『アフバール』(5月24日付)が最初に報じたもので、草案は国号を「シリア・アラブ共和国」から「シリア共和国」に改め、大統領の宗教をイスラーム教と定めた条項の廃止、議会解散権などを有する大統領の権限縮小、地方分権などが定められているという。


AFP, May 27, 2016、al-Akhbar May 24, 2016、AP, May 27, 2016、ARA News, May 27, 2016、Champress, May 27, 2016、al-Hayat, May 28, 2016、Iraqi News, May 27, 2016、Kull-na Shuraka’, May 27, 2016、al-Mada Press, May 27, 2016、Naharnet, May 27, 2016、NNA, May 27, 2016、Reuters, May 27, 2016、SANA, May 27, 2016、UPI, May 27, 2016などをもとに作成。

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西側諸国は人道支援物資の空からの投下を求めるデミストゥラ特別代表の提案に対し国連安保理で消極姿勢を示す(2016年5月27日)

国連安保理で、シリア情勢への対応を協議するための非公式会合が開かれた。

会合には、スイスの首都ジュネーブからスタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表がビデオ会議システムで参加、シリア政府と反体制派の和平協議の進捗などについて報告した。

『ハヤート』(5月28日付)によると、米国、英国、フランスといった西側諸国は会合で、人道支援物資を空から投下することが「困難、複雑、そして費用がかかる」とし、デミストゥラ国連特別代表の案に消極的な姿勢を占めす一方、ロシアに対して、人道支援物資の陸路での搬送をシリア政府に認めさせるべく圧力をかけるよう要請したという。

一方、SANA(5月27日付)によると、会合でシリアのバッシャール・ジャアラフィー国連代表は、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線と共闘するシャーム自由人イスラーム運動、イスラーム軍を、アル=カーイダおよび関連組織に対する国連安保理の制裁委員会が定める制裁対象リストに追加するよう求めたロシアの提案を拒否した国々(米英仏など)が、シリア国民に対して不当な措置を講じていると指摘、これを非難した。

AFP, May 27, 2016、AP, May 27, 2016、ARA News, May 27, 2016、Champress, May 27, 2016、al-Hayat, May 28, 2016、Iraqi News, May 27, 2016、Kull-na Shuraka’, May 27, 2016、al-Mada Press, May 27, 2016、Naharnet, May 27, 2016、NNA, May 27, 2016、Reuters, May 27, 2016、SANA, May 27, 2016、UPI, May 27, 2016などをもとに作成。

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トルコのチャヴシュオール外務大臣は、YPGの紋章を着用する米特殊部隊隊員の写真に関して「受け入れられない二枚舌、偽善」と非難(2016年5月27日)

トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣は開発途上国会議に出席するために訪問中のアンタルヤ市で、米軍特殊部隊が西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊に従軍する写真が公開されたことに関して、記者団に「同盟国(米国)が人民防衛隊の紋章を使用することは受け入れられない…。これは二枚舌で偽善だ」と述べ、非難した。

AFP, May 27, 2016、AP, May 27, 2016、ARA News, May 27, 2016、Champress, May 27, 2016、al-Hayat, May 28, 2016、Iraqi News, May 27, 2016、Kull-na Shuraka’, May 27, 2016、al-Mada Press, May 27, 2016、Naharnet, May 27, 2016、NNA, May 27, 2016、Reuters, May 27, 2016、SANA, May 27, 2016、UPI, May 27, 2016などをもとに作成。

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AFPがYPGの紋章を着用する米特殊部隊隊員の写真を配信:米国防総省は対応に追われる(2016年5月27日)

AFP(5月27日付)は、シリア北部および北東部でダーイシュ(イスラーム国)と戦う西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊(YPG)を支援する米特殊部隊の写真を初めて公開した。

写真は、ラッカ市北部に位置するファティーサ村で撮影されたもので、一部の米特殊部隊兵士はYPGの紋章をつけた軍服を身につけている。

AFP, May 27, 2016
AFP, May 27, 2016
AFP, May 27, 2016
AFP, May 27, 2016
AFP, May 27, 2016
AFP, May 27, 2016

 

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これに関して、米国防総省のピーター・クック報道官は、写真についての詳細なコメントを拒否し、「我が国の特殊部隊はこれまでにも、連携する部隊の紋章などを身につけてきた」と述べるにとどまった。

そのうえで、「彼ら(米特殊部隊)は前線にはいない。彼らはアドバイスと支援を行っている」と強調した。

しかし、ARA News(5月27日付)によると、米国防総省のスティーブ・ウォーレン報道官はその後、トルコ外務大臣の批判に応えるかたちで、人民防衛隊の紋章を着用することに関して「無礼」だとしたうえで、「有志連合司令部は紋章を着用していた兵士に、紋章をはずすよう命じた」ことを明らかにした。

AFP, May 27, 2016、AP, May 27, 2016、ARA News, May 27, 2016、Champress, May 27, 2016、al-Hayat, May 28, 2016、Iraqi News, May 27, 2016、Kull-na Shuraka’, May 27, 2016、al-Mada Press, May 27, 2016、Naharnet, May 27, 2016、NNA, May 27, 2016、Reuters, May 27, 2016、SANA, May 27, 2016、UPI, May 27, 2016などをもとに作成。

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ロシアのボグダノフ外務副大臣「シリアにおけるプランBは存在しない」(2016年5月27日)

ロシアのミハイル・ボグダノフ外務副大臣はシリア情勢に関して、ジュネーブでの和平協議を早急に再開する必要があると強調する一方、「これに代わる計画に向けたいかなる兆候も拒否する…。シリアにおけるプランBは存在しない」と強調した。

プランBは、米CIAや親米中東諸国の諜報機関によるシリアの反体制派への武装強化を指し、4月に『ウォールストリート・ジャーナル』がその存在を報じていた。
『ハヤート』(5月28日付)などが伝えた。


AFP, May 27, 2016、AP, May 27, 2016、ARA News, May 27, 2016、Champress, May 27, 2016、al-Hayat, May 28, 2016、Iraqi News, May 27, 2016、Kull-na Shuraka’, May 27, 2016、al-Mada Press, May 27, 2016、Naharnet, May 27, 2016、NNA, May 27, 2016、Reuters, May 27, 2016、SANA, May 27, 2016、UPI, May 27, 2016などをもとに作成。

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