国連のグテーレス事務総長は7日のロシア軍によるとされるイドリブ県ザルダナー村への攻撃に関して「完全な調査を行い、責任の所在を明確に」するよう呼びかける(2018年6月10日)

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、7日のイドリブ県ザルダナー村に対するロシア軍によると思われる爆撃に「深い懸念」を表明し、「一度目の爆撃に対処しようとしていた人々に対して2度目の爆撃が行われたとされる攻撃に対する完全な調査を行い、責任の所在を明確にする」よう呼びかけた。

ザルダナー村では、7日のロシア軍によるとされる爆撃で、51人が死亡、80人以上が死亡した(『ハヤート』(6月9日付)報道)。

だが、ロシア国防省は8日、イドリブ県ザルダナー村をロシア軍が爆撃したとのホワイト・ヘルメットの情報はウソで、爆発はシャーム解放機構とイスラーム軍の戦闘によるものと反論していた。

AFP, June 11, 2018、ANHA, June 11, 2018、AP, June 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 11, 2018、al-Hayat, June 12, 2018、Reuters, June 11, 2018、SANA, June 11, 2018、UPI, June 11, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダーイシュがダイル・ザウル県でYPG主体のシリア民主軍に自爆攻撃を敢行し、2人を殺害(2018年6月10日)

ダイル・ザウル県では、ユーフラテス・ポスト(6月11日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がハワーイジュ村にある西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の検問所に対して自爆攻撃を行い、シリア民主軍戦闘員2人が死亡、複数が負傷した。

また、ムハイミーダ村、ヒサーン村、ジャラーミダ村のシリア民主軍も「何者か」の攻撃を受けて、6人が負傷した。

AFP, June 11, 2018、ANHA, June 11, 2018、AP, June 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 11, 2018、Euphrates Post, June 11, 2018、al-Hayat, June 12, 2018、Reuters, June 11, 2018、SANA, June 11, 2018、UPI, June 11, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリアのアル=カーイダと目されているシャーム解放機構のジャウラーニー指導者「東グータ地方、ヒムス県から戦闘員がやって来たことで力が倍増し、ジハードと革命の精神が復活するだろう」(2018年6月10日)

シリアのアル=カーイダと目されているシャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者は、同機構の広報機関であるアムジャード機構を通じてビデオ声明を出し、ロシア、トルコ、イランを保障国とするアスタナ会議を拒否し、これを妨害すると表明した。

Youtube, June 10, 2018
Youtube, June 10, 2018

ジャウラーニー氏はビデオ声明のなかで「我々はアスタナを拒否し、さまざまな方法でこれを妨害しようとしてきた。我々は4ヶ月にわたり、線路の東側(イドリブ県東部)で戦ってきた」としたうえで、「アスタナ会議に参加する諸派は、偽りの正当性に染まっている。彼らのなかには、自分達を欺くことを楽しむ者もいるし、何が起きているか承知していない者もいる」と批判した。

一方、ダマスカス郊外県やヒムス県からシリア北部に敗走した反体制武装集団については「東グータ、ヤルムーク・キャンプ、ヒムス、カラムーンからこの地域に部隊がやって来たことで、力は倍増した」と評価、「この地域にある力は、各地を奪還するうえでの基礎となり、ジハードと革命の精神を復活させ…、それはダマスカスの中心にまで至るだろう」としている。

AFP, June 10, 2018、ANHA, June 10, 2018、AP, June 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 10, 2018、al-Hayat, June 11, 2018、Reuters, June 10, 2018、SANA, June 10, 2018、UPI, June 10, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ諜報機関がシリア北部で反体制派の治安機関高官やメディア関係者を拘束(2018年6月10日)

アレッポ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(6月10日付)によると、トルコの諜報機関が、県北部のマーリア市で、同市の治安局長のバシール・ハッジー氏、アフリーン広報センターの創設者であるサラーフ・サーフィー氏を拘束し、拘置所に連行した。

トルコの諜報機関はまた、アフリーン広報センター所長のアブー・マジド・クームラ氏を国境で拘束している。

al-Durar al-Shamiya, June 10, 2018

AFP, June 10, 2018、ANHA, June 10, 2018、AP, June 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 10, 2018、al-Hayat, June 11, 2018、Reuters, June 10, 2018、SANA, June 10, 2018、UPI, June 10, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロジャヴァ支配下のラッカ市でYPG主体のシリア民主軍が乗ったバスが爆発し、1人死亡(2018年6月10日)

ラッカ県では、バスニュース(6月10日付)によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)の支配下にあるラッカ市で、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が乗ったバスに仕掛けられていた爆弾が爆発し、1人が死亡、4人が負傷した。

AFP, June 10, 2018、ANHA, June 10, 2018、AP, June 10, 2018、Basnews, June 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 10, 2018、al-Hayat, June 11, 2018、Reuters, June 10, 2018、SANA, June 10, 2018、UPI, June 10, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコがシリア国境沿いのシリア領内で建設を進めてきた防護壁(総延長711キロ)が完成(2018年6月10日)

トルコの住宅開発機構(TOKI)のアルグン・トゥラン局長は、トルコ・シリア国境沿いのシリア領内で建設が進められていた防護壁が完成したことを明らかにした。

防護壁の総延長は711キロメートル。

al-Durar al-Shamiya, June 10, 2018

トルコ政府は、密輸や違法な出入国を抑止するため、全長826キロからなる防護壁建設計画を策定、2015年から建設を進めてきた。

なお、シリア・トルコ国境の全長は911キロに及ぶ。

アナトリア通信(6月10日付)が伝えた。

AFP, June 10, 2018、Anadolu Ajansı, June 10, 2018、ANHA, June 10, 2018、AP, June 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 10, 2018、al-Hayat, June 11, 2018、Reuters, June 10, 2018、SANA, June 10, 2018、UPI, June 10, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

YPG主体のシリア民主軍の傘下で活動するバーブ軍事評議会はトルコによるシリア北部占領に反対(2018年6月10日)

西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の傘下で活動するバーブ軍事評議会(ジャマール・アブー・ジュムア総司令官)は声明を出し、アレッポ県北部のバーブ市一帯でのトルコおよびその支援を受ける「傭兵」の敵対行為を非難、トルコの占領に改めて拒否の意を示すとともに、国際社会に対して、同地からトルコを撤退させるため圧力をかけるよう求めた。

ANHA, June 10, 2018

AFP, June 10, 2018、ANHA, June 10, 2018、AP, June 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 10, 2018、al-Hayat, June 11, 2018、Reuters, June 10, 2018、SANA, June 10, 2018、UPI, June 10, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコの実質管理下にあるイドリブ県北部でシリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構がダーイシュ・メンバーにオレンジ色の囚人服を着せて首を切断し処刑(2018年6月10日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が、ダーイシュ(イスラーム国)のメンバー3人にオレンジ色の囚人服を着せて首を切断して、処刑した。

処刑されたダーイシュのメンバーは、「ダーイシュ・イドリブ州」を名乗るグループで、シャーム解放機構は、4日のサルキーン市郊外のカフルヒンド村に対するダーイシュの襲撃への報復として処刑を行ったという。

カフルヒンド村では、ダーイシュとシャーム解放機構が交戦し、双方に27人の死者(うちシャーム解放機構のメンバーは5人)が出たという。

シャーム解放機構はこのほかにも、ダーイシュに所属し、スリーパー・セルを作っていたとして6人を処刑したという。

なお、ANHA(6月10日付)は、最近になってトルコの実質占領下にあるイドリブ県内の地域でダーイシュが勢力を盛り返していると伝えている。

ANHA, June 10, 2018

AFP, June 10, 2018、ANHA, June 10, 2018、AP, June 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 10, 2018、al-Hayat, June 11, 2018、Reuters, June 10, 2018、SANA, June 10, 2018、UPI, June 10, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍は、トルコの実質管理下にあるイドリブ県北部で活動を再び活発化させるシャーム解放機構に対して激しい爆撃・砲撃を加える(2018年6月10日)

イドリブ県では、シリア人権監視団、ドゥラル・シャーミーヤ(6月9日付)などによると、ダーライヤー中隊連合、アフラール軍、ウズベク人戦闘員、トルキスタン人戦闘員など(『ハヤート』(6月11日付)によるとシャーム解放機構)が9日深夜、シリア政府支配下にあるフーア市、カファルヤー町にあるシリア軍および親政権民兵の拠点複数カ所を襲撃した。

これに対する報復として、シリア軍戦闘機が、シャーム解放機構などの反体制武装集団が支配する県北部のビンニシュ市、ラーム・ハムダーン村トゥウーム村、マアッラト・ミスリーン市を爆撃し、女児1人を含む3人が死亡した。

シリア軍はまた、県南部のタフタナーズ市、カニーサト・バニー・イッズ村、アリーハー市、を砲撃し、タフタナーズ市では子供3人を含む9人が死亡、タフタナーズ市内の病院が利用不能となった。

またこれらの爆撃・砲撃で29人が負傷した(ドゥラル・シャーミーヤによると、爆撃・砲撃による死者は子供3人を含む11人)。

al-Durar al-Shamiya, June 10, 2018

**

ハマー県では、ドゥラル・シャーミーヤ(6月10日付)によると、シリア軍が県西部のガーブ平原のアンカーウィー村とクライディーン村を結ぶ街道一帯で活動する第一沿岸師団の車輌をコルネット・ミサイルで攻撃し、戦闘員12人を殺害した。

第一沿岸師団は、トルコが後援するシャーム軍団、シャーム解放機構と共闘するナスル軍、自由イドリブ軍などからなる国民解放戦線に参加している。

またシリア軍も、ハークーラ村にはる武装集団拠点を砲撃した。

**

クナイトラ県では、SANA(6月10日付)によると、反体制武装集団が、カルーム・ハムリーヤ地区、ジャッバー村の農地数十ドゥーナムを焼き討った。

**

ダルアー県では、『ハヤート』(6月11日付)によると、フラーク市で爆弾が爆発し、1人が負傷した。

**

『ハヤート』(6月11日付)は、シリアのパレスチナ人のための行動グループなど複数の市民団体の情報として、シリアの治安当局が、ヒムス市内で医療スタッフ多数を拘束したと伝えた。

拘束の理由は明らかではないが、治安当局は、ヒムス市近郊のアーイディーン・パレスチナ難民キャンプのビーサーン病院などに対して強制捜査を行い、医療スタッフを拘束したという。

AFP, June 10, 2018、ANHA, June 10, 2018、AP, June 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 10, 2018、al-Hayat, June 11, 2018、Reuters, June 10, 2018、SANA, June 10, 2018、UPI, June 10, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

スプートニク・ニュース:ロシアの企業150社以上が近くシリアで復興事業に着手(2018年6月10日)

スプートニク・ニュース(6月10日付)は、ロシアの実業家からなる使節団が首都ダマスカスを訪問し、人工衛星、穀物サイロ建設、工業、教育センター、ラタキア港港湾施設などの復興支援プロジェクト多数を受注したと伝えた(https://arabic.sputniknews.com/russia/201806091032978595-%D8%B4%D8%B1%D9%83%D8%A7%D8%AA-%D8%B1%D9%88%D8%B3%D9%8A%D9%89-%D8%B3%D9%88%D8%B1%D9%8A%D8%A7-%D8%A5%D8%B9%D8%A7%D8%AF%D8%A9-%D8%A5%D8%B9%D9%85%D8%A7%D8%B1-%D9%82%D9%85%D8%B1-%D8%A7%D8%B5%D8%B7%D9%86%D8%A7%D8%B9%D9%8A/)。

スプートニク・ニュースは、都市、空港、港湾建設、石油、農業、衣類、地質調査、採掘関連の企業158社かるロシアの「クベト」(كوبيت)グループの代表を務めるラスラーン・ミルザー・ガニーフ(رسلان مرزا غنيف)氏らシリアを訪れたロシアの実業家を取材、ガニーフ氏によると、多くのシリア人実業家がロシアを訪問、モスクワ商業会議所との間で多数の事業の着工について合意したという。

また、ロシアの実業家の使節団は今回のシリア訪問で複数の閣僚(石油鉱物資源大臣、運輸大臣、情報大臣ら)や高官と会談し、正式な契約締結に向け、その草案の準備をすることでシリア側と合意に達したという。

AFP, June 10, 2018、ANHA, June 10, 2018、AP, June 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 10, 2018、al-Hayat, June 11, 2018、Reuters, June 10, 2018、SANA, June 10, 2018、UPI, June 10, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア国防省:ロシア・トルコ停戦監視委員会のロシア側監督チームは9件の停戦違反を、トルコ側は0件の違反を確認(2018年6月10日)

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(6月10日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を9件(ラタキア県6件、アレッポ県3件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, June 10, 2018をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.