トルコのエルドアン大統領とユルドゥルム首相はトルコ軍によるマンビジュ市での巡回任務が開始されたと発表、YPG主体のシリア民主軍傘下のマンビジュ軍事評議会はこれを否定(2018年6月18日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、サムスン市での選挙演説で、米主導の有志連合が進駐する西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)支配下のアレッポ県マンビジュ市の処遇に関する米国とロシアの「工程表」に従い、トルコ軍の偵察部隊が米軍と合同で同市内での巡回任務を開始したと述べた。

また、トルコのビンアリ・ユルドゥルム首相も「今日(18日)から、我が軍は、米国とともにこの地域からテロリストを浄化するための任務を開始した」と述べた。

アナトリア通信(6月18日付)、『ハヤート』(6月19日付)が伝えた。

syria.liveuamap.com, June 18, 2018

 

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西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の傘下で活動するマンビジュ軍事評議会のシャルファーン・ダルウィーシュ報道官は、トルコ軍部隊がアレッポ県マンビジュ市に入ったとの一部情報に関して、ANHA(6月18日付)に対し、トルコ軍および反体制武装集団の進入を確認していないと述べ、これを否定した。

またマンビジュ軍事評議会は、トルコ軍部隊が、ロジャヴァ支配地域とトルコの実質占領地域を隔てるマンビジュ市・ジャラーブルス市間の兵力引き離し線を越えていないことを示すビデオ映像を公開した。

Youtube, June 18, 2018

AFP, June 18, 2018、Anadolu Ajansı, June 18, 2018、ANHA, June 18, 2018、AP, June 18, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 18, 2018、al-Hayat, June 19, 2018、Reuters, June 18, 2018、SANA, June 18, 2018、UPI, June 18, 2018などをもとに作成。

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米軍がダイル・ザウル南東部ユーフラテス川西岸の国境地帯でダーイシュに対する掃討戦を続けるシリア軍、ヒズブッラー、イラク人民動員隊の拠点を爆撃、米政府は関与を否定し、イスラエル軍による爆撃と主張(2018年6月18日)

SANA(6月18日付)などシリアの主要メディアは、米主導の有志連合の戦闘機複数機が、ダイル・ザウル県南東部ユーフラテス川西岸(右岸)のイラク国境に面するブーカマール市近郊のハリー村にあるシリア軍拠点の一つを爆撃し、複数が死傷したと伝えた。

シリア人権監視団によると、この爆撃でシリア軍兵士と親イラン民兵の戦闘員40人あまりが死亡したという。

またAFP(6月18日付)は、複数の地元消息筋の話として、親政権民兵の非シリア人戦闘員38人が死亡したと伝えた。

その後、ユーフラテス・ポスト(6月18日付)は、シリア軍士官5人、兵士10人、ヒズブッラーの戦闘員25人が死亡したと伝えた。

また、RT(6月18日付)も、シリア軍将兵16人、ヒズブッラーの戦闘員36人が死亡したと伝えた。

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一方、イラク人民動員隊も声明を出し、17日午後22時にブーカマール市近郊の国境地帯(シリア領内)に展開していた同隊所属の第45旅団および第46旅団の拠点が米軍戦闘機1機が発射した誘導ミサイル2発の攻撃を受け、戦闘員22人が死亡、12人が負傷したと発表した。

声明によると、「人民防衛部隊は国境解放作戦終了後も国境地帯に駐留している…。不毛地帯に国境線が敷かれているというこの地域の地理的特性、そして軍事的必要ゆえに、イラクの部隊は、国境から700メートルの距離に位置するシリアのブーカマール地区北部に本部を設営し、同地のインフラを管理する措置をとっている。同地付近には、テロがイラク領内に浸食するのを回避するため、防御壁が設置されている。この駐留はシリア政府、そしてイラク合同作戦司令室も承知している」という。

イラク人民動員隊は声明のなかで、「同地でのテロリストの結集は、イラク領内への浸食を試みるもので…。我々は(米軍の)こうした爆撃は、敵に国境地帯を掌握させようとするものだと考える」と厳しく非難、米国に「本件に関する釈明」を求めた。

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シリア軍と連携する同盟部隊の司令官は、ロイター通信(6月18日付)に対して「米軍所属と思われる正体不明の航空機複数機が、ブーカマール市とタンフ国境通行所(ヒムス県)の間に位置するイラクの武装勢力の拠点複数カ所、そしてシリア軍の拠点複数カ所を爆撃した」と述べた。

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ラタキア県フマイミーム航空基地の駐留ロシア軍のアレクサンドル・イヴァノフ報道官は、「この爆撃は、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員がこの地域に再び勢力を伸長する余地を与えることを狙った敵対行為だ」と述べ、米主導の有志連合を非難した。

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米国防総省のエイドリアン・ランキン=ギャロウェイ報道官(少佐)は、この爆撃に関して、米国および同国主導の有志連合の戦闘機によるものだとの報道・情報を否定した。

一方、フッラ・チャンネル(6月18日付)は、米政府高官の話として、イスラエル空軍が同地への爆撃を実施した、と伝えた。

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なお、ダイル・ザウル県南東部のユーフラテス川西岸(右岸)のイラク国境地帯、ヒムス県南東部の砂漠地帯では、最近になってダーイシュ(イスラーム国)によるシリア軍、親政権民兵への攻撃が激化している。

syria.liveuamap.com, June 18, 2018

AFP, June 18, 2018、ANHA, June 18, 2018、AP, June 18, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 18, 2018、Euphrates Post, June 18, 2018、al-Hayat, June 19, 2018、Alhurra, June 18, 2018、Reuters, June 18, 2018、RT, June 18, 2018、SANA, June 18, 2018、UPI, June 18, 2018などをもとに作成。

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シリア・イラン経済閣僚合同委員会の会合がダマスカスで開かれる(2018年6月18日)

シリアの首都ダマスカスで、シリア・イラン経済閣僚合同委員会の会合が開かれ、シリアのムハンマド・サーミル・アブドゥッラフマーン・ハリール経済対外通商大臣とイランのアッバース・アホウンディー・エネルギー道路都市建設大臣ら両国関係省庁の関係者が、経済、投資、金融、通商といった分野での協力関係の強化の方途をめぐって協議した。

SANA(6月18日付)が伝えた。

SANA, June 18, 2018

AFP, June 18, 2018、ANHA, June 18, 2018、AP, June 18, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 18, 2018、al-Hayat, June 19, 2018、Reuters, June 18, 2018、SANA, June 18, 2018、UPI, June 18, 2018などをもとに作成。

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イドリブ県、ハマー県、アレッポ県の部族長・名士が集まり、シリア軍への支持を表明(2018年6月18日)

イドリブ県では、SANA(6月18日付)によると、アブー・ズフール町近郊のワリーダト・ダーヒル村で、イドリブ県、ハマー県、アレッポ県の部族長と名士が集まり、シリア軍への支持を表明した。

SANA, June 18, 2018

AFP, June 18, 2018、ANHA, June 18, 2018、AP, June 18, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 18, 2018、al-Hayat, June 19, 2018、Reuters, June 18, 2018、SANA, June 18, 2018、UPI, June 18, 2018などをもとに作成。

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イドリブ県でアフラール軍副司令官が暗殺される(2018年6月18日)

イドリブ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(6月18日付)によると、アフラール軍のハリール・イスマーイール・アルサーン副司令官が県東部のジューバース村で暁(ファジュル)の礼拝を済ませて息子とともにモスクを出たところを何者かに撃たれて死亡した。

al-Durar al-Shamiya, June 18, 2018

AFP, June 18, 2018、ANHA, June 18, 2018、AP, June 18, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 18, 2018、al-Hayat, June 19, 2018、Reuters, June 18, 2018、SANA, June 18, 2018、UPI, June 18, 2018などをもとに作成。

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シリア軍はクナイトラ県、ダルアー県でアル=カーイダ系のシャーム解放機構などからなる反体制武装集団と交戦(2018年6月18日)

クナイトラ県では、SANA(6月18日付)によると、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団がジャッバー村、クルーム丘一帯のシリア軍の拠点複数カ所を攻撃、シリア軍と予備部隊がこれを撃退した。

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ダルアー県では、SANA(6月18日付)によると、シャーム解放機構がダルアー市のダーヒヤ地区を砲撃、迫撃砲弾2発が着弾した。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(6月18日付)が、ハウラーン自由人連合の情報として伝えたところによると、同連合はクルーム丘とウンム・バーティナ村を結ぶ回廊地帯に進攻を試みたヒズブッラーの戦闘員を撃退した。

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ハマー県では、SANA(6月18日付)によると、シリア軍が県北西部のアンカーウィー村近郊の街道で反体制武装集団の車輌を攻撃、これを破壊した。

一方、県東部のマスウーディーヤ村では、ダーイシュ(イスラーム国)が敷設していた地雷が爆発し、1人が死亡した。

AFP, June 18, 2018、ANHA, June 18, 2018、AP, June 18, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 18, 2018、al-Hayat, June 19, 2018、Reuters, June 18, 2018、SANA, June 18, 2018、UPI, June 18, 2018などをもとに作成。

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ヨルダンのサファディー外務大臣「シリア南部での戦闘回避に向けて米国、ロシアと連絡を取り合っている」(2018年6月18日)

ヨルダンのアイマン・サファディー外務大臣は、スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表と電話会談を行い、そのなかで、シリア南部で「戦闘が爆発しないよう」、米国およびロシアと連絡を取り合っていることを明らかにした。

『ハヤート』(6月19日付)が伝えた。

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ロシア外務省は声明を出し、セルゲイ・ラブロフ外務大臣とマイク・ポンペオ米国務長官が電話会談を行い、シリア情勢、北朝鮮情勢などの進捗について意見を交わした。

シリア情勢に関して、両者は、国連安保理決議第2254号に基づいた危機の解決への対応について協議したという。

AFP, June 18, 2018、ANHA, June 18, 2018、AP, June 18, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 18, 2018、al-Hayat, June 19, 2018、Reuters, June 18, 2018、SANA, June 18, 2018、UPI, June 18, 2018などをもとに作成。

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革命特殊任務軍が米主導の有志連合の占領下にあるタンフ国境通行所近くでダーイシュの麻薬貯蔵場を発見、末端価格140万米ドル相当の麻薬を押収(2018年6月18日)

米中央軍(CENTCOM)は、6月12日に「協力部隊」(partner forces)の一つ革命特殊任務軍が、米主導の有志連合の占領下にあるヒムス県タンフ国境通行所から55キロの地点に位置する「非衝突地帯」(deconfliction zone、第55地区)で、ダーイシュ(イスラーム国)の麻薬貯蔵場を発見し、末端価格140万米ドル相当の麻薬を押収した、と発表した。

革命特殊任務軍もツイッターのアカウントを通じて、欧州したとされる麻薬や拘束した戦闘員の画像を公開した。

al-Hayat, June 19, 2018

AFP, June 18, 2018、ANHA, June 18, 2018、AP, June 18, 2018、CENTCOM, June 18, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 18, 2018、al-Hayat, June 19, 2018、Reuters, June 18, 2018、SANA, June 18, 2018、UPI, June 18, 2018などをもとに作成。

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ロシア国防省:ロシア・トルコ停戦監視委員会のロシア側監督チームは5件の停戦違反を、トルコ側は2件の違反を確認(2018年6月18日)

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(6月18日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を5件(アレッポ県3件、ラタキア県2件、ハマー県1件)確認したと発表した。

またトルコ側の監視チームも2件(イドリブ県1件、ハマー県1件)の停戦違反を確認したという。

Ministry of Defence of the Russian Federation, June 18, 2018をもとに作成。

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米主導の有志連合は6月11日~6月17日までの7日間でシリア領内で23回の爆撃を実施(2018年6月18日)

米中央軍(CENTCOM)は、6月11日~6月17日の7日間でのシリア、イラク両国における有志連合の空爆の戦果をHPで発表した。

6月11日は、シリア、イラク領内のダーイシュ拠点などに対し3回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は3回で、ブーカマール市近郊に対して行われた。

6月12日は、シリア、イラク領内のダーイシュ拠点などに対し5回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は4回で、ブーカマール市近郊(1回)、シャッダーディー市近郊(3回)に対して行われた。

6月13日は、シリア、イラク領内のダーイシュ拠点などに対し7回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は7回で、ブーカマール市近郊(4回)、シャッダーディー市近郊(3回)に対して行われた。

6月14日は、シリア、イラク領内のダーイシュ拠点などに対し4回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は2回で、ブーカマール市近郊(1回)、シャッダーディー市近郊(1回)に対して行われた。

6月15日は、シリア、イラク領内のダーイシュ拠点などに対し3回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は3回で、ブーカマール市近郊(1回)、シャッダーディー市近郊(2回)に対して行われた。

6月16日は、シリア、イラク領内のダーイシュ拠点などに対し3回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は3回で、ブーカマール市近郊に対して行われた。

6月17日は、シリア、イラク領内のダーイシュ拠点などに対し1回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は1回で、シャッダーディー市近郊に対して行われた。

CENTCOM, June 18, 2018をもとに作成。

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ロシア軍はダイル・ザウル県ユーフラテス川西岸のイランの部隊に対する上空援護を停止(2018年6月18日)

『ハヤート』(6月18日付)は、ロシア軍が、シリア政府支配下のダイル・ザウル県ユーフラテス川右岸(西岸)各所に展開している「イランの部隊」(イラン・イスラーム革命防衛隊およびその支援を受ける外国人民兵)に対する上空援護を停止したと伝えた。

「イランの部隊」は、イラン・イスラーム革命防衛隊ゴドス軍団のカーセム・ソレイマーニー司令官の指揮のもと、ダイル・ザウル県でのダーイシュ(イスラーム国)に対するロシア・シリア両軍の掃討戦に参加、同地に展開を続けてきた。

この措置は、アレッポ県タッル・リフアト市一帯の処遇をめぐるロシアとトルコの合意、シリア南部(ダルアー県、クナイトラ県)の反体制派支配地域へのシリア軍展開にかかるロシア、米国、イスラエル、ヨルダン、シリア政府の折衝に、イランが反発していることへの対抗措置だという。

AFP, June 17, 2018、ANHA, June 17, 2018、AP, June 17, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 17, 2018、al-Hayat, June 18, 2018、Reuters, June 17, 2018、SANA, June 17, 2018、UPI, June 17, 2018などをもとに作成。

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