トルコのブズダー副首相兼内閣報道官「トルコ軍はユーフラテス川東岸地域をいずれ浄化するだろうが、そのために政治的関係正常化をめざす」(2018年6月6日)

トルコのバクル・ブズダー副首相兼内閣報道官は記者会見で、トルコ軍はユーフラテス川東岸地域をいずれ浄化するだろう。だが、トルコはこれを実現するために政治的な関係正常化をめざしたい…。国境地帯へのテロの脅威がなくならない限り、トルコは国家安全保障を守るための権威を行使するだろう」と述べた。

ドゥラル・シャーミーヤ(6月7日付)が伝えた。

AFP, June 7, 2018、ANHA, June 7, 2018、AP, June 7, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 7, 2018、al-Hayat, June 8, 2018、Reuters, June 7, 2018、SANA, June 7, 2018、UPI, June 7, 2018などをもとに作成。

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シリア民主軍の政治母体であるシリア民主評議会のダッラール共同議長「シリア政府との交渉の主目的は分権的政体の樹立」(2018年6月6日)

西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の政治母体であるシリア民主評議会のリヤード・ダッラール共同議長は、シリア政府との交渉に関して、『ハヤート』(6月7日付)に対して、「前提条件を設けない」としつつ、交渉の主要な目的が「この地域(ロジャヴァ支配地域)で分権的な政体を樹立し、安定とすべての構成集団(クルド人などのマイノリティ・エスニック集団、宗派集団)の権利を保障し、政治的、社会的経済的不正を解消し、シリアの統一を維持する」にあると述べた。

ダッラール共同議長はまた「トルコなどがこの地域へのいかなる侵攻を試みようと、米国がマンビジュ市やユーフラテス川東岸で支援してくれると信用している…。我々は戦闘に曝されたら、自分達の土地を防衛するだろう」と付言するとともに、「シリア民主評議会はトルコとの交渉を米側に任せている」ことを明らかにした。

AFP, June 6, 2018、ANHA, June 6, 2018、AP, June 6, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 6, 2018、al-Hayat, June 7, 2018、Reuters, June 6, 2018、SANA, June 6, 2018、UPI, June 6, 2018などをもとに作成。

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ヒムス県の対レバノン国境に展開したロシア軍とヒズブッラーの間に軋轢が生じ、ロシア軍が撤退(2018年6月6日)

ロイター通信(6月6日付)は、シリア政府を支援する域内の同盟者の外国人司令官2人(two non-Syrian officials in the regional alliance backing Damascus)の話として、ロシア軍が今週になってヒムス県のレバノン国境地帯に展開したことで、イラン・イスラーム革命防衛隊の支援を受けるヒズブッラーなどの親政権民兵と軋轢が生じていると伝えた(https://www.reuters.com/article/us-mideast-crisis-syria-russia-deploymen/exclusive-in-syria-a-russian-move-causes-friction-with-iran-backed-forces-officials-idUSKCN1J125S?il=0)。

同消息筋によると、この軋轢は5日は、ロシア軍がクサイル市近郊の拠点を含む3カ所から撤退し、代わってシリア軍部隊(第11師団)が同地に展開したことで解消したという。

ロシア軍の展開は、事前の調整を経て実施された措置ではなく、「イスラエルを安心させる」ために行われたと思われるが、ヒズブッラーがシャームの民のヌスラ戦線(現シャーム解放機構)やダーイシュ(イスラーム国)に対する「テロとの戦い」の一翼を担い、シリア軍とともにシリア・レバノン国境地帯でこの二つの組織を壊滅させたという事実を踏まえると、ロシア軍のこうした行為は受け容れられるものではないという。

なお、シリア軍展開後も、同地にはヒズブッラーが各所に展開を続けているという。

AFP, June 6, 2018、ANHA, June 6, 2018、AP, June 6, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 6, 2018、al-Hayat, June 7, 2018、Reuters, June 6, 2018、SANA, June 6, 2018、UPI, June 6, 2018などをもとに作成。

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ドイツ紙:YPG主体のシリア民主軍は拘束した外国人多数を「財政上」の理由でダーイシュ支配地域に追放していた(2018年6月6日)

ドイツ紙『ヴェルト』(6月6日付)は、ベルギーの諜報機関VSSEの話として、米主導の有志連合の支援を受け、シリア北東部および南東部でダーイシュ(イスラーム国)に対する「テロとの戦い」を行ってきた西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が、拘束したロシア人、トルコ人、チュニジア人、モロッコ人、そしてシリア人、イラク人多数を「財政上」の理由でダーイシュ支配地域に追放していたと伝えた。

AFP, June 6, 2018、ANHA, June 6, 2018、AP, June 6, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 6, 2018、al-Hayat, June 7, 2018、Reuters, June 6, 2018、SANA, June 6, 2018、UPI, June 6, 2018、Die Welt, June 6, 2018などをもとに作成。

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トルコの実質支配下のバーブ市(アレッポ県)でトルコの国立大学分校開設が合意される一方、同地一帯の地元評議会がトルコ・リラへの両替を呼びかける(2018年6月6日)

トルコの実質占領下にあるアレッポ県バーブ市の地元評議会議長を務めるジャマール・ウスマーン氏は、ドゥラル・シャーミーヤ(6月6日付)に対し、トルコの国立大学ハッラン大学(シャンウルファ市)の分校をバーブ市に開設する基本合意を同大学と交わしたことを明らかにした。

またドゥラル・シャーミーヤによると、バザーア村、カッバースィーン村の地元評議会が共同声明を出し、「忠誠」キャンペーンと称して、住民に、米ドルのトルコ・リラへの両替を呼びかけた。

同様の措置はバーブ市でも行われている。

AFP, June 6, 2018、ANHA, June 6, 2018、AP, June 6, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 6, 2018、al-Hayat, June 7, 2018、Reuters, June 6, 2018、SANA, June 6, 2018、UPI, June 6, 2018などをもとに作成。

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ダマスカス大学情報学部でアサド大統領の写真が踏みつけられる(2018年6月6日)

ドゥラル・シャーミーヤ(6月6日付)は、複数の活動家がインターネットを通じて、ダマスカス大学情報学部の教室の床にアサド大統領の写真を置き、靴で踏みつけている写真を拡散していると伝え、その画像を公開した。

拡散されている写真のなかには、「バッシャール・アサドよ、我々はお前を悪しざまにし続けてやる。偉大なるシリア革命万歳、シリア国民万歳、アサドなき自由シリア万歳、アサドに死を」と書かれた手書きの声明文(6月2日付)の画像も添えられていた。

al-Durar al-Shamiya, June 6, 2018
al-Durar al-Shamiya, June 6, 2018
al-Durar al-Shamiya, June 6, 2018

AFP, June 6, 2018、ANHA, June 6, 2018、AP, June 6, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 6, 2018、al-Hayat, June 7, 2018、Reuters, June 6, 2018、SANA, June 6, 2018、UPI, June 6, 2018などをもとに作成。

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有志連合のヴェール報道官「有志連合はシリア内戦には関与しない。シリア軍との対決が任務ではない」(2018年6月6日)

有志連合CJTF-OIR(「生来の決戦作戦」統合任務部隊)のトーマス・ヴェール報道官(大佐)は、「有志連合はシリアでの内戦に関与するとの決定はしていない。その任務は政府軍と対決することではない」と述べた。

ヴェール報道官はまた「有志連合の作戦に期限はないが、シリアでの作戦をいつ終えるかは言及できない」と付言した。

AFP, June 6, 2018、ANHA, June 6, 2018、AP, June 6, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 6, 2018、al-Hayat, June 7, 2018、Reuters, June 6, 2018、SANA, June 6, 2018、UPI, June 6, 2018などをもとに作成。

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レバノンのビッリー国民議会議長「シリアの解放と領土統一がイランとヒズブッラーのシリアからの撤退の唯一の条件」(2018年6月6日)

レバノンのナビーフ・ビッリー国民議会議長はスプートニク・ニュース(6月6日付)のインタビューに応じ、そのなかでイラン・イスラーム革命防衛隊やその支援を受ける民兵、そしてレバノンのヒズブッラーのシリア南部からの撤退を求める米国、ロシア、ヨルダンの姿勢や、これらの武装勢力のシリア全土からの撤退を求めるイスラエルの姿勢を批判した。

ビッリー国民議会議長は「イランはシリアの国家の要請のもとにいる。それはロシアがシリア政府の要請に基づいてシリア国内にいるのとまったく同じことだ…。シリアの領土解放のみが、(イラン・イスラーム革命防衛隊やその支援を受ける民兵、そしてレバノンのヒズブッラーの)撤退への唯一の方途だ」と述べた。

また「ヒズブッラーがそこ(シリア)にいなければ、ここ(レバノン)はダーイシュ(イスラーム国)(の支配地域)になっていただろう。現下のシリア情勢を踏まえると、ヒズブッラーのシリアからの撤退はない…。シリアが解放され、領土が統一されることがヒズブッラー撤退の唯一の条件だ」と付言した。

そのうえで「レバノンには約150万のシリア人がいるが、異邦人だとは見てない。レバノンとシリアは今も昔も双子の関係にあり、だからこそシリアで起きていることはレバノンに影響を及ぼす。いかなるシリア分割も、サイクス・ピコ条約とまったく同じような地域の国境再編だ」と非難した。

al-Durar al-Shamiya, June 6, 2018

AFP, June 6, 2018、ANHA, June 6, 2018、AP, June 6, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 6, 2018、al-Hayat, June 7, 2018、Reuters, June 6, 2018、SANA, June 6, 2018、Sputnik News, June 6, 2018、UPI, June 6, 2018などをもとに作成。

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YPG主体のシリア民主軍傘下のマンビジュ軍事評議会「マンビジュ市へのトルコ軍の進駐を認めない」(2018年6月6日)

西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の傘下で活動するマンビジュ軍事評議会は、YPG総司令部が5日にアレッポ県北東部ユーフラテス川右岸(西岸)のマンビジュ市から軍事顧問を撤退させると発表したことを受けて、同市で記者会見を開いた。

ANHA, June 6, 2018

記者会見では、シャルファーン・ダルウィーシュ総司令官が声明を読み上げ、「近日中に撤退する」予定のYPGに謝意を示すとともに、「いかなる外的脅威からもマンビジュ市の安全を守る能力を有する」と強調した。

そのうえで、マンビジュ軍事評議会が、マンビジュ市一帯地域へのトルコ軍のいかなる展開も受け入れないと明言した。

また、ムハンマド・ムスタファー司令官は「トルコと米国が合意に達する前に、我々は有志連合の司令官と複数回にわたり会合を開いた。そのなかで有志連合側は、マンビジュ市に駐留を続け、いかなるかたちでも同地を放棄しないと明言した…。我々はいまだに両国の合意について何ら承知していない」と述べた。

AFP, June 6, 2018、ANHA, June 6, 2018、AP, June 6, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 6, 2018、al-Hayat, June 7, 2018、Reuters, June 6, 2018、SANA, June 6, 2018、UPI, June 6, 2018などをもとに作成。

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ランキン=ギャロウェイ米国防総省報道官「マンビジュ市の処遇にかかる工程表はそれ以外の地域では適用されない」(2018年6月6日)

エイドリアン・ランキン=ギャロウェイ米国防総省報道官(少佐)は、トルコのチャヴシュオール外務大臣が5日に「マンビジュ市の処遇にかかる「工程表」はラッカ市、コバネ市にも適用される」と述べたことに関して、フッラ・チャンネル(6月6日付)に対して、「(マンビジュ市の処遇にかかる)工程表は現地情勢の変化に対応するかたちで実施されるだろう」としたうえで、マンビジュ市以外の地域には適用されないと述べた。

ランキン=ギャロウェイ報道官はまた「トルコはNATOの同盟国で、ダーイシュ(イスラーム国)を打ち負かすための有志連合における協力国だ…。だが、我々は(西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体の)シリア民主軍とも行動している」と付言した。

ANHA, June 6, 2018

AFP, June 6, 2018、ANHA, June 6, 2018、AP, June 6, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 6, 2018、al-Hayat, June 7, 2018、Alhurra, June 6, 2018、Reuters, June 6, 2018、SANA, June 6, 2018、UPI, June 6, 2018などをもとに作成。

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YPG主体のシリア民主軍がハサカ県南東部でダーイシュ掃討を続けるなか、トルコ軍がラッカ県タッル・アブヤド市を砲撃(2018年6月6日)

ハサカ県では、ANHA(6月6日付)によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が県南東部で進軍を続け、イラク国境に近いダシーシャ村近郊のジャッブール村、ブーハッスーン村、マルジャーン村でダーイシュ(イスラーム国)と激しく交戦し、マルジャーン村を制圧した。

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ラッカ県では、ANHA(6月6日付)によると、トルコ軍がタッル・アブヤド市の国境通行所一帯を重火器で砲撃した。

AFP, June 6, 2018、ANHA, June 6, 2018、AP, June 6, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 6, 2018、al-Hayat, June 7, 2018、Reuters, June 6, 2018、SANA, June 6, 2018、UPI, June 6, 2018などをもとに作成。

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シリア軍はアレッポ県でシャーム解放機構などからなる反体制武装集団と、ダイル・ザウル県でダーイシュと交戦(2018年6月6日)

アレッポ県では、SANA(6月6日付)によると、シリア軍が県西部(アレッポ市ザフラー協会地区一帯)と南西部(ヒルバト・マアッラータ村一帯)でシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の拠点を攻撃した。

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ダイル・ザウル県では、ドゥラル・シャーミーヤ(6月6日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が県南東部(ムーハサン市、ブーライル村近郊の砂漠地帯)にあるシリア軍拠点複数カ所を襲撃し、兵士12人を殺害した。

AFP, June 6, 2018、ANHA, June 6, 2018、AP, June 6, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 6, 2018、al-Hayat, June 7, 2018、Reuters, June 6, 2018、SANA, June 6, 2018、UPI, June 6, 2018などをもとに作成。

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ヒムス市とハマー市を結ぶ国際幹線道路が7年ぶりに再開(2018年6月6日)

ヒムス県北部とハマー県北部で活動を続けていた反体制武装集団戦闘員のうち、戦闘継続を希望する戦闘員が5月に家族とともにシリア北部に退去、残る戦闘員が当局に投降し、同地がシリア政府の支配下に復帰したことを受け、ヒムス市とハマー市を結ぶ国際幹線道路(全長47キロ)が復旧、7年ぶりに再開された。

SANA(6月6日付)が伝えた。

SANA, June 6, 2018

AFP, June 6, 2018、ANHA, June 6, 2018、AP, June 6, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 6, 2018、al-Hayat, June 7, 2018、Reuters, June 6, 2018、SANA, June 6, 2018、UPI, June 6, 2018などをもとに作成。

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サッバーグ人民議会議長が再選(2018年6月6日)

人民議会は第7回定例会第13回本会議を開き、議長選挙を実施、ハムーダ・サッバーグ議長が無投票で議長に再選された。

またナジュダト・アンズール議員が副議長に、ラーミー・サーリフ議員、ハーリド・アッブード議員が書記に再選され、アーティフ・ズバイク議員、スィナー・アブー・ザイド議員が新たに監査に選出された。

SANA(6月6日付)が伝えた。

SANA, June 6, 2018

AFP, June 6, 2018、ANHA, June 6, 2018、AP, June 6, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 6, 2018、al-Hayat, June 7, 2018、Reuters, June 6, 2018、SANA, June 6, 2018、UPI, June 6, 2018などをもとに作成。

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ロシア国防省:ロシア・トルコ停戦監視委員会のロシア側監督チームは4件の停戦違反を、トルコ側は0件の違反を確認(2018年6月6日)

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(6月6日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を4件(ラタキア県2件、アレッポ県2件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, June 6, 2018をもとに作成。

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