シリアのアル=カーイダと目されているシャーム解放機構のジャウラーニー指導者の映像公開「トルコによるユーフラテス川以東への侵攻作戦を支持、自らを「シリア革命」の一部と位置付け、反体制派支配地域を民政自治に委ねるよう主張」(2019年1月14日)

シリアのアル=カーイダと目されているシャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者がアムジャード広報機構が配信したインタビュー番組「唱道と指導」に出演し、トルコが準備している北・東シリア自治局支配下のシリア北東部ユーフラテス川以東地域に対する軍事作戦への見解を明らかにした。

ANHA, January 14, 2019

ジャウラーニー指導者は番組のなかで「我々はユーフラテス川以東地域が解放に向かっていることを支持している。クルディスタン労働者党(PKK)はこの革命の敵であり、スンナ派アラブ人が多く暮らしている地域を掌握している。彼らは、共に戦っている我らが部族、我らが子息であり、我々はこの党を壊滅する必要があると見ている」と述べた。

一方、イドリブ県を中心とする「解放区」(緊張緩和地帯第1ゾーン)での情勢については、「我々はこの革命の一部をなしている。我々は革命そのものではなくその一要素だ。我々は人々を支配しようとは思っていない。我々にとっての関心は、アッラーの法(シャリーア)のもとで、正しい方向に進み、行動することにある。人々が自分たちにふさわしい生活状況で暮らすことができるよう、解放区を正しく建設していく」と述べた。

そのうえで、「我々の目的は、この革命に犯罪者体制の打倒という成果を冠することである。それは我々が分裂し、散り散りのままにならないようにするためだ。そうするために、我々はみなと共にありたい。現場で孤立したくはない。我々にとってすべての兵士が必要だ。我々はシャーム解放機構と問題を抱え、自分達の地域を維持し、ジハードを行い、戦う者に、我々とコミュニケーションするよう呼びかけたい。我々の任務は、彼らにそうしやすいようにすることで、外国の計略、そしてシリア革命に有害な計略に資するようなアジェンダを抱かないようにして欲しい」と付言した。

トルコが庇護する国民解放戦線のヌールッディーン・ザンキー運動やシャーム自由人イスラーム運動と1月1月から9日までアレッポ県、ハマー県、イドリブ県で交戦したことに関しては「我々には、ヌールッディーン・ザンキー運動が制圧している地域を支配したいなどとは望んでいない。地元評議会がこの地域に留まり、民政を運営する。アレッポ県西部農村地帯には多くの勢力がいる。ヌールッディーン・ザンキー運動の兵士には、犯罪者体制と戦うために同地にいるどの勢力に加わるかを選ぶことができる…。我々は最近の衝突で拘束した諸派のメンバー全員を釈放した。彼らはみな解放区の自宅に戻った。我々はこれらの勢力が無事だと見ている。彼らが背教したと疑っている者は、司法のもとに裁かれ、投獄される。これらの勢力は,我々の負傷者を救い、我々も彼らの負傷者を救ってきた。我々は犯罪者体制に対して一致団結して多くの戦いを行ってきた」と述べた。

ロシア・シリア軍がシャーム解放機構によって制圧されたイドリブ県を攻撃する可能性については「ロシアとイランの敵には、この地域のどこにも入るにせよ、口実は必要はない。ダルアーも、グータも、ヒムスも、シャーム解放機構の支配下にはなかったで、「穏健」と分類される諸派の支配下にあったからだ」と批判した。

反体制派支配地域の今後に関しては「シャーム地方内で諸派の内紛をもたらす主因は分裂と分断だ。一つの地理領域に多くの勢力、計画が存在している。シャーム解放機構は圧倒しようなどとは思っていない。そうすることは我々の政策ではない。多くの勢力が今も現場にいる。理想的な解決策は、シャーム解放機構を含む諸派を解放区の自治から排除し、自治は民間人や学識者の能力に委ねるべきだ。解放区にはそうした能力を持つ人々で溢れている」と述べた。

AFP, January 14, 2019、ANHA, January 14, 2019、AP, January 14, 2019、al-Durar al-Shamiya, January 14, 2019、al-Hayat, January 15, 2019、Reuters, January 14, 2019、SANA, January 14, 2019、UPI, January 14, 2019などをもとに作成。

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トルコ軍がハサカ県に越境射撃、農夫1人が負傷(2019年1月14日)

ハサカ県では、ANHA(1月14日付)によると、トルコ軍がアームーダー市郊外の農場に向けて発砲し、農夫1人が負傷した。

AFP, January 14, 2019、ANHA, January 14, 2019、AP, January 14, 2019、al-Durar al-Shamiya, January 14, 2019、al-Hayat, January 15, 2019、Reuters, January 14, 2019、SANA, January 14, 2019、UPI, January 14, 2019などをもとに作成。

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YPG主体のシリア民主軍はダイル・ザウル県南東部のダーイシュの拠点シャアファ村を完全制圧(2019年1月14日)

ダイル・ザウル県では、ドゥラル・シャーミーヤ(1月14日付)が複数の地元筋の情報として伝えたところによると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の末、シャフア村を完全制圧した。

シャフア村はハジーン市(2018年12月4日にシリア民主軍が制圧)に次ぐダーイシュの中心拠点だった。

syria.liveuamap.com, January 14, 2019

AFP, January 14, 2019、ANHA, January 14, 2019、AP, January 14, 2019、al-Durar al-Shamiya, January 14, 2019、al-Hayat, January 15, 2019、Reuters, January 14, 2019、SANA, January 14, 2019、UPI, January 14, 2019などをもとに作成。

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トランプ米大統領「クルド人を攻撃したらトルコ経済を破壊する…。シリア国境に安全地帯を作る…。終わりのない戦争を止めよう!」(2019年1月14日)

ドナルド・トランプ米大統領はツイッターの自信のアカウント(チャヴシュオール)で、「トルコがクルド人を攻撃したら我々はトルコに経済的にダメージを与える。我々は幅20マイルの安全地帯を設ける」と綴った。

 

トランプ大統領のツイッターの書き込みの内容は以下の通り:

「遅れて久しいシリアからの撤退を始める一方で、わずかに残ったISIS(ダーイシュ(イスラーム国))の支配地域にさまざまな方向から激しい攻撃を加えている。もしそれが再生したら、今ある近くの基地から再び攻撃する。クルド人を攻撃したら、トルコに経済的なダメージを与える。20マイルの安全地帯を作る…」。

「…同様に、クルド人にはトルコを挑発してほしくない。ロシア、イラン、シリアは、生来の敵であるISISをシリアで壊滅するという米国の長期的政策の最大の受益者だ。我々は利益を得ているが、我が軍兵士を家に帰す時だ。終わりのない戦争を止めよう!」

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これに対して、トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣は、アンカラでのルクセンブルグのジャン・アセルボーン外務・欧州大臣との共同記者会見で、「トランプ大統領は、シリアからの撤退決定を発表して以降、米治安機関の圧力を受けている…。戦略的パートナーはSNSを通じて話などしない」としたうえで、この手の脅迫をトルコが恐れておらず、米国もそれによって目的を達成することはできないと伝えたと述べた。

チャヴシュオール外務大臣はまた、米国がシリア北部に「安全地帯」を設置することを提案してきたことを明らかにしたうえで、トルコはこうした措置に原則として反対はしないと付言した。

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その後、トランプ大統領とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が14日晩に、電話会談を行った。

トルコ大統領府によると、シリア北部での安全保障地帯の設置について意見を交わすとともに、アレッポ県マンビジュ市の処遇にかかる工程表を実施し、シリア駐留米軍の撤退を妨害しようとする勢力に好機を与えないようにする必要があることを確認した。

アナトリア通信(1月14日付)が伝えた。

AFP, January 14, 2019、Anadolu Ajansı, January 14, 2019、ANHA, January 14, 2019、AP, January 14, 2019、al-Durar al-Shamiya, January 14, 2019、al-Hayat, January 15, 2019、Reuters, January 14, 2019、SANA, January 14, 2019、UPI, January 14, 2019などをもとに作成。

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アサド大統領はイラン・シューラー議会国家安全保障外交政策委員長を代表とする使節団と会談(2019年1月14日)

アサド大統領は、イラン・シューラー議会(国会)国家安全保障外交政策委員会のハシュマトッラー・ファラーハトピーシェ委員長を代表とする使節団と首都ダマスカスで会談した。

SANA(1月14日付)によると、会談では、シリアとイランの戦略的関係、地域情勢、国際情勢について意見が交わされ、アサド大統領は、自決権の原則を尊重し、外国の内政干渉を排除してきた両国の関係が、両国の独立性の強化に貢献していると見方を示した。

ファラーハトピーシェ委員長ら使節団はまた、ハムーダ・サッバーグ人民議会議長、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣兼副首相とも個別に会談した。

SANA, January 14, 2019

AFP, January 14, 2019、ANHA, January 14, 2019、AP, January 14, 2019、al-Durar al-Shamiya, January 14, 2019、al-Hayat, January 15, 2019、Reuters, January 14, 2019、SANA, January 14, 2019、UPI, January 14, 2019などをもとに作成。

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シリア軍はハマー県などで反体制武装集団と交戦(2019年1月14日)

ハマー県では、SANA(1月14日付)によると、シリア軍がハスラーヤー村一帯、ラターミナ町一帯、アブー・ライーダ村に潜入した反体制武装集団を迎撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を3件(アレッポ県1件、ラタキア県1件、イドリブ県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を19件(アレッポ県2件、ハマー県3件、イドリブ県13件、ラタキア県1件)を確認した。

AFP, January 14, 2019、ANHA, January 14, 2019、AP, January 14, 2019、al-Durar al-Shamiya, January 14, 2019、al-Hayat, January 15, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, January 14, 2019、Reuters, January 14, 2019、SANA, January 14, 2019、UPI, January 14, 2019などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから398人、ヨルダンから768人の難民が帰国、避難民245人が帰宅(2019年1月14日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(1月14日付)を公開し、1月13日に難民1,166人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは398人(うち女性120人、子供203人)、ヨルダンから帰国したのは768人(うち女性230人、子供392人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は98,064人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者41,504人(ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者56,560人(ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 327,344人(うち女性98,228人、子供166,841人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,676,636人(うち女性2,002,991人、子供3,405,084人)。

一方、国内避難民245人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは28人(うち女性10人、子供11人)、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダイル・ザウル県、ダマスカス郊外県に帰宅したのは217人(うち女性71人、子供104人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は2,640人(うち女性687人、子供842人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,271,236人(うち女性383,461人、子供644,897人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, January 14, 2019をもとに作成。

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