レバノン日刊紙:アサド大統領のイラン訪問は外交儀礼上の準備なく行われ、ロウハーニー大統領も知らされていなかった(2019年2月27日)

シリア政府寄りのレバノン日刊紙『アフバール』(2月27日付)は、25日のアサド大統領によるイランへの訪問が、「何らの外交儀礼上の準備もなく行われた」と伝えた。

同紙によると、アサド大統領の訪問は、安全対策上の理由でシリア政府側から何らの外交儀礼上の準備もなく行われ、イラン大統領も訪問の数時間前までそのことを知らなかった」という。

訪問の調整を行ったのは、イラン・イスラーム革命防衛隊ゴドス軍団のガーセム・ソレイマーニー司令官で、訪問の工程などを把握していたのはごく少数で、それゆえに空港への出迎えなどもなかったという。

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アサド大統領の訪問をめぐっては、一部活動家が、最高指導者アリー・ハーメネイー師やハサン・ロウハーニー大統領との会談時に、シリア国旗が会場に設置されていなかったため、アサド大統領が軽んじられているなどと揶揄していた。

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一方、SANA(2月27日付)は、ザリーフ外務大臣がワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣兼副首相と電話会談を行ったと伝えた。

電話会談で両外相は、アサド大統領によるイラン訪問での成果を受けるかたちで、シリアとイランの戦略的関係強化の方途について意見を交わした。

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また、IRNA(2月27日付)は、駐イラン・シリア大使が電話会談後にザリーフ外務大臣にシリアへの招待状を手渡したと伝えた。

AFP, February 27, 2019、al-Akhbar, February 27, 2019、ANHA, February 27, 2019、AP, February 27, 2019、al-Durar al-Shamiya, February 27, 2019、al-Hayat, February 27, 2019、Reuters, February 27, 2019、SANA, February 27, 2019、UPI, February 27, 2019などをもとに作成。

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米国務省はアサド大統領のイラン訪問を「イラン国民の富が国際テロと抑圧体制を支援するために費やされた」と酷評(2019年2月27日)

米国務省が管理するツイッター・アカウントのDOS連絡チーム(https://twitter.com/DOTArabic/)は、25日のアサド大統領のイラン訪問に関して、「イランの体制は、イラン国民の富を国際テロと地域の抑圧体制の支援のために費やした。一方、シリアの体制は、数百万というシリア人を殺戮し、ねじ曲げ、追放している。ハーメネイーとアサドのハグに、両国民への哀悼の意は込められていない」と綴った。

AFP, February 27, 2019、ANHA, February 27, 2019、AP, February 27, 2019、al-Durar al-Shamiya, February 27, 2019、al-Hayat, February 27, 2019、IRNA, February 27, 2019、Reuters, February 27, 2019、SANA, February 27, 2019、UPI, February 27, 2019などをもとに作成。

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シリア軍と反体制武装集団がハマー県で砲撃戦(2019年2月27日)

ハマー県では、SANA(2月27日付)によると、ラターミナ町、カフルズィーター市一帯で活動する反体制武装集団がムハルダ市の火力発電所を砲撃した。

これに対して、シリア軍はラターミナ町、カフルズィーター市一帯の反体制武装集団の拠点に対して砲撃を行った。

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イドリブ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(2月27日付)によると、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構がダルクーシュ市でダーイシュ(イスラーム国)のグループが拠点として使用していた民家に突入し、ダーイシュ・メンバー多数を拘束した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(2月27日付)によると、ティーム油田で送電線の復旧作業を行っていた電力公社の写真が、ダーイシュ(イスラーム国)が残していった地雷に触れて、死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を12件(イドリブ県7件、ラタキア県3件、ハマー県1件、アレッポ県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を12件(イドリブ県6件、アレッポ県2件、ハマー県2件、ラタキア県2件)を確認した。

AFP, February 27, 2019、ANHA, February 27, 2019、AP, February 27, 2019、al-Durar al-Shamiya, February 27, 2019、al-Hayat, February 27, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, February 27, 2019、Reuters, February 27, 2019、SANA, February 27, 2019、UPI, February 27, 2019などをもとに作成。

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シリア政府はロシア、ヨルダン、国連の協力のもと、3月1日にルクバーン・キャンプで「強制的に引き留められている」難民を米占領下のタンフ国境通行所一帯地域を経由して帰国させるための「人道移送団」を結成(2019年2月27日)

ロシア国防省は声明を出し、ヨルダン北東部のルクバーン・キャンプで「強制的に引き留められている」難民を自発的な帰国を実現するため、シリア政府は、ロシアとの連携のもとに、2019年3月1日付で、「人道移送団」を結成すると発表した。

また、キャンプ北に位置するヒムス県南東部のタンフ国境通行所一帯地域(55地帯)を違法に占領する米国に対して、反体制派に難民を強制的に引き留めるのを止めさせ、55キロ地帯に「人道移送団」が通行可能な状況を作り出すことで、難民帰還を促すよう求めた。

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ロシア国防省は声明のなかで、ロシアの当事者和解調整センター(ラタキア県フマイミーム航空基地)はシリア政府とともに、2019年2月19日にルクバーン・キャンプから帰国する難民を受け入れるため、ヒムス県のジャバル・グラーブ(グラーブ山)に通行所を開設したと改めて強調、ルクバーン・キャンプの難民帰国に向けた取り組みが、国連、ヨルダンの支持を受けており、UNHCR(国際連合難民高等弁務官事務所)はさらなる帰還に向けた包括的な計画を作成中であることを明らかにした。

これに対して、ルクバーン・キャンプや55キロ地帯で米国の支援を受けて活動を続ける革命特殊任務軍(Mahavir as-Saura)は、帰国を望む難民を強制的に引き留め、ルクバーン・キャンプを去ろうとする難民に法外な金銭の支払いを要求していると批判、また、難民の状況は困窮し、さまざまな病弊に苦しんでおり、「食糧奴隷」と化していると懸念を表明した。

しかし、米国はこうした難民の惨状がシリアとロシアの責任だと主張し、両国が難民への人道支援を妨害しているとの誤った情報を国際社会に発信していると批判した。

声明によると、ルクバーン・キャンプへの2度目となる人道支援搬入に際して、国連とシリア赤新月社が難民にインタビューに行ったところ、95%がキャンプを去ることを、83%が避難前に居住していた地域に戻ることを望んでいると回答、このうちシリア政府支配地域への帰還を望むのは80%、反体制派支配地域は3%は、「決めていない」と答えたのは17%だったという。

また、難民が帰国を望んでいる地域のうち、アレッポ市ハーリディーヤ地区(アレッポ県)、ヒムス市アマーラ地区(ヒムス県)、マヒーン町(ヒムス県)、カルヤタイン市、ダマスカス郊外県、ラッカ県は受け入れ態勢が整っており、シリア政府は帰国者の身の安全を保証、帰国にかかる書類の再発行の手続きを簡略化しているという。

なお、2019年3月1日付で結成される「人道移送団」は、上記の地域への難民の帰還を実現するためのもので、55キロ地帯の通過は、国連の協力のもとに行われるという。

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SANA(2月27日付)によると、ヨルダンで避難生活を送っていたシリア難民数十人がダルアー県のナスィーブ国境通行所を経由して、シリアに帰還したと伝え、写真や映像を公開した。

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