エスパー米国防長官「トルコが作戦を拡大し、シリア軍が北進しようとするシリア北東部から米軍1,000人を可能な限り早急に撤退させる」(2019年10月13日)

マーク・エスパー米国防長官は、シリアに駐留している米軍部隊約1,000人を「可能な限り早急にシリア北東部から撤退させる用意がある」と述べた。

エスパー国防大臣は「トルコが(シリアの)南部および西部で計画していたのよりも広い範囲で、攻撃を拡大する可能性があること、そしてまたシリア民主軍がアサド政権、ロシアと北部でトルコ軍の攻撃に対抗する合意を結ぼうとしていることを数時間前に知った」としたうえで、「我が軍は進軍する二つの軍隊の狭間に置かれることになる。防衛しきれない状況だ。大統領と昨晩、話し、また安全保障チームと協議した結果、我々は北部からの米軍撤退を開始する命令を下した」と述べた。

BBC(10月13日付)などが伝えた。

AFP, October 13, 2019、ANHA, October 13, 2019、AP, October 13, 2019、BBC, October 13, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2019、Reuters, October 13, 2019、SANA, October 13, 2019、SOHR, October 13, 2019、UPI, October 13, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコのアクタイ大統領顧問「シリア軍がアレッポ県のマンビジュ市やトルコ国境に近いユーフラテス川東岸に入った場合、トルコ軍との戦闘もあり得る」(2019年10月13日)

トルコのヤスィン・アクタイ大統領顧問は、シリア軍がアレッポ県のマンビジュ市やトルコ国境に近いユーフラテス川東岸に入った場合、これに対抗すると述べた。

スプートニク・ニュース(10月13日付)によると、アクタイ顧問は「シリア軍は今も、シリアの領土を分割し、分離国家を建設しようとしているテロ組織(人民防衛隊(YPG)のこと)と戦うことなどできていない。にもかかわらず、シリア軍はトルコ軍と戦う用意をしている。そんなことができるとでも言うのなら、どうぞやってもらいたい」としたうえで、「シリア軍はシリア北東部でトルコがやっていることに抗い、前進を食い止めようとしている。両軍の間で戦闘が発生することもあるだろう」と述べた。

また「シリア軍がシリア北東部の治安と安全を実現できるのなら、なぜ今まで待っていたのだ。なぜトルコ軍が進軍する前にシリア北東部に進軍しようとするのだ?! シリア軍に力などない…。シリア北東部に入って、だれと戦うのか? 米軍、あるいはクルディスタン労働者党(PKK)/人民防衛隊(YPG)の政体と戦うのか? あるいはトルコか? この地域に向かう前に考えるべきだ。事態を複雑化させるだけだ」と付言した。

一方、シリア民主軍がアレッポ県マンビジュ市などへのシリア軍の展開を認めたとの報道に関しては「このニュースが本当ならば、アサド政権がクルドと協力することになる…。これはトルコに敵対する兆候とみなし得る」と述べた。

AFP, October 13, 2019、ANHA, October 13, 2019、AP, October 13, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2019、Reuters, October 13, 2019、SANA, October 13, 2019、SOHR, October 13, 2019、Sputnik News, October 13, 2019、UPI, October 13, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア政府とYPG主体のシリア民主軍の代表が、シリア駐留ロシア軍の司令部があるフマイミーム航空基地で会談、トルコの侵攻阻止について協議(2019年10月13日)

ロイター通信(10月13日付)は、クルド人匿名政治家の情報だとして、シリア政府と人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の代表が、シリア駐留ロシア軍の司令部があるラタキア県のフマイミーム航空基地で会談したと伝えた。

会談では、シリア北東部へのトルコの侵攻(「平和の泉」作戦)継続を阻止する方途について意見が交わされたという。

AFP, October 13, 2019、ANHA, October 13, 2019、AP, October 13, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2019、Reuters, October 13, 2019、SANA, October 13, 2019、SOHR, October 13, 2019、UPI, October 13, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダイル・ザウル県からラッカ県ラサーファ市に入り、タブカ市に向かっていたシリア軍第4師団、共和国護衛隊、「イランの民兵」の増援部隊を米主導の有志連合が爆撃(2019年10月13日)

ジュルフ・ニュース(10月13日付)は、シリア軍第4師団、共和国護衛隊、イラン・イスラーム革命防衛隊の傘下にあるイマーム・ムハンマド・バーキル旅団が、ダイル・ザウル県からラッカ県ラサーファ砂漠の要衝であるラサーファ市に向けて増援部隊約400人を派遣したと伝えた。

車列は、シリア政府と人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が、アレッポ県マンビジュ市一帯とアイン・アラブ市一帯へのシリア軍部隊の展開を合意したことを受けたもの。

**

しかし、シリア人権監視団によると、米主導の有志連合がラッカ市南西部のラサーファ市一帯に展開したこの車列を爆撃した。

車列が爆撃を受けたのはタブカ市に至る街道上だという。

爆撃は、同地へのシリア・ロシア軍の展開を阻止することが目的と思われる。

AFP, October 13, 2019、ANHA, October 13, 2019、AP, October 13, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2019、Jurf News, October 13, 2019、Reuters, October 13, 2019、SANA, October 13, 2019、SOHR, October 13, 2019、UPI, October 13, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア政府とYPG主体のシリア民主軍は北・東シリア自治局支配下のマンビジュ市、アイン・アラブ市へのシリア軍展開を合意(2019年10月13日)

人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍は声明を出し、北・東シリア自治局の支配下にある国境地帯にシリア軍が展開することでシリア政府と合意したと発表した。

声明のなかで、シリア民主軍は「シリア民主軍は2014年から2019年に、アイン・アラブから、ラッカ、そしてダイル・ザウルにおいてテロと戦い、11,000人以上が死亡、24,000人が負傷した…。シリア政府は国境を防衛し、シリアの主権を維持し、トルコの攻撃を阻止しなければならない」としたうえで、「合意は、アフリーンなどのトルコによって占領されたシリアの都市や土地を解放する機会を与えることになるだろう」と表明した。

この合意に関して、人民防衛隊(YPG)を主体とするシリア民主軍に近い複数のメディアは、シリア民主軍とシリア政府が、ロシアの仲介のもとに、アレッポ県のマンビジュ市とアイン・アラブ市へのシリア軍の進駐に合意したと伝えた。

**

この合意を受け、SANA(10月13日付)は、シリア軍地上部隊が、トルコ軍が侵攻しているシリア北東部に進軍を開始し、ハサカ市内では、住民が街頭でこれを支持・歓迎していると伝えた。

また、ドゥラル・シャーミーヤ(10月13日付)が、複数の地元筋の話として伝えたところによると、合意を受けて、シリア軍地上部隊がマンビジュ市近郊のワリーダ村、ジャームース村に入り、複数の陣地を設営した。

シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊が展開したのは、アレッポ県アリーマ町とトルコ占領下にあるアウン・ダーダート村の境界地域。

一方、ドゥラル・シャーミーヤによると、車輌8台からなる米軍の車列がマンビジュ市西のアリーマ町に近いサイーディーヤ基地から退去した。

AFP, October 13, 2019、ANHA, October 13, 2019、AP, October 13, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2019、Jurf News, October 13, 2019、Reuters, October 13, 2019、SANA, October 13, 2019、SOHR, October 13, 2019、UPI, October 13, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア民主軍のアブディー総司令官「米国がシリア北東部へのトルコの侵攻を阻止しないのなら、ロシア、シリア政府と合意を交わす。米軍は出て行くべきだ」(2019年10月13日)

人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍のマズルーム・アブディー(マズルーム・コバネ)総司令官は12日のウィリアム・ロバーク元駐バーレーン米国大使との会談で、米国がシリア北東部へのトルコの侵攻(「平和の泉」作戦)継続を阻止しなければ、「ロシア、シリア政府と合意を交わし、トルコの攻撃を停止させ、シリア北東部の領空を掌握させることになる」と述べた。

アブディー総司令官はまた、トルコの攻撃を停止させ、停戦を仲介するよう求めるための書簡を米国務省に送ると付言し、「それができないのであればシリア北東部から撤退すべきだ」と強調した。

CNN(10月13日付)が伝えた。

AFP, October 13, 2019、ANHA, October 13, 2019、AP, October 13, 2019、CNN, October 13, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2019、Reuters, October 13, 2019、SANA, October 13, 2019、SOHR, October 13, 2019、UPI, October 13, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ハサカ県のカーミシュリー市、ハサカ市、ダイル・ザウル県のシュマイティーヤ市で、トルコによるシリア北東部への侵攻を非難するデモ(2019年10月13日)

SANA(10月13日付)は、ハサカ県のカーミシュリー市、ハサカ市、ダイル・ザウル県のシュマイティーヤ市で、トルコによるシリア北東部侵攻(「平和の泉」作戦)を非難し、トルコ軍と米軍の撤退、シリア軍による国土防衛を訴えるデモが行われ、住民らが参加したと伝えた。

AFP, October 13, 2019、ANHA, October 13, 2019、AP, October 13, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2019、Reuters, October 13, 2019、SANA, October 13, 2019、SOHR, October 13, 2019、UPI, October 13, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダーイシュはハサカ県シャッダーディー市内の有志連合の基地を砲撃したと発表(2019年10月13日)

ダーイシュ(イスラーム国)に近いアアマーク通信(10月13日付)は、ダーイシュ戦闘員がハサカ県シャッダーディー市内にある有志連合の基地を砲撃したと伝えた。

AFP, October 13, 2019、ANHA, October 13, 2019、AP, October 13, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2019、Reuters, October 13, 2019、SANA, October 13, 2019、SOHR, October 13, 2019、UPI, October 13, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

「平和の泉」作戦を継続するトルコ軍と国民軍はタッル・リフアト市の大部分と同市近郊のスルーク町などを制圧(2019年10月13日)

トルコ軍が反体制武装集団の国民軍とともに開始したシリア北東部への侵攻作戦「平和の泉」作戦は5日目に入り、トルコ軍はラッカ県タッル・アブヤド市および同市一帯、ハサカ県ラアス・アイン市および同市一帯、カーミシュリー市および同市一帯などへの攻撃を続けるとともに、ハサカ県ダルバースィーヤ市を爆撃、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍と交戦した。

国民軍は声明を出し、タッル・アブヤド市の大部分と、同市近郊のスルーク町などを制圧したと発表した。

これによりトルコ軍と国民軍が制圧した市町村農場は40となった。


シリア人権監視団によると、「平和の泉」作戦が開始されて以降の死者数は、シリア民主軍戦闘員が112人、トルコの支援を受ける国民軍の戦闘員が81人、トルコ軍兵士が8人。

また、民間人60人あまりが死亡、13万人が戦闘地域から避難したという。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のブルジュ・カース村を砲撃した。

AFP, October 13, 2019、ANHA, October 13, 2019、AP, October 13, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2019、Reuters, October 13, 2019、SANA, October 13, 2019、SOHR, October 13, 2019、UPI, October 13, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア軍がシャーム解放機構などの支配下にあるイドリブ県アルバイーン山一帯を爆撃(2019年10月13日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機が、シャーム解放機構などの反体制武装集団の支配下にあるアルバイーン山一帯、バザーブール村一帯、カフルラーター村、マアッルシューリーン村を爆撃した。

また、シリア軍地上部隊がビダーマー町とキンダ村を結ぶ街道、マアッラト・ヌウマーン市、ジャバーラー村、カフルサジュナ村、放棄された大隊基地を砲撃した。

これに対して、反体制武装集団は、シリア政府支配下のハーン・シャイフーン市北のシリア軍検問所を砲撃した。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団がジューリーン村を砲撃した。

これに対して、シリア軍はハウワーシュ村、フワイジャ村を砲撃した。

**

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプターがシャーム解放機構などの支配下にあるカッバーナ村一帯を「樽爆弾」で爆撃した。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がムサイビーン丘を砲撃した。

AFP, October 13, 2019、ANHA, October 13, 2019、AP, October 13, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2019、Reuters, October 13, 2019、SANA, October 13, 2019、SOHR, October 13, 2019、UPI, October 13, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.