イドリブ県での米国によるバグダーディー指導者殺害作戦に合わせて、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構は作戦地域を封鎖(2019年10月26日)

英国で活動する反体制派系NGOのシリア人権監視団は、26日のイドリブ県での米軍によるダーイシュ(イスラーム国)のアブー・バクル・バグダーディー指導者暗殺作戦の実施に合わせるかのように、シリアのアル=カーイダと目されいてるシャーム解放機構は、バグダーディー指導者らが潜伏していた同県バーリーシャー村一帯を封鎖、住民らの往来を禁じた。

AFP, October 27, 2019、ANHA, October 27, 2019、AP, October 27, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 27, 2019、Reuters, October 27, 2019、SANA, October 27, 2019、SOHR, October 27, 2019、UPI, October 27, 2019などをもとに作成。

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米軍とYPG主体のシリア民主軍がシャーム解放機構など反体制派の支配下にあるイドリブ県で空挺作戦を敢行、ダーイシュのバグダーディー指導者を殺害(2019年10月26日)

シリア人権監視団によると、米軍ヘリコプター8機が26日未明(早朝)、アレッポ県アイン・アラブ(コバネ)市近郊のスィッリーン町にある航空基地を離陸、トルコが占領する「ユーフラテスの盾」地域のジャラーブルス市、ラーイー村、アアザーズ市、そして同じくトルコが占領する「オリーブの枝」地域のアフリーン市上空を経由して、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構などの反体制派の支配下にあるイドリブ県北部に向かい、ダーイシュ(イスラーム国)のアブー・バクル・バグダーディー指導者が潜伏していたバーリーシャー村で空挺作戦を敢行し、バグダーディー指導者本人、ダーイシュ・メンバー、そして民間人を殺害した。

スィッリーン町の航空基地は、20日に米軍部隊が撤退したとSANAなどによって報じられていた場所(https://syriaarabspring.info/?p=61407)。

また、22日のソチでのロシア・トルコ首脳会談での合意では、YPG主体のシリア民主軍を撤退させ、シリア軍が駐留、シリア・ロシア軍が警備活動を行う地域に含まれていた。

https://twitter.com/TurkiShalhoub/status/1188367061216649216

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複数の情報筋によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の諜報機関に所属する対テロ部隊も作戦に参加した。

8機のヘリコプターのうちの3機がシリア民主軍対テロ部隊を移送した。

この部隊は、バグダーディー指導者の追跡の任務にあたっていた部隊で、同部隊の作戦への参加は、トルコには事前には通告されたなかったという。

これは、トルコがYPGやクルディスタン労働者党(PKK)を「テロ組織」とみなしていることを踏まえたもの。

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ドゥラル・シャーミーヤ(10月27日)は、イドリブ県の複数の医療筋の話として、米軍ヘリコプターがバグダーディー指導者を狙って実施した空挺作戦で市民7人が巻き添えとなって死亡したと伝えた。

死亡した7人のうち、3人が女性、1人が子ども(女児)を含む5人は、標的となった建物内にいたという。

また、残る2人は、乗用車に乗っていたところを爆撃に巻き込まれたという。

7人の遺体は現地の救急チームによって回収され、米軍はこの7人の遺体と身元不明の遺体2体を同地から回収して、撤退したという。

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追い詰められたバグダーディー指導者は身につけていた自爆ベストを爆発させ、死亡したという

なお、遺体の破片は、イラクのアイン・アサド基地(アンバール県)に移送された。

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空挺作戦の実施に合わせるかのように、シリアのアル=カーイダと目されいてるシャーム解放機構は、バーリーシャー村一帯を封鎖、住民らの往来を禁じた。

AFP, October 27, 2019、ANHA, October 27, 2019、AP, October 27, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 27, 2019、Reuters, October 27, 2019、SANA, October 27, 2019、SOHR, October 27, 2019、UPI, October 27, 2019などをもとに作成。

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『ニューズウィーク』は米国防総省高官の話として、米軍がイドリブ県で実施した極秘作戦でダーイシュのバグダーディー指導者を殺害したと伝える(2019年10月26日)

『ニューズウィーク』(10月26日)は、米国防総省高官の話として、ダーイシュ(イスラーム国)のアブー・バクル・バグダーディー指導者が、イドリブ県で米軍ヘリコプターが実施した極秘作戦で殺害されたと伝えた。

同高官によると、この攻撃は、1週間ほど前にドナルド・トランプ米大統領によって承認され、爆撃が26日に実施された。

同誌によると、国防総省はバグダード指導者の殺害がほぼ確実に殺害されたことを確認しているという。

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一方、CNN(10月26日)は、国防総省筋の話として、バグダーディー指導者は米軍が迫るなか、自爆用のベストを爆発させて自殺したようだと伝えた。

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こうしたなか、ホワイト・ハウスはトランプ大統領が27日早朝(東部時間)に重要な声明を出したと発表した。

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トランプ大統領もツイッターのアカウント(https://twitter.com/realdonaldtrump)で、「何かすごくでかいことが起きたところだ」と綴った。

AFP, October 27, 2019、ANHA, October 27, 2019、AP, October 27, 2019、CNN, October 27, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 27, 2019、Newsweek, October 27, 2019、Reuters, October 27, 2019、SANA, October 27, 2019、SOHR, October 27, 2019、UPI, October 27, 2019などをもとに作成。

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ロシア国防省は米国がシリアから石油を略奪していると非難、その写真を公開(2019年10月26日)

ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官は、モスクワでの記者会見で、シリア南東部で違法な駐留を続ける米軍が、同地の油田地帯で産出された石油を国外に持ち出していると非難、石油を輸送していると思われる車列の衛星画像を公開した。

コナシェンコフ報道官によると、米国が略奪している石油は毎月3000万ドル相当に及ぶ。

コナシェンコフ報道官は「米国が今行っているのは、シリア東部の油田を略奪し、同地を軍事的に支配しようとしている…。これはつまり、国家レベルでの強奪・略奪である…。米国は国際法の慣習や米国の立法に反してシリアとその国民からシリアの石油資源を奪っている」と非難した。

そのうえで「シリアの領内にある地下資源はシリアの所有物であり、ダーイシュ(イスラーム国)でも米国という守護者のものでもない」と強調した。

AFP, October 26, 2019、ANHA, October 26, 2019、AP, October 26, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 26, 2019、Reuters, October 26, 2019、SANA, October 26, 2019、SOHR, October 26, 2019、UPI, October 26, 2019などをもとに作成。

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ハサカ県内のシリア政府支配地域を移動する米軍車輌の写真をAFPが公開(2019年10月26日)

AFP(10月27日付)は、シリア北部に駐留を続けてきた米軍の車輌が、シリア政府支配下のハサカ市郊外に設置されているアサド大統領のポスターの前を通過している写真を公開した。

写真が撮影された正確な日時は不明。

SNS上では、米国の違法な占領を非難してきたシリア政府が、自らの支配地域内での米国の移動を許してきたなどといった批判が書き込まれた。

AFP, October 26, 2019、ANHA, October 26, 2019、AP, October 26, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 26, 2019、Reuters, October 26, 2019、SANA, October 26, 2019、SOHR, October 26, 2019、UPI, October 26, 2019などをもとに作成。

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ロシアのラヴロフ外務大臣とポンペオ米国務長官が電話会談を行い、シリア情勢への対応について協議(2019年10月26日)

ロシアの外務省は声明を出し、セルゲイ・ラブロフ外務大臣とマイク・ポンペオ米国務長官が電話会談を行い、シリア情勢への対応について意見を交わしたと発表した。

会談において、ロシア側は、シリアの主権尊重と領土の一体性の必要を強調したという。

スプートニク・ニュース(10月27日付)が伝えた。

AFP, October 26, 2019、ANHA, October 26, 2019、AP, October 26, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 26, 2019、Reuters, October 26, 2019、SANA, October 26, 2019、SOHR, October 26, 2019、Sputnik News, October 26, 2019、UPI, October 26, 2019などをもとに作成。

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シリア軍はハサカ県ラアス・アイン市東方の8カ村に新たに展開(2019年10月26日)

ハサカ県では、SANA(12月27日付)によると、ロシア仲介によるシリア政府と人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の合意に従い、シリア軍部隊が、ラアス・アイン郡の境界を通るタッル・タムル町・ラアス・アイン市街道一帯への展開を続け、カースィミーヤ村、ラシーディーヤ村、ダーウーディーヤ村、アズィーズィーヤ村、スィーバーティーヤ村、ジャミーリーヤ村、ヒルバト・ディブス村、ザフラ村の8カ村に新たに進駐した。

https://youtu.be/9QubH3IZzDo

 

AFP, October 26, 2019、ANHA, October 26, 2019、AP, October 26, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 26, 2019、Reuters, October 26, 2019、SANA, October 26, 2019、SOHR, October 26, 2019、UPI, October 26, 2019などをもとに作成。

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ハサカ県ラアス・アイン市近郊でYPG主体のシリア民主軍、シリア軍がトルコの支援を受ける国民軍と交戦(2019年10月26日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、アブー・ラースィーン町近郊のバーブ・ハイル村、ムライキーズ村一帯、ダーウーディーヤ村一帯でトルコの支援を受ける国民軍と人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が交戦し、国民軍の戦闘員9人とシリア民主軍の戦闘員6人が死亡した。

スマート・ニュース(10月27日付)、ドゥラル・シャーミーヤ(10月27日付)などによると、戦闘にはシリア軍も参加したという。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコの占領下にあるバーブ市のスーク・ハール国内避難民(IDPs)キャンプに迫撃砲弾1発が着弾し、4人が負傷した。

また、スーラーン町(スーラーン・アアザーズ町)でも車に仕掛けられていた爆弾が爆発した。

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ラッカ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(10月27日付)によると、トルコによるシリア北東部への侵攻作戦(「平和の泉」作戦)を通じて国民軍が制圧したアイン・アルース村でオートバイに仕掛けられていた爆弾が爆発し、子ども2人を含む住民5人とシリア民主軍戦闘員3人が負傷した。

AFP, October 26, 2019、ANHA, October 26, 2019、AP, October 26, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 26, 2019、Reuters, October 26, 2019、SANA, October 26, 2019、SMART News, October 26, 2019、SOHR, October 26, 2019、UPI, October 26, 2019などをもとに作成。

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シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団がラタキア県北東部で交戦、シリア軍ヘリコプターが同地を「樽爆弾」で爆撃(2019年10月26日)

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団がカッバーナ村一帯で交戦、シリア軍ヘリコプターが同地を「樽爆弾」で爆撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団がフワイズ村、カルカート村森林地帯、を砲撃した。

これに対して、シリア軍はザイズーン村を砲撃した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がマルアンド村、キンダ村、ジャーヌーディーヤ町、ナキール村、シャイフ・ムスタファー村、マアッラト・ハルマ村、マアッラト・スィーン村、ハザーリーン村、マアッルズィーター村、カフルサジュナ村、バーブーリーン村、ラカーヤー村、マウカ村、アーミリーヤ村、ヒーシュ村、タッフ村、タフターヤー村、ダイル・シャルキー村、ダイル・ガルビー村を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を11件(イドリブ県2件、ラタキア県3件、アレッポ県3件、ハマー県3件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を21件(イドリブ県6件、ラタキア県4件、アレッポ県2件、ハマー県9件)確認した。

AFP, October 26, 2019、ANHA, October 26, 2019、AP, October 26, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 26, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, October 26, 2019、Reuters, October 26, 2019、SANA, October 26, 2019、SOHR, October 26, 2019、UPI, October 26, 2019などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから407人、ヨルダンから475人の難民が帰国、避難民1人(うちルクバーン・キャンプからの帰還者0人)が帰宅(2019年10月26日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(10月26日付)を公開し、10月25日に難民882人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは407人(うち女性122人、子供207人)、ヨルダンから帰国したのは475人(うち女性143人、子供242人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は447,733人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者143,276人(うち女性43,272人、子ども73,210人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者304,457人(うち女性91,377人、子ども155,262人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,657,484人(うち女性1,997,245人、子供3,395,317人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 677,013人(うち女性203,307人、子供345,394人)となった。

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一方、国内避難民1人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは1人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所を経由して帰還した1人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は36,288人(うち女性11,217人、子供16,489人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,304,884人(うち女性393,776人、子供660,255人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, October 26, 2019をもとに作成。

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