米ホワイト・ハウスはシリア北東部に対するトルコ軍の侵攻作戦に不快感を示しつつも、国境地帯から撤退する意思を表明(2019年10月6日)

米ホワイト・ハウスは、ドナルド・トランプ大統領とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の電話会談を受けるかたちで声明を出し、「トルコはまもなくシリア北部で長らく計画してきた作戦を推し進めるだろう。米軍はこの作戦を支援することも、参加することもない…。ダーイシュを敗北させた米軍は隣接地域(immediate area、国境地帯のこと)にはいない」と表明し、トルコ軍が計画しているシリア北東部への侵攻作戦に不快感を示しつつ、トルコとの国境地帯から撤退する意思を表明した。

AFP, October 7, 2019、ANHA, October 7, 2019、AP, October 7, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 7, 2019、Reuters, October 7, 2019、SANA, October 7, 2019、SOHR, October 7, 2019、UPI, October 7, 2019などをもとに作成。

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フランスはアサド政権の正統性を認めるための四つの条件を提示、その内容とは?(2019年10月6日)

シャルク・アウサト(10月6日付)は、フランスが欧米諸国に対して、アサド政権の正統性を認める四つの条件を示した文書を回付したと伝えた。

文書の回付は、制憲委員会(憲法委員会)の設置を受けたもので、同紙によると、そこには、2020年に予定されている第3期人民議会選挙、そして2021年の大統領選挙の結果を受け入れるための以下四つの条件が示されているという。

1. 選挙の実施前、実施中、そして実施後に、安全且つ中立的な空気と環境を準備するため、選挙が行われる現場で信頼醸成のための措置を講じること。これによって、充分な治安状況が整い、当事者の権利が完全に保障され、選挙プロセスが信頼を得ることができる。また、停戦や逮捕者釈放も、こうした信頼醸成の措置に含まれる。

2. 難民、国内避難民(IDPs)が投票場に足を運び、投票に参加することを保障すること。また、そのための意識向上キャンペーンが行われること。

3.多元主義に基づく投票が実施されるのにふさわしい法制度が保障されること。とりわけ、12万人に達する難民、IDPsがいるなかで、すべてのシリア人に投票、あるいは立候補できるようにすること。

4. 国連機関が選挙監視を行い、選挙プロセスの中立性を確保すること。具体的には、あらゆる操作を阻止し、選挙準備を万全なものとし、選挙の全プロセスを国連が完全且つ包括的に監視すること。

AFP, October 6, 2019、ANHA, October 6, 2019、AP, October 6, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 6, 2019、Reuters, October 6, 2019、SANA, October 6, 2019、al-Sharq al-Awsat, October 6, 2019、SOHR, October 6, 2019、UPI, October 6, 2019などをもとに作成。

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イランのザリーフ外務大臣はトルコ・シリア政府を仲介する意志を表明、アダナ合意に沿ったシリア軍の国境地帯への展開を主唱(2019年10月6日)

イランのモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣は、シューラー議会(国会)で、北・東シリア自治局支配下のシリア北東部に侵攻しようとするトルコの安全保障上の懸念に理解を示しつつ、シリア軍が国境地帯に展開する必要があると述べた。

ザリーフ外務大臣は「我が国はトルコの安全保障を維持するための唯一の方法がいわゆる「中央軍」の国境地帯への駐留にあると見ている」と述べた。

「中央軍」とはシリア軍のこと。

ザリーフ外務大臣はまた、アダナ合意に従ってシリア軍が北・東シリア自治局の支配地域に展開する必要があることをトルコ側に伝えたうえで、トルコの安全保障を唯一保障するのが、シリアの国土統一であると強調したことを明らかにした。

そのうえで、ザリーフ外務大臣は、イランがトルコ政府とシリア政府を仲介し、国際法に従って、ティグリス・ユーフラテス川の水利など、両国間の問題を解決する用意があると述べた。

AFP, October 6, 2019、ANHA, October 6, 2019、AP, October 6, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 6, 2019、Reuters, October 6, 2019、SANA, October 6, 2019、SOHR, October 6, 2019、UPI, October 6, 2019などをもとに作成。

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暫定内閣のイドリース国防大臣がシリア北部で活動する武装集団メンバーを「ダーイシュ・メンバー」、「アサド政権の手先」と罵倒(2019年10月6日)

ドゥラル・シャーミーヤ(10月6日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立傘下の暫定内閣で国防大臣を務めるサリーム・イドリース氏(少将)が、シリア北部で活動を続ける反体制武装集団のメンバーを厳しく罵倒する音声を入手したとし、その内容を明らかにした。

同サイトによると、イドリース氏は、アブー・ズハイル・シャーミーを名乗る武装集団メンバーとワッツアップでの通話(録音日時は不明)で、シャーミー氏がかつてイドリース氏を「サリーム・イブリース(悪魔)」と批判したことに激高し、シャーミー氏が「ダーイシュ(イスラーム国)メンバー」、「アサド政権の手先」と決めつけ、彼とその母親を罵倒したという。

これに対して、シャーミー氏も激しい調子で反論したという。

イドリース氏は4日、トルコのシャンルウルファ市で国民軍による国民解放戦線の統合を発表する記者会見に出席していた。

AFP, October 6, 2019、ANHA, October 6, 2019、AP, October 6, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 6, 2019、Reuters, October 6, 2019、SANA, October 6, 2019、SOHR, October 6, 2019、UPI, October 6, 2019などをもとに作成。

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トルコ軍がシリア国境に増派、YPG主体のシリア民主軍、米軍はトルコの侵攻に備える(2019年10月6日)

アナトリア通信(10月6日付)によると、トルコ軍が5日晩、シャンルウルファ県に装甲車、兵員輸送車9輌からなる車列を派遣した。

車列はラッカ県タッル・アブヤド市に面するアクチャカレ郡に配備された。

また、国民解放戦線を統合した国民軍のユースフ・ハンムード報道官(少佐)は、報道向け声明を出し、北・東シリア自治局の支配下にあるシリア北東部の国境地帯にトルコ軍が侵攻した場合、14,000人がこれに参加すると述べた。

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ハサカ県では、アナトリア通信(10月6日付)によると、トルコ国境に面する北・東シリア自治局支配下のラアス・アイン市で、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が、検問所を強化、国境近くの塹壕内にコンクリート・ブロックを設置するなどの措置を講じた。

これらの措置は、トルコ軍の侵攻に備えるためのもの。

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ラッカ県では、アナトリア通信(10月6日付)によると、米軍部隊がトルコ国境に面するタッル・アブヤド市の国境地帯で単独でパトロール活動を行った。

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トルコ大統領府は声明を出し、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領とドナルド・トランプ米大大統領が電話会談を行い、シリア北東部情勢への対応について意見を交わしたと発表した。

電話会談のなかで、エルドアン大統領は、「安全地帯」の設置が予定されている北東部での米国の軍事治安措置が不十分で、両国の合意が実施されていないとして不快感を示したという。

AFP, October 6, 2019、Anadolu Ajansı, October 6, 2019、ANHA, October 6, 2019、AP, October 6, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 6, 2019、Reuters, October 6, 2019、SANA, October 6, 2019、SOHR, October 6, 2019、UPI, October 6, 2019などをもとに作成。

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米主導の有志連合がYPG主体のシリア民主軍の支援を受けてダイル・ザウル県で空挺作戦を実施し、男性1人を拘束(2019年10月6日)

ダイル・ザウル県では、SANA(10月6日付)によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が、米主導の有志連合の支援を受けて、ズィーバーン町のハージム地区で住民多数を拘束した。

これに関して、DPN(10月6日付)は、米主導の有志連合軍ヘリコプターが、シリア民主軍の支援を受けて空挺作戦を実施し、ダーイシュ(イスラーム国)メンバーだとされる男性の自宅を襲撃、この男性を拘束したと伝えた。

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ラッカ県では、SANA(10月6日付)によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が、米主導の有志連合の支援を受けて、ラッカ市内の検問所で女性3人を拘束した。

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ハサカ県では、SANA(10月6日付)によると、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるハサカ市内の複数の検問所で、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が住民が使用するオートバイ多数を没収した。

オートバイの没収は、北・シリア自治局・シリア民主軍のオートバイ使用・持ち込み禁止令を受けたもの

AFP, October 6, 2019、ANHA, October 6, 2019、AP, October 6, 2019、DPN, October 6, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 6, 2019、Reuters, October 6, 2019、SANA, October 6, 2019、SOHR, October 6, 2019、UPI, October 6, 2019などをもとに作成。

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トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市を砲撃(2019年10月6日)

アレッポ県では、ANHA(10月6日付)によると、トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市を砲撃した。

AFP, October 6, 2019、ANHA, October 6, 2019、AP, October 6, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 6, 2019、Reuters, October 6, 2019、SANA, October 6, 2019、SOHR, October 6, 2019、UPI, October 6, 2019などをもとに作成。

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ビンニシュ市(イドリブ県)で体制打倒、逮捕者釈放、避難民の生活状況改善を求める抗議デモ(2019年10月6日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ビンニシュ市で6日晩、体制打倒、逮捕者釈放、避難民の生活状況改善を求める抗議デモが行われた。

AFP, October 6, 2019、ANHA, October 6, 2019、AP, October 6, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 6, 2019、Reuters, October 6, 2019、SANA, October 6, 2019、SOHR, October 6, 2019、UPI, October 6, 2019などをもとに作成。

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シリア軍の砲撃によりイドリブ県で女児1人が死亡(2019年10月6日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がビダーマー町、ナージヤ村、ガッサーニーヤ村、ズアイニーヤ村、ジャーヌーディーヤ町、アブヤド川流域一帯、カフルナブル市、バクサルヤー村、カフル・ウワイド村一帯、シャイム・ムスタファー村、カフルサジュナ村、マアッラト・ハルマ村、ハーッス村を砲撃した。

ドゥラル・シャーミーヤ(10月6日付)によると、ズアイニーヤ村へのシリア軍の砲撃では、通学途中の女児1人が死亡、住民多数が負傷したという。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、県北西部のカラ・ジュルン村、シャリカ村(イドリブ県)一帯でシリア軍地上部隊と反体制武装集団が交戦し、反体制武装集団はシャリーア村の空港で戦車を破壊した。

これに対して、シリア軍はザクーム村、ダクマーク村、ザイズーン村を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカッバーナ村一帯を砲撃した。

AFP, October 6, 2019、ANHA, October 6, 2019、AP, October 6, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 6, 2019、Reuters, October 6, 2019、SANA, October 6, 2019、SOHR, October 6, 2019、UPI, October 6, 2019などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから406人、ヨルダンから805人の難民が帰国、避難民0人が帰宅(2019年10月6日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(10月6日付)を公開し、10月5日に難民1,211人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは406人(うち女性122人、子供207人)、ヨルダンから帰国したのは805人(うち女性242人、子供411人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は426,254人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者134,696人(うち女性40,789人、子ども68,994人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者291,558人(うち女性87,507人、子ども148,682人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,655,584人(うち女性1,996,675人、子供3,394,348人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 655,534人(うち女性196,954人、子供334,598人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, October 6, 2019をもとに作成。

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