米国防総省はダーイシュのバグダーディー指導者に対する暗殺作戦の映像を公開(2019年10月30日)

米国防総省は、イドリブ県で26日に米軍が実施したダーイシュ(イスラーム国)のアブー・バクル・バグダーディー指導者に対する暗殺作戦の映像を公開した。

映像は、米中央軍のケネス・マッケンジー司令官の記者会見で公開されたもの。

マッケンジー司令官は、作戦が施設内に子どもがいることを踏まえて立案されたとしたうえで、「バグダーディーを捕捉、ないしは殺害するために作戦は3段階から構成された…。バグダーディーの遺体の残骸は海に投棄された」と述べた。

なお、作戦終了後にバグダーディー指導者が潜伏していた施設は爆破されたという。

フッラ・チャンネル(10月30日付)が伝えた。

AFP, October 30, 2019、Alhurra, October 30, 2019、ANHA, October 30, 2019、AP, October 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 30, 2019、Reuters, October 30, 2019、SANA, October 30, 2019、SOHR, October 30, 2019、UPI, October 30, 2019などをもとに作成。

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シリア民主軍は国防省によるシリア軍従軍への呼びかけを拒否(2019年10月30日)

人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍総司令部は声明を出し、シリア国防省がシリア民主軍に対してシリア軍への合流の呼びかけたことに関して、シリア軍への合流は「政治的関係正常化と、シリア民主軍の特性と組織構造の維持を起点としなければならない」と表明し、拒否した。

またシリア民主軍のマズルーム・アブィー総司令官はフェイスブックのアカウント(https://twitter.com/mazloumabdi)で「シリア国防省による声明の出し方、そして我が軍のメンバーに対するシリア軍への「個人的従軍」の呼びかけは、歓迎されるべきものではない」と綴った。

https://twitter.com/MazloumAbdi/status/1189629068372795393

AFP, October 30, 2019、ANHA, October 30, 2019、AP, October 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 30, 2019、Reuters, October 30, 2019、SANA, October 30, 2019、SOHR, October 30, 2019、UPI, October 30, 2019などをもとに作成。

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シリアの国防省と内務省はシリア民主軍に軍、治安部隊への参加を呼びかける(2019年10月30日)

シリアの国防省は声明を出し、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の兵士にシリア軍への従軍・参加を呼びかけた。

声明のなかで、国防省は「シリア軍武装部隊総司令部は、ジャズィーラ地方の広範囲を制圧したことを踏まえ、いわゆる「シリア民主軍」のメンバーに対して、軍の部隊に加わり、シリアの国土を脅かすトルコの攻撃に対抗するよう呼びかける」と表明した。

また「軍武装部隊総司令部は、従軍を希望する個人、部隊を受け入れ、徴兵制違反者、指名手配者を免罪する用意がある」と付言した。

一方、シリアの内務省も声明を出し、北・東シリア自治局の内務治安部隊(アサーイシュ)のメンバーに対して、同省所轄の内部治安部隊に加わるよう呼びかけた。

SANA(10月30日付)が伝えた。

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制憲委員会(憲法委員会)における反体制派側のバフラ団長は「戦争での勝利ではなく、公正と和平の実現を勝利と信じるよう呼びかける」(2019年10月30日)

制憲委員会(憲法委員会)における反体制派代表の団長を務めるハーディー・バフラ氏(シリア革命反体制勢力国民連立元代表)は、開会式で基調演説を行い、「我々はすべてのシリア人のために未来をともに作らねばならない。政治的多元主義を尊重し、民族的・社会的多様性を尊重しなければならない…。我々は現状を変革しなければならない」と述べ、国連安保理決議第2254号に基づいた公正な政治解決を主唱した。

バフラ氏はまた「シリアにおける勝利は公正を実現し、和平を勝ち取ることにかかわるすべてであると我々が信じる時が来た。それは戦争に勝つことではない。戦争で勝つことは一方が他方に勝つことではない…。それはすべてのシリア人への勝利ではなく、安定をもたらさない」と述べた。

また、「我々は相違点ではなく、類似点を探しに来た。国連が承認した社会プロセスにおける最初の重要な一歩なのだ…。シリア社会の一員として共有したいという感情あるとすれば、それは優れた歴史によってもたらされた共通の遺産への誇りだ…。我々は傷をこらえ、互いに耳を傾け、共通項を見つけ出し…、宗派主義的な言説を止めねばならない。なぜならそれこそが殺戮と破壊をもたらしてきたからだ」と付言した。

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制憲委員会(憲法委員会)におけるシリア政府側のクズバリー団長は外国の干渉を拒否するとともに、テロとの戦い継続への意志を強調(2019年10月30日)

シリア政府代表50人の団長を務めるアフマド・クズバリー氏(人民議会議員、ダマスカス県B部門選出、バアス党、弁護士組合)は、スイスのジュネーブでの制憲委員会(憲法委員会)開会式で演説を行い、自国の未来を決定する権利はシリア国民のみが有するとしたうえで、外国の干渉を拒否、主権、統一、独立、領土保全の原則を強調した。

クズバリー団長は、「シリア国民は9年間過酷な戦争で持ちこたえ、抵抗し、テロに対する偉大なる勝利を記録し続けている」としたうえで、制憲委員会を「シリアの危機解決に向けた政治トラックの入り口の一つ」と位置づけ、その成功が「強い意志と決意、偽りのない誠意と進行、シリアの統一、主権、独立を維持したいという真摯な行動」によってのみもたらされると述べた。

また「我々の対話は、たとえそれが書面というかたちをとっても、それを成功させるには、純粋にシリア人どうしによるものでなければならず、外国の干渉や圧力があってはならない。シリアの所有権、指導のもとに行われ、いかなる前提条件も課されるべきではない」と付言した。

そのうえで「委員会の議論の成果を期待する不屈のシリア国民はテロに対する戦いを続ける」と強調した。

SANA(10月30日付)が伝えた。

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ジュネーブで制憲委員会(憲法委員会)開幕:ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表は「危機の政治的解決に向けた重要なステップ」と賞賛(2019年10月30日)

スイスのジュネーブで制憲委員会(憲法委員会)が開幕した。

ゲイル・ペデルセン・シリア問題担当国連特別代表は、150人の委員会メンバー(シリア政府代表50人、反体制派代表50人、市民社会代表50人)が出席した開会式で基調演説を行い、そのなかで委員会の開会が、「国連安保理決議第2254号に基づき、シリアの危機に対する持続的政治解決をもたらすための重要なステップ」であると表明、委員会で起草される予定の「憲法はシリア国民のみのものだ」と強調した。

また、委員会がシリアの主権、統一、独立、領土保全、国連憲章および安保理諸決議を遵守することを基本原則としているとしたうえで、「シリア国民のみが国の未来を決定する」と付言した。

また、委員会の議事に関しては、2012年に施行された憲法の修正、ないしは新憲法の起草を審議し、最終的にはこれが国民投票にかけられることになると述べた。

国連の役割はこうした議事進行を促すことに限定されるという。

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制憲委員会(憲法委員会)開会に合わせてロシア、イラン、トルコ外相がジュネーブで会談(2019年10月30日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣、イランのモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣、トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣が、制憲委員会(憲法委員会)の開会に合わせてスイスのジュネーブで会談した。

会談後の共同声明で、三カ国の外務大臣は、シリアの領土の統一性と保全の維持、テロ根絶に向けた「テロとの戦い」、分離主義的アジェンダの拒否を改めて強調した。

三カ国の外務大臣はまた、制憲委員会の開会を歓迎し、その活動に外国の干渉や期限の押しつけがなされないようにすべきだと表明するとともに、アスタナ会議の保障国として、シリアにおける危機に軍事的解決はなく、政治的解決を追求すべきであることを確認した。

そのうえで、国際社会に対して、すべてのシリア人への無条件の支援増を訴えた。

SANA(10月30日付)などが伝えた。

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シリア軍はトルコ国境地帯への部隊駐留を続ける(2019年10月30日)

ハサカ県では、SANA(10月30日付)によると、ロシア仲介のシリア政府と人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の合意に基づき、シリア軍地上部隊がトルコ国境地帯への展開を続け、ウンム・ハムドゥーン村一帯に新たに進駐した。

一方、ユーフラテス・ポスト(10月30日付)によると、ロシア軍憲兵隊が、カーミシュリー市空港からダルバースィーヤ市にいたる国境地帯で初となるパトロール活動を実施した。

AFP, October 30, 2019、ANHA, October 30, 2019、AP, October 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 30, 2019、Euphrates Post, October 30, 2019、Reuters, October 30, 2019、SANA, October 30, 2019、SOHR, October 30, 2019、UPI, October 30, 2019などをもとに作成。

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トルコ軍・国民軍の猛攻を受け、シリア軍はハサカ県北東部の前線から撤退(2019年10月30日)

ハサカ県では、シリア人権監視団が人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の複数の司令官筋の話として伝えたところによると、シリア軍が、ダルバースィーヤ市西方からトルコ占領下のラアス・アイン市にいたる国境地帯全域、タッル・タムル町近郊の前線の村々、アブー・ラースィーン(ザルカーン)町から撤退した。

撤退は、トルコの支援を受ける国民軍の激しい攻撃を受けたもので、これによりアリーシャ町などの住民400世帯以上がタッル・タムル町方面に避難した。


SANA(10月30日付)も、シリア軍がラアス・アイン市南東に位置するタッル・ワルド村、タッル・タムル町近郊の牧草地帯でトルコ軍およびその支援を受ける国民軍と激しく交戦、トルコ軍・国民軍が同地の民家などを激しく砲撃、住民が避難を余儀なくされたと伝えた。

一方、タッル・タマル町同地で予定されていたロシア軍憲兵隊のパトロール任務も延期された。

ロシア軍憲兵隊のパトロール任務の撤退は、シリア国防省がシリア民主軍に対して行ったシリア軍への合流の呼びかけにシリア民主軍を応じさせるための圧力をかける動きだと思われる。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、県北部のマルアナーズ村一帯でシリア民主軍とトルコの支援を受ける国民軍が交戦した。

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ロシア軍はシャーム解放機構などの支配下にあるイドリブ県各所への爆撃を続ける(2019年10月30日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がシャーム解放機構などの支配下にあるマアッラト・ヌウマーン市、カフルナブル市、マアッラト・ハルマ村、ナキール村、ウンム・スィール村、フィキーア村、ジャバーラー村、シャイフ・ムスタファー村、カルサア村、ラカーヤー村、マアッルズィーター村に対して28回の爆撃を行った。

またシリア軍地上部隊はマアッルズィーター村、ヒーシュ村、カフルナブル市、ハザーリーン村、ラジャム・ハイヤ農場、アブー・ズフール町一帯を砲撃した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がバーブ市近郊のシャフルナーズ村、アリーマ町、ジュッブ・スライマーン村、バドリーヤ村を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカッバーナ村一帯でシャーム解放機構などからなる反体制武装集団と交戦、同地を砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を13件(イドリブ県2件、ラタキア県5件、アレッポ県2件、ハマー県4件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を25件(イドリブ県11件、ラタキア県9件、アレッポ県0件、ハマー県5件)確認した。

AFP, October 30, 2019、ANHA, October 30, 2019、AP, October 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 30, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, October 30, 2019、Reuters, October 30, 2019、SANA, October 30, 2019、SOHR, October 30, 2019、UPI, October 30, 2019などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから215人、ヨルダンから448人の難民が帰国、避難民4人(うちルクバーン・キャンプからの帰還者0人)が帰宅(2019年10月30日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(10月30日付)を公開し、10月29日に難民663人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは215人(うち女性65人、子供110人)、ヨルダンから帰国したのは448人(うち女性134人、子供228人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は451,456人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者144,292人(うち女性43,670人、子ども73,887人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者307,164人(うち女性92,188人、子ども156,643人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,657,484人(うち女性1,997,245人、子供3,395,317人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 680,736人(うち女性204,516人、子供347,452人)となった。

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一方、国内避難民4人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは4人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所を経由して帰還した4人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は36,303人(うち女性11,218人、子供16,491人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,304,899人(うち女性393,777人、子供660,257人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, October 30, 2019をもとに作成。

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シリア駐留ロシア軍司令部の当事者和解調整センターはシリア民主軍を北東部国境地帯から撤退させたと発表(2019年10月30日)

ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置されている当事者和解調整センターのユリ・エフトシェンコ代表は、声明を出し、22日のロシア・トルコ首脳会談での合意に従い、シリア北東部の国境地帯から人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍を完全撤退させたと発表した。

ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置されている当事者和解調整センターのユリ・エフトシェンコ代表は「ロシア側は2019年10月22日にロシアとシリアが合意した了解覚書が規定する措置を完全に実施した…。10月29日18:00までに、YPGに所属する68部隊、3万4000人が撤退、またトルコ軍武装部隊との交戦地から30キロ以内の地域から武器装備3,000個以上を撤収っせた」と述べた。

また「シリア軍がトルコ国境に前哨地84カ所を設置した。うち60カ所はカーミシュリー市一帯、24カ所はアレッポ県北のアイン・アラブ市一帯に設置された。一方、ロシア軍憲兵隊はジャラーブルス市(アレッポ県)・クーラーン村間、カーミシュリー市・ファキーラ村間、カーミシュリー市・スィーマルカー国境通行所間で10月23日からパトロールを行っている」と付言した。

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