アル=カーイダ系のシャーム解放機構が主導する「必勝」作戦司令室は6ヶ月間の停戦合意が成立したとの情報を否定(2019年10月1日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構、トルコの支援を受ける国民解放戦線、「穏健な反体制派」と目されるイッザ軍などからなる「必勝」作戦司令室の報道官を務めるナージー・ムスタファー大尉(国民解放戦線報道官)は、イドリブ県を中心とする反体制派支配地域(緊張緩和地帯第1ゾーン)で6ヶ月間の停戦が合意されたとの一部情報を否定した。

トルコの支援を受けるシリア・ムスリム同胞団系のシャーム軍団に近いムハッラル・ネット(10月1日付)によると、ムスタファー大尉は、停戦合意について「事実無根」としたうえで、「革命諸派は解放区のいかなる戦線に対する政権軍のいかなる進軍の試みに対しても備えるために取り組んでいる」と述べた。

停戦に関しては、複数の活動家がネット上で、トルコが反体制武装集団諸派に対して、ロシアと6ヶ月間停戦し、この間にイドリブ県にトルコ軍が展開、新たな監視所を設置することで合意した旨通知したとの情報を拡散していた。

https://www.facebook.com/almohrarmedia3/photos/a.841099419616544/900592530333899/?type=3&theater

 

AFP, October 1, 2019、ANHA, October 1, 2019、AP, October 1, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 1, 2019、Shabaka al-Muharrar al-I’lamiya, October 1, 2019、Reuters, October 1, 2019、SANA, October 1, 2019、SOHR, October 1, 2019、UPI, October 1, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコのエルドアン大統領は米国と連携せずに「安全地帯」設置計画を推し進めると述べる(2019年10月1日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はテレビ演説を行い、そのなかでシリア北東部での設置をめざしている「安全地帯」にシリア難民を移住させるトルコ独自の計画を米国との連携なしに推し進めると述べ、米国を牽制した。

エルドアン大統領は「現時点において、我々には我々自身の路線を推し進める以外の選択肢はない…。我々はあらゆる路線を試してきた。我々は耐えに耐えてきた…。我々には1日たりとも無駄にする余裕はない」と述べた。

AFP, October 1, 2019、ANHA, October 1, 2019、AP, October 1, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 1, 2019、Reuters, October 1, 2019、SANA, October 1, 2019、SOHR, October 1, 2019、UPI, October 1, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

北・東シリア自治局支配地域各所で、YPG主体のシリア民主軍が住民を拘束、ダーイシュがにわかに攻撃を激化、抗議デモも続く(2019年10月1日)

ラッカ県では、SANA(10月1日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にあるラッカ市で、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が、「徴兵」だとして住民2人を拘束した。

また、タッル・アブヤド市で、ダイル・ザウル県からの国内避難民(IDPs)10世帯が、シリア民主軍によって強制退去を余儀なくされ、アイン・イーサー市にある収容キャンプに収容された。

こうしたなか、ラッカ市北のヒーシャ村ではシリア民主軍の車輌2台が何者かの攻撃を受け、8人が死傷、ラッカ市内でもシリア民主軍の検問所が何者かの発砲を受けた。

一方、ダーイシュ(イスラーム国)に近いアアマーク通信(10月1日付)は、ダーイシュの戦闘員がラッカ市東のフース村・サハーミーヤ村間の街道でシリア民主軍の車輌を爆破し、戦闘員5人を殺傷したと発表した。

**

アレッポ県では、SANA(10月1日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にあるマンビジュ市で、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が、「徴兵」だとして男性1人と女性1人を拘束した。

**

ハサカ県では、SANA(10月1日付)によると、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるカーミシュリー市で、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が、「徴兵」だとして住民多数1人を拘束した。

**

ダイル・ザウル県では、ダーイシュ(イスラーム国)に近いアアマーク通信(10月1日付)によると、ダーイシュがズィーバーン町入り口に設置されている人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の検問所、ウマル油田に至る街道を移動中のシリア民主軍車両を攻撃し、戦闘員20人を殺傷した。

一方、SANA(10月1日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にあるサアワ村で人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の活動に抗議するデモが発生し、住民が参加した。

AFP, October 1, 2019、ANHA, October 1, 2019、AP, October 1, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 1, 2019、Reuters, October 1, 2019、SANA, October 1, 2019、SOHR, October 1, 2019、UPI, October 1, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ軍と支援を受ける反体制武装集団が北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下のタッル・リフアト市などを砲撃(2019年10月1日)

アレッポ県では、ANHA(10月1日付)によると、トルコ軍と支援を受ける反体制武装集団が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下のタッル・リフアト市、同地に近いバイナ村、アキーバ村、シャイフ・ヒラール村などを砲撃した。

一方、シリア人権監視団によると、トルコの占領下にあるアフリーン市に迫撃砲弾一発が着弾し、住民3人が負傷した。

誰が迫撃砲を発射したのかは不明。

AFP, October 1, 2019、ANHA, October 1, 2019、AP, October 1, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 1, 2019、Reuters, October 1, 2019、SANA, October 1, 2019、SOHR, October 1, 2019、UPI, October 1, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アレッポ市北のライラムーン地区で反体制武装集団がシリア軍を狙撃し1人を殺害(2019年10月1日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が一方的停戦を宣言してから31日目(爆撃を激化させてから152日目)を迎えた10月1日、シリア軍戦闘機が爆撃を実施、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が各地で散発的に交戦した。

シリア・ロシア軍が緊張緩和地帯への攻撃を激化させた4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より2人(民間人0人、シリア軍兵士4人?、反体制武装集団戦闘員0人)多い4,168人だった。

内訳は、民間人1,066人(うち女性189人、子供264人)、シリア軍兵士1,425人、反体制武装集団戦闘員1,677人。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がアレッポ市北のライラムーン地区の前線でシリア軍兵士を狙撃、1人を殺害した。

また同地一帯で、シリア軍地上部隊と反体制武装集団が交戦した。

**

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍戦闘機がシャーム解放機構などが活動を続けるカッバーナ村一帯を爆撃、ヘリコプターも同地に「樽爆弾」を投下した。

**

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカフルナブル市、マルアンド村一帯、ナージヤ村一帯、トゥラムラー村、ウンム・スィール村、ハザーリーン村、タッフ村を砲撃した。

一方、SANA(10月1日付)によると、シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が、アブー・ズフール町に設置されている「人道回廊」への住民の接近阻止を続け、同回廊からシリア政府支配地域に脱出しようとする動きを妨害した。

**

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を22件(イドリブ県7件、ラタキア県9件、アレッポ県9件、ハマー県3件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を22件(イドリブ県4件、ラタキア県11件、アレッポ県4件、ハマー県5件)確認した。

AFP, October 1, 2019、ANHA, October 1, 2019、AP, October 1, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 1, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, October 1, 2019、Reuters, October 1, 2019、SANA, October 1, 2019、SOHR, October 1, 2019、UPI, October 1, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア合同連携センターとシリア国外難民帰還調整委員会は米国の非協力によってルクバーン・キャンプからの国内避難民の移送が制限されたと非難(2019年10月1日)

ロシア合同連携センターとシリア国外難民帰還調整委員会は共同声明を出し、米主導の有志連合の占領下にあるヒムス県南東部のタンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン・シリア国境緩衝地帯にあるルクバーン・キャンプからの国内避難民(IDPs)のシリア政府支配地域への帰還に米国が非協力的であったため、9月30日には当初退去を予定していた2,000~2,500人のうち、国連とシリア赤新月社が移送したIDPsは336人にとどまったと発表、米国を非難した。

国連の発表によると、2019年3月の時点でルクバーン・キャンプからシリア政府支配地域に帰還したIDPsの数は15,600人で、同キャンプには依然として26,000人がとどまっているという。

AFP, October 1, 2019、ANHA, October 1, 2019、AP, October 1, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 1, 2019、Reuters, October 1, 2019、SANA, October 1, 2019、SOHR, October 1, 2019、UPI, October 1, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから341人、ヨルダンから593人の難民が帰国、避難民0人が帰宅(2019年10月1日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(10月1日付)を公開し、9月30日に難民934人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは341人(うち女性103人、子供174人)、ヨルダンから帰国したのは593人(うち女性178人、子供302人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は420,486人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者132,728人(うち女性40,197人、子ども67,991人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者287,758人(うち女性86,365人、子ども146,744人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,654,208人(うち女性1,996,262人、子供3,393,646人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 649,766人(うち女性195,220人、子供331,657人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, October 1, 2019をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.