国民軍がトルコからの直接の指示を受けてシリア政府支配下のターディフ市一帯(アレッポ県)を攻撃したことへの対抗措置として、ロシア軍戦闘機はトルコ占領下のバーブ市を初めて爆撃(2020年2月2日)

アレッポ県では、国民軍がトルコからの直接の指示を受けて、トルコ占領下のバーブ市に面するシリア政府支配下のターディフ市一帯を攻撃したことへの対抗措置として、ロシア軍戦闘機が1日深夜から2日未明にかけてバーブ市を爆撃した。

ロシア軍戦闘機がトルコ占領地を爆撃するのはこれが初めて。

この爆撃により、バーブ市内のモスクが被弾した。

一方、アフリーン解放軍団が声明を出し、1日に北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊(シャフバー地区)のタッル・ラッハール村および同地に近いレーダー塔に対する国民軍の攻撃に応戦し、戦闘員22人を殺害、10人を負傷させたと発表した。

この戦闘で、アフリーン解放軍団の戦闘員3人も戦士したという。

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、カーミシュリー市東のジュワーディーヤ(ジール・アーガー)村近郊の下アマーラート村にトルコ軍の無人航空機1機が墜落した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、トルコ軍がアイン・イーサー市近郊にあるシリア軍の拠点複数カ所を砲撃した。

AFP, February 2, 2020、ANHA, February 2, 2020、AP, February 2, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 2, 2020、Reuters, February 2, 2020、SANA, February 2, 2020、SOHR, February 2, 2020、UPI, February 2, 2020などをもとに作成。

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トルコ軍はシリア・ロシア軍の攻勢が続くイドリブ県、アレッポ県に戦車、兵員輸送車など300輌以上からなる増援部隊を派遣、ロシア軍が車列近くを爆撃(2020年2月2日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、トルコ軍の戦車、兵員輸送車など約40輌からなる車列がカフルルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に入った。

車列はアレッポ県アレッポ市西部に向かった。

これに対して、ロシア軍戦闘機は、車列が近づいたアレッポ県カフル・ハラブ村近郊を爆撃した。

トルコ軍はこの車列以外にも、4度にわたって大規模な車列をカフルルースィーン村からシリアに進入させ、派遣された車輌は320輌あまりとなった。

増援部隊はアレッポ市とラタキア市を結ぶM4高速道路沿線に設置されているトルコ軍監視所などに向かったという。

AFP, February 2, 2020、ANHA, February 2, 2020、AP, February 2, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 2, 2020、Reuters, February 2, 2020、SANA, February 2, 2020、SOHR, February 2, 2020、UPI, February 2, 2020などをもとに作成。

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イドリブ県ハーリム町近くの国境前で国外避難を求めるIDPsをトルコ国境警備隊は催涙弾と放水で強制排除(2020年2月2日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハーリム市近くの国境の前で、国内避難民(IDPs)が国外への避難を求める抗議デモを行った。

「イドリブからベルリンへ」と銘打ってデモ実施を求めてきた活動家らの呼びかけに呼応したもので、これに対してトルコ国境警備体はシリア領内で抗議を行うIDPsに催涙弾や放水で対応し、デモを強制排除した。

AFP, February 2, 2020、ANHA, February 2, 2020、AP, February 2, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 2, 2020、Reuters, February 2, 2020、SANA, February 2, 2020、SOHR, February 2, 2020、UPI, February 2, 2020などをもとに作成。

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シリア軍はアレッポ県の2カ村とイドリブ県の3カ村を新たに制圧、ロシア・シリア軍の爆撃で民間人15人以上死亡(2020年2月2日)

アレッポ県では、SANA(2月2日付)によると、シリア軍がシャーム解放機構などからなる反体制武装集団との戦闘の末、アレッポ市南西部のハラサ村、カラースィー村を制圧した。

しかし、ドゥラル・シャーミーヤ(2月2日付)などは、反体制武装集団がシリア軍による制圧の数時間後にハラサ村とズィーターン村を奪還したと伝えた。

一方、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がアウラム・クブラー町、カマーリー村、ハーン・アサル村、バルクーム村、アターリブ市、M5高速道路沿線を爆撃し、アウラム・クブラー町では住民3人が、アターリブ市では女性1人が死亡した。

シリア軍戦闘機およびヘリコプターもアレッポ市西部・南部郊外一帯を爆撃した。

また、SANAによると、アレッポ市西部郊外での戦闘を取材していたイランのアーラム・チャンネルの女性特派員1人とカウサル・チャンネルのカメラマン1人が負傷した。

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イドリブ県では、SANA(2月2日付)によると、シリア軍がシャーム解放機構、国民解放戦線(国民軍)などからなる「決戦」作戦司令室との戦闘の末、アンカラーティー村、カフルバッティーフ村、ダーディーフ村を制圧した。

カフルバッティーフ村については、シリア人権監視団が1日にシリア軍によって制圧されたと発表していた。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(2月2日付)によると、シャームか一法機構はアレッポ市南部郊外での戦闘でシリア軍の最新鋭戦車T90を捕獲した。

また、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がサラーキブ市、カフルバッティーフ村一帯、ダーディーフ村を爆撃した。

シリア軍戦闘機も、マストゥーマ村、アルバイーン山、ザーウィヤ山各所、サラーキブ市およびその一帯、ビンニシュ市近郊、M4高速道路沿線を爆撃し、ヘリコプターもサルミーン市を「樽爆弾」で爆撃した。

この爆撃で、マストゥーマ村では住民1人が、ビンニシュ市近郊では子ども1人が、サルミーン市では子ども4人と女性3人を含む8人が死亡した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、タファス市で、医師が何者かによって撃たれて死亡した。

またシャジャラ町でも、シリア政府との和解に応じた元反体制武装集団戦闘員1人が何者かに撃たれて死亡した。

さらに、ナーフィア村でも1人が何者かによって撃たれて死亡した。

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ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置されている当事者和解調整センターのユーリ・ボレンコフ・センター長(中将)は声明を出し、同基地を攻撃しようとした無人航空機複数機を撃破したと発表した。

無人航空機はシャーム解放機構などからなる反体制武装集団の支配下にあるイドリブ県から飛来してきたという。

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一連の戦闘で、シリア軍兵士26人、反体制武装集団戦闘員47人が死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を32件(イドリブ県6件、ラタキア県16件、アレッポ県2件、ハマー県8件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を7件(イドリブ県1件、ラタキア県0件、アレッポ県6件、ハマー県0件)確認した。

AFP, February 2, 2020、ANHA, February 2, 2020、AP, February 2, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 2, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, February 2, 2020、Reuters, February 2, 2020、SANA, February 2, 2020、SOHR, February 2, 2020、UPI, February 2, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:919人の難民が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は542,367人に(2020年2月2日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(2月2日付)を公開し、2月1日に難民919人が新たに帰国したと発表した。


このうちレバノンから帰国したのは217人(うち女性65人、子供110人)、ヨルダンから帰国したのは702人(うち女性211人、子供358人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は542,367人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者171,910人(うち女性51,967人、子ども87,969人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者370,457人(うち女性110,180人、子ども188,925人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,569,742人(うち女性1,970,923人、子供3,350,568人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 771,647人(うち女性231,805人、子供393,816人)となった。

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一方、国内避難民3人が新たに帰宅した。

うちダマスカス郊外県東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは3人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所を経由して帰還した3人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は45,198人(うち女性14,322人、子供20,109人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,313,794人(うち女性396,881人、子供663,875人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, February 2, 2020をもとに作成。

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