トランプ米大統領はトルコのエルドアン大統領との電話会談で「ロシアがシリア軍への支援を停止し、紛争の政治的解決をめざすべきだ」と表明(2020年2月16日)

ドナルド・トランプ米大統領とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が電話会談を行い、シリア情勢、とりわけイドリブ県の情勢への対応などについて意見を交わした。

ホワイト・ハウスの声明によると、会談のなかで、トランプ大統領はイドリブ県での暴力激化に懸念を表明するとともに、人道危機発生を回避しようとするトルコの取り組みに関してエルドアン大統領に謝意を示した。

トランプ大統領はまた、ロシアがシリア軍への支援を停止し、紛争の政治的解決をめざすべきだとの意向を表明した。

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これに関して、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、記者団に対して、「ロシア政府はテロリストと戦うシリア政府を支援し続ける」としたうえで、「シリアの問題解決に対する挑発的な発言を排し、自制しつつ…、ロシアはトルコ政府とアスタナ・プロセスの枠組みのなかで連絡を取り続ける」と述べた。

AFP, February 17, 2020、ANHA, February 17, 2020、AP, February 17, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 17, 2020、Reuters, February 17, 2020、SANA, February 17, 2020、SOHR, February 17, 2020、UPI, February 17, 2020などをもとに作成。

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トルコのイスラーム主義系日刊紙『イェニ・アキト』はイドリブ県でのトルコ軍に対する攻撃はシリア軍の砲撃ではなく、ロシア軍の爆撃だったと伝える(2020年2月16日)

トルコのイスラーム主義系日刊紙『イェニ・アキト』(2月16日付)は、10日にイドリブ県のタフタナーズ軍事基地でトルコ軍の車列が攻撃を受けた事件に関して、シリア軍地上部隊の砲撃ではなく、ロシア軍戦闘機の爆撃によるものだと伝えた。

トルコ国防省は、シリア軍の砲撃を受け、兵士5人が死亡、これに対する報復として、シリア政府側の標的115カ所を攻撃、戦車などを破壊し101人を殺害したと発表していた。

しかし、トルコ軍筋によると、被害の規模、攻撃発生時のレーダーの記録を調査した結果、攻撃はロシア軍戦闘機によるものだったことが確認されたという。

同トルコ軍筋は、「この攻撃の背後にロシアがいるという事実は、現下の戦略的状況を踏まえて公表できなかった。それゆえトルコ国防省はシリア軍による砲撃だと発表したのだ」と述べている。

AFP, February 16, 2020、ANHA, February 16, 2020、AP, February 16, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 16, 2020、Reuters, February 16, 2020、SANA, February 16, 2020、SOHR, February 16, 2020、UPI, February 16, 2020、Yeni Akit, February 16, 2020などをもとに作成。

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トルコのソイル内務大臣はシリア、エジプト、イラクの反体制派を国外追放する可能性を示唆(2020年2月16日)

トルコのシュレイマン・ソイル内務大臣はカタールの衛星テレビ局アル=ジャズィーラ・チャンネル(2月16日付)のインタビューで、シリアを含むアラブ諸国の反体制派を国外追放にする可能性もあると述べた。

ソイル内務大臣は「生命が危険に去らされて、トルコに避難してきた人々を国外追放しない…。トルコには400万人以上のアラブ人が暮らしており、シリア人11万2000人が今日までにトルコ国籍を取得した」としたうえで、「しかし、トルコがエジプト、シリア、イラクの反体制派を帰化させようとしているとの主張には根拠がない」と述べた。

AFP, February 16, 2020、ANHA, February 16, 2020、AP, February 16, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 16, 2020、Reuters, February 16, 2020、SANA, February 16, 2020、SOHR, February 16, 2020、UPI, February 16, 2020などをもとに作成。

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トルコの支援を受ける国民軍がアレッポ県マンビジュ市近郊を砲撃し住民1人が死亡、同地に展開するシリア軍が応戦(2020年2月16日)

アレッポ県では、ANHA(2月16日付)によると、シリア軍が展開するマンビジュ市近郊のヤーシリー村、ダンダニーヤ村、ウンム・アダサ村、ファーラート村、ウンム・ジャッルード村、アサリーヤ村、サイヤーダ村を国民軍が砲撃し、同地に潜入、シリア軍が応戦した。

国民軍の砲撃により民家複数棟が被害を受け、女性1人が死亡、住民1人が負傷した。

この戦闘では、シリア軍兵士5人が負傷、一方国民軍側は2人が死亡、5人が負傷した。

一方、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊では、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、マルアナーズ村、マーリキーヤ村、カフル・アントゥーン村、カフル・ナーヤー村、シャイフ・ヒラール村、ファイサル穀物粉砕工場、シャワーリガ村、シャワーリガ砦、シャイフ・イーサー村、ダイル・ジュマイイル村、シーラーワー町近郊のクワンディー・マーズィン村を砲撃した。

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ラッカ県では、ANHA(2月16日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がアイン・イーサー市近郊のフーシャーン村、ハーリディーヤ村、タッル・アブヤド市近郊のクーバルラク村を砲撃した。

砲撃が、同地をパトロール中のロシア軍部隊にも及んだという。

一方、シリア人権監視団などによると、トルコ軍の車列がアイン・イーサー市方面に入った。

他方、トルコ占領下のタッル・アブヤド市で車に仕掛けられていた爆弾が爆発し、女性1人を含む5人が死亡、8人が負傷した。

AFP, February 16, 2020、ANHA, February 16, 2020、AP, February 16, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 16, 2020、Reuters, February 16, 2020、SANA, February 16, 2020、SOHR, February 16, 2020、UPI, February 16, 2020などをもとに作成。

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ヒムス製油所、ムハルダ火力発電所が所属不明の無人航空機の攻撃を受ける(2020年2月16日)

ヒムス県では、SANA(2月16日付)によると、シリア軍がヒムス製油所に接近した所属不明の無人航空機5機を撃破した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ムハルダ火力発電所が所属不明の無人航空機によって爆撃を受けた。

AFP, February 16, 2020、ANHA, February 16, 2020、AP, February 16, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 16, 2020、Reuters, February 16, 2020、SANA, February 16, 2020、SOHR, February 16, 2020、UPI, February 16, 2020などをもとに作成。

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アサド大統領はダマスカスでイランのラリージャーニー国会議長と会談(2020年2月16日)

アサド大統領は、首都ダマスカスでアリー・ラリージャーニー国会議長と会談した。

SANA(2月16日付)によると、会談において、アサド大統領はイドリブ県およびアレッポ県での「テロとの戦い」における最近の戦果について報告、シリア国民に敵対姿勢を示す一部諸外国が依然としてシリア領内のテロリストを支援し続けようとしていると指摘した。

これに対して、ラリージャーニー議長は、シリア政府によるテロ撲滅の取り組みを引き続き支援することを確認した。

会談ではまた、中東地域情勢、とりわけ米国をはじめとする西側諸国の介入による地域不安定化について意見を交わし、こうした政策を拒否する輪を国際社会で広げるために引き続き共に行動することを確認した。

会談には、ブサイナ・シャアバーン大統領府政治報道補佐官、アイマン・スーサーン外務在外居住者省次官、アドナーン・マフムード駐イラン・シリア大使、ルーナー・シブル大統領府報道局長、ジャワード・トゥルク・アバーディー駐シリア・イラン大使が同席した。

AFP, February 16, 2020、ANHA, February 16, 2020、AP, February 16, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 16, 2020、Reuters, February 16, 2020、SANA, February 16, 2020、SOHR, February 16, 2020、UPI, February 16, 2020などをもとに作成。

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シリア人権監視団:2019年12月以降のシリア・ロシア軍の進攻に伴う戦闘で100万人が家を追われる(2020年2月16日)

シリア人権監視団は、2019年12月初め以降のイドリブ県、アレッポ県へのシリア・ロシア軍の進攻に伴う戦闘で国内避難民(IDPs)となった住民は、1,005,000人に達していると発表した。

うち、1月半ば以降IDPsとなった住民は62万人以上、1月24日以降は41万人以上に達しているという。

なお、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は14日、2019年12月1日以降の戦闘で80万人以上がIDPsとなり、うち少なくとも60%が子どもだと発表している。

AFP, February 16, 2020、ANHA, February 16, 2020、AP, February 16, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 16, 2020、Reuters, February 16, 2020、SANA, February 16, 2020、SOHR, February 16, 2020、UPI, February 16, 2020などをもとに作成。

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シリア軍がアレッポ市北西の反体制派支配地域を完全制圧(2020年2月16日)

アレッポ県では、SANA(2月16日付)、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構、国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる「決戦」作戦司令室がシリア・ロシア軍の爆撃・砲撃による攻勢を受けて、マアーッラト・アルティーク村、フライターン市、アナダーン市、ハイヤーン町、バヤーヌーン町、バービース村、カフルダーイル村、フータ村、ジャワーニーヤ村、フータト・バッラーニーヤ村、バシュナトラ村、バシュカーティーン村、カイルーン村、カフルハムラ村、シュワイフナ村、ナビー・ナアマーン丘、バイト・ガーズィー村、ムサイビーン丘、カフルダーイル村アレッポ市北西部郊外の第2電力協会地区、製パン協会地区、アラブ連合協会地区、サマーフ協会地区、アーザール協会地区、マジーナ村、ファンナール協会地区、ハーディー協会地区、キリキア協会地区、退役軍人協会地区、ライラムーン地区、ダフラト・アブドゥラッブフ地区、裁判所地区、ナアナーイー住宅地区、ザフラー地区から撤退、シリア軍が同地を制圧した。

シリア軍が新たに制圧した町村は、アレッポ市北西に突出していた反体制派の支配地で、15日にシリア・ロシア軍が包囲・制圧に向けた攻撃を本格化させていた。

シリア軍は、同地の制圧に際してシャイフ・アキール山に設置されているトルコ軍監視所を砲撃し、トルコ軍兵士複数人が負傷した。

また、アナダーン市制圧により、シリア軍は同市に設置されているトルコ軍監視所を包囲した。

アレッポ市は、2012年半ば以降、反体制派にその一部を掌握され、2016年12月には東部地区がシリア政府によって奪還されたが、北部および西部郊外では反体制派の支配が続いていた。

今回の戦果によって、アレッポ市はその全域がシリア政府の支配下に復帰した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がアリーハー市を爆撃した。

これに対して、トルコ軍は、戦車、装甲車など60輌からなる車列がサルマダー市を派遣した。

一方、ロシア軍部隊は、マアッラト・ヌウマーン市以北のM5高速道路沿線一帯に展開した。

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ダマスカス郊外県では、サウト・アースィマ(2月16日付)によると、東グータ地方のサクバー市・ハッザ町間で、共和国護衛隊の車に仕掛けられていた爆弾が爆発し、乗っていた隊員1人が死亡した。

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シリア人権監視団によると、1月24日以降の戦闘での死者は、シリア軍側が576人(うち「イランの民兵」18人)、反体制武装集団戦闘員が634人に達しているという。

AFP, February 16, 2020、ANHA, February 16, 2020、AP, February 16, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 16, 2020、Reuters, February 16, 2020、SANA, February 16, 2020、Sawt al-‘Asima, February 16, 2020、SOHR, February 16, 2020、UPI, February 16, 2020などをもとに作成。

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アルメニアでシリア人民議会がオスマン帝国でのアルメニア人大虐殺を認定する決議を採択したことに謝意を示すデモ行進(2020年2月16日)

アルメニアの首都エレバンでは、13日にシリアの人民議会が20世紀初頭のオスマン帝国でのアルメニア人大虐殺を認定する決議を採択したことに謝意を示すデモ行進が行われた。

デモは、ターシュナーク党などの呼びかけで行われ、オペラ・ハウスからシリア大使館に向かって行進した。

デモには在アルメニア・シリア人も参加した。

SANA(2月16日付)が伝えた。

AFP, February 16, 2020、ANHA, February 16, 2020、AP, February 16, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 16, 2020、Reuters, February 16, 2020、SANA, February 16, 2020、SOHR, February 16, 2020、UPI, February 16, 2020などをもとに作成。

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