ロシア・トルコの軍・諜報機関高官がアンカラでイドリブ県情勢への対応を協議するも、具体的な結論に達せず(2020年2月8日)

セルゲイ・ヴェルシネン外務副大臣を代表とするロシアの軍・諜報機関高官からなる使節団がトルコの首都アンカラを訪問し、セダト・オナル外務副大臣を代表とするトルコの軍・治安機関高官と会談、イドリブ県情勢への対応について協議した。

アナトリア通信(2月9日付)によると、会談は3時間に及び、イドリブ県での戦闘収束、政治プロセスの再開の方途について意見を交わし、数週間中に再度会合を持つことを確認したが、具体的な結論には達しなかった。

AFP, February 9, 2020、Anadolu Ajansı, February 9, 2020、ANHA, February 9, 2020、AP, February 9, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 9, 2020、Reuters, February 9, 2020、SANA, February 9, 2020、SOHR, February 9, 2020、UPI, February 9, 2020などをもとに作成。

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米軍が新たな基地を建設するためシリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるハサカ市に車列を派遣(2020年2月8日)

ハサカ県では、ANHA(2月8日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がタッル・タムル町近郊のウンム・カイフ村を砲撃した。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(2月9日付)が複数の地元筋の話として伝えたところによると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるハサカ市に、米軍の車列が入った。

北・東シリア自治局の支配下にあるハサカ市グワイラーン地区にある人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の施設に新たな基地を設置することが目的だという。

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トルコ国防省は声明を出し、トルコの占領下にあるシリア北東の「平和の泉」地域(ラッカ県タッル・アブヤド市一帯、ハサカ県ラアス・アイン市一帯)で交通事故が発生、トルコ軍兵士5人が死傷したと発表した。

AFP, February 8, 2020、ANHA, February 8, 2020、AP, February 8, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 8, 2020、Reuters, February 8, 2020、SANA, February 8, 2020、SOHR, February 8, 2020、UPI, February 8, 2020などをもとに作成。

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シリア軍はアレッポ市と首都ダマスカスを結ぶM5高速道路沿線全域の制圧を完了(2020年2月8日)

アレッポ県では、SANA(2月8日付)、シリア人権監視団によると、シリア軍が、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団の撤退を受けて、クースニヤー村、タッル・バージル村、ラスム・サフリージュ村、バーニス村、ラスム・アイス村、シャイフ・アフマド村、アブー・カンサ村、ジュッブ・カース村、ウンム・アトバ村、アイス村、アイス丘、ICARDA地区を制圧した。

これにより、M5高速道路沿線をイドリブ県から北進してきたシリア軍部隊と、アレッポ県の沿線を南進してきたシリア軍部隊が合流、シリア軍はアレッポ市から首都ダマスカスにいたるM5高速道路沿線全域を制圧した。

なお、アイス村にはトルコ軍監視所が設置されていたが、その処遇は不明。

一方、シリア人権監視団によると、トルコ軍の装甲車、戦車などからなる車列が複数回に分けてシリア領内に入り、イドリブ県各所に設置された拠点に向かった。

シリア領内に入った車列は8日だけで625輌以上に達したという。

シリア人権監視団によると、トルコ軍はイドリブ市とアリーハー市を結ぶM4高速道路沿線のバアス前衛キャンプに新たな拠点を設置したという。

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シリア人権監視団によると、シリア・ロシア軍の爆撃は実施されなかった。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を20件(イドリブ県6件、ラタキア県11件、アレッポ県0件、ハマー県3件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を10件(イドリブ県5件、ラタキア県0件、アレッポ県5件、ハマー県0件)確認した。

AFP, February 8, 2020、ANHA, February 8, 2020、AP, February 8, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 8, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, February 8, 2020、Reuters, February 8, 2020、SANA, February 8, 2020、SOHR, February 8, 2020、UPI, February 8, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民778人と国内避難民(IDPs)5人が新たにシリア政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は547,474人、2019年以降帰還したIDPsは48,509人に(2020年2月8日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(2月8日付)を公開し、2月7日に難民778人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは211人(うち女性63人、子供108人)、ヨルダンから帰国したのは567人(うち女性170人、子供289人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は547,474人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者173,044人(うち女性52,308人、子ども88,547人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者374,430人(うち女性112,373人、子ども190,951人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,569,742人(うち女性1,970,923人、子供3,350,568人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 776,754人(うち女性233,339人、子供396,420人)となった。

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一方、国内避難民5人が新たに帰宅した。

うちダマスカス郊外県東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは5人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所を経由して帰還した5人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は48,509人(うち女性15,740人、子供21,080人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,317,105人(うち女性398,299人、子供664,846人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, February 8, 2020をもとに作成。

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