ロシアはイドリブ県での戦闘停止を求める安保理議長声明の採択を拒否(2020年2月19日)

国連安保理でシリア情勢への対応を協議する会合が開かれた。

会合ではイドリブ県情勢に議論が集中、トルコのフェリドゥン・ハディ・シュィニルィオール国連大使は「ダマスカスの屠殺(とさつ)人たちは2019年5月1,700人以上の民間人を殺している。こうした違反行為は戦争犯罪、人道に対する犯罪だ」としたうえで、「トルコは、シリア政府に、最近の戦闘で制圧したイドリブ県の緊張緩和地帯から撤退するため、2月末まで猶予を与えている…。もし撤退しなければ、イドリブ県で脅威となっているすべての標的に打撃を与える。監視所は変更しない」と述べた。

一方、ロシアのワシーリー・ネベンジャ国連大使はイドリブ県での停戦を求める議長声明の採択を拒否した。

会合後、ネベンジャ国連大使は「テロとの戦い」を行うシリア政府への支援を続けると強調した。

AFP, February 20, 2020、ANHA, February 20, 2020、AP, February 20, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 20, 2020、Reuters, February 20, 2020、SANA, February 20, 2020、SOHR, February 20, 2020、UPI, February 20, 2020などをもとに作成。

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ハサカ県の街道で米軍装甲車がロシア軍車列の進行を妨害する映像が公開される(2020年2月19日)

ハサカ県カーミシュリー市東の高速道路で米軍装甲車が走行中のロシア軍の車列の進行を妨げようとする様子を撮影した映像がユーチューブで公開された。

映像を公開したのはSyria TVを名乗る反体制活動家によると思われるアカウント。

スマートフォンで撮影された映像には、ロシア軍ジープの前で蛇行したり、幅寄せしたして、進攻を妨げる米軍装甲車が写っている。

撮影日時は不明。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、トルコの占領下にあるラアス・アイン市でオートバイに仕掛けられていた爆弾が爆発した。

また、トルコ軍はタッル・タムル町近郊のハッラース村、マナージール村、シブリーヤ村から撤退した。

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アレッポ県では、ANHA(2月19日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のスーガーニカ村、アキーバ村を砲撃した。

AFP, February 19, 2020、ANHA, February 19, 2020、AP, February 19, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 19, 2020、Reuters, February 19, 2020、SANA, February 19, 2020、SOHR, February 19, 2020、UPI, February 19, 2020などをもとに作成。

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イドリブ県では国内避難民(IDPs)が人道支援機関の倉庫を襲撃し、物資を略奪。ダルアー県では支援NGO職員2人が殺害される(2020年2月19日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、バーブ・ハワー国境通行所とマアッラトミスリーン市を結ぶ街道上にある人道支援団体「ナサーイム・ハイル(微風)協会」の倉庫前に押し寄せていた国内避難民(IDPs)数百人が倉庫を襲撃、保管されていた物資を略奪した。

同倉庫近くでは、WFP(世界食糧計画)が、地元評議会の監督のもとにサラーキブ市から避難してきたIDPsに物資を配給していたという。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、現地で人道支援活動にあたっていたオクスファムの職員2人がヤードゥーダ村とムザイリーブ町を結ぶ街道で武装集団の襲撃を受けて、死亡した。

殺害された2人は、学校建設予定地の調査の仕事を終えて帰着する途中だった。

AFP, February 19, 2020、ANHA, February 19, 2020、AP, February 19, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 19, 2020、Reuters, February 19, 2020、SANA, February 19, 2020、SOHR, February 19, 2020、UPI, February 19, 2020などをもとに作成。

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ロシア大統領府のペスコフ報道官「トルコによるイドリブ県での軍事作戦は最悪のシナリオ」(2020年2月19日)

ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、トルコがイドリブ県での軍事作戦を行う意思を示していることに関して「この軍事作戦は最悪のシナリオになる」とする一方、トルコ政府と引き続き連絡を取り続けると述べた。

AFP, February 19, 2020、ANHA, February 19, 2020、AP, February 19, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 19, 2020、Reuters, February 19, 2020、SANA, February 19, 2020、SOHR, February 19, 2020、UPI, February 19, 2020などをもとに作成。

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反体制派がシリア駐留ロシア軍司令部のあるフマイミーム航空基地一帯に設置されているシリア軍の拠点を攻撃(2020年2月19日)

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構、国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる「決戦」作戦司令室が、シリア駐留ロシア軍司令部のあるフマイミーム航空基地一帯に設置されているシリア軍の拠点に向けてミサイル4発を打ち込んだのに対して、防空部隊(所属不明)がこれを迎撃した。

ミサイル攻撃による被害は不明だという。

これに関して、SANA(2月19日付)は、シリア軍防空部隊がラタキア県のフマイミーム航空基地に近いジャブラ市に向かって飛来してきた「武装テロ集団」の無人航空機複数機を撃墜したと伝えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がフマイミーム航空基地に対する攻撃を受けて、ジスル・シュグール市、マルアンド村、ナージヤ村、ビダーマー町、バルナース村、サッラト・ズフール村を激しく砲撃した。

SANA(2月19日付)によると、シリア軍はまた、ダイル・サンバル村、マアッラト・ヌウマーン市一帯、ラカーヤー村一帯にあるシャーム解放機構、国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる「決戦」作戦司令室の拠点を攻撃、これを破壊した。

一方、シリア人権監視団によると、ロシア軍は、トルコ軍の拠点が設置されているマアーッラト・ナアサーン村、クマイナース村のほか、ムハムバル村、マンタフ村、ダイル・サンバル村、ラカーヤー村一帯、M4高速道路沿線、アルバイーン山一帯、アリーハー市を爆撃した。

ドゥラル・シャーミーヤ(2月19日付)によると、爆撃により、タルマーニーン村で2人が死亡した。

これに対して、トルコ軍とシャーム解放機構、国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる「決戦」作戦司令室が、サラーキブ市やナイラブ村のシリア軍拠点を砲撃した。

トルコ軍はまた、戦車、装甲車など約80輌からなる増援部隊をカフルルースィーン村に違法に設置されている通行所を経由してシリア領内に派遣し、ラタキア県との県境に位置するナビー・アイユーブ丘(峰)、ザーウィヤ山地方のバザーブール村、M4高速道路沿線のブサンクール村に新たな拠点を設置した。

これにより、シリア領内のトルコ軍の監視所・拠点は以下38カ所となった。

アスタナ9会議(2018年5月)での合意に基づいて設置された監視所:イドリブ県サルワ村、タッル・トゥーカーン村、サルマーン村、ジスル・シュグール市(イシュタブリク村)、アレッポ県登塔者聖シメオン教会跡、シャイフ・アキール山、アナダーン山、アレッポ市(南)ラーシディーン地区、アイス村(アイス丘)、ハマー県ムーリク市、シール・マガール村、ラタキア県ザイトゥーナ村

その後に設置された監視所:アレッポ県アナダーン市、アレッポ市ラーシディーン地区、ジーナ村、カフル・カルミーン村、タワーマ村、第111中隊基地、アターリブ市、ダーラト・イッザ市、イドリブ県マアッル・ハッタート村、サラーキブ市、タルナバ村、ナイラブ村、クマイナース村、サルミーン市、タフタナーズ航空基地、マアーッラト・ナアサーン村、マアッラトミスリーン市、マストゥーマ軍事キャンプ、タルマーニーン村、バルダクリー村、ナフラヤー村、ムウタリム村、ブサンクール村、ナビー・アイユーブ丘、バザーブール村、ハマー県ムガイル村。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がフマイミーム航空基地に対する攻撃を受けて、ガーブ平原各所を激しく砲撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機が、トルコ軍の拠点が設置されているカフル・ヌーラーン村、アターリブ市一帯、ダーラト・イッザ市一帯のほか、バーラー村、サッハーラ村、タカード村を爆撃した。

一方、SANA(2月19日付)によると、シリア軍がアターリブ市、カフル・ヌーラーン村、ダーラト・イッザ市一帯、バーラー村一帯、サッハーラ村、タカード村にあるシャーム解放機構、国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる「決戦」作戦司令室の拠点を砲撃した。

AFP, February 19, 2020、ANHA, February 19, 2020、AP, February 19, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 19, 2020、Reuters, February 19, 2020、SANA, February 19, 2020、SOHR, February 19, 2020、UPI, February 19, 2020などをもとに作成。

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