トルコのエルドアン大統領はロシアのプーチン大統領との電話会談で「トルコは同様の攻撃に対して断固として自衛権を行使し続ける」と伝える(2020年2月4日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はロシアのヴラジミール・プーチン大統領と電話会談を行い、イドリブ県情勢などについて意見を交わした。

アナトリア通信(2月4日付)によると、エルドアン大統領は会談のなかで、3日のイドリブ県に進入していたトルコ軍をシリア軍が砲撃し、兵士6人が死亡した事案に関して、プーチン大統領「トルコは同様の攻撃に対して断固として自衛権を行使し続ける」と伝えた。

AFP, February 4, 2020、Anadolu Ajansı, February 4, 2020、ANHA, February 4, 2020、AP, February 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 4, 2020、Reuters, February 4, 2020、SANA, February 4, 2020、SOHR, February 4, 2020、UPI, February 4, 2020などをもとに作成。

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ミクダード外務在外居住者副大臣「トルコの行為はアスタナ・プロセスとソチ合意と明らかに矛盾している」(2020年2月4日)

ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は、イドリブ県に進入したトルコ軍部隊をシリア軍が砲撃し、多数が死傷したことに関して、「トルコの行為はアスタナ・プロセスとソチ合意と明らかに矛盾している」と非難した。

ミクダード副大臣は「シリア領内へのトルコ軍の進入はアダナ合意への違反でもある。トルコ政府は、シリア領にこのように進入することを認めていないこの合意を遵守していない…。国際法はいかなる国であれ他国に攻撃し、占領、植民や入植行為を行うすることを認めていない。住民を移動させ、トルコの国旗を掲げ、トルコの学校を開設することは認められない」と述べ、トルコの占領に抵抗する意志を表明した。

イドリブ県とアレッポ県に大規模部隊を派遣し、新たな監視所を設置しようとしているトルコの動きを

ワタン・オンライン(2月4日付)が伝えた。

AFP, February 4, 2020、ANHA, February 4, 2020、AP, February 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 4, 2020、Reuters, February 4, 2020、SANA, February 4, 2020、SOHR, February 4, 2020、UPI, February 4, 2020、al-Watan Online, Feburary 4, 2020などをもとに作成。

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トルコのエルドアン大統領「今のところシリアに関してロシアと深刻に対立する必要はない」(2020年2月4日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は報道向け声明を出し、イドリブ県に進入したトルコ軍部隊をシリア軍が砲撃し、多数が死傷したことに関して、「今のところシリアに関してロシアと深刻に対立する必要はない。我々は怒ることなくロシアと対話する」と表明した。

エルドアン大統領はまた「トルコ軍はイドリブ県での軍事作戦を停止することはない…。これまでと同じ決意をもって継続する」と付言した。

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トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣は記者会見で、イドリブ県に進入したトルコ軍部隊をシリア軍が砲撃し、多数が死傷したことに関して、シリア軍の攻撃を止めさせる責任はロシアにあると述べた。

チャヴシュオール外務大臣は「トルコ政府は、イドリブ県でトルコ軍が攻撃を受けて手をこまねいている訳ではない…。我々は報復したし、攻撃が繰り返されれば報復を続ける」と述べた。

また「トルコはイドリブ県での戦闘を停止させるためにロシアとともに行動している…。アサド政権の軽率な行動を止めさせる責任はロシアが追っている」と付言した。

アナトリア通信(2月4日付)が伝えた。

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なお、米国務省と英国のアンドリュー・モリソン国務大臣はそれぞれ声明を出し、トルコへの支持を表明するとともに、シリア・ロシア軍に戦闘停止を求めている。

AFP, February 4, 2020、Anadolu Ajansı, February 4, 2020、ANHA, February 4, 2020、AP, February 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 4, 2020、Reuters, February 4, 2020、SANA, February 4, 2020、SOHR, February 4, 2020、UPI, February 4, 2020などをもとに作成。

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イラク国境地帯に近づこうとしたロシア軍部隊の進行を米軍が再び阻止(2020年2月4日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、スィーマルカー国境通行所と県北東部のダイリーク(マーリキーヤ)市方面に向かっていたロシア軍部隊が、マアバダ(カルキールキー)町で米軍によって進行を阻止された。

アナトリア通信(2月4日付)によると、米軍に進行を阻止されたロシア軍部隊は装甲車4輌からなり、早朝にアームーダー市を出発、ルマイラーン油田方面に向かっていたという。

AFP, February 4, 2020、Anadolu Ajansı, February 4, 2020、ANHA, February 4, 2020、AP, February 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 4, 2020、Reuters, February 4, 2020、SANA, February 4, 2020、SOHR, February 4, 2020、UPI, February 4, 2020などをもとに作成。

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トルコがリビアに派遣したシリア人戦闘員(自由シリア軍)が4,700人に達する(2020年2月4日)

シリア人権監視団は、トルコによってリビアの首都トリポリに派遣されたシリア人戦闘員(国民軍戦闘員)の数が4,700人に達していると発表した。

トルコ占領下のアレッポ県北部に設置されている教練キャンプでは1,800人が現在もリビアへの派遣に向けた訓練を受けているという。

リビアに派遣されているのは国民軍に所属するムウタスィム旅団、スルターン・ムラード師団、北部の鷹旅団、ハムザ師団、シャーム軍団、スライマーン・シャー師団、サマルカンド旅団の戦闘員。

また、リビアに派遣された後、首都トリポリ市近郊での戦闘で死亡下戦闘員は80人に達しているという。

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また、ANHA(2月4日付)は、トルコ軍がアレッポ県アフリーン郡で活動する国民軍の戦闘員をシリア・ロシア軍の攻撃が続くイドリブ県やアレッポ県西部郊外に派遣する一方で、リビアにも戦闘員を派遣していると伝えた。

同サイトによると、ジンディールス町一帯で活動するシャームの民連合、ヌールッディーン・ザンキー運動の戦闘員をリビアに派遣されているという。

AFP, February 4, 2020、ANHA, February 4, 2020、AP, February 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 4, 2020、Reuters, February 4, 2020、SANA, February 4, 2020、SOHR, February 4, 2020、UPI, February 4, 2020などをもとに作成。

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シリア軍地上部隊はアレッポ市西部郊外に新設されたトルコ軍監視所一帯を砲撃、ハマー県に残されているトルコ軍監視所一帯から反体制派がシリア軍拠点を砲撃(2020年2月4日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がハーン・トゥーマーン村近郊のM5高速道路沿線に新たに設置されたトルコ軍開始所一帯を砲撃した。

この砲撃と前後して、トルコ軍戦闘機複数機が国境地帯に飛来したという。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シール・マガール村のトルコ軍拠点一帯に残留する反体制武装集団がジュッブ・ラムラ町一帯、サルハブ市一帯のシリア軍拠点を砲撃した。

AFP, February 4, 2020、ANHA, February 4, 2020、AP, February 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 4, 2020、Reuters, February 4, 2020、SANA, February 4, 2020、SOHR, February 4, 2020、UPI, February 4, 2020などをもとに作成。

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イドリブ県での戦火を避けて避難してきた住民200人以上が北・東シリア自治局支配下のマンビジュ郡に入る(2020年2月4日)

アレッポ県では、ANHA(2月4日付)によると、イドリブ県での戦火を避けて同地から避難してきた住民200人以上が、北・東シリア自治局支配下のマンビジュ郡に入った。

国内避難民(IDPs)は、イドリブ県を去った後、トルコ占領下の県北部(「オリーブの枝」および「ユーフラテスの楯」地域)に入り、アウン・ダーダート村に設置された通行所を通って、北・東シリア自治局支配地域に入った。

AFP, February 4, 2020、ANHA, February 4, 2020、AP, February 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 4, 2020、Reuters, February 4, 2020、SANA, February 4, 2020、SOHR, February 4, 2020、UPI, February 4, 2020などをもとに作成。

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トルコ軍と国民軍は北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊を砲撃、シリア民主軍が応戦(2020年2月4日)

アレッポ県では、ANHA(2月4日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のカシュタアール村に設置されているロシア軍の拠点を砲撃した。

砲撃による被害状況は不明。

ANHAやシリア人権監視団によると、トルコ軍と国民軍はまた、マーリキーヤ村、シャワーリガ村、シャワーリガ砦、マルアナーズ村、スーガーニカ村、アキーバ村、タッル・マディーク村、シャフバー・ダム、ハルバル村、シャイフ・イーサー村を砲撃した。

一方、シリア人権監視団によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がジャラーブルス市近郊のムフスィンリー村を砲撃し、子ども1人が負傷した。

また、マンビジュ市西のサイヤード丘一帯でシリア民主軍と国民軍が交戦した。

さらに、国民軍はトゥーハール村一帯でシリア軍兵士を狙撃し、1人を殺害した。

これに対して、シリア民主軍はトルコ占領下のアフリーン市を砲撃し、住民1人が死亡した。

このほか、アフリーン解放軍団は声明を出し、3日にトルコ占領下のシャッラー村近郊のマリーミーン村、マーリア市で反体制武装集団を攻撃し、戦闘員4人を殺害したと発表した。

AFP, February 4, 2020、ANHA, February 4, 2020、AP, February 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 4, 2020、Reuters, February 4, 2020、SANA, February 4, 2020、SOHR, February 4, 2020、UPI, February 4, 2020などをもとに作成。

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シリア軍はイドリブ県サラーキブ市一帯の20カ村以上を新たに制圧(2020年2月4日)

イドリブ県では、SANA(2月4日付)によると、シリア軍は、サラーキブ市一帯でシャーム解放機構、国民解放戦線(シリア国民軍)との戦闘を続け、M4およびM5高速道路沿線の22カ村を新たに解放した。

マルディーフ村、タッル・マルディーフ村、トゥワイル・タウィール・ハリーブ村、バリーサ村、ハマーダート村、ウンム・シャルシューフ村、タッル・スルターン村、ミンタール村、ハシャーヒーシュ村、ラーキム丘、ラーキム村、ワスィータ丘、ワスィータ村、タウィール山、放棄された大隊基地、ムシャイリファ村、タウィール・シャイフ村、シューハ村、ラアス・アイン村、フィルドゥース丘など。

一方、シリア人権監視団も、シリア軍が反体制武装集団が撤退した20カ村を新たに制圧したと発表した。

20カ村は以下の通り:シャイフ・イドリース村、ブジュガース村、ライヤーン村、タッル・ルンマーン村、バーリーサー村、ハマーマート村、タッル・スルターン村、ウンム・シャルシューフ村、ハシャーヒーシュ村、タッル・イブラーヒーム村、タウィール山、放棄された大隊基地、バリーサ村、ワスィータ村、クワイリス村、タッル・アガル村、ムシャイリファ村、タウィール・ハリーブ村、ラーキム村、ジュダイダト・ハトラ村。

一方、SANAは、反体制武装集団がワスィータ村、ラーキム村、バリーサ村、タッル・アガル村を奪還したとの一部情報を否定した。

SANAはさらに、シリア軍筋の話として、サラーキブ市およびタッル・トゥーカーン村一帯の解放をめざすシリア軍部隊が、同地の住民の脱出を阻止し続ける武装集団に武器の引き渡し投降するよう最後通告を行ったと伝えた。

なお、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がサルミーン市およびその一帯、サラーキブ市一帯、アリーハー市、ムサイビーン村などを、シリア軍戦闘機がナイラブ村、サルミーン市を、ヘリコプターが同地一帯を爆撃した。

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アレッポ県では、SANA(2月4日付)によると、シリア軍がアレッポ市西部・南部郊外のザフラー協会地区、ラーシディーン第4地区、カースティールー地区、ライラムーン地区、ハーン・アサル村、ズィルバ村で活動を続けるシャーム解放機構などの反体制武装集団に対して重点的な砲撃を行った。

一方、ANHA(2月4日付)は、トルコ軍がアレッポ県アフリーン郡で活動する国民軍の戦闘員をシリア・ロシア軍の攻撃が続くイドリブ県やアレッポ県西部郊外への派遣を続けていると伝えた。

同サイトによると、トルコ軍はまた、アフリーン市やジンディールスなどで活動するサマルカンド大隊の戦闘員ら数十人をアレッポ市西部郊外に派遣したという。

また、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がM5高速道路沿線一帯を爆撃した。

他方、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団がシリア軍との戦闘の末、カルアジーヤ村、ハミーラ村を奪還した。

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シリア人権監視団によると、一連の戦闘でシリア軍兵士19人、反体制武装集団26人が死亡した。

これにより、1月24日以降の死者数は、シリア軍347人、「イランの民兵」の外国人戦闘員10人、反体制武装集団戦闘員368人となった。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を27件(イドリブ県8件、ラタキア県12件、アレッポ県1件、ハマー県6件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を27件(イドリブ県8件、ラタキア県12件、アレッポ県1件、ハマー県6件)確認した。

AFP, February 4, 2020、ANHA, February 4, 2020、AP, February 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 4, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, February 4, 2020、Reuters, February 4, 2020、SANA, February 4, 2020、SOHR, February 4, 2020、UPI, February 4, 2020などをもとに作成。

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ロシアのラヴロフ外務大臣「トルコは反体制派とヌスラ戦線を分けるという取り組みを履行できていない」(2020年2月4日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は記者会見で、イドリブ県に進入したトルコ軍部隊をシリア軍が砲撃し、多数が死傷したことに関して、「遺憾ながら、現段階で、トルコ側はイドリブ県の問題を根本的に解決するための取り組みの一部を遵守できていない」と批判した。

ラブロフ外務大臣は「トルコは、政治プロセスの一環として、トルコに協力し、シリア政府と対話する準備があるシリアの武装反体制諸派を、ヌスラ戦線(シャーム解放機構)と分けることができていない」としたうえで、「トルコ軍がイドリブ県に展開し、シリア軍と交戦しているとの情報があり、我々は事態を中止している」と付言した。

一方、3日のシリア軍によるトルコ軍への砲撃については「トルコ軍はイドリブ県の緊張緩和地帯内の拠点複数カ所に事前通告なく入ったため、我々はシリア軍にそのことを通知できなかった。そのために(シリア軍による)砲撃が行われ、それに対する(トルコ軍の)報復が行われた」と述べた。

RT(2月4日付)が伝えた。

AFP, February 4, 2020、ANHA, February 4, 2020、AP, February 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, February 4, 2020、Reuters, February 4, 2020、RT, February 4, 2020、SANA, February 4, 2020、SOHR, February 4, 2020、UPI, February 4, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:650人の難民が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は543,737人に(2020年2月4日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(2月4日付)を公開し、2月3日に難民650人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは173人(うち女性52人、子供88人)、ヨルダンから帰国したのは477人(うち女性143人、子供243人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は543,737人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者172,244人(うち女性52,067人、子ども88,139人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者371,493人(うち女性111,491人、子ども189,453人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,569,742人(うち女性1,970,923人、子供3,350,568人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 773,017人(うち女性232,216人、子供394,514人)となった。

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一方、国内避難民3人が新たに帰宅した。

うちダマスカス郊外県東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは3人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所を経由して帰還した3人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は46,980人(うち女性15,044人、子供20,602人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,315,576人(うち女性397,603人、子供664,368人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, February 4, 2020をもとに作成。

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