米トランプ政権はシリアへの制裁を1年延長(2020年5月7日)

米ホワイト・ハウスは声明を出し、「ドナルド・トランプ大統領がアサド政権に対する制裁を1年延長することに同意した」と発表した。

延長されたのは、2003年のシリア問責法に基づいて2004年に発動された制裁。

AFP, May 8, 2020、ANHA, May 8, 2020、AP, May 8, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 8, 2020、Reuters, May 8, 2020、SANA, May 8, 2020、SOHR, May 8, 2020、UPI, May 8, 2020などをもとに作成。

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ジェフリー米国務省シリア問題担当特使「マフルーフ氏とアサド大統領の対立は特に重要だ」(2020年5月7日)

ジェームズ・ジェフリー米国務省シリア問題担当特使は記者会見で、「ロシアはアサドと共謀し、シリア戦闘員に加えて、おそらくシリア以外の国の戦闘員を装備とともにリビアに派遣している…。戦場はますます複雑さを増している」と批判した。

一方、アサド大統領のいとこでビジネスマンのラーミー・マフルーフ氏が経営に深く関わっているシリアテルやMTNが追徴課税を課せられている問題に関して、次のように述べた。

シリア大統領とマフルーフの対立は、後者がシリア経済を支配していることを踏まえると重要な問題だ…。アサドに近いマフルーフは、シリアを50年にわたり支配しているアラウィー派におけるビッグ・プレーヤーだ。

この対立には2通りの解釈が可能だ。第1は、「最後のわら一本がラクダの背中を折る」というものだ。そうであって欲しい。しかし、実際にそうだったとは考えていない。一方第2は、シリア政府がシリア・ポンドの暴落で大きな経済的圧力に晒されていて、燃料や日常的な食糧品を確保するのが困難になっている、というものだ…。我々はまだ結論に達していないが、21世紀最悪の体制が汚点を暴露しているという点で、前例のない動きだと考えている。

マフルーフとの対立は特に重要だ。なぜなら、シリア政府が、自らの住み処を浄化し、マフルーフのような人物から(粛清を)始めようとすることで、ロシアからの圧力に対応しようとする努力を見て取れるからだ。また、ロシアがこうした人物を支援し、アサドがやっていることに懸念を示しているとのいう噂にも注目している。

AFP, May 8, 2020、ANHA, May 8, 2020、AP, May 8, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 8, 2020、Reuters, May 8, 2020、SANA, May 8, 2020、SOHR, May 8, 2020、UPI, May 8, 2020などをもとに作成。

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英ミドル・イースト・アイ「マフルーフ氏はシリア国内におり、まだ逮捕されていない」(2020年5月7日)

英国のミドル・イースト・アイ(5月7日付)は、アサド大統領のいとこで、自身が経営に深く関与しているシリアテルとMTNが追徴課税を求められて、窮地に立たされているビジネスマンのラーミー・マフルーフ氏が、シリア国内の自身の邸宅の一つにいると伝え、アラブ首長国連邦に滞在しているとの情報を否定した。


同サイトによると、マフルーフ氏は「まだ逮捕されていない」という。

なお、エミレーツ・アフェアーズは昨年末、シリアの複数の情報筋の話として、関税未払いを理由に財務省がマフルーフ氏らの資産を凍結したことを受けて、マフルーフ氏が近くUAEを去る予定だと伝えていた。

AFP, May 7, 2020、ANHA, May 7, 2020、AP, May 7, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 7, 2020、Middle East Eye, May 7, 2020、Reuters, May 7, 2020、SANA, May 7, 2020、SOHR, May 7, 2020、UPI, May 7, 2020などをもとに作成。

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シリア民主軍と有志連合はダーイシュの次期カリフと目されていたアブドゥッラー・カルダーシュ氏をダイル・ザウル県で逮捕(2020年5月7日)

人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍は声明を出し、同軍が米軍主導の有志連合の支援を受けて、ダイル・ザウル県のザッル村で空挺作戦を実施し、ダーイシュ(イスラーム国)の次期カリフと目されていたアブドゥッラー・カルダーシュ氏を拘束したと発表した。

なお、この人物が、ダーイシュ自身がアブー・バクル・バグダーディー氏死後に新カリフに就任したと発表していたアブー・イブラーヒーム・クラシーと同一人物なのかは不明。

AFP, May 7, 2020、ANHA, May 7, 2020、AP, May 7, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 7, 2020、Reuters, May 7, 2020、SANA, May 7, 2020、SOHR, May 7, 2020、UPI, May 7, 2020などをもとに作成。

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ダマスカス郊外県東グータ地方で治安当局がホワイト・ヘルメットの元メンバーら14人を逮捕(2020年5月7日)

サウト・アースィマ(5月7日付)は、ダマスカス郊外県の東グータ地方で5日と6日、治安当局がホワイト・ヘルメットの元メンバーを含む住民多数を新たに逮捕したと伝えた。
同サイトによると、共和国護衛隊のパトロール部隊がアイン・タルマー村でパトロール活動を実施、ホワイト・ヘルメットの元メンバーを含む14人を逮捕したという。

AFP, May 7, 2020、ANHA, May 7, 2020、AP, May 7, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 7, 2020、Reuters, May 7, 2020、SANA, May 7, 2020、Sawt al-‘Asima, May 7, 2020、SOHR, May 7, 2020、UPI, May 7, 2020などをもとに作成。

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トルコ占領下のアフリーン市で国民軍に所属する東部自由人連合とシャーム戦線が交戦(2020年5月7日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ占領下のアフリーン市で国民軍に所属する東部自由人連合が、同じく国民軍に所属するシャーム戦線の士官の自宅(アシュラフィーヤ地区)を襲撃、拘束しようとしたが、シャーム戦線と国民軍憲兵隊が応戦し、戦闘となった。

これを受けて、国民軍に所属するアル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動がジンディールス町一帯に配置していた部隊をアフリーン市に派遣した。
国民軍憲兵隊がアフリーン市内に展開し、厳戒態勢を敷いた。

AFP, May 7, 2020、ANHA, May 7, 2020、AP, May 7, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 7, 2020、Reuters, May 7, 2020、SANA, May 7, 2020、SOHR, May 7, 2020、UPI, May 7, 2020などをもとに作成。

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ダーイシュはヒムス県、ダイル・ザウル県でシリア軍、シリア民主軍を攻撃、13人を殺害(2020年5月7日)

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がスフナ市とダイル・ザウル県シューラー村の間に位置する地域でシリア軍と親政権民兵を襲撃し、士官1人を含む11人を殺害した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が南東部のバーグーズ村で人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の車輌を襲撃し、2人を殺害した。

一方、クーリーヤ市近郊の砂漠では、国防隊の車輌が地雷の爆発に巻き込まれて、2人が死亡した。

AFP, May 7, 2020、ANHA, May 7, 2020、AP, May 7, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 7, 2020、Reuters, May 7, 2020、SANA, May 7, 2020、SOHR, May 7, 2020、UPI, May 7, 2020などをもとに作成。

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トルコ軍がアルーク村の揚水所を再び止水、タッル・アブヤド市近郊を砲撃しシリア民主軍兵士1人を殺害、シリア軍兵士ら3人を負傷させる(2020年5月7日)

ハサカ県では、ANHA(5月7日付)によると、ラアス・アイン市近郊のアルーク村にある揚水所に駐留するトルコ軍部隊とその支援を受ける国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるハサカ市およびその周辺地域への水道水の供給を停止した。

ANHAによると、トルコ軍と国民軍がアルーク村にある揚水所を止水するのは今回で6回目。

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ラッカ県では、ANHA(5月7日付)によると、トルコ軍がタッル・アブヤド市近郊のアフダクー村を砲撃、シリア軍兵士2人が負傷した。

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、この砲撃により、シリア軍兵士2人が負傷するとともに、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の兵士1人が死亡、1人が負傷したという。

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アレッポ県では、ANHA(5月7日付)によると、ロシア軍とトルコ軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアイン・アラブ(コバネ)市東の国境地帯で合同パトロールを実施した。


AFP, May 7, 2020、ANHA, May 7, 2020、AP, May 7, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 7, 2020、Reuters, May 7, 2020、SANA, May 7, 2020、SOHR, May 7, 2020、UPI, May 7, 2020などをもとに作成。

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アサド大統領は第3期人民議会選挙の投票日を7月19日に延期(2020年5月7日)

アサド大統領は2020年政令第121号を施行し、第3期人民議会選挙の投票日を5月20日から7月19日に延期することを決定した。

人民議会選挙の投票が延期されるのは2回目。

アサド大統領は、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、3月14日に2020年政令第86号を施行し、当初予定されていた投票日を4月13日から5月20日に延期していた。

AFP, May 7, 2020、ANHA, May 7, 2020、AP, May 7, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 7, 2020、Reuters, May 7, 2020、SANA, May 7, 2020、SOHR, May 7, 2020、UPI, May 7, 2020などをもとに作成。

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イドリブ県ではシャーム解放機構がシリア軍を砲撃し、兵士多数死傷(2020年5月7日)

英国を拠点に活動する反体制派系NGOのシリア人権監視団によると、ロシア・トルコ首脳会談で合意された停戦が発効(3月5日深夜)してから63日目となる5月7日、シリア・ロシア軍、トルコ軍の爆撃は確認されなかった。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を確認しなかったと発表した。

トルコ側の監視チームも停戦違反を確認しなかった。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍とトルコ軍がM4高速道路のタルナバ村からアリーハー市近郊に至る区間で合同パトロールを実施した。

パトロールの実施に合わせて、ロシア軍の無人航空機(ドローン)複数機が、バーラ村、アリーハー市、マストゥーマ村などの上空を旋回し、偵察活動を行った。

一方、シャーム解放機構は、ザーウィヤ山地方のカンスフラ村一帯に展開するシリア軍部隊を砲撃し、シリア軍側に複数の死傷者が出た。

ドゥラル・シャーミーヤ(5月7日付)によると、シャーム解放機構はカンスフラ村一帯に潜入しようとしたシリア軍部隊を迎撃し、兵士らを殺傷したという。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、治安当局がムサーラマ家の青年を逮捕したことに抗議するデモがダルアー市内で発生した。

デモ参加者は、ダルアー市ダルアー・バラド地区とマハッタ地区を結ぶ街道を、タイヤを燃やすなどして封鎖した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、バイト・ジン村で何者かがシリア軍第4師団の兵士を襲撃、殺害した。

AFP, May 7, 2020、ANHA, May 7, 2020、AP, May 7, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 7, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, May 7, 2020、Reuters, May 7, 2020、SANA, May 7, 2020、SOHR, May 7, 2020、UPI, May 7, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民・国内避難民(IDPs)の帰還なし(2020年5月7日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(5月7日付)を公開し、5月6日に帰還した難民はいなかったと発表した。

2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は578,773人。

内訳は、レバノンからの帰還者183,525人(うち女性55,198人、子ども93,447人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,711,790人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は808,053人(うち女性242,474人、子供411,938人)。

CENTCOM, May 7, 2020をもとに作成。

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