アサド大統領のいとこリーバール・アサド氏は大統領とマフルーフ氏の対立解消のため、父であるリフアト・アサド元副大統領の帰国を求める(2020年5月11日)

アサド大統領のおじのリフアト・アサド元副大統領の子息の一人で反体制活動家のリーバール・アサド氏はフェイスブック(5月11日付)のアカウントで、アサド大統領に向けてラーミー・マフルーフ氏との不仲に代表される政権内部の危機を回避するための策を提言した。

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1615404181950112&set=a.510205305803344&type=3&theater

リーバール氏は「あらゆるレベルでこの惨憺たる危機から脱却するための策は、リフアトが提起した和平イニシアチブを政権指導者が受け入れる以外にない…。手遅れになる前にリフアト・アサドがフランスからシリアに帰国することで、この泥沼からの脱出は保障され、平和と安全に満ちた明るい未来を創ることができる」と述べた。

リフアト・アサド元副大統領のイニシアチブとは、2018年に国連、米国、ロシア、中国、サウジアラビアの監督の下にシリア危機を解決するための国際会議を呼びかけたことを指している。

AFP, May 14, 2020、ANHA, May 14, 2020、AP, May 14, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 14, 2020、Reuters, May 14, 2020、SANA, May 14, 2020、SOHR, May 14, 2020、UPI, May 14, 2020などをもとに作成。

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シャーム解放機構がイドリブ県で「勧善懲悪委員会」の活動を再開(2020年5月11日)

シャーム・ネット(5月11日付)は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構に所属する宗教警察の「サワーイド・ハイル」(善なる腕)のメンバーが、イドリブ市内で活動を本格的に再開したと伝えた。

活動を再開したメンバーは「ファラーフ(繁栄)・センター」を名乗り、シャーム解放機構の治安部隊の全面支援を受けて、市場、市街地、理髪店、水タバコ屋、婦人服店などで監視・取り締まり活動を行っているという。

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シリア人権監視団が入手した活動項目にかかる文書のコピーには、ファッラーフ・センターが以下のような行為の監視にあたることが列記されているという。

1. レストラン、オフィスなどでの男女の同席を阻止する。
2. 不浄な女性が店舗内で店主との一緒にいることを阻止する。
3. 男性による婦人服の販売を阻止する。
4. 式場や遊技場を監視し、禁止行為を阻止する。
5. 街、店舗、レストラン内で水タバコを吸い歓談するこを阻止する。
6. 猥褻な刈り上げの禁止と理髪師への厳罰。
7. ハラスメント、軽率な嫌がらせ、学校やオフィス前での待ち伏せを禁止する。
8. 店舗などでの禁止行為や写真・絵を禁止する。
9. 教育機関での男女生徒の同席を禁止する。

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なお、「勧善懲悪委員会」とも称されたサワーイド・ハイルは、サウジアラビア人やシリア人の男女から構成され、2017年半ば頃から活動を開始した。

だが、たびたび住民の反発に遭っていた。

2017年6月には、イドリブ市内の市場でサワーイド・ハイルの女性説教師が行っていた「説教」を少女たちが拒むと、シャーム解放機構が少女たちを戦闘員として徴用するとしたうえで、彼女らを侮辱、逮捕、また説教師らを救済すると銘打って、彼女らにシャリーア法廷で処罰を与えることを求めるデモを組織した。

2018年2月には、サワーイド・ハイルのメンバーがイドリブ市内にあるピタゴラス専門学校に、男女が同席していたとして強制的に立ち入り、教員の1人に暴行を加え、経営者にシャリーアへの違反があったことを認める文書に署名を強要した。

サワーイド・ハイルはまた、市内のウルーバ女子学校にも同様の理由で強制的に立ち入り、学校を封鎖した。

これに対して、閉鎖を不服とする教員や女子生徒が、学校前で拒否する抗議デモを行ったが、シャーム解放機構が実弾を使用してこれを強制排除、その際に住民1人が負傷した。

また、病院や医療機関への行き過ぎた介入に対しても反発が高まり、医師、薬剤師、医療機関従事者が、イドリブ市以内の医療機関へのサワーイド・ハイルの立ち入りを拒否する声明を出していた。

AFP, May 11, 2020、ANHA, May 11, 2020、AP, May 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 11, 2020、Reuters, May 11, 2020、SANA, May 11, 2020、SNN, May 11, 2020、SOHR, May 11, 2020、UPI, May 11, 2020などをもとに作成。

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アサド大統領のおじでビジネスマンのムハンマド・マフルーフ氏が息子と大統領を仲裁するためにモスクワから帰国(2020年5月11日)

サウジアラビア日刊紙『ウカーズ』(5月11日付)は、アサド大統領のおじでビジネスマンのムハンマド・マフルーフ氏が滞在先のモスクワから特別機でシリアに帰国したと伝えた。

息子のラーミー・マフルーフ氏とアサド大統領の対立を仲裁し、不仲を解消するのが目的だという。

AFP, May 11, 2020、ANHA, May 11, 2020、AP, May 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 11, 2020、Reuters, May 11, 2020、SANA, May 11, 2020、SOHR, May 11, 2020、‘Ukaz, May 11, 2020、UPI, May 11, 2020などをもとに作成。

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トルコがリビアに派遣したシリア人傭兵(国民軍戦闘員)11人が戦闘で新たに死亡(2020年5月11日)

シリア人権監視団は、トルコがリビアに派遣したシリア人傭兵(国民軍戦闘員)11人が、ハリーファ・ハフタル将軍率いるリビア国民軍との戦闘で新たに死亡したと発表した。

これにより、リビアでの戦闘で死亡したシリア人傭兵(ムウタスィム旅団、スルターン・ムラード師団、北の鷹旅団、ハムザート師団、スライマーン・シャー師団)の数は279人となった。

なお、リビアに派遣されたシリア人傭兵の数は約8,510人、トルコがシリア領内に設置しているキャンプで、派遣に向けて教練を受けている傭兵は約3,450人に達しているという。

AFP, May 11, 2020、ANHA, May 11, 2020、AP, May 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 11, 2020、Reuters, May 11, 2020、SANA, May 11, 2020、SOHR, May 11, 2020、UPI, May 11, 2020などをもとに作成。

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ダーイシュがダイル・ザウル県にあるシリア軍の拠点複数カ所を攻撃(2020年5月11日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がシューラー村、カバージブ村にあるシリア軍の拠点複数カ所を攻撃した。

AFP, May 11, 2020、ANHA, May 11, 2020、AP, May 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 11, 2020、Reuters, May 11, 2020、SANA, May 11, 2020、SOHR, May 11, 2020、UPI, May 11, 2020などをもとに作成。

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シャーム自由人イスラーム運動はフーア市の民家を拠点化するためIDPsを強制退去させる(2020年5月11日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、トルコの支援を受ける国民解放軍(国民軍)に所属するアル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動が、フーア市内の民家を軍事拠点化するため、ヒムス県から避難し、同市の民家に居を構えていた国内避難民(IDPs)の一家を強制退去させた。

フーア市は、隣接するカファルヤー町とともに、政府を支持する12イマーム派信徒が多く暮らしていたが、長年にわたり反体制派の包囲を受け、2018年までに全住民が政府支配地域に避難していた。

AFP, May 11, 2020、ANHA, May 11, 2020、AP, May 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 11, 2020、Reuters, May 11, 2020、SANA, May 11, 2020、SOHR, May 11, 2020、UPI, May 11, 2020などをもとに作成。

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トルコ占領下のアアザーズ市でIDPsがシリア軍撤退と帰還を求めてデモ(2020年5月11日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ占領下のアアザーズ市で、イドリブ県マアッラト・ヌウマーン市および同市周辺地域からの国内避難民(IDPs)数十人が、シリア軍の同市一帯地域からの撤退と帰還を訴えるデモを行った。

AFP, May 11, 2020、ANHA, May 11, 2020、AP, May 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 11, 2020、Reuters, May 11, 2020、SANA, May 11, 2020、SOHR, May 11, 2020、UPI, May 11, 2020などをもとに作成。

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北・東シリア自治局は外出禁止措置をイード・アル=フィトルの祝日が終了するまで延長(2020年5月11日)

北・東シリア自治局(ビーリーファーン・ハーリド、アブドゥルハーミド・マフバーシュ執行評議会共同議長)は決定第42号を発出し、新型コロナウイルス感染症対策として継続している部分的な外出禁止措置を5月12日からイード・アル=フィトルの祝日が終了するまで延長することを決定した。

AFP, May 11, 2020、ANHA, May 11, 2020、AP, May 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 11, 2020、Reuters, May 11, 2020、SANA, May 11, 2020、SOHR, May 11, 2020、UPI, May 11, 2020などをもとに作成。

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アサド大統領はタラール・バラーズィー・ヒムス県知事を国内通商消費者保護大臣に任命(2020年5月11日)

アサド大統領は2020年政令第122号を施行し、アーティフ・ナッダーフ国内通商消費者保護大臣(人民議会議員)を解任し、政令第123号を施行し、タラール・バラーズィー氏を国内通商消費者保護大臣に任命、同氏ヒムス県知事職を解いた。

SANA(5月11日付)が伝えた。

AFP, May 11, 2020、ANHA, May 11, 2020、AP, May 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 11, 2020、Reuters, May 11, 2020、SANA, May 11, 2020、SOHR, May 11, 2020、UPI, May 11, 2020などをもとに作成。

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ロシア軍とトルコ軍がハカサ県北東部国境地帯で合同パトロール(2020年5月11日)

ハサカ県では、ANHA(5月11日付)によると、ロシア軍とトルコ軍がダルバースィーヤ市、アブー・ラースィーン(ザルカーン)町西方の国境地帯で合同パトロールを実施した。

AFP, May 11, 2020、ANHA, May 11, 2020、AP, May 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 11, 2020、Reuters, May 11, 2020、SANA, May 11, 2020、SOHR, May 11, 2020、UPI, May 11, 2020などをもとに作成。

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シリア軍は前日に奪われたハマー県北部のタンジャラ村、マナーラ村を奪還(2020年5月11日)

英国を拠点に活動する反体制派系NGOのシリア人権監視団によると、ロシア・トルコ首脳会談で合意された停戦が発効(3月5日深夜)してから67日目となる5月11日、シリア・ロシア軍、トルコ軍の爆撃は確認されなかった。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を3件(イドリブ県1件、ラタキア県1件、アレッポ県1件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を10件(場所は明示せず)確認した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が新興のアル=カーイダ系組織からなる「信者を煽れ」作戦司令室との激しい戦闘の末、10日に奪われていたガーブ平原のタンジャラ村、マナーラ村を奪還した。

2日におよぶ戦闘では、シリア軍兵士36人、「信者を煽れ」作戦司令室戦闘員19人が死亡した。

これに関して、シリア軍筋は、SANA(5月11日付)に対して、シリア軍部隊がタンジャラ村にある「テロ・グループ」の拠点を攻撃し、大打撃を与えたことを明らかにした。

同筋によると、10日午前、フッラース・ディーン機構とトルキスタン・イスラーム党からなる「テロ・グループ」がタンジャラ村のシリア軍拠点を襲撃、これを制圧したが、シリア軍が直ちに応戦し、拠点を奪還したという。

一方、シリア軍は、ザーウィヤ山地方のフライフィル村一帯で塹壕を掘削していたシャーム解放機構の重機を攻撃した。

これにより、シャーム解放機構のメンバー2人が負傷したという。

また、ジスル・シュグール市近郊にあるシャーム解放機構の検問所が正体不明の武装集団の襲撃を受け、戦闘となった。

このほか、トルコ軍は、兵站物資などを積んだ車輌約55輌をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に二度に分けて新たに進入させた。

AFP, May 11, 2020、ANHA, May 11, 2020、AP, May 11, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 11, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, May 11, 2020、Reuters, May 11, 2020、SANA, May 11, 2020、SOHR, May 11, 2020、UPI, May 11, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民・国内避難民(IDPs)の帰還なし(2020年5月11日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(5月11日付)を公開し、5月10日に帰還した難民はいなかったと発表した。

2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は579,123人。

内訳は、レバノンからの帰還者183,875人(うち女性55,298人、子ども93,497人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,711,790人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は808,053人(うち女性242,474人、子供411,938人)。

Ministry of Defence of the Russian Federation, May 11, 2020をもとに作成。

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