2013年10月4日のシリア情勢

反体制勢力の動き

自由シリア軍参謀委員会(最高軍事評議会)は会合を開き、シリア国内の戦況や活動方針などについて協議・確認した。

シリア革命反体制勢力国民連立によると、この会合には、サリーム・イドリース参謀長以下、参謀委員会メンバー30人が出席、シリア革命反体制勢力国民連立が代表するシリア革命の政治的文民的指導部」と連携することが重要だとの点を確認した。

会合に先立って、自由シリア軍参謀委員会とシリア革命反体制勢力国民連立は合同会合を開いていた。

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シリア革命反体制勢力国民連立に属す有識者らが共同声明を出し、「アサド大統領と政権幹部の退任なくして、シリア政府といかなる会合、対話もなし」と主唱、連立にジュネーブ2会議への不参加を求めた。

共同声明には、アブドゥッラッザーク・イード氏、カマール・ルブワーニー氏(連立)、ファウワーズ・タッルー氏、ムヒーッディーン・ラーズカーニー氏(作家)、ファラジュ・ビールクダール氏(詩人)、バッサーム・イマード氏(元大使)、アリー・ドゥユーブ(記者)らが署名した。

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クッルナー・シュラカー(10月5日付)は、ダマスカス郊外県東グータ地方の「解放区」で活動する反体制政党・政治組織が会合を開き、シリア国内で活動する政治組織、革命組織による新たな政治同盟の結成を準備することを決定・発表したと報じた。

同様の会議は今年1月下旬にも開かれており、その際、「東グータ革命諸勢力国民連合」の名で政治同盟が結成されていたという。

東グータ革命諸勢力国民連合は、ニザール・サマーディー氏を総合調整役(代表)とし、ムンズィル・アブドゥルアール氏、マフムード・シャーキル氏が副調整役を、ハーリド・ウマル氏が書記を務める。

シリア政府の動き

アサド大統領はHalk TV(10月4日付)の単独インタビューに応じた(http://sana.sy/ara/2/2013/10/05/505831.htmhttp://www.halkhaber.tv/video-191)。

SANA, October 4, 2013

SANA, October 4, 2013

アサド大統領の主な発言は以下の通り:

「今日、我々は二つのトルコがあると言える。第1に、これが基礎をなしているのであるが、トルコ国民である…。彼らの立場は明確で…シリアに対する戦争を拒否し、エルドアン政府がシリアでの流血に関与することを拒否するというものだ…。もう一つのより小さい側面は、エルドアンとその政府の一部のメンバーからなるもので、シリアでの流血に完全に関与している。数十万のシリア人の流血の責任は、エルドアンによって代表されているこの政府にある。シリアのインフラを破壊した責任…、地域の安定を破壊した責任もである」。

「真実は、化学兵器を使用したのがテロ集団だということだ。彼らは国連調査団が到着した翌日に化学兵器をしようし、シリアという国家に敵対するようなテロリスト寄りの報告書を作成させようとした」。

「化学兵器の問題はジュネーブ2会議とは異なった問題だ。ジュネーブ2会議は、シリア国内の政治プロセスと関係がある一方で、近隣諸国によるテロリスト潜入阻止、物的支援や武器支援の停止と関係がある。つまり実質的に二つの問題(化学兵器廃棄とジュネーブ2会議)には関係はない」。

「エルドアン首相は狂信的た。トルコはテロリストが国境を通過し、シリア軍と民間人を攻撃することを許している」。

「これらのテロリストは近い将来、トルコに影響をもたらすことになろう。トルコは高い代価を払うことになる」。

「シリア国境、そして一部トルコ国境にいるテロリストは近い勝利、トルコに影響を及ぼすことになろう。トルコは高い代価を払うことになろう。テロをカードのようにポケットのなかに忍ばせ、必要な時に使うということなどあってはならない。なぜならテロは、隙あらば刺してくるサソリのようなものだからだ」。

「憲法が規定する国家の義務とは、国民を守り、テロと戦うことだ。当初から我々は、国民を守り、テロと戦うという決定を行っていた…。しかし細かい点に関して…、常に間違えは起きている。これは当然だ。しかし我々はどのように間違えを評価するのか?結果なくして間違えを評価などできない。危機が終わることなくして、我々は結果を客観的に評価することもできない…。特に危機の初めには、内的な要因もあった。しかし今日、実質的にはシリアの危機の大部分は外的な要因によるものだ。外的な要因があるなか、どのように国内の間違えを評価できるというのか?こうした言説は客観的ではない。それゆえ、我々はこの問題に関して、危機が収束した段階で正確な評価を行う」。

(国外避難民に関して)「我々は何度もこれらの人々にシリアに戻るよう呼びかけてきた」。

「イランはシリア問題だけでなく、ほかの問題において、さらには地域の安定のために、地域において重要な国である」。

「シリアのクルド人はシリアのすべての国民と同様に自衛している。彼らは当初から、テロリストに対して、祖国、そして国家を支持するという断固たる姿勢をとってきた」。

国内の暴力

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ジャワーディーヤ市近郊のサファー村で、民主連合党人民防衛隊が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)、シャームの民のヌスラ戦線と戦い、サラフィー主義戦闘員14人を殲滅した。

Kull-na Shuraka', October 4, 2013

Kull-na Shuraka’, October 4, 2013

この戦闘で、民主連合党の戦闘員4人も死亡した。

一方、SANA(10月4日付)によると、シャッダーディー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、クッルナー・シュラカー(10月4日付)が、タッル・ハルフ市にあるイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とシャームの民のヌスラ戦線の拠点への民主連合党人民防衛隊の砲撃が続くなか、「カブール、ターリバーン」と書かれた車輌10数台が、ダーイシュとヌスラ戦線の援軍としてタッル・ハルフ市内に入ったと報じた。

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ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(10月5日付)によると、複数の反体制武装集団がナースィリーヤ市の「第555武器庫」を戦車で急襲、軍兵士を殺害し、戦車複数輌を捕獲した。

戦闘に参加した武装集団は、アブー・ムーサー・アシュアリー旅団、ウマル・ムフタール旅団、リヤード・サーリヒーン大隊。

またシリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市、ダーライヤー市で、軍と反体制武装集団が交戦、軍が砲撃を加えたほか、ナシャービーヤ町、ビラーリーヤ市を軍が空爆した。

一方、SANA(10月4日付)によると、ザマルカー町、ハラスター市、アルバイン市、ダイル・サルマーン市、カースィミーヤ市、アシュアリー農場、ドゥーマー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、西サムダーニーヤ市周辺で、軍と反体制武装集団が交戦し、軍側が被害を受けた。

これに対して、軍が同市とジャバター・ハシャブ市を砲撃、対する反体制武装集団もタルール・アフマル地方にある軍の拠点を迫撃した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、タファス市、ダーイル町、ダルアー市などで、軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、マヤーディーン市、アシャーラ市を軍が砲撃・空爆する一方、反体制武装集団はダイル・ザウル市を手製の迫撃砲で攻撃した。

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アレッポ県ではシリア人権監視団によると、アレッポ市のアレッポ城周辺、カッラーサ地区で、軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(10月4日付)によると、バービース村、ナッカーリーン村、クワイリス村、ラスム・アッブード村、アルバイド村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、サラーフッディーン地区、アシュラフィーヤ地区、バニー・ザイド地区、カースティールー地区、ライラムーン地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、タフタナーズ市、ビンニシュ市を軍が空爆した。

一方、SANA(10月4日付)によると、サラーキブ市周辺、サルジャ市、ハッルーズ村、アーリヤ村、ジャーヌーディーヤ町、カニーヤ村、カーディリーヤ村、カスタン村、ミシュミシャーン村、タッル・サラムー村、アブー・ズフール航空基地周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(10月4日付)によると、バルザ区、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(10月4日付)によると、ウンム・ダバービール市、サムアリール村、ダール・カビーラ村、カフルラーハー市、キースィーン市、ガースィビーヤ村、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区、クスール地区、カラービース地区、ワーディー・サーイフ地区、サンダ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またタッルカラフ市郊外で、レバノン領から潜入を試みる反体制武装集団を国境警備隊が撃退した。

諸外国の動き

PFLP-GCのタラール・ナージー副書記長は声明を出し、シリアで活動するパレスチナ諸派が「シリアが曝されている陰謀に対抗するため、パレスチナ人民によるシリア支持の姿勢」を強化するための会合を呼びかけることで合意したと発表した。

同声明によると、シリアの紛争は「シリア、バッシャール・アサド大統領だけでなく、我々(パレスチナ人)みなをおとしめることを目的とている」という。

ダマスカス県ヤルムーク区の状況について、ナージー副書記長は、パレスチナ諸派が「平和的にキャンプから武装集団を退去させようとしている」と述べ、「武装集団は依然としてキャンプを占領しており…殺し合っている」ことを認めるとともに、これらの武装集団がキャンプからの退去を拒否していることを明らかにした。

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オーストラリアのスコット・モリソン移民大臣は、UNHCRによるシリア人避難民救済策の一環として、シリア人避難民500人を受け入れると発表した。

UPI(10月4日付)が報じた。

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AFP(10月4日付)、UPI(10月4日付)によると、フランスのドーバー海峡に面する港町カレで、10月2日から港湾施設の一部を占拠していたシリア人避難民約60人を、フランス当局が事実上追放し、避難民はイギリスへ向かった。

地元高官によると、避難民はフランスでの滞在許可を取得しておらず、難民申請も可能だったが、「彼らのフランス滞在を奨励するのではなく、彼らの状況を改善する」ために国外退去処分にしたという。

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サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣は訪問先のイタリアで、エンリコ・レッタ首相と会談、シリア情勢などについて協議した。

AFP, October 4, 2013、al-Hayat, October 5, 2013、Kull-na Shuraka’, October 4, 2013, October 5, 2013、Naharnet,
October 4, 2013、Reuters, October 4, 2013、Rihab News, October 4, 2013、SANA,
October 4, 2013、UPI, October 4, 2013などをもとに作成。

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