ナハールネット(8月15日付)は、内務治安軍総局が、バアルベック・スンナ派自由人旅団のツイッターのアカウントに対してサイバー攻撃を行い「制圧」、アカウント上にレバノン国旗の画像を掲揚したと報じた。
なお、ナハールネット(8月16日付)によると、内務治安軍総局は、これに先立って14日に、バアルベック・スンナ派自由人のツイッターのアカウントを管理していた19歳の青年「H.Sh.H.」を拘束した、とツイッターを通じて発表していた。
しかし、この青年(フサイン・シャーマーン・フサイン氏)の父親だというシャーマーン・フサイン氏は、『ハヤート』(8月16日付)に対し、内務治安軍総局が、ベカーア県バアルベック郡リヤーク村で息子が拘束されたことを認めたうえで、一家がヒズブッラーに近い存在であることを明らかにし、えん罪を主張した。
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ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長はレバノン紛争(2006年)戦勝記念日に合わせてテレビ演説を行った。
演説のなかで、ナスルッラー書記長は、「いわゆるダーイシュは今や、シリアとイラクの広大な地域を制圧し…、殺戮を行い…、(シャームの民の)ヌスラ戦線の戦闘員のような自らに近い人々さえも殺している…。虐殺で主に危害を加えたれているのはスンナ派で、イラクのクルド人、ヤズィード教徒、シーア派、キリスト教徒、トルクメン人に対して容赦ない…。こうしたことはイスラームとは無縁だ」と述べた。
またナスルッラー書記長は「こうした状況は冗談なのか?… 我々はこの脅威の潜在性に築かねばならない…。私は、すべてのレバノン人、イラク人、シリア人、そして湾岸諸国の人々に、宗派主義的不寛容を捨て、この現象がシーア派だけの脅威でないということを訴えたい…。この戦いを宗派対立だなどと考えるべきではない。これはタクフィール主義戦争であり、タクフィール主義に異論を唱える人が標的となっているのだ」と強調した。
さらに「もしヒズブッラーがシリアから撤退したら、危険は無くなるだろうか? (アブー・バクル・)バクダーディー(イスラーム国指導者)の地図からレバノンは外されるだろうか? 撤退することで有益なのか?… (レバノン政府のシリア紛争への)不関与政策がレバノンを守っているとでもいうのか? ダーイシュがシリアを手中に収め、(ベカーア県の)ラーシャイヤーやバアルベック、北部県に至れば、不関与政策が国を守ることになるのか? これは現実的なアプローチと言えるのか? 正しいアプローチなのか?… 国が存在に関わる脅威に直面している時、優先されるべきは、この脅威に立ち向かうことになる」と訴えた。
AFP, August 15, 2014、AP, August 15, 2014、ARA News, August 15, 2014、Champress, August 15, 2014、al-Hayat, August 16, 2014、Kull-na Shuraka’, August 15, 2014、al-Mada Press, August 15, 2014、Naharnet, August 15, 2014、August 16, 2014、NNA, August 15, 2014、Reuters, August 15, 2014、SANA, August 15, 2014、UPI, August 15, 2014などをもとに作成。
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