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国内の暴力
ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市南部、イバーダ市、ザバダーニー市、ヤブルード市などで軍と反体制武装集団が交戦し、軍兵士13人、反体制武装集団戦闘員28人が死亡した。
またハジャル・アスワド市などが軍の砲撃を受けた。
一方、『サウラ』(4月11日付)によると、アーリヤ市、イバーダ市、ムライハ市、スバイナ町、ダーライヤー市、ナブク市などの郊外で、軍が反体制武装集団に対する特殊作戦を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区での軍とサアド・ブン・イバーダ・ハズラジー旅団などの反体制武装集団が交戦した。
一方、『サウラ』(4月11日付)によると、ウマイーイーン消費者総合施設裏で、反体制武装集団が仕掛けた爆弾が爆発し、車3台が被害を受けた。
またジャウバル区で、軍が反体制武装集団に対する特殊作戦を行い、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
SANA(4月10日付)は、ダマスカス県カフルスーサ区の外務在外居住者省の駐車場に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、警官1人が死亡、女性職員1人が負傷したと報じた。
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アレッポ県では、『ハヤート』(4月11日付)によると、軍がシャイフ・マクスード地区東部制圧のための進軍を試み、これにクルド人民兵(民主統一党人民防衛隊)と自由シリア軍が対峙、交戦した。
一方、『サウラ』(4月11日付)によると、ウワイジャ地区、ハンダラート・キャンプ、アナダーン市などで、軍が反体制武装集団と交戦市、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
またアレッポ市では、シャイフ・サイード地区、シャイフ・マクスード地区、カースティールー地区、ライラムーン地区などで、軍が反体制武装集団と交戦市、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
他方、アレッポ市ハナーヌー地区で、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、市民1人が死亡した。
また同市の裁判所にも、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、複数の市民が負傷した。
さらに反体制武装集団は市内の大学寮にもロケット弾を発射したが、死傷者は出なかった。
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ハマー県では、『ハヤート』(4月11日付)によると、反体制武装集団がグルバール軍検問所を車爆弾で攻撃し、複数の兵士を殺害した。
一方、『サウラ』(4月11日付)によると、ジュッブ・ズライク村、ブライディージュ村、バーリド・カリーム村で、軍が反体制武装集団を追撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、軍がタルビーサ市を空爆し、ウンム・シャルシューフ村などで反体制武装集団と交戦した。
一方、『サウラ』(4月11日付)によると、ウンム・シャルシューフ村、カフルナーン村、アーバル市、ガントゥー市、ティール・マアッラー市、アクラブ町、キースィーン市、ダブア市、シューマリーヤ市、ハミーディーヤ市、東ブワイダ市で、軍が反体制武装集団を追撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ガブガーブ市、サナマイン市などで、軍が反体制武装集団と交戦し、また軍が両市に加えて、ダーイル町、カフルシャムス町、ウンム・マヤーズィン町などを砲撃した。
一方、『サウラ』(4月11日付)によると、ダルアー市、イズラア市、ガバーギブ町などで、軍が反体制武装集団を追撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、軍がハーン・シャイフーン市を砲撃、またヒーシュ村などで反体制武装集団と交戦した。軍はワーディー・ダイフ軍事基地、ハーミディーヤ航空基地を包囲する反体制武装集団を撃退するために部隊を増援中だという。
一方、『サウラ』(4月11日付)によると、マアッラト・ディブスィー市、マアッラト・ヌウマーン市、キーターン市、ナイラブ村、バザーブール村、マアッラ・ミスリーン市、サラーキブ市、ガッサーニーヤ村などで、軍が反体制武装集団を追撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
またファイルーン市・ブカフルーン市間の街道で反体制武装集団が爆弾を仕掛けた車を爆破し、複数の市民が死傷した。
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ハサカ県では、『サウラ』(4月11日付)によると、ハサカ県のマシュラフィーヤ地区で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
一方、クッルナー・シュラカー(4月10日付)は、ハサカ県ラアス・アイン市の市街地などで停戦合意に違反するかたちで兵力を増強する動きを見せていた自由シリア軍とシャームの民のヌスラ戦線(イラク・シャーム・イスラーム国)が撤退したと報じた。
同報道によると、この増強を受け、民主統一党人民防衛隊も停戦合意に違反するかたちで兵力を増強していたという。
このほか、ハサカ市で親政権の統一アラブ連合と民主統一党人民防衛隊の代表が9日のナースィル地区での衝突を収拾するため、市内の人民防衛隊検問所で会談し、事件再発防止、検問所以外での民兵・部隊の撤退、拘束者の釈放を合意、和解した、とクルドオンライン(4月11日付)が報じた。
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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市のアティーク地区で軍が市民らを無差別に拘束した。
反体制勢力の動き
シリア革命合同軍事司令部が声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立のガッサーン・ヒートゥー暫定政府首班に関して、「シリアとシリア国民を、シリア社会から排除された一集団の計略が頓挫する場とすることを断固として拒否する」との意思を示し、シリア・ムスリム同胞団がほかの反体制組織を排除したかたちで選出したヒートゥーを承認しないと宣言した。
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シリア革命反体制勢力国民連立の使節団は、G8外相会議に出席するためロンドンを訪問中のジョン・ケリー米国務長官ら西側各国の外務大臣と会談した。
使節団は、ムスタファー・サッバーグ事務局長、スハイル・アタースィー副議長、シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー議長ら。
レバノンの動き
マヤーディーン・チャンネル(4月10日付)などは、ベイルート港の税関当局がシリアの反体制武装集団に供与されようとしていた通信機器を押収した、と報じた。
OTV(4月10日付)によると、マジュダル・アンジャル出身の住民が中国から通信機器4,400台を輸入したという。
4月7日にも、レバノンの軍当局が、レバノン山地県シューフ郡アイン・ズハルター市で武器の違法な取引を摘発している。
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NNA(4月10日付)は、ベカーア県バアルベック郡アルサール市に近いアジュラム地方のワーディー・フマイド地区に向けて、シリア軍ヘリコプターがミサイル5発を撃ったと報じた。
また北部県アッカール郡ザハビーヤ村、カワーシラ村でもシリア領から撃たれた迫撃砲弾が着弾し、被害が出たという。
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NNA(4月10日付)などレバノンの複数のメディアによると、ベイルート県南部郊外のスィルム地区で、シャームの民のヌスラ戦線(イラク・シャーム・イスラーム戦線)の署名が入ったメッセージが添えられた爆弾が発見された。
メッセージには「バッシャールを倒そう」と書かれていたという。
レバノンの声(4月10日付)によると、爆弾はヒズブッラーの爆弾処理チームによって撤去された。
諸外国の動き
国連の対リビア制裁委員会(安保理決議1973号)の専門家チームは、リビアの武器拡散などに関する112ページからなる報告書を安保理に回付し、同国の武器・装備や戦闘員がトルコやレバノン北部を通じてシリアに大量に流入していると指摘した。
同報告書によると、リビアの武器は、シリア、ガザ地区、エジプト(シナイ半島)などに流入、とりわけシリアへは「リビア人戦闘員の主要な目的地となっており、個人的、ないしはシリアの反体制勢力を支援するネットワークを通じて、(反体制武装集団の)旅団に加わっている」という。
また「大量の軍装備品が、トルコ、レバノン北部などさまざまな経路を通じて、リビアからシリアに送られている」としたうえで、その規模を踏まえると、リビアの地元当局がこの事実を認知しているだろうとしている。
シリアに送られた兵器のなかには、携帯式の防空システム、対戦車砲など高度な兵器が含まれているという。
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AFP(4月10日付)などは、ヨルダンのムライジーブ・フフード地方にシリア人避難民を収容するための新たなキャンプを解説したと報じた。
国営の避難民キャンプはザアタリー避難民キャンプに次いで2カ所目。
インマール・ハムード・シリア避難民問題担当報道官によると、ムライジーブ・フフード避難民キャンプはUAEの資金で設置され、5,500人が収容可能だという。
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イラン外務省報道官は、イラク当局によるシリア行きのイラン貨物旅客機の強制着陸と積み荷検査に関して、「国際法の原則、善隣外交の原則に基づく両国関係に反する」と非難した。
UPI(4月10日付)が報じた。
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ヒューマン・ライツ・ウォッチは、シリア情勢に関するレポートで、シリア軍の空爆により民間人に犠牲者が出ていると指摘、非難した。
同レポートは、「現地の活動家」からの情報として、2012年7月以降、軍の空爆で少なくとも4,300人以上が死亡したとしている。
AFP, April 10, 2013, April 11, 2013、Akhbar al-Sharq, April 10, 2013、al-Hayat, April 11, 2013、Kull-na Shuraka’, April 10, 2013、Kurdonline, April 10,
2013, April 11, 2013、al-Mayadeen, April 10, 2013、Naharnet, April 10, 2013、NNA,
April 10, 2013、OTV, April 10, 2013、Reuters, April 10, 2013、al-Thawra, April 11, 2013、UPI, April 10, 2013などをもとに作成。
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