シリア軍はヤルムーク難民キャンプでの戦闘をパレスチナ諸派に「外注」:イスラーム軍はカーブーン地区、バルザ地区でのダーイシュ(イスラーム国)掃討作戦を終了(2015年4月18日)

クッルナー・シュラカー(4月18日付)は、複数の軍消息筋およびパレスチナ消息筋の話として、シリア軍がヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ一帯および周辺地区に対する地上部隊の投入を「拒否」し、PFLP-GC、ファタハ・インティファーダ、パレスチナ人民闘争戦線といった親シリア政府のパレスチナ諸派や、ヤルムーク区とタダームン区の国防隊、軍事情報局の志願者に地上での戦闘を委ねた、と伝えた。

シリア軍の同地での軍事作戦は、空爆、砲撃に限定されるという。

またPFLP-GCのアンワル・ラジャー報道官は、シリア政府が、レバノンからヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ一帯へのパレスチナ人民兵の派遣と戦闘参加を推し進めようとしていることを明らかにした。

レバノンから派遣される民兵のなかには、バーティル・ニムル准将(アブー・ラーティブ)が司令官を務めるベイルート・フィダーイー部隊、殉教者ジハード・アフマド・ジブリール大隊、特殊作戦部隊などが含まれており、いずれも市街戦の経験が豊富だという。

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イスラーム軍は声明を出し、ダマスカス県カーブーン区、バルザ区で行っていたダーイシュ(イスラーム国)掃討作戦で、戦闘の末に司令官(アミール)1人を捕捉、17日晩に作戦を終了したと発表した。

クッルナー・シュラカー(4月18日付)によると、イスラーム軍の作戦には第1旅団(自由シリア軍)も参加し、ダーイシュ戦闘員25人以上を殲滅したという。

また戦闘員の一部はイスラーム軍戦闘員と戦闘せず自爆したという。

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シリア人権監視団によると、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ一帯でのダーイシュ(イスラーム国)とジハード主義武装集団の戦闘によりダーイシュ戦闘員3人が死亡した。

ジハード主義武装集団側の死者は不明。

また同地ではダーイシュがジハード主義武装集団の拠点近くに爆弾を仕掛け爆破した。

一歩、『ハヤート』(4月19日付)によると、ダーイシュは、ダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市内(ザイン地区)にある反体制武装集団哨所を爆弾を仕掛けた車で爆破した。

AFP, April 18, 2015、AP, April 18, 2015、ARA News, April 18, 2015、Champress, April 18, 2015、al-Hayat, April 19, 2015、Iraqi News, April 18, 2015、Kull-na Shuraka’, April 18, 2015、al-Mada Press, April 18, 2015、Naharnet, April 18, 2015、NNA, April 18, 2015、Reuters, April 18, 2015、SANA, April 18, 2015、UPI, April 18, 2015などをもとに作成。

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