ダイル・ザウル県では反体制武装勢力がスカッド・ミサイルの基地となっているキバル地点を完全制圧、停戦合意に至った民主統一党とハサカ革命軍事評議会の間で対立が表面化(2013年2月23日)

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国内の暴力

自由シリア軍合同司令部報道官を名のるウマル・アブー・ライラーは、ロイター通信(2月24日付)に対して、2007年にイスラエルが核(疑惑)施設破壊を口実に越境空爆を行ったダイル・ザウル県のキバル地点(キバル村)を反体制武装勢力が完全制圧したと述べた。

アブー・ライラーによると、キバルは、スカッド・ミサイルの基地となっており、政府軍が退却時にそれらを破壊したが、反体制武装勢力はミサイル1基を捕獲したという。

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シリア人権監視団によると、数日にわたる戦闘の末、軍が撤退したのだという。

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ダマスカス郊外県では、SANA(2月23日付)によると、ダーライヤー市、ウタイバ村、マンスーラ村、バフダリーヤ村、ドゥーマー市郊外、ハラスター市郊外、ザマルカー町、アルバイン市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(2月23日付)によると、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺、サルミーン市郊外、ナイラブ村、ハーン・スブル村、ビンニシュ市、イフスィム村、サルジャ村、マアッラトミスリーン市、カフルルーマー村、カフルルーヒーン村、カミーサーン市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(2月23日付)によると、ラスタン市、ザアフラーン市、タッル・ザハブ町、ハウラ地方、カフル・アーヤー村、スルターニーヤ市、ハッバート村、シューマリーヤ村、バイト・ラービア村などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またタッルカラフ市郊外のウユーン・シャアラ地点とウザイル地点で、レバノン領から潜入を試みる反体制武装勢力を軍が撃退した。

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シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラー代表はAFP(2月23日付)に対して、軍が数週間前からアレッポ県アレッポ市東部から進軍を続け、現地にエリート部隊を派遣し、攻撃の準備を行っている、と述べ、地対地ミサイルでの攻撃(22日)が「この進軍の一環」だとの見方を示した。

同じくアレッポ県では、SANA(2月23日付)によると、ナイラブ村、タッル・ハースィル村、タッル・シュガイブ村、カフル・アントゥーン村、タッル・アッジャール村、マンナグ村、マーイル町、ナッカーリーン村などで、軍が反体制武装勢力を攻撃、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、ダウワール・フルワーニーヤ地区、カラム・トゥラーブ地区、旧バーブ街道、バニー・ザイド地区などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(2月23日付)によると、マリク村、バイト・ジャルディー村に潜伏していた反体制武装勢力が略奪品の配分をめぐり衝突、複数の戦闘員が死傷した。

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ハマー県では、SANA(2月23日付)によると、ハマー市のマシャーウ・アルバイーン地区で、軍が反体制武装勢力と交戦、複数の戦闘員を殺傷した。

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(2月23日付)は、ラアス・アイン市で停戦合意に至った民主統一党とハサカ革命軍事評議会(ハサン・アブドゥッラー大佐)の間で、同市の自治評議会の人選をめぐり対立が表面化している、と報じた。

民主統一党は部族の代表らの参加を求めているのに対し、革命軍事評議会は反体制運動に参加した若者らの参加を主張している、という。

国内の動き

SANA(2月23日付)は、ゴラン高原住民がクナイトラ県マジュダル・シャムス村のスルターン・バーシャー・アトラシュ広場で、ダマスカス県サウラ通りでの爆破テロに抗議するデモを行ったと報じた。

レバノンの動き

NNA(2月24日付)は、北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方で、シリア領からザハビーヤ村、ヌーラ村方面に発砲・砲撃があり、レバノン人男性1人が銃弾を受けて死亡したと報じた。

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NNA(2月23日付)はベカーア県ザフレ郡マジュダル・アンジャル市のダマスカス・ベイルート街道を150人の活動家らが封鎖し、シリアへの燃料輸送トラックの通行を阻止しようとしたと報じた。

諸外国の動き

ヴィクトリア・ヌーランド米ホワイトハウス報道官は、アレッポ市のアルド・ハムラー地区とバーブ街道地区に対する地対地ミサイルを「蛮行」と厳しく非難、「アサド体制には正統性はなく、野蛮な力によってのみ支配を維持している」と述べた。

またヌーランド報道官は、「米国は、勇敢なシリア国民が、この体制の指導者を…暫定政府の一員として受け入れることを示す兆候はないと考える」と付言した。

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英国外務省は声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立に対して2月28日にイタリアのローマで開催予定のシリアの友連絡グループへの参加見合わせを再考するよう求めた。

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ロイター通信(2月23日付)は、ドイツとオランダの国防大臣が、両国軍が保有するNATOのパトリオット・ミサイルが配備されたトルコ領内の軍事基地2カ所を視察したと報じた。

AFP, February 23, 2013、Akhbar al-Sharq, February 23, 2013、al-Hayat, February 24, 2013、Kull-na Shuraka’, February 23, 2013、al-Kurdiya News, February 23, 2013、Naharnet, February 23, 2013、NNA, February 23, 2013, February 24, 2013、Reuters, February 23, 2013, February 24, 2013、SANA, February 23, 2013などをもとに作成。

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