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国内の暴力
ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルバイン市、ハムーリーヤ市、バイト・サフム市、ムライハ市、アクラバー村、ザマルカー町などを軍が空爆した。
またダーライヤー市などに対して、軍が砲撃を行った。
一方、SANA(1月21日付)によると、ドゥーマー市、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、バフダリーヤ村などで、軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を実施し、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダマスカス県では、『ハヤート』(1月22日付)によると、20日夜から21日にかけて複数の地区(とりわけ県南部)で大規模な停電が発生した。
シリア人権監視団によると、停電はナブク市の変電所が破壊されたことによるものだという。
これに関して、イマード・ムハンマド・ディーブ・ハミース電力大臣は、武装テロ集団が主要な電力供給ラインを破壊したことで停電が発生し、普及までに若干の時間を要すると発表した。
一方、『ハヤート』(1月22日付)はロシア大使館近くに迫撃砲2発が着弾し、女性3人が死亡したと報じた(未確認情報)。
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ハマー県では、SANA(1月21日付)によると、サラミーヤ市で爆弾が仕掛けられた車が爆発(自爆テロ)し、女性、子供を含む25人が死亡、多数が負傷した。
その後、SANA(1月22日付)は死者が32人に達したと報じた。
この自爆テロに関してシリア人権監視団は、死者は42人で、そのほとんどが自警組織「人民諸委員会」のメンバーだったと発表した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ブスターン・カスル地区で軍の狙撃により5人が死亡、カラム・ジャバル地区では軍と反体制武装勢力が交戦した。
一方、SANA(1月21日付)によると、ハーン・アサル市、アターリブ市、ダイル・ジャマール村、タッル・シュガイブ村、ダール・イッザ市などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。
またアレッポ市では、シャイフ・サイード地区、ブスターン・カスル地区、サーフーラ地区、ライラムーン地区などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、タドムル市とダマスカス県を結ぶ街道で軍と反体制武装勢力が激しく交戦し、軍の士官1人が死亡、多数の兵士が死傷したという。
一方、SANA(1月21日付)によると、タルビーサ市、タッルドゥー市、ラスタン市、ガントゥー市、東ブワイダ市、タッル・ウンム・サフル村などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。
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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、タブカ市への軍ヘリコプターの攻撃で、女性2人、子供3人を含む市民8人が死亡した。
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ダルアー県では、SANA(1月21日付)によると、反体制武装勢力がナワー市の学校を襲撃、施設を破壊した。
国内の動き(シリア政府の動き)
『ワタン』(1月21日付)は、国内通商消費者保護省がガソリン、小麦、小麦粉の公定価格を引き上げることを決定したと報じた。
この決定により、高オクタン価ガソリンは1リットルあたり60ポンドから95ポンドに、小麦粉は1トンあたり33,515ポンドから34,685ポンドに、硬質小麦は1トンあたり26,155ポンドから27,460ポンドに、軟質小麦は25,650ポンドから26,949ポンドに引き上げられる。
反体制勢力の動き
シリア革命反体制勢力国民連立は、イスタンブールで1月16日から続けられていた大会を移行期政府発足の目処が立たないままに閉幕した。
これに関して、『ハヤート』(1月22日付)は、組閣の延期の背景に、在外活動家の資金不足にあると報じた。
同紙が、複数の消息筋の話として報じたところによると、大会での移行期政府をめぐる審議では、その権能をめぐって意見の対立が生じ、アフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長が会議の途中(1月20~21日)にカタールに財政支援を求めるためにイスタンブールを去ったことで、議事の進行が滞った。
また同紙によると、反体制活動家のルワイユ・サーフィーは、ハティーブ議長がカタールで反体制武装勢力への追加の財政支援を求めたとしたうえで、「この訪問は、移行期政府発足の決定によい結果をもたらすだろう。なぜならシリア革命反体制勢力国民連立の各当事者は、連立を支援する国際基金が設立されるまではこうした内閣の発足に合意しないからだ」と述べた。
さらにサーフィーは、「資金なしで、我々はどのように国を支配することができようか?組閣する場合、我々は、政府の支配を脱した…シリア北部の地域に戻り、シリア国内で活動しなければならない。資金なしにどのように戻るのか」と付言した。
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シリア国民評議会が出した声明によると、大会での移行期政府発足をめぐる審議では、革命諸勢力、反体制勢力、自由シリア軍、友好国との協議を通じて、暫定内閣発足に関する見解を聴取するための委員会の設置を決定した。
この委員会は、アフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長、ジョルジュ・サブラー・シリア国民評議会事務局長、アフマド・サイイド・ユースフ、ブルハーン・ガルユーン、アフマド・アースィー・ジャルバー、ムスタファー・サッバーグから構成され、10日以内に連立の総合委員会に報告を提出し、連立はこの報告にふさわしい措置を講じる予定だという。
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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、イスタンブールでの大会で移行期政府の発足が先送りとなったことを受け、同内閣が将来的にその活動を引き継ぐことになる7つの委員会の設置を決定したと発表した。
7つの委員会とは、外交緊急委員会、電話・インターネット通信委員会、国境管理委員会、ラアス・アイン危機管理委員会、避難民問題委員会、革命負傷者委員会、革命諸勢力市民平和連絡委員会。
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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、ハサカ県ラアス・アイン市での民主統一党人民防衛隊と自由シリア軍の戦闘に関して、すべての当事者に停戦を呼びかけるとともに、イスタンブールの大会で設置が決定されたラアス・アイン危機管理委員会のメンバーを発表した。
同声明によると、ラアス・アイン危機管理委員会メンバーは、サーリム・ムサッリト、アブドゥルバースィト・スィーダー、バフザード・イブラーヒーム、アブドゥルアフマド・イスティーフー、ムハンマド・ムッラー、ヤースィル・ファルハーン、スブヒー・ダーウードからなる。
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シリア革命反体制勢力国民連立はイスタンブールでの大会(約60人が出席)の閉幕声明で、国連に対してシリア政府への人道支援の停止を求める外交努力を行うと発表した。
また移行期政府発足に関して、「解放区の市民の問題に対処する暫定政府発足の問題を議論し、国内情勢、国際情勢が暫定政府の早急な発足を必要としているとのコンセンサスに達した」と発表し、組閣が失敗したことを暗に認めた。
諸外国の動き
アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長はアラブ経済サミット出席のため訪問したリヤードで、「アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が行ったすべての折衝は、この危機を緩和し、移行期を開始するためのいかなる希望の光ももたらしていないと認めざるを得ない」と述べた。
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AFP(1月21日付)は、トルコのハタイ県イスケンデルン市の港に、ドイツ軍が保有するパトリオット・ミサイルがNATOでの決定に従い、陸揚げされた、と報じた。
AFP, January 21, 2013、Akhbar al-Sharq, January 21, 2013、al-Hayat, January 22, 2013, January 23, 2012、Kull-na Shuraka’, January 21, 2013,
January 22, 2013、al-Kurdiya News, January 21, 2013、Naharnet, January 21,
2013、Reuters, January 21, 2013、SANA, January 21, 2013, January 22, 2013、al-Watan, January 21, 2012などをもとに作成。
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