『ハヤート』(2月10日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立が、アサド政権とイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が結託し、協力関係にあることを示す証拠や証言をまとめた「体制とダーイシュの関係」と題した覚書を作成したと報じた。
覚書によると、「自由シリア軍が1月3日にダーイシュに宣戦を布告し、その拠点の多くを制圧した結果、アサド政権とダーイシュの関係に関して広く考えられてきたことを確認するような文書が発見された」という。
また覚書は、政府軍がダーイシュ戦闘員を保護支援するとした「自由シリア軍」戦闘員の証言、「穏健な反体制勢力を破壊する」という目的の実現に向けて両者が協力していることを示す証拠などから、こうした結論に至ったのだという。
さらに覚書は、ラッカ市やヒムス県郊外での軍の空爆・砲撃に関して、同市内の自由シリア軍の拠点に対して軍は低空で激しい攻撃を加えたのに対し、ダーイシュの拠点にはまったく攻撃はしなかったと断じている。
そのうえで、覚書は、政権とダーイシュの関係が「融合」段階へと至っていると主張、ムハンナド・ジュナイディー氏に代表されるダーイシュのアミールらは軍の士官で、イラク戦争中、アサド政権に協力していたと断じる一方、「自由シリア軍」が制圧したダーイシュの拠点から、シリアの治安機関のID、イランへの入国ビザが押されたパスポート、イランの携帯電話のカードなどが押収されたことを明らかにした。
結論において、覚書は、シリア政府が「シリア革命を力尽くで破壊しようとして、ダーイシュがシリア国内に入る…ことを許し…、政権がシリア国内でテロと戦っていると国際社会に確信させようとしている」と断じ、締めくくった。
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『ハヤート』(2月10日付)は、複数の反体制筋の話として、エジプトのナビール・ファフミー外務大臣によるシリア革命反体制勢力国民連立と民主的変革諸勢力国民調整委員会の仲介(8日)は、何の結論を得ないまま失敗に終わったと報じた。
同消息筋によると、8日に予定されていた両者の会合に、調整委員会の代表が出席しなかったことで両者の決裂は決定的になったという。
AFP, February 9, 2014、AP, February 9, 2014、Champress, February 9, 2014、al-Hayat, February 10, 2014、Iraqinews.com, February 9, 2014、Kull-na Shuraka’, February 9, 2014、Naharnet, February 9, 2014、NNA, February 9, 2014、Reuters, February 9, 2014、Rihab News, February 9, 2014、SANA, February 9, 2014、UPI, February 9, 2014などをもとに作成。
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