「無所属活動家」を称するターリク・アブー・ムハンマド・アブドゥルハックを名乗る人物は29日、Facebookの自身のアカウント(https://www.facebook.com/tarikcham?fref=ts)を通じて、2015年6月にシリア北部で消息を絶った安田純平氏の画像を公開した。
アブドゥルハック氏のFacebookアカウントの自己紹介欄には「トルコとシリアでジャーナリストや通信社とのフィクサー(فيكسر)として働いています」と書かれ、トルコの国番号で始まる携帯電話番号が付記されている。
また同自己紹介欄によると、「殉教者ワリード・シャアバーン高等学校に在学していました」、「シリア、イドリブ県、ジスル・シュグール市在住」、「既婚」、「シリア、イドリブ県、ジスル・シュグール市出身」とある。
アカウントのバナーには「人民革命」と書かれ、その背景には、干上がった失地と思われる写真と「シリア革命旗」(委任統治時代のシリア国旗)を掲げる少年の写真が使用されている。
アブドゥルハック氏3月半ばにも安田氏の動画を公開している。
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今回公開された画像には、オレンジ色の囚人服を身につけた安田氏が、「助けて ください」「これが最後のチャンスです」「安田純平」と書かれた紙を持ち、白い壁を背景に写っている。
3月に公開された画像と同様、メッセージ自体には、安田氏を拉致しているとされるヌスラ戦線からの要求は明示されていない。
だが、シャームの民のヌスラ戦線に近い消息筋(アブドゥルハック氏と思われる)は、ARA News(5月30日付)に対して、「ヌスラ戦線は拘束中の日本人ジャーナリスト安田純平氏を、近く予定されている捕虜交換でダーイシュ(イスラーム国)に引き渡す意思がある」と語っている。
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一方、アーン・チャンネル(5月30日付)は、アブドゥルハック氏の話として、「ヌスラ戦線が要求している身代金額は100万米ドルで、画像公開日から30日間の猶予を与え、もしこの要求に応じなければ、安田氏を捕虜交換でダーイシュに引き渡すことになる」と伝えた。
AFP, May 30, 2016、Akhbar al-An, May 30, 2016、AP, May 30, 2016、ARA News, May 30, 2016、Champress, May 30, 2016、al-Hayat, May 31, 2016、Iraqi News, May 30, 2016、Kull-na Shuraka’, May 30, 2016、al-Mada Press, May 30, 2016、Naharnet, May 30, 2016、NNA, May 30, 2016、Reuters, May 30, 2016、SANA, May 30, 2016、UPI, May 30, 2016などをもとに作成。
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