ダーイシュの攻勢を受けるアレッポ県北西部で戦うシャーム戦線は、避難経路の確保や食用支援に協力的な西クルディスタン移行期民政局が支配するアレッポ市シャイフ・マクスード地区への攻撃を続ける反体制武装集団に攻撃停止を呼びかける(2016年5月30日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市シャイフ・マクスード地区一帯では西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がジハード主義武装集団と交戦、反体制武装集団による迫撃砲攻撃で子供3人を含む9人が死亡、人民防衛隊隊員3人も戦死した。

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アレッポ県では、県北西部のトルコ国境地帯に位置するマーリア市一帯でダーイシュ(イスラーム国)と戦闘中のシャーム戦線(アブー・ワリード・マーリイー司令官)が、シャイフ・マクスード地区を攻撃している反体制武装集団に攻撃停止を呼びかけ、県北西部のマーリア市方面に転戦するよう呼びかけた。

マーリイー司令官は、シャイフ・マクスード地区に展開するすべての武装集団に対して次のように呼びかけた。

「知恵を駆使し、(シャイフ・マクスード地区での)攻撃で包囲されているマーリア市住民を見殺しにするな。あなたたちがシャイフ・マクスード地区に対して行う攻撃はマーリア市で我々に影響を及ぼす。なぜなら我々は、負傷者をシリア民主軍が掌握する街道を通じて搬送し、我々は我々の家族を彼らの支配地域の街道を通じて脱出させているからだ。彼らは食糧が確保されるよう我々を支援し、我々に届けてくれている。シャイフ・マクスード地区を攻撃する必要などない。停戦を試みよ。なぜなら、マーリアはダーイシュからもっとも激しい攻撃を受けているからだ。シリア民主軍がマーリア西方の街道を封鎖したら、どうなるのか考えよ」。

『ハヤート』(5月31日付)が伝えた。

なお、シャーム戦線は2015年2月にアレッポ県で活動する武装集団が結成した連合組織で、「命じられるままに進め」連合、ムジャーヒディーン軍、イスラーム戦線、シャーム自由人イスラーム運動、ヌールッディーン・ザンキー運動、シャームの鷹旅団(シャーム自由人イスラーム運動と完全統合)、アサーラ・ワ・タンミヤ運動、ハズム運動からなる。

AFP, May 30, 2016、AP, May 30, 2016、ARA News, May 30, 2016、Champress, May 30, 2016、al-Hayat, May 31, 2016、Iraqi News, May 30, 2016、Kull-na Shuraka’, May 30, 2016、al-Mada Press, May 30, 2016、Naharnet, May 30, 2016、NNA, May 30, 2016、Reuters, May 30, 2016、SANA, May 30, 2016、UPI, May 30, 2016などをもとに作成。

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