2014年2月20日のシリア情勢:国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、「国民和解」が実現したバービッラー市で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)戦闘員が市庁舎に掲げられたシリア国旗を引きずり下ろして焼き払った。

しかし、政権との停戦に同意した同市内の名望家たちは、「和解」を継続し、人道支援物資を搬入したことを明らかにしたという。

またシリア人権監視団によると、ドゥーマー市・アルバイーン市間一帯を空爆する軍戦闘機がジハード主義武装集団の応戦によって損傷した。

このほか、同監視団によると、軍はサフル村、ダーライヤー市などに対しても「樽爆弾」で空爆を行う一方、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員がヤブルード市、リーマー農場、ワーフィディーン・ゴラン高原難民キャンプなどで反体制武装集団と交戦した。

一方、SANA(2月20日付)によると、リーマー農場、ヤブルード市北部および南東部一帯、フライラ市郊外の山岳地帯、ダーライヤー市、ハーン・シャイフ・キャンプおよび同市郊外、ザマルカー町、ハッザ町、ハラスター市、ムライハ市郊外、アーリヤ農場、ランクース市郊外などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャーム自由人イスラーム運動の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

他方、リハーブ・ニュース(2月21日付)によると、イスラーム軍がドゥマイル市郊外にある軍の電子戦争大隊本部を制圧した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、旧市街のザーヒラ地区で軍の退役准将とその妻娘の3人の他殺体が発見された。

一方、SANA(2月20日付)によると、ジャウバル区、カダム区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、バーブ・サラーマ国境通行所近くで大きな爆発があり、複数の負傷者が救急車両でトルコのキリス市に搬送された。

クッルナー・シュラカー(2月21日付)によると、爆発を受けて、トルコ当局は国境通行所を閉鎖した。

またシリア人権監視団によると、アレッポ中央刑務所の正門前と刑務所内の施設近くで、シャームの民のヌスラ戦線戦闘員が爆弾を仕掛けた車などで自爆攻撃を行い、兵士8人を殺害した。

クッルナー・シュラカー(2月21日付)によると、これを受け、軍は刑務所周辺に「樽爆弾」16発を投下した。

これに関して、SANA(2月20日付)は、反体制武装集団がアレッポ中央刑務所を襲撃したが、軍がこれを撃退したと報じた。

このほか、アレッポ市マサーキン・ハナーヌー地区が軍による「樽爆弾」の攻撃を受ける一方、旧市街などで軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(2月20日付)によると、アレッポ市スッカリー地区、インザーラート地区、旧市街、サーフール地区、シャイフ・サイード地区、ハナーヌー地区、ブスターン・カスル地区、サイフ・ダウラ地区、シャイフ・ヒドル地区、ジュダイダ地区、クワイリス村、ブライジュ村、ラスム・アッブード村、工業団地地区、アターリブ市、アウラム・クブラー町、アッザーン村、ハッダーディーン村、アイン・ジャマージマ村、アレッポ中央刑務所周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市ナイル通りに反体制武装集団が打った迫撃砲弾1発が着弾し、子供1人が死亡した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ワアル地区に人道支援物資が搬入された。

またシャーム自由人イスラーム運動がヒムス・タドムル街道で軍の士官(少尉)1人を含む兵士6人を要撃・殺害する一方、カルヤタイン市住民が身柄拘束中に軍の拷問を受けて死亡した。

さらにラスタン市が軍の砲撃を受けるとともに、クマイリー村検問所などで軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員とジュンド・シャーム大隊が交戦した。

一方、SANA(2月20日付)によると、ムシャイリファ村、ヒムス市クスール地区、旧市街灌漑水路近く、サアン村、バイト・ハッジュー村、ウユーン・フサイン村、タルビーサ市、タイバ村、クマイリー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ジュンド・シャーム大隊の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ジャースィム市、インヒル市が軍の「樽爆弾」による攻撃を受けた。

一方、SANA(2月20日付)によると、ヨルダン領内からマターイヤ村に潜入しようとした反体制武装集団を軍が撃退した。

またズィムリーン村、サムリーン村、ダルアー市旧税関地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

他方、リハーブ・ニュース(2月21日付)によると、「自由シリア軍」がナワー市郊外の軍検問所2カ所を制圧した。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団との戦闘で、軍の兵士12人が死亡した。

一方、SANA(2月20日付)によると、ジュバーター・ハシャブ村街道で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(2月20日付)によると、カフルズィーター市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(2月20日付)によると、ダイル・ザウル市ラシュディーヤ地区、ハウィーカ地区、ジュバイラ地区、マリーイーヤ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、SANA(2月20日付)によると、ハサカ県マサーキン・マハッタ地区で反体制武装集団が手榴弾を投げ、市民1人が負傷した。

AFP, February 20, 2014、AP, February 20, 2014、Champress, February 20, 2014、al-Hayat, February 21, 2014、Iraqinews.com, February 20, 2014、Kull-na Shuraka’, February 20, 2014, February 21, 2014、Naharnet, February 20, 2014、NNA, February 20, 2014、Reuters, February 20, 2014、Rihab News, February 21, 2014、SANA, February 20, 2014、UPI, February 20, 2014などをもとに作成。

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