米国務省高官「シャーム解放機構はテロ組織ではない、ヌスラ戦線はテロ組織だが現存しない」(2017年5月15日)

米国務省高官のニコール・トンプソン女史はカナダのCBCチャンネル(5月15日付)のインタビューに応じ、そのなかでシリアのアル=カーイダであるシャームの民のヌスラ戦線が改称して1月に発足したシャーム解放機構について、テロ組織だと言及することを避けた。

トンプソン女史は「シャーム解放機構がヌスラ戦線と密接な結びつきがあるとしても、テロ組織には分類されていない。これまでに国務省から出された声明は、「ヌスラ戦線はテロ組織だが現存しない」と述べるべきだった」と述べた。

この発言は、「シャーム解放機構の基礎をなす組織はヌスラ戦線で、それはテロのブラックリストに名を連ねるテロ組織で、この分類は名称(変更)にかかわらず有効だ」と述べた国務省のマイケル・ラトニー・シリア問題担当特使の見解を否定するもの。

なお、CBCチャンネルは、トンプソン女史のインタビューを伝えたリポートのなかで、カナダの司法当局がシャーム解放機構をテロ組織に指定しない主な理由の一つとして、米国とつながりがある反体制武装集団(ヌールッディーン・ザンキー運動)が参加しているからと伝えた。


AFP, May 15, 2017、AP, May 15, 2017、ARA News, May 15, 2017、CBC, May 15, 2017、Champress, May 15, 2017、al-Hayat, May 16, 2017、Kull-na Shuraka’, May 15, 2017、al-Mada Press, May 15, 2017、Naharnet, May 15, 2017、NNA, May 15, 2017、Reuters, May 15, 2017、SANA, May 15, 2017、UPI, May 15, 2017などをもとに作成。

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