イスラエル軍機がレバノン領空から「化学兵器が製造されていた」とされるシリア軍基地をミサイル攻撃(2017年9月7日)

イスラエル軍戦闘機複数機が、ハマー県ミスヤーフ市東部にある化学兵器製造用の軍事基地を爆撃した。

イスラエルの複数メディアが報じた。

これに関して、シリア軍武装部隊総司令部は声明を出し、イスラエル軍戦闘機が午前2時45分、レバノン領空を侵犯し、同領空からシリア領内のミスヤーフ市近郊の軍事拠点にミサイル複数発を発射し、兵士2人が死亡したと発表した。

クッルナー・シュラカー(9月7日付)は、親政権の複数の消息筋の話として、イスラエル軍が爆撃した標的は、ハマー県シャイフ・ガドバーン村の野営キャンプで、シリア軍が科学研究センターに改装し、使用していたと伝えた。

Kull-na Shuraka’, September 7, 2017

英国で活動するシリア人権監視団はAFP(9月7日付)に対して、科学研究センターと教練キャンプを狙ったものだとしたうえで、「科学研究センターは甚大な被害を受け、ミサイル庫で大火災が発生」、兵士2人が死亡、5人が負傷したと述べた。

同監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、この施設は、イラン人とヒズブッラーが使用し、ハマー県郊外での戦闘に参加する全ての親政権民兵が利用する基地」だという。

一方、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の安全保障担当顧問を務めるヤアコヴ・アミドロール氏は、この爆撃に関して記者団に対し「イスラエル軍が、公になっているシリア軍拠点が標的となるのはこれが初めてだ…。(標的となった科学研究センターは)過去に化学兵器、さらにはロケット砲、ミサイルなどの兵器を生産していた」と断じた。

そのうえで「我々は、イランとヒズブッラーが、シリアからイスラエルを攻撃する能力を持つことを許さない。我々は、イランとヒズブッラーが、シリアの混乱に乗じてヒズブッラーの攻撃能力を高めることを許さない」と強調した。

AFP, September 7, 2017、AP, September 7, 2017、ARA News, September 7, 2017、Champress, September 7, 2017、al-Hayat, September 8, 2017、Kull-na Shuraka’, September 7, 2017、al-Mada Press, September 7, 2017、Naharnet, September 7, 2017、NNA, September 7, 2017、Reuters, September 7, 2017、SANA, September 7, 2017、UPI, September 7, 2017などをもとに作成。

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