ハサカ県カーミシュリー市で停戦が失効し、国防隊とアサーイシュが戦闘を再開(2021年4月25日)

ハサカ県では、ANHA(4月25日付)によると、ロシア軍憲兵隊が4月25日午前、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるカーミシュリー市のタイ地区でパトロールを実施した。

パトロールは、4月23日にロシア軍憲兵隊と人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が合意した停戦を監視するため。

停戦期間は、4月25日10時までと定められていた。

パトロールは、内務治安部隊が展開する街区、アッバース・アッラーウィー学校や給水塔近くの両勢力境界線一帯で行われ、内務治安部隊が随行した。

内務治安部隊(アサーイシュ)が合同パトロールを実施した。

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しかし、ANHA(4月25日付)によると、午後になると、国防隊がタイ地区西のハルクー交差点にある内務治安部隊の検問所、ハルクー地区およびタイ地区内にある複数の検問所に対する攻撃を再開した。

攻撃は、ロシア軍ヘリコプターが上空を旋回するなかで行われたという。

この攻撃に対して、内務治安部隊も応戦し、戦闘が再開された。

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その後、内務治安部隊が午後8時頃に声明を出し、ロシア軍とシリア民主軍の仲介により、国防隊の違反がない限り、持続的停戦に従うことに同意したと発表した。

しかし、国防隊はその数時間後、タイ地区(アッバース・アッラーウィー学校一帯、給水塔一帯)とハルクー地区にある内務治安部隊の拠点に対する攻撃を再開し、内務治安部隊と交戦となった。

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北・東シリア自治局ジャズィーラ地方内務委員会(内務省に相当)の共同議長を務めるカナアーン・バラカート氏はANHA(4月25日付)の取材に対して、シリア民主軍を仲介者として内務治安部隊とシリア政府当局・ロシア軍憲兵隊による戦闘停止に向けた交渉が続いているものの、今のところ何の結論も出ていないと述べ、ロシア軍憲兵隊がシリア政府当局側に立って事態を収拾しようとしていることを暗に批判した。

一方、SY24(4月25日付)によると、この交渉において、シリア民主軍は、4月20日以降の戦闘で内務治安部隊が新たに掌握したタイ地区内の地域からの撤退を拒否しているという。

AFP, April 25, 2021、ANHA, April 25, 2021、al-Durar al-Shamiya, April 25, 2021、Reuters, April 25, 2021、SANA, April 25, 2021、SOHR, April 25, 2021、SY24, April 25, 2021などをもとに作成。

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