米高官がジュネーブで反体制活動家と会談、「ロシア1」をめぐって意見交換(2014年12月18日)

『ハヤート』(12月22日付)は、12月18日に米国務省のダニエル・ロビンスタイン・シリア問題担当特使がジュネーブで、シリア革命反体制勢力国民連立元議長で無所属活動家のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ氏、前副首相で現在ロシアに滞在中のカドリー・ジャミール氏と会談し、シリア紛争解決に向けたいわゆる「ロシア1」などについて協議したと報じた。

同報道によると、会談で、ロビンスタイン特使は、米政府が「ロシア1」を支持もせず、また不支持もしないとのメッセージを伝えたという。

al-Hayat, December 22, 2014をもとに作成。

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サウジアラビアがシリア国内避難民に向けて人道支援(2014年12月18日)

『ハヤート』(12月19日付)は、サウジアラビア政府による「シリア救済国民特別キャンペーン」の一環として、ヨルダンからシリア領内に陸路で人道支援物資(貨物車16台分)が搬入された、と報じた。

この物資搬入は、国連安保理決議第2165号に基づくもので、シリア国内の避難民などに配給されるという。

AFP, December 18, 2014、AP, December 18, 2014、ARA News, December 18, 2014、Champress, December 18, 2014、al-Hayat, December 19, 2014、Kull-na Shuraka’, December 18, 2014、al-Mada Press, December 18, 2014、Naharnet, December 18, 2014、NNA, December 18, 2014、Reuters, December 18, 2014、SANA, December 18, 2014、UPI, December 18, 2014などをもとに作成。

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イスラーム国(ダーイシュ)が、自由シリア軍、シャーム自由人司令官らを各地で処刑(2014年12月18日)

ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(12月19日付)などによると、ダーイシュ(イスラーム国)が、カラムーン地方で潜伏活動を続けていた特殊任務旅団司令官のアッラーバ・イドリース中尉を処刑した。

イドリース中尉はシリアでの混乱発生初期にシリア軍を離反した活動家の一人だという。

Kull-na Shuraka', December 18, 2014
Kull-na Shuraka’, December 18, 2014

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クッルナー・シュラカー(12月18日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がバーブ市で、シャーム自由人イスラーム運動創設者の一人でバーブ・イスラーム・ダアワ・ジハード運動指導者のアブー・スライマーン・マンスール氏を処刑した。

マンスール氏は9ヶ月前にダーイシュによって拘束されていた。

クッルナー・シュラカーによると、マンスール氏は、3月に暗殺されたアブー・ハーリド・スーリー氏に近い人物で、シリアで反体制武装集団の活動が活発化した当初から、武装闘争を指導してきた人物だという。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)によって処刑されたと思われるシュアイタート部族子息230人の遺体が県内の集団墓地で発見された。

同監視団によると、殺害された230人は、ダーイシュへの忠誠を拒否したために殺害されたという。

またシリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)とシリア軍がダイル・ザウル航空基地周辺で交戦、ダーイシュが同基地周辺のシリア軍拠点複数カ所を奪還した。

ARA News(12月18日付)によると、ダーイシュはまた、これまでのダイル・ザウル航空基地周辺での戦闘で捕捉したシリア軍兵士のうち6人を処刑した。

ARA News, December 18, 2014
ARA News, December 18, 2014

一方、SANA(12月18日付)によると、ブー・ウマル村、ジャフラ村、マリーイーヤ村、ムーハサン市、シューラー村、ダイル・ザウル市フワイジャト・サクル地区、フワイジャト・マリーイーヤ地区で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、ARA News(12月18日付)によると、ラッカ市でダーイシュ(イスラーム国)がクルド人青年1年を、アッラーを冒涜したとの罪で処刑した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ラアス・アイン市郊外のマナージール地区で、西クルディスタン移行期民政局がダーイシュ(イスラーム国)の拠点を砲撃、交戦した。

一方、ARA News(12月18日付)によると、シリア軍はハサカ市南西部郊外一帯のダーイシュ(イスラーム国)拠点を砲撃した。

またハサカ市内の法学部キャンパスに近い治安厳戒地区で、シリア軍のムハンマド・ハッドゥール少将の車列を狙った爆発が発生した。

少将らは無事だった。

またミールビーヤ村一帯で、シリア軍、国防隊がダーイシュと交戦した。

他方、SANA(12月18日付)によると、シャビーブ村、ミールビーヤ村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、ルダーウ・チャンネル(12月18日付)によると、カーミシュリー市・タッル・ハミース市間の国際幹線道路で、同チャンネルの特派員とカメラマンが、ダーイシュ(イスラーム国)によって拉致された。

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アレッポ県では、ARA News(12月18日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員がトルコ領内からアイン・アラブ市東部のカラ・ムーグ村に向かって発砲し、女性1人が負傷した。

またアイン・アラブ市では、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がダーイシュとの交戦を続けた。

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ヒムス県では、SANA(12月18日付)によると、ジャズル・ガス採掘所一帯で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, December 18, 2014、AP, December 18, 2014、ARA News, December 18, 2014、Champress, December 18, 2014、al-Hayat, December 19, 2014、Kull-na Shuraka’, December 18, 2014、al-Mada Press, December 18, 2014、Naharnet, December 18, 2014、NNA, December 18, 2014、Reuters, December 18, 2014、Rudaw, December 18, 2014、SANA, December 18, 2014、UPI, December 18, 2014などをもとに作成。

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サウジ、カタールなどアラブ5カ国のシリア爆撃参加は限定的で減少傾向(2014年12月18日)

ロイター通信(12月18日付)は、シリア領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対する米国など有志連合の空爆に関して、米軍のこれまでの発表に基づき、その約97%が米国単独によるもので、アラブ諸国による空爆参加は減少していると報じた。

同報道によると、9月23日に空爆が開始された当初(9月下旬)、米国とアラブ5カ国は合同で38回の空爆を行っていたが、その後、合同での空爆は10月には8回、11月には9回と減少したという。

またアラブ5カ国のみのよる空爆の頻度については、9月23日以降の空爆回数62回のうち、10月が20回、11月が14回に過ぎず、12月は2回だけだという。

なお、シリア空爆への参加を表明しているアラブ5カ国とは、サウジアラビア、バーレーン、ヨルダン、UAE、カタール。

Reuters, December 18, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力:アレッポ市郊外などでシリア軍がヌスラ戦線らと交戦(2014年12月18日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ハンダラート・キャンプ一帯で、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、クドス旅団、イラン人・アフガン人戦闘員が、シャームの民のヌスラ戦線、アンサール・ディーン戦線などジハード主義者と交戦、同キャンプの一部を制圧した。

また両者はアルド・マッラーフ地区一帯で交戦を続ける一方、ヌスラ戦線側はブライジュ村郊外の丘陵地帯にあるシリア軍拠点などを砲撃した。

これに対して、シリア軍はカフルハムラ村、フライターン市、アレッポ市ライラムーン地区などを空爆・砲撃した。

このほか、アレッポ市では、シャッアール地区で自爆ベルトを身につけた男性が自爆したが、死傷者は出なかった。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が、シャームの民のヌスラ戦線などによって占拠されているタフタナーズ軍事基地一帯を空爆、また同地一帯、マアッラトフルマ村、アブー・ズフール町一帯で、シリア軍とヌスラ戦線らが交戦した。

一方、SANA(12月18日付)によると、アブー・ズフール航空基地周辺、ダブシーヤ村、タッル・サラムー村、サルジャ村、ナフラ村、クーリーン村、ナージヤ村、アイン・スーダ村、シュグル村、カリーマ村、タッル・マリール村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ジハード主義武装集団がラスタン市郊外のシリア軍拠点を砲撃、またカム村などで両者が交戦した。

一方、SANA(12月18日付)によると、ファルハーニーヤ村、アイン・ファルザート村、ザアフラーナ村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線、ヒムス軍団、ファールーク大隊の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダーライヤー市を「樽爆弾」で空爆、またマダーヤー町、ハジャル・アスワド市でシリア軍とジハード主義者が交戦した。

またクッルナー・シュラカー(12月18日付)によると、アジュナード・シャーム・イスラーム連合、シャーム自由人イスラーム運動、シャームの民のヌスラ戦線らからなるジハード主義武装集団がハーン・シャイフ・キャンプ郊外のサラーム高速道路でシリア軍部隊を要撃、兵士15人を殺害した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区で、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員が、シャームの民のヌスラ戦線などジハード主義者と交戦した。

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ダルアー県では、SANA(12月18日付)によると、シャイフ・マスキーン市、アジャミー、タッル・シハーブ、サイダー、フィキーア、カフル・ナースィジュ、ズィムリーン村、サムリーン村、ウンム・ワラド、イブタア、ガラズ刑務所街道、ダルアー市バジャービジャ地区、旧税関地区などで、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線、ジャイドゥール・ハウラーン旅団、ハムザ・アサド・アッラー旅団の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(12月18日付)によると、マスハラ村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(12月18日付)によると、アイン・バイダー町、カルト村、ナージヤ村、ファルズ村、バーシューラ村、アティーラ村、ザーヒー山で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(12月18日付)によると、アブー・フバイラート村、アカーリブ村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, December 18, 2014、AP, December 18, 2014、ARA News, December 18, 2014、Champress, December 18, 2014、al-Hayat, December 19, 2014、Kull-na Shuraka’, December 18, 2014、al-Mada Press, December 18, 2014、Naharnet, December 18, 2014、NNA, December 18, 2014、Reuters, December 18, 2014、SANA, December 18, 2014、UPI, December 18, 2014などをもとに作成。

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新刊『「アラブの心臓」に何が起きているのか:現代中東の実像』(岩波書店)

青山弘之(編)『「アラブの心臓」に何が起きているのか:現代中東の実像』岩波書店。

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■体裁=四六判・並製・カバー・240頁
■定価(本体 2,400円 + 税)
■2014年12月18日
■ISBN 978-4-00-022084-2 C0031
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「イスラーム国」の出現,ガザ戦争,シリア「内戦」…….相次ぐ混乱の原因は宗派対立なのか,それとも独裁者の存在なのか.今日の中東全体の政治的・社会的問題が先鋭的に現れているエジプト,シリア,イラク,レバノン,ヨルダン,パレスチナの「アラブの心臓」諸国の実像を解明し,中東政治を的確に読み解く視座を提示する.________________________________________

目次

凡例

序章       「混沌のドミノ」に喘ぐ「アラブの心臓」 青山弘之

第1章    エジプト:二つの「革命」がもたらした虚像の再考 横田貴之

第2章    シリア:「真の戦争状態」が必要とする「独裁」政権 髙岡豊

第3章    イラク:民主化の蹉跌と宗派対立という亡霊 山尾大

第4章    レバノン:「決めない政治」が支える脆い自由と平和 末近浩太

第5章    ヨルダン:紛争の被害者か、受益者か 吉川卓郎

第6章    パレスチナ:ハマース否定が導いた政治的混乱 錦田愛子

終章       中東政治の実情に迫るために 青山弘之

文献リスト

人名索引・事項索引