15のジハード主義組織・アル=カイーダ系組織が、タッル・アブヤド市などでYPGが「民族浄化」を行っていると非難(2015年6月15日)

アジュナード・シャーム・イスラーム連合、シャーム自由人イスラーム運動、イスラーム軍など15のジハード主義組織・アル=カイーダ系組織は共同声明を出し、クルド民族主義政党の民主統一党が主導する西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が、ダーイシュ(イスラーム国)を掃討し、支配地域を拡大しているハサカ県、ラッカ県タッル・アブヤド市一帯で、「シリアのスンナ派アラブ人に対する民族浄化」を推し進めていると批判した。

共同声明は、トルコ政府に倣うかたちで、クルディスタン労働者党(PKK)を「テロ組織」と断じ、人民保護部隊による「民族浄化」が、PKKを筆頭とする一部の当事者と国際社会および地域内の当事者によるシリア分割の計画を実現するために行われていると指弾した。

そのうえで、「シリア領の一体性がレッド・ラインであり、それに抵触することを許さない」と強調し、アラブ人とクルド人の共存を主唱した。

また、国際社会が民主統一党やシリア政府による「犯罪」を黙認していると批判した。

共同声明に参加した武装集団は以下の通り:アジュナード・シャーム・イスラーム連合、シャーム自由人イスラーム運動、イスラーム軍、シャーム軍団、ムジャーヒディーン軍、ハズムの嵐師団、シャーム革命家大隊、ラフマーン軍団、スンナ軍、「命じられるがまま進め」連合、イスラーム覚醒大隊、ヒムス軍団、シャーム戦線、第1中退、イスラーム殉教者旅団。

Kull-na Shuraka', June 15, 2015
Kull-na Shuraka’, June 15, 2015

 

AFP, June 15, 2015、AP, June 15, 2015、ARA News, June 15, 2015、Champress, June 15, 2015、al-Hayat, June 16, 2015、Iraqi News, June 15, 2015、Kull-na Shuraka’, June 15, 2015、al-Mada Press, June 15, 2015、Naharnet, June 15, 2015、NNA, June 15, 2015、Reuters, June 15, 2015、SANA, June 15, 2015、UPI, June 15, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

反体制派がアレッポ市内のシリア政府支配地域を砲撃し、子供ら23人が死亡、数十人が負傷(2015年6月15日)

アレッポ県では、SANA(6月15日付)によると、アレッポ市バニー・ザイド地区を拠点とする「テロリスト」がスィルヤーン地区、ファイサル通り地区、ナイル通り(いずれのシリア政府支配地域)に対して砲撃を加え、子供を含む23人が死亡、数十人が負傷した(シリア人権監視団(16日)によると、反体制武装集団は300発以上の迫撃砲、ロケット弾を撃ち込み、子供12人、女性5人を含む34人が死亡、190人以上が負傷)。

またSANAによると、シリア軍は、アレッポ市バニー・ザイド地区、アーミリーヤ地区、アシュラフィーヤ地区、サラーフッディーン地区、ナーブ・ナイラブ地区、ラーシディーン地区、ライラムーン地区、シャイフ・ルトフィー村、カフルハムラ村、アターリブ市、アナダーン市、アアザーズ市東部、ハナースィル市、ハーン・アサル村、マンスーラ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア軍はさらに、アレッポ市サカン・シャバービー地区一帯、マアーッラト・アルティークを空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、シリア人権監視団によると、アレッポ市南部でジハード主義武装集団がシリア軍の検問所を攻撃、交戦した。

これに対してシリア軍は、ハーン・アサル村一帯、アレッポ市バニー・ザイド地区、アーミリーヤ地区、アンサーリー地区、サワージーン広場地区を「樽爆弾」などで空爆し、子供3人が死亡した。

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スワイダー県では、シリア人権監視団によると、サアラ航空基地一帯で、シリア軍、国防隊が、自由シリア軍南部戦線などジハード主義武装集団と交戦、シリア軍側は武装集団の進軍を食い止め、20人の戦闘員を殺傷した。

一方、SANA(6月15日付)によると、シリア軍、国防隊がサアラ航空基地一帯でシャームの民のヌスラ戦線の侵入を阻止するとともに、飛行場周辺(ダーラ村、シャイフ・フサイン高地など)の「テロ組織」の拠点を攻撃し、「テロリスト」100人以上を殲滅した。

ダルアー県で活動する自由シリア軍南部戦線所属の23組織が共同声明を出し、スワイダー県サアラ航空基地一帯での戦闘に関して、ドゥルーズ派宗徒と戦う意思はなく、「目標は祖国を踏みにじった悪党どもの殲滅」と表明、政権のみと戦うと姿勢を示した。

共同声明に署名した武装集団は以下の通り:第1軍、シャバーブ・スンナ師団、ヤルムーク軍、フルカーン旅団、ムハージリーン・ワ・アンサール旅団、タウヒードの暁師団、特殊任務師団、3月18日師団、カシオン旅団、第24歩兵師団、ヒヤーラ・ザイディー師団、シャーム統一戦線、アーイシャ・ウンム・ムーマニーン旅団、ムジャーヒディーン旅団、第69歩兵師団、ウマリー旅団、タウヒード・カターイブ・ハウラーン旅団、第106旅団、イスラーム軍、ハウラーン自由人旅団、殉教者イマード・ナスルッラー旅団、タバーラカ・マウラー旅団、アシュラーフ・ワ・ムターバア委員会。

Kull-na Shuraka', June 15, 2015
Kull-na Shuraka’, June 15, 2015

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザブディーン村・ダイル・アサーフィール市間で、シリア軍、国防隊がジハード主義武装集団と交戦、またシリア軍はドゥーマー市一帯、タイバ村、ザバダーニー市などを砲撃した。

一方、SANA(6月15日付)によると、ハサヌー村、マクルーサ村、ハーン・シャイフ・キャンプ一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(6月15日付)によると、マール村、東ムライハ町、サカーカ村、ウンム・ワラド村、東カラク村、アトマーン村、ダルアー市各所、カフル・ナースィジュ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(6月15日付)によると、ナブア・サフル村、ビイル・アジャム村、ブライカ村、ラスム・シューリー村、カフターニーヤ市で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(6月15日付)によると、タッル・サラムー村、アブー・ズフール町南部、バラーギーティー村、アウラム・ジャウズ村、マアッラトミスリーン市をシリア軍が空爆し、ファトフ軍の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(6月15日付)によると、ウンム・シャルシューフ村一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線、ヒムス軍団の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, June 15, 2015、AP, June 15, 2015、ARA News, June 15, 2015、Champress, June 15, 2015、al-Hayat, June 16, 2015、June 17, 2015、Iraqi News, June 15, 2015、Kull-na Shuraka’, June 15, 2015、al-Mada Press, June 15, 2015、Naharnet, June 15, 2015、NNA, June 15, 2015、Reuters, June 15, 2015、SANA, June 15, 2015、UPI, June 15, 2015などをもとに作成。

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ダマスカス郊外県カラムーン地方東部、アレッポ県でダーイシュ(イスラーム国)とヌスラ戦線などが交戦(2015年6月15日)

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、東カラムーン地方でダーイシュ(イスラーム国)がシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ジハード主義武装集団がウンム・クラー村にあるダーイシュ(イスラーム国)拠点を砲撃した。

一方、SANA(6月15日付)によると、アレッポ市東部の航空士官学校一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(6月15日付)によると、ジャズル・ガス採掘所一帯、タドムル市一帯、アブー・ハワーディート村、サダド市、柑橘農園一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(6月15日付)によると、ハムラー村、トゥータフ村、南カスタル村をシリア軍が空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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米中央軍(CENTCOM)は、6月15日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して25回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は9回におよび、ラッカ市近郊(1回)、アイン・アラブ市近郊(3回)、タッル・アブヤド市近郊(5回)のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

AFP, June 15, 2015、AP, June 15, 2015、ARA News, June 15, 2015、Champress, June 15, 2015、al-Hayat, June 16, 2015、Iraqi News, June 15, 2015、Kull-na Shuraka’, June 15, 2015、al-Mada Press, June 15, 2015、Naharnet, June 15, 2015、NNA, June 15, 2015、Reuters, June 15, 2015、SANA, June 15, 2015、UPI, June 15, 2015などをもとに作成。

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YPG主体のユーフラテスの火山合同作戦司令室がトルコ国境のダーイシュ(イスラーム国)の拠点タッル・アブヤド市を完全制圧(2015年6月15日)

ラッカ県では、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のユーフラテスの火山合同作戦司令室が、ダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の末、トルコ国境のダーイシュの主要拠点タッル・アブヤド市を完全制圧し、ダーイシュはトルコとラッカ市を結ぶ主要な兵站路を喪失した。

ARA News, June 15, 2015
ARA News, June 15, 2015

シリア人権監視団によると、タッル・アブヤド市東部郊外の上マシュフール地区一帯では依然として戦闘が続いているという。

またARA News(6月15日付)は、ユーフラテスの火山合同作戦司令室は、タッル・アブヤド国境通行所も制圧し、「シリア革命」の旗(委任統治領シリアの旗)を掲揚したと伝え、その写真を公開した。

ARA News, June 15, 2015
ARA News, June 15, 2015

ユーフラテスの火山合同作戦司令室は、人民防衛隊、女性防衛部隊(YPJ)、「自由シリア軍」のタウヒード旅団(東部地区)、ラッカ革命家旅団、自由の暁旅団所属北の太陽大隊、ジャラーブルス中隊、クルド人戦線旅団、ラッカ忠実な革命家、カッサース軍、アッラーのためのジハード旅団からなる。

ユーフラテスの火山合同作戦司令室によるタッル・アブヤド市攻略に際しては、有志連合がダーイシュ拠点などを空爆し、その進軍を援護する一方、トルコ当局も、一端は入国を阻止していたシリア人避難民のアクチャカレ国境通行所経由での入国を14日に認めた。

ドゥラル・シャーミーヤ(6月15日付)によると、有志連合の空爆は過去48時間で40回以上に及んだという。

シリア人権監視団によると、タッル・アブヤド市での戦闘では、ダーイシュ戦闘員11人、人民防衛隊隊員3人が死亡したという。

またAFP(6月15日付)によると、トルコ領内には約1万6,000人にシリア人(クルド人)がアクチャカレ国境通行所開放後に避難した(UNHCRによると、タッル・アブヤド市での戦闘で、2万3,000人以上がトルコ領内に避難、そのなかにはイラク人2,183人もいるという)。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(6月15日付)によると、タッル・アブヤド市制圧と合わせて、ユーフラテスの火山合同作戦司令室は、同市西部の20カ村(タイバ村、ジャフジャーフ村、カッラト・シャラフ・ファーティマ村など)を制圧した。

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ユーフラテスの火山合同作戦司令室によるタッル・アブヤド市制圧により、シリアの国境通行所の管理・支配状況は以下の通りとなった。

1. 対ヨルダン国境

ナスィーブ・ジャービル国境通行所(ダルアー県):ヌスラ戦線、「自由シリア軍」南部戦線などが2015年4月に制圧。

ダルアー(旧税関局)・ラムサー国境通行所(ダルアー県):ジハード主義武装集団が2013年11月に制圧。

2. 対イラク国境

ヤアルビーヤ・ラビーア国境通行所(ハサカ県):2012年7月に「自由シリア軍」が制圧、その後シリア軍とダーイシュ(イスラーム国)が争奪戦を繰り広げ、2014年10月以降は西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊、イラク・クルディスタン地域ペシュメルガが管理。

ブーカマール・カーイム国境通行所(ハサカ県):2012年11月に「自由シリア軍」が制圧、その後2014年7月にダーイシュ(イスラーム国)が掌握。

タンフ・ワリード国境通行所(ヒムス県):ダーイシュ(イスラーム国)が2015年5月22日に制圧。またイラク側のワリード国境通行所はダーイシュの攻撃を受け閉鎖。

3. 対トルコ国境

カサブ・ヤイラダーウ国境通行所(ラタキア県):シリア側のカサブ国境通行所はシリア政府が掌握しているが、トルコ側のヤイラダーウ国境通行所は閉鎖。

バーブ・ハワー・ジルヴェギョズ国境通行所(イドリブ県):反体制勢力(親アル=カーイダ系)が管理。

バーブ・サラーマ・オンジュプナル(アレッポ県):反体制勢力(親アル=カーイダ系)が管理。

ジャラーブルス・カルカムシュ国境通行所(アレッポ県):シリア側のジャラーブルス国境通行所はダーイシュ(イスラーム国)が管理。

アイン・アラブ・ミュルシトプナル国境通行所(アレッポ県):シリア側のアイン・アラブ国境通行所は西クルディスタン移行期民政局が管理。

タッル・アブヤド・アクチャカレ国境通行所(ラッカ県):シリア側のタッル・アブヤド国境通行所はユーフラテスの火山合同作戦司令室(西クルディスタン移行期部民局および反体制武装集団(反アル=カーイダ系)が管理。

ラアス・アイン・ジェイランプナル国境通行所(ハサカ県):シリア側のラアス・アイン国境通行所は西クルディスタン移行期民政局が管理。

カーミシュリー・ヌサイビン国境通行所(ハサカ県):シリア側のカーミシュリー国境通行所はシリア政府が管理し、国連の人道支援物資を搬入するために使用。

アイン・ディーワール・ジズレ国境通行所(ハサカ県):シリア側のアイン・ディーワール国境通行所は西クルディスタン移行期民政局が管理。

4. イスラエル占領下のゴラン高原

クナイトラ通行所:2014年8月にシャームの民のヌスラ戦線が制圧。

5. 対レバノン国境

ジュダイダト・ヤーブース・マスナア国境通行所(ダマスカス郊外県):シリア政府が管理。

ジュースィーヤ・カーラ国境通行所(ヒムス県):シリア政府が管理。

タッルカラフ国境通行所(ヒムス県):反体制武装集団(親アル=カーイダ系)がタッルカラフ市一帯を制圧。

ジスル・カマール・ワーディー・ハーリド国境通行所(ヒムス県):シリア政府が管理。

ダブースィーヤ・ウブーディヤ国境通行所(タルトゥース県):シリア政府が管理。

タルトゥース・アリーダ国境通行所(タルトゥース県):シリア政府が管理。

AFP, June 15, 2015、AP, June 15, 2015、ARA News, June 15, 2015、June 16, 2015、Champress, June 15, 2015、al-Durar al-Shamiya, June 15, 2015、al-Hayat, June 16, 2015、Iraqi News, June 15, 2015、Kull-na Shuraka’, June 15, 2015、al-Mada Press, June 15, 2015、Naharnet, June 15, 2015、NNA, June 15, 2015、Reuters, June 15, 2015、SANA, June 15, 2015、UPI, June 15, 2015などをもとに作成。

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デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表がシリアでムアッリム外務在外居住者大臣と会談(2015年6月15日)

スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表がシリアを訪問し、ダマスカスでワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣と会談した。

SANA(6月15日付)などによると、会談では、デミストゥラ共同特別代表は、ジュネーブで自身が進めている反体制派代表らとの個別折衝の進捗をムアッリム外務在居住者大臣に報告した。

これに対して、ムアッリム外務在外居住者大臣は、デミストゥラ共同特別代表による努力への支持を表明、モスクワ2会議での成果の重要性を強調するとともに、ジュネーブ3会議開催の必要を訴えたという。

『ワタン』(6月15日付)によると、デミストゥラ共同特別代表は17日までシリアに滞在する予定。

AFP, June 15, 2015、AP, June 15, 2015、ARA News, June 15, 2015、Champress, June 15, 2015、al-Hayat, June 16, 2015、Iraqi News, June 15, 2015、Kull-na Shuraka’, June 15, 2015、al-Mada Press, June 15, 2015、Naharnet, June 15, 2015、NNA, June 15, 2015、Reuters, June 15, 2015、SANA, June 15, 2015、UPI, June 15, 2015、al-Watan, June 15, 2015などをもとに作成。

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