シリア国民連立幹部「ダーイシュ(イスラーム国)内でアサド政権の幹部180人が活動」、「アル=カーイダとイランは協調関係にある」(2015年6月1日)

シリア革命反体制勢力国民連立のサリーム・イドリース暫定政府国防大臣は、スーリーヤ・ネット(6月1日付)に対して、「信頼できる消息筋」から得た情報だとして、「ダーイシュ(イスラーム国)のなかで、アサド政権の「指導的人物」180人が活動している」、「アル=カーイダとイランの間には協調関係がある」との暴論を展開した。

イドリース暫定国防大臣は、「ダーイシュの幹部の一部はイラク・バアス主義者残党の士官、アサド政権のムハーバラート士官と調整を行っており、またダーイシュと調整を行っている政権(幹部)の一部は、イランにいた」と述べている。

イドリース暫定国防大臣はまた、イランとアル=カーイダとの関係について、「その最たる証拠は、アル=カーイダがイラン国内で何らの活動も行っていないのかという問いに要約されている」と主張したが、この論理に基づくと、アル=カーイダ、ダーイシュの活動が顕在化していないサウジアラビア、カタール、トルコとこれらの組織との間に協調関係があることになる。

Kull-na Shuraka', June 2, 2015
Kull-na Shuraka’, June 2, 2015

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また、シリア革命反体制勢力国民連立のハーディ・バフラ前代表もフェイスブックで2日、「イラク革命防衛隊の戦闘員1,500人が先週金曜日(5月29日)にスルンファ町(ラタキア県ヌサイリー山山頂)に派遣された」と吹聴した。

AFP, June 2, 2015、AP, June 2, 2015、ARA News, June 2, 2015、Champress, June 2, 2015、al-Hayat, June 3, 2015、Iraqi News, June 2, 2015、Kull-na Shuraka’, June 2, 2015、al-Mada Press, June 2, 2015、Naharnet, June 2, 2015、NNA, June 2, 2015、Reuters, June 2, 2015、SANA, June 2, 2015、al-Souria.net, June 1, 2015、UPI, June 2, 2015などをもとに作成。

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駐シリア米国大使館(現在閉鎖中)は「シリア軍がアレッポ市一帯で進軍するダーイシュ(イスラーム国)を援護するかたちで爆撃している」と主張(2015年6月1日)

駐シリア米国大使館(現在閉鎖中)は、ツイッターの公式ページ(https://twitter.com/usembassysyria)を通じて、アレッポ市一帯に進軍を続けるダーイシュ(イスラーム国)を支援するかたちで、シリア軍が空爆を行っていると吹聴した。

米国大使館のツイッター・アカウントには、英語で「Reports indicate that the regime is making air-strikes in support of #ISIL’s advance on #Aleppo, aiding extremists against Syrian population」、「تشير التقارير الى أن نظام الأسد يقوم بشن ضربات جوية لإسناد تقدم #داعش على #حلب، داعماً بذلك المتطرفين في هجماتهم على السكان السوريين. #سوريا」とのつぶやきが書き込まれた。

なおこのアカウントには、「The fact is that there is no better recruiting tool for #ISIL than the brutality of the Asad regime」、「As we have long said, Bashar al Asad lost legitimacy long ago and will never be an effective counterterrorism partner」、「With these latest reports, Asad is not only avoiding ISIL lines, but, actively seeking to bolster their positon」 といったプロパガンダが連日書き込まれている。
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なお、シリア人権監視団によると、ダーイシュのアレッポ県北部での攻勢により、反体制武装集団はトルコ国境に隣接する拠点への後退を余儀なくされているという。

AFP, June 2, 2015、AP, June 2, 2015、ARA News, June 2, 2015、Champress, June 2, 2015、al-Hayat, June 3, 2015、Iraqi News, June 2, 2015、Kull-na Shuraka’, June 2, 2015、al-Mada Press, June 2, 2015、Naharnet, June 2, 2015、NNA, June 2, 2015、Reuters, June 2, 2015、SANA, June 2, 2015、UPI, June 2, 2015などをもとに作成。

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レバノンのシリア人避難民キャンプで火災、10人が死亡(2015年6月1日)

ベカーア県西ベカーア郡西マルジュ村にあるシリア人避難民キャンプ(ジャラーヒーヤ・キャンプ)で火災が発生し、テント約150張が消失、避難民少なくとも10人が死亡した。

ARA News(6月1日付)が伝えた。

AFP, June 1, 2015、AP, June 1, 2015、ARA News, June 1, 2015、Champress, June 1, 2015、al-Hayat, June 2, 2015、Iraqi News, June 1, 2015、Kull-na Shuraka’, June 1, 2015、al-Mada Press, June 1, 2015、Naharnet, June 1, 2015、NNA, June 1, 2015、Reuters, June 1, 2015、SANA, June 1, 2015、UPI, June 1, 2015などをもとに作成。

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アル=カーイダ系組織が主導するアレッポ・ファトフ軍は、ダーイシュ(イスラーム国)が制圧したアレッポ県北部の村々の奪還への意志を表明(2015年6月1日)

アレッポ県北部一帯(スーラーン・アアザーズ町など)へのダーイシュの侵攻を受け、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなるアレッポ・ファトフ軍(https://syriaarabspring.info/wp/?p=19442)の作戦司令室は声明を出し、「アレッポ市解放から革命家の目を反らすことが目的で、隊列を分断し、政権に奉仕するもの」と批判し、ダーイシュによって制圧された村々の奪還への意志を表明した。

AFP, June 1, 2015、AP, June 1, 2015、ARA News, June 1, 2015、Champress, June 1, 2015、al-Hayat, June 2, 2015、Iraqi News, June 1, 2015、Kull-na Shuraka’, June 1, 2015、al-Mada Press, June 1, 2015、Naharnet, June 1, 2015、NNA, June 1, 2015、Reuters, June 1, 2015、SANA, June 1, 2015、UPI, June 1, 2015などをもとに作成。

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シリア軍とYPGはハサカ市郊外のダーイシュ(イスラーム国)掃討のための協力に向けて協議(2015年6月1日)

ARA News(6月1日付)は、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊に近い複数の消息筋の話として、ハサカ市南部で侵攻を続けるダーイシュ(イスラーム国)とシリア軍、国防隊との戦闘への人民防衛隊の参加に向けて、ハサカ市で人民防衛隊とシリア軍の間で協議が行われていると報じた。

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西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のユーフラテスの火山合同作戦司令室のシャルファーン・ダルウィーシュ報道官は声明を出し、30日のシリア革命反体制勢力国民連立の声明に関して、「連立のダーイシュ(イスラーム国)への共鳴を示すもの」と厳しく批判した。

シリア革命反体制勢力国民連立は30日に声明を出し、民主統一党が、ハサカ県などで民間人に対して攻撃を繰り返していると指摘し、トルコ政府によるPKK批判の論調に追随するかたちで、「民主統一党のテロ行為は、混乱をもたらそうとするアサド政権の計画に合致するものだ」と批判していた。

AFP, June 1, 2015、AP, June 1, 2015、ARA News, June 1, 2015、Champress, June 1, 2015、al-Hayat, June 2, 2015、Iraqi News, June 1, 2015、Kull-na Shuraka’, June 1, 2015、al-Mada Press, June 1, 2015、Naharnet, June 1, 2015、NNA, June 1, 2015、Reuters, June 1, 2015、SANA, June 1, 2015、UPI, June 1, 2015などをもとに作成。

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シリア人民議会議長「今のところ、国際社会、そして地域においてテロとの戦いを行おうという意志は見てとれない」(2015年6月1日)

ムハンマド・ジハード・ラッハーム人民議会議長がイランを訪問し、アリー・ラリージャーニー国会議長らと会談した。

SANA(6月1日付)によると、ラッハーム人民議会議長はラリージャーニー国会議長との共同記者会見で、「我々は、国民、軍、政府、そして友好国イランを筆頭とする我々の友人とともに、シリアで全力を尽くしてテロと戦うだろう」との決意を表明する一方、「今のところ、国際社会、そして地域においてテロとの戦いを行おうという意志は見てとれない。国連憲章第7条のもとに安保理決議が幾つも採択され、テロやテロ支援と戦いという総意があるにもかかわらず、我々は残念なことに、テロとの戦いという宣伝しか見ない」と批判した。

AFP, June 1, 2015、AP, June 1, 2015、ARA News, June 1, 2015、Champress, June 1, 2015、al-Hayat, June 2, 2015、Iraqi News, June 1, 2015、Kull-na Shuraka’, June 1, 2015、al-Mada Press, June 1, 2015、Naharnet, June 1, 2015、NNA, June 1, 2015、Reuters, June 1, 2015、SANA, June 1, 2015、UPI, June 1, 2015などをもとに作成。

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米国の軍事教練を受ける「穏健な反体制派」が、軍事教練の目的をダーイシュ(イスラーム国)との戦闘に限定する米国に反発(2015年6月1日)

アラビー21(6月1日付)は、米軍による「穏健な反体制派」への軍事教練コースの受講を予定しているシリア人の話として、教練生の多くが、教練の目的をダーイシュ(イスラーム国)との戦闘のみとする米国の条件が撤回されなければ、受講を取りやめるとの姿勢を示していると伝えた。

Arabi 21, June 1, 2015などをもとに作成。

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ダーイシュ(イスラーム国)がダイル・ザウル県の核疑惑施設跡地で謎の掘削作業、住民の間で土壌汚染の噂広まる(2015年6月1日)

クッルナー・シュラカー(6月1日付)は、ダイル・ザウル県キバル地点(キバル村)近くで暮らす地元住民の話として、同地周辺で使用済みのドラム缶が発見され、住民の間で、植物が突如として枯れるなど、土壌汚染に関する噂が広まっていると伝えた。

また、同地で、ダーイシュ(イスラーム国)のメンバーが、2007年にイスラエル軍が空爆を行い、破壊された核開発疑惑施設跡地で掘削作業を行っているとの情報もあるという。

掘削の目的は不明だという。

キバル地点(キバル村)は、2013年初めに「自由シリア軍」が制圧したのち、2014年半ば、ダーイシュの支配下に入った。

Kull-na Shuraka', June 1, 2015
Kull-na Shuraka’, June 1, 2015

AFP, June 1, 2015、AP, June 1, 2015、ARA News, June 1, 2015、Champress, June 1, 2015、al-Hayat, June 2, 2015、Iraqi News, June 1, 2015、Kull-na Shuraka’, June 1, 2015、al-Mada Press, June 1, 2015、Naharnet, June 1, 2015、NNA, June 1, 2015、Reuters, June 1, 2015、SANA, June 1, 2015、UPI, June 1, 2015などをもとに作成。

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シリア人権監視団:2015年5月の紛争での犠牲者数は6,657人、うち民間人は1,285人、外国人戦闘員は2,109人、シリア軍兵士は1,568人(2015年6月1日)

シリア人権監視団は、2015年5月の紛争による犠牲者が6,657人にのぼったと発表した。

犠牲者の内訳は以下の通り:

<民間人:1,285人(うち子供272人、女性212人)>
シリア軍の空爆による犠牲者:734人(うち子供148人、女性113人)
治安当局の拷問により死亡:45人(うち女性1人を含む)
アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)を含む反体制武装集団の砲撃による犠牲者:111人(うち子供46人、女性16人)
ダーイシュによって処刑された犠牲者:159人(うち子供14人、女性14人)
有志連合の空爆による犠牲者:75人(うち子供33人、女性25人)
ハサカ県ラアス・アイン市で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊によって処刑されたとされる犠牲者:20人(うち子供2人、女性5人)
死亡理由が確認できない犠牲者:141人(うち子供29人、女性38人)

<戦闘員:5,372人>
シリア人戦闘員(ジハード主義武装集団、反体制武装集団、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊):788人
外国人戦闘員(ジハード主義武装集団、ダーイシュ、ヌスラ戦線、トルキスターン・イスラーム党、ジュヌード・シャーム(チェチェン人)、ムハージリーン・ワ・アンサール軍):2,109人
シリア軍:1,568人
人民諸委員会、国防隊、親政権の「情報提供者」:674人
ヒズブッラー:51人
「シーア派」戦闘員:157人

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一方、シリア人権ネットワークは、2015年5月の紛争により死者数を2,223人と発表した。

内訳は以下の通り:

シリア軍、国防隊などが殺害:1,713人
うち民間人1,381人(うち子供236人、女性186人、また82人が拷問により死亡)、戦闘員332人

西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が殺害:14人
ダーイシュ(イスラーム国)が殺害:201人(うち戦闘員104人、民間人197人(子供9人、女性8人を含む)
シャームの民のヌスラ戦線が殺害:民間人4人のみ(うち子供1人、また拷問による死亡1人)
反体制武装集団が殺害:民間人102人のみ(うち子供31人、女性15人、また拷問による死亡1人)
有志連合の空爆で死亡:民間人68人のみ(うち子供32人、女性19人)
そのほか:21人

なおシリア人権ネットワークは、シリア軍、国防隊の犠牲者数、有志連合の空爆で殺害されたダーイシュ、ヌスラ戦線などの戦闘員の数を集計していない。

AFP, June 1, 2015、AP, June 1, 2015、ARA News, June 1, 2015、Champress, June 1, 2015、al-Hayat, June 2, 2015、Iraqi News, June 1, 2015、Kull-na Shuraka’, June 1, 2015、al-Mada Press, June 1, 2015、Naharnet, June 1, 2015、NNA, June 1, 2015、Reuters, June 1, 2015、SANA, June 1, 2015、UPI, June 1, 2015などをもとに作成。

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シリア軍はアル=カーイダ系組織からなるファトフ軍が支配するイドリブ県各所を激しく爆撃(2015年6月1日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動といったアル=カーイダ系組織によって制圧されているザーウィヤ山一帯、イフスィム町、マルイヤーン村、ジューズィフ村、スフーフン村、アルバイーン山一帯、カフルミード村、ウライ村、ビンニシュ市、クーリーン村、アブー・ズフール航空基地周辺、タマーニア町、サラーキブ市を空爆した。

一方、SANA(6月1日付)によると、バーラ村、ムウタリム村、バルシューン村、カフルミード村、サラーキブ市一帯、アブー・ズフール航空基地周辺、ハーン・シャイフーン市、タマーニア町、サルジャ村、スィンジャール町をシリア軍が空爆し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

他方、ドゥラル・シャーミーヤ(6月1日付)は、アリーハー市で先週、住民と思われる遺体多数が遺棄された集団墓地が発見されたと伝えた。

発見されたのは、女性2人を含む20人の遺体で、遺体のほとんどは、頭と手足を切断されていたという。

これに関して、「アリーハー・ヤウム」事務局長のマーズィン・カシュターク氏によると、発見されたのは、シリア政府軍がアリーハー市から敗走する前に殺害した住民の遺体だと主張している。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がラスタン市東部農場地帯、ウンム・シャルシューフ村郊外、ザアフラーナ村、キースィーン村などを「樽爆弾」で空爆した。

一方、SANA(6月1日付)によると、ワーディー・アブヤド・ダム、ジバーブ・ハマド村、マッラーン村、ファワーイラ村、サワーナ町、ウルヤーニーヤ村、ザアフラーナ村をシリア軍が空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がアルバイン市、ドゥーマー市一帯などを6回にわたり空爆した。

またバーラー村では、シリア軍兵士2人が殺害された。

一方、SANA(6月1日付)によると、マルジュ・スルターン村、ハラスター市、マシュラファ村無人地帯、ジャラージール町無人地帯、カーラ市郊外無人地帯、ザバダーニー市東部山岳地帯、ハサヌー村、ハーン・シャイフーン・キャンプ一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区、カーブーン区工業地帯をシリア軍が空爆した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シャイフ・マスキーン町、ヤードゥーダ村・ムザイリーブ町間、アトマーン村をシリア軍が「樽爆弾」で空爆した。

一方、SANA(6月1日付)によると、ブスラー・シャーム市東部地区、ダルアー市ダム街道地区などで、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、ARA News(6月1日付)によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が、トルコ国境に位置するダーイシュ(イスラーム国)の拠点タッル・アブヤド市の行政区画内に初めて進軍した。

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米中央軍(CENTCOM)は、有志連合が現地時間の5月31日8時から6月1日8時までの24時間で、シリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して23回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は10回におよび、ハサカ市近郊、ラッカ市近郊、アイン・アラブ市近郊のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

AFP, June 1, 2015、AP, June 1, 2015、ARA News, June 1, 2015、Champress, June 1, 2015、al-Durar al-Shamiya, June 1, 2015、al-Hayat, June 2, 2015、Iraqi News, June 1, 2015、Kull-na Shuraka’, June 1, 2015、al-Mada Press, June 1, 2015、Naharnet, June 1, 2015、NNA, June 1, 2015、Reuters, June 1, 2015、SANA, June 1, 2015、UPI, June 1, 2015などをもとに作成。

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ダーイシュ(イスラーム国)がアレッポ市北部(アアザーズ市、バーブ・サラーマ国境通行所方面)への進軍を続ける、シリア軍、YPGはハサカ県などでダーイシュと交戦(2015年6月1日)

アレッポ県では、スィラージュ・プレス(6月1日付)などによると、ダーイシュ(イスラーム国)が、マーリア市北部のシャイフ・リーフ村、スーラーン・アアザーズ町一帯、ハサージャク村、ウンム・フーシュ村、ハスィーヤ村で反体制武装集団と戦闘を続けた。

これに関して、シリア人権監視団は、ダーイシュがマーリア市、タッル・リフアト市などを砲撃、対する反体制武装集団もダーイシュに制圧されたアサンバル村を砲撃、住民3人が死亡した、と発表した。

ダーイシュは、このアサンバル村に加えて、スーラーン・アアザーズ町北部のガザル村も制圧したという。

一方、スィラージュ・プレスによると、反体制武装集団はアレッポ県北部各地からの増援部隊の到着で巻き返しを図り、アアザーズ市、バーブ・サラーマ国境通行所への進軍を続けていたダーイシュの動きを止めることに成功し、ダーイシュの司令官アブー・アブドゥッラー・トゥーニースィー氏らを約20人を殺害、ダーイシュに奪われていた拠点複数カ所(ウンム・クラー村など)を奪還したという。

なお、ダーイシュは同地への侵攻と並行して、制圧したスーラーン・アアザーズ町、バッル村、カフラ村、トゥーカリー村、タラーリーン村、ガルナータ村、ハスィーヤ村、ハサージャク村、ウンム・ウーシュ村の住民約3万人を追放したという。

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(6月1日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が早朝、アフダース刑務所周辺のシリア軍検問所2カ所で爆弾を積んだ自動車2台を自爆させるなどして、シリア軍兵士多数を殺害し、同刑務所を制圧した。

だがダーイシュは同日午後には、シリア軍による空爆を回避するために同地から撤退した。

またシリア人権監視団によると、シリア軍はダーイシュが5月31日までに占拠していたハサカ市郊外一帯を奪還した。

これに関して、SANA(6月1日付)は、ハサカ県南東部のダーウディーヤ村一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊したと伝えた。

一方、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊もラアス・アイン市南西部のダ(西)ガーリヤ村一帯でダーイシュと交戦、同地を制圧した。

このほか、タッル・ブラーク町では、ダーイシュが爆弾を仕掛けた車を爆破した。

クッルナー・シュラカー(6月3日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)の主要拠点の一つシャッダーディー市近郊で、ダーイシュ幹部の一人、ムハンマド・ガラーブ・ハンマール氏が乗った車に仕掛けられた爆弾が爆発し、ハンマール氏とその弟を含む4人が死亡した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が、ダーイシュ(イスラーム国)掃討のためにダイル・ザウル市ハミーディーヤ地区などを空爆、子供1人が負傷した。

一方、SANA(6月1日付)によると、ダイル・ザウル市旧空港地区、シャイフ・ヤースィーン地区、ガッサーン・アッブード交差点地区、工業地区、ハウィーカ地区をシリア軍が空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア軍はまた、国防隊の支援を受け、ジャフラ村でダーイシュと交戦し、ダーイシュの戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)によって占拠されているタドムル市各所をシリア軍が空爆、またシャーイル・ガス採掘所一帯、フルクルス町一帯で両者の交戦が続いた。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などアル=カーイダ系組織が、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うヤルムーク殉教者旅団とクサイル村一帯で交戦、同地を制圧した。

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『ハヤート』(6月3日付)によると、ラッカ県・ハサカ県境への有志連合の空爆で、ダーイシュ戦闘員が16人死亡したという。

AFP, June 1, 2015、AP, June 1, 2015、ARA News, June 1, 2015、Champress, June 1, 2015、al-Hayat, June 2, 2015、June 3, 2015、Iraqi News, June 1, 2015、Kull-na Shuraka’, June 1, 2015、June 3, 2015、al-Mada Press, June 1, 2015、Naharnet, June 1, 2015、NNA, June 1, 2015、Reuters, June 1, 2015、SANA, June 1, 2015、Siraj Press, June 1, 2015、UPI, June 1, 2015などをもとに作成。

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シリア国民連合は「シリアの隣国」に介入を呼びかける、シリア・イスラーム評議会はダーイシュ(イスラーム)をシリア政府と有志連合の「手先」と断じる、活動家はシリア軍がダーイシュのマーリア市侵攻を爆撃で支援していると主張(2015年6月1日)

シリア革命反体制勢力国民連立のハーリド・ハウジャ代表は、現下のシリア情勢に関する支離滅裂な解釈を展開し、「シリアの隣国」に対して「シリアが種々の卑劣なテロの巣窟と化すことを回避するため」、直ちに介入するよう呼びかけた。

ハウジャ代表は、トルコのイスタンブールでアフマド・トゥウマ暫定内閣首班、サリーム・イドリース暫定政府国防大臣とともに行った記者会見で、アル=カーイダ系のシャームの民のヌスラ戦線やシャーム自由人イスラーム運動が主導する反体制武装集団のイドリブ県やダルアー県での攻勢を「我らが英雄的戦闘員の勝利」と讃える一方、「ダーイシュ(イスラーム国)が政権の代わりに、シリア最大の武器庫であるタドムル市を掌握し…、テロリストであるヒズブッラーとカラムーン地方など南部で連携し…、敗北しつつある政権をアレッポで救援しようとしている」との持論を展開した。

そのうえで「隣人に対して一丸となって行動し、シリアが種々の卑劣なテロの巣窟と化すことを回避するため、直ちに介入するよう呼びかける」と訴えた。

また、米国が主導する有志連合については、「シリア人は、ダーイシュの手による殺戮を放置したまま、自らの頭上を有志連合が通り過ぎ、さほど危険ではない地域(西クルディスタン移行期民政局支配地域のこと)のダーイシュを空爆していることを受け入れることはできない」と非難、「アレッポに63%におよぶ「樽爆弾」投下している政府軍」に対処するべきだと主張した。

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シリア・イスラーム評議会は声明を出し、ダーイシュ(イスラーム国)がシリア政府と有志連合の「手先」と断じた。

声明のなかで、シリア・イスラーム評議会は、「ダーイシュは、その思想的な偏り、残忍な行動に加えて、政権やシリア革命の成功を望まない諸勢力の手先である。三つの勢力、すなわち政権、ダーイシュ、そして有志連合の姿勢には、協調が存在するということは、もはや隠された事実ではない」と主張した。

そのうえで、ダーイシュによるアレッポ県への進軍が「革命家を背後から攻撃することで、アレッポ市をアサド政権から解放しようとするアレッポ・ファトフ軍の計画を挫折させようとするものだ」と非難、「ダーイシュはアラブの春の諸革命を反故にするために作られたのだ」と断じた。

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『ハヤート』(6月2日付)、クッルナー・シュラカー(6月1日付)などは、シリア軍がダーイシュの進軍を支援するためマーリア市を空爆したと複数の反体制活動家が主張していると伝えた。

AFP, June 1, 2015、AP, June 1, 2015、ARA News, June 1, 2015、Champress, June 1, 2015、al-Hayat, June 2, 2015、Iraqi News, June 1, 2015、Kull-na Shuraka’, June 1, 2015、al-Mada Press, June 1, 2015、Naharnet, June 1, 2015、NNA, June 1, 2015、Reuters, June 1, 2015、SANA, June 1, 2015、UPI, June 1, 2015などをもとに作成。

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