シリア政府とダーイシュ(イスラーム国)がハサカ県から地中海岸地域への小麦輸送で合意か(2015年6月20日)

マサール・プレス(6月20日付)は、ハサカ県の小麦をダーイシュ支配地域を経由して地中海岸地域に輸送することを認める合意が、ダーイシュ(イスラーム国)とシリア政府当局との間に交わされたと報じた。

同報道によると、この合意を受け、シリア軍はカーミシュリー市南部の家畜飼料センターに貯蔵されている小麦を貨物トラック104台を積載し、輸送を開始する一方、ダーイシュ側は見返りとして、シリア軍が輸送する小麦の一部を取得したという。

AFP, June 20, 2015、AP, June 20, 2015、ARA News, June 20, 2015、Champress, June 20, 2015、al-Hayat, June 21, 2015、Iraqi News, June 20, 2015、Kull-na Shuraka’, June 20, 2015、al-Mada Press, June 20, 2015、Masar Press Agency, June 20, 2015、Naharnet, June 20, 2015、NNA, June 20, 2015、Reuters, June 20, 2015、SANA, June 20, 2015、UPI, June 20, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア人権監視団発表「2014年10月以降のシリア軍による2万1,173回の爆撃で、民間人3,602人と戦闘員1,816人が死亡(2015年6月20日)

シリア人権監視団は、2014年10月20日から2015年6月20日までの8ヶ月間に、シリア軍が2万1,173回の空爆を実施し、民間人3,602人と戦闘員1,816人が犠牲になったと発表した。

同監視団によると、空爆は、ダマスカス県、ダマスカス郊外県、ハマー県、ダルアー県、ラタキア県、アレッポ県、ハサカ県、クナイトラ県、スワイダー県、ダイル・ザウル県、イドリブ県、ヒムス県で行われ、2万1,173回のうちの1万1,324回が「樽爆弾」によるもので、9,849回が戦闘爆撃機による空爆だったという。

ダーイシュ(イスラーム国)の本拠地であるラッカ県が空爆対象地域に含まれていないが、シリア人権監視団が同地への空爆を排除した理由は不明。

また犠牲となった3,602人のうち、18歳以下の子供は831人、女性は582人で、負傷者は2万3,000人にのぼるという。

死亡した戦闘員1,816人は、ジハード主義武装集団、シャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)のメンバーで、このほかに数百人が負傷したという。


AFP, June 20, 2015、AP, June 20, 2015、ARA News, June 20, 2015、Champress, June 20, 2015、al-Hayat, June 21, 2015、Iraqi News, June 20, 2015、Kull-na Shuraka’, June 20, 2015、al-Mada Press, June 20, 2015、Naharnet, June 20, 2015、NNA, June 20, 2015、Reuters, June 20, 2015、SANA, June 20, 2015、UPI, June 20, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍がハマー県、ヒムス県、ハサカ県でダーイシュ(イスラーム国)に対する爆撃を継続(2015年6月20日)

ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が、ダーイシュ(イスラーム国)に占拠されているジャニー・アルバーウィー村、ハマーダト・ウマル村を空爆した。

一方、SANA(6月20日付)によると、中カスタル村、ジャニー・アルバーウィー村、ウカイリバート町、クライブ・サウル村、ラウダ村、アドラ村をシリア軍が空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、柑橘農園西部で、シリア軍、国防隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、シリア軍側が若干の進軍に成功した。

一方、SANA(6月20日付)によると、ジュッブ・ジャッラーフ町一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア軍はまた、ジャズル・ガス採掘所一帯、シャーイル・ガス採掘所一帯、ハシャービーヤ、トゥワイナーン、バスィーリー村、タドムル市、タフハを空爆し、ダーイシュ戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ハサカ県では、ARA News(6月20日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)が支配下に置くハサカ市南西部郊外一帯をシリア軍が空爆し、住民4人が死亡した。

**

ラッカ県では、ARA News(6月20日付)によると、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のユーフラテスの火山合同作戦司令室がダーイシュ(イスラーム国)との交戦を続け、スルーク町郊外の15の村および農場を新たに制圧した。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、マーリア市南部のウンム・フーシュ村、ウンム・クラー村一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)がジハード主義武装集団と交戦した。

この戦闘で、ジハード主義武装集団側の戦闘員14人、ダーイシュ戦闘員8人が死亡した。

一方、SANA(6月20日付)によると、アレッポ市東部の航空士官学校一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ダイル・ザウル県では、SANA(6月20日付)によると、ムーハサン市、ダイル・ザウル市ラシュディーヤ地区、フワイジャト・サクル地区をシリア軍が空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

米中央軍(CENTCOM)は、6月20日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して21回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は3回におよび、いずれもタッル・アブヤド市近郊のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

AFP, June 20, 2015、AP, June 20, 2015、ARA News, June 20, 2015、Champress, June 20, 2015、al-Hayat, June 21, 2015、Iraqi News, June 20, 2015、Kull-na Shuraka’, June 20, 2015、al-Mada Press, June 20, 2015、Naharnet, June 20, 2015、NNA, June 20, 2015、Reuters, June 20, 2015、SANA, June 20, 2015、UPI, June 20, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

クナイトラ県、スワイダー県、アレッポ県でシリア軍が若干の反転攻勢(2015年6月20日)

クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、ハムル丘一帯で、シリア軍、国防隊がジハード主義武装集団と交戦、シリア軍が同地を砲撃・空爆した。

これにより、シリア軍側は、ジハード主義武装集団戦闘員8人を殺害し、ハドル村郊外の丘陵地帯への進軍に成功した。

シリア軍はまたマスハラ村、ナブア・サフル村一帯を「樽爆弾」で空爆した。

なお、クナイトラ県でのシリア軍の攻勢を受け、自由シリア軍第1軍は声明を出し、16日付で開始を宣言していた「我ら自由人救済の戦い」を終了したと発表した。

一方、SANA(6月20日付)によると、シリア軍が、マスハラ村、ジャバーター・ハシャブ村を空爆し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

SANA, June 20, 2015
SANA, June 20, 2015

**

スワイダー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が自由シリア軍南部戦線などからなるジハード主義武装集団との交戦の末、サアラ航空基地近郊の丘陵地帯とサカーカー村を奪還した。

同地は6月9日にジハード主義武装集団によって制圧されていた。

一方、SANA(6月20日付)によると、シリア軍がサカーカー村一帯で反体制武装集団との交戦の末、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殲滅、装備・拠点を破壊し、サカーカー村およびサカーカー丘を完全制圧した。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市マイダーン地区と県庁舎近く(シリア政府支配地域)を反体制武装集団が砲撃し、住民4人が死亡、25人以上が負傷した。

またアレッポ市ジュダイダ地区、ハラブ・ジャディーダ地区、科学研究センター(西ザフラー地区)、アシュラフィーヤ地区、ハーリディーヤ地区などなどで、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、クドス旅団(パレスチナ人)がジハード主義武装集団と交戦した。

このほか、バーシュカウィー村一帯でも、シリア軍、国防隊がシャームの民のヌスラ戦線、アンサール・ディーン戦線などと交戦、シリア軍側がハンダラート・キャンプ方面への進軍に成功した。

一方、SANA(6月20日付)によると、アレッポ市アシュラフィーヤ地区、ラーシディーン地区、バニー・ザイド地区、ブスターン・バーシャー地区、ブスターン・カスル地区、アイン・タッル地区をシリア軍が攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア軍はまた、アナダーン市、バーシュカウィー村一帯で、反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がハーン・シャイフーン・キャンプとザーキヤ町を結ぶ街道一帯、ダーライヤー市を重火器で攻撃、またドゥーマー市各所を6回にわたって空爆した。

一方、SANA(6月20日付)によると、マガル・ミール村、カフルフール村、アイン・ブスターン村、ドゥーマー市、アイン・タルマー村、ナシャービーヤ町、ザバダーニー市で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

他方、マサール・プレス(6月20日付)によると、ムウダミーヤト・シャーム市の住民が金曜日に食糧物資搬入を求めてデモを行おうとしたことへの対応として、政府当局は同市を完全封鎖し、住民の市外への外出を禁止したという。

またドゥーマー市では、イスラーム軍による住民の逮捕・拘束に抗議する女性たちが、イスラーム軍の拘置所前でデモを行った。

住民の多くは、ダーイシュ(イスラーム国)に関与しているとの嫌疑をかけられ、逮捕されたという。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、マサースィナ村の検問所、ラターミナ町、カフルズィーター市をシリア軍が「樽爆弾」で空爆した。

**

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダルアー市内各所、ナスィーブ村、サイダー町、ムザイリーブ町を「樽爆弾」で空爆した。

一方、SANA(6月20日付)によると、アトマーン村一帯、ダルアー市・タファス市街道、キヒール村、ナスィーブ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

また、ダルアー県で活動するアル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動、シャームの民のヌスラ戦線などのジハード主義武装集団は共同声明を出し、南部地域ファトフ軍の結成を発表した。

南部地域ファトフ軍への参加を表明したのは、シャーム自由人イスラーム運動、ヌスラ戦線のほか、ファトフ・シャーム同盟、ジハード再生旅団、ナワー・ムジャーヒディーン連合、タウヒードの獅子旅団、アンサール・ハック旅団、イスラーム・ウムライン旅団。

Kull-na Shuraka', June 20, 2015
Kull-na Shuraka’, June 20, 2015

**

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍、国防隊がファトフ軍とフライカ村一帯で交戦し、反体制武装集団戦闘員4人が死亡した。

シリア軍はまた、アブー・ズフール航空基地周辺を「樽爆弾」で空爆した。

一方、SANA(6月20日付)によると、カフルルーマー村、アアワル丘などをシリア軍が空爆し、ファトフ軍の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ヒムス県では、SANA(6月20日付)によると、タンスィーム村一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, June 20, 2015、AP, June 20, 2015、ARA News, June 20, 2015、Champress, June 20, 2015、al-Hayat, June 21, 2015、Iraqi News, June 20, 2015、Kull-na Shuraka’, June 20, 2015、al-Mada Press, June 20, 2015、Masar Press Agency, June 20, 2015、Naharnet, June 20, 2015、NNA, June 20, 2015、Reuters, June 20, 2015、SANA, June 20, 2015、UPI, June 20, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

反体制武装集団が首都ダマスカスの水源アイン・フィージャで水道を封鎖・止水(2015年6月20日)

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団、ARA News(6月20日付)、クッルナー・シュラカー(6月20日付)によると、バラダー渓谷で活動するジハード主義者などからなる反体制武装集団が18日晩に、アイン・フィージャ町からの首都ダマスカスに至る水道を封鎖・止水し、シリア政府に対して吐水の条件を提示した。

クッルナー・シュラカーによると、水道封鎖は、ダマスカス近郊の軍検問所で女性が逮捕されたことへの報復として敢行されたという。

ARA Newsによると、武装集団は「(ワーディー・バラダー)地域の革命家部隊」の名で声明を出し、そのなかで、①バラダー渓谷一帯、バスィーマ町からバルハリヤー村に至る農地、イフラ村への砲撃、狙撃の停止、②バラダー渓谷で逮捕されたすべての逮捕者の無条件釈放、③同地域への食糧品、医療物資、燃料、建設物資の搬入許可と包囲解除、④軍による哨所、バリゲードの撤去、バスィーマ町からの警察および国防隊の撤退、⑤バラダー渓谷と首都ダマスカス間の軍検問所での住民に対する軍の対応の改善、などを求めている、という。

Kull-na Shuraka', June 21, 2015
Kull-na Shuraka’, June 21, 2015

なお、マサール・プレス(6月20日付)によると、この水道封鎖により、首都ダマスカスに水道水を供給する貯水槽は6時間程度で空になり、断水するのだという。

**

一方、スマート・ニュース(6月20日付)は、ダマスカスおよび同郊外軍事評議会(自由シリア軍)報道官が、イドリブ県で活動するアル=カーイダ系組織(シャーム自由人イスラーム運動、シャームの民のヌスラ戦線)が結成したファトフ軍に倣って、バラダー渓谷ファトフ軍の結成を発表した、と伝えた。

ARA News, June 20, 2015
ARA News, June 20, 2015

AFP, June 20, 2015、AP, June 20, 2015、ARA News, June 20, 2015、Champress, June 20, 2015、al-Hayat, June 21, 2015、Iraqi News, June 20, 2015、Kull-na Shuraka’, June 20, 2015、al-Mada Press, June 20, 2015、Masar Press Agency, June 20, 2015、Naharnet, June 20, 2015、NNA, June 20, 2015、Reuters, June 20, 2015、SANA, June 20, 2015、SMART News, June 20, 2015、UPI, June 20, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリアの「穏健な反体制派」数十人が「シリア政府との戦闘を行わない」旨誓約を求められ米国の軍事教練プログラムへの参加をとり止める(2015年6月20日)

『ハヤート』(6月20日付)は、複数の西側外交筋の話として、米国防総省の監督のもと、トルコとヨルダン領内で米軍が行っているシリアの「穏健な反体制派」の軍事教練に関して、戦闘員数十人が教練プログラムへの参加をとりやめた、と伝えた。

参加取りやめは、米国側がこれらの戦闘員に「シリア政府との戦闘を行わない」旨記載された文書への署名を求めたためだという。

米議会は、ダーイシュ(イスラーム国)との戦闘、「穏健派」支配地域の防衛を目的とした「穏健な反体制派」教練のための予算(5億米ドル)を承認、3年間で合わせて1万5,000人(1年間で5,000人)の戦闘員に教練を施す予定で、トルコとヨルダン領内の4つの軍事基地で教練を実施することを両国と合意している。

またこれとは別に、CIAによる戦闘員教練のための「極秘プログラム」実施の予算が承認されている。

しかし、スティーブ・ウォーレン国防総省報道官は18日、AFP(6月19日付)に対して、現在までに教練を受けた戦闘員の数が100~200人しかいないことを明らかにしていた。

AFP, June 19, 2015、AP, June 19, 2015、ARA News, June 19, 2015、Champress, June 19, 2015、al-Hayat, June 20, 2015、Iraqi News, June 19, 2015、Kull-na Shuraka’, June 19, 2015、al-Mada Press, June 19, 2015、Naharnet, June 19, 2015、NNA, June 19, 2015、Reuters, June 19, 2015、SANA, June 19, 2015、UPI, June 19, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.