シリアでの塩素ガス攻撃現場で医療活動にあたっていたという医師らが米下院外交委員会で証言(2015年6月17日)

米下院外交委員会が、シリア情勢に関する公聴会を開き、現地で医療活動にあたったというアニー・スパロー医師、ムハンマド・ティンナーリー医師ロバート・フォード前駐シリア米大使が証言した。

スパロー医師は「私は医師であり、人の死を多く見てきたが、このようなせい惨なかたちで子供が殺され、また残酷なかたちでの苦しみを見たことはない」と証言した。

フォード前米大使は「シリア政府は塩素ガスを使用しているが、何のおとがめもない…。彼(アサド大統領)の軍はマンパワーを使い切ってしまおり、シリア政府はこの不足をカバーするために、これまで以上に化学兵器が必要になっている」と証言した。

一方、3月16日のサルミーン市(イドリブ県)での塩素ガス攻撃の現場にいあわせていたというティンナーリー医師は、シリア軍のヘリコプターが投下した「樽爆弾」を投下した直後の状況について「何十人もの人が呼吸困難に陥り、目やのどに痛みを訴えた」と通訳を介して証言した。

AFP(6月17日付)が伝えた。

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一方、アシュトン・カーター米国防長官は、下院軍事委員会で「我々はバッシャール・アサドがいない政権への移行を目にしたいと思っている」と証言した。

カーター国防長官は「アサド自身が退任し、穏健な反体制派による新たな政府が発足することがシリア国民とって良い」としたうえで、「彼(アサド大統領の)軍が見舞われている弱さと絶望ゆえにそれは可能だ」との見方を示した。

ARA News(6月18日付)が伝えた。

AFP, June 17, 2015, June 18, 2015、AP, June 18, 2015、ARA News, June 18, 2015、Champress, June 18, 2015、al-Hayat, June 19, 2015、Iraqi News, June 18, 2015、Kull-na Shuraka’, June 18, 2015、al-Mada Press, June 18, 2015、Naharnet, June 18, 2015、NNA, June 18, 2015、Reuters, June 18, 2015、SANA, June 18, 2015、UPI, June 18, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

レバノン進歩社会主義党のジュンブラート党首がヨルダンを訪問、アブー・ファーウール公共保健大臣がトルコを訪問し、シリアのドゥルーズ派の保護を求める(2015年6月17日)

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、ヨルダンを訪問し、アブドゥッラー2世国王と会談した。

ペトラ通信(6月17日付)によると、両者は、「ヨルダンとドゥルーズ派の歴史的つながりの深さ」を強調し、テロの脅威への対処方法などについて意見を交わしたという。

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進歩社会主義党のワーイル・アブー・ファーウール公共保健大臣(ドゥルーズ派)がトルコのイスタンブールを訪問し、シリア革命反体制勢力国民連立のハーリド・ハウジャ議長や反体制武装集団の代表らと会談し、イドリブ県カルブ・ルーズ村でのシャームの民のヌスラ戦線による住民処刑などについて意見を交わした。

会談後、シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、武装部隊と地元評議会からなる合同委員会を設置し、同様の事件の再発を防ぐため、カルブ・ルーズ村などを保護することが合意された、と発表した。

一方、進歩社会主義党のラーミー・ライイス報道官は『ムスタクバル』(6月17日付)に、シリア領内のドゥルーズ派宗徒保護のための「何らかの措置」を講じるため、シリアの反体制派(シリア革命反体制勢力国民連立)だけでなくトルコ高官とも協議を行っていると述べた。

AFP, June 17, 2015、AP, June 17, 2015、ARA News, June 17, 2015、Champress, June 17, 2015、al-Hayat, June 18, 2015、Iraqi News, June 17, 2015、Kull-na Shuraka’, June 17, 2015、al-Mada Press, June 17, 2015、al-Mustaqbal, June 17, 2015、Naharnet, June 17, 2015、NNA, June 17, 2015、Petra, June 17, 2015、Reuters, June 17, 2015、SANA, June 17, 2015、UPI, June 17, 2015などをもとに作成。

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ケリー米国務長官「化学兵器による攻撃のほとんどがアサド政権によって実行されていることを強く確信する」(2015年6月17日)

ジョン・ケリー米国務長官は、シリア国内での一連の化学兵器使用疑惑に関して、国務省で記者団にアサド政権が「圧倒的多数」の使用に関与していることを確信しているとしたうえで、「みなの忍耐も切れかかっている」と述べた。

ケリー国務長官は「これらの攻撃のほとんどが政権によって実行されていることを強く確信する」としたうえ、政府がそのことを示す証拠を持っているの強調した。

ロイター通信(6月17日付)などが伝えた。

AFP, June 17, 2015、AP, June 17, 2015、ARA News, June 17, 2015、Champress, June 17, 2015、al-Hayat, June 18, 2015、Iraqi News, June 17, 2015、Kull-na Shuraka’, June 17, 2015、al-Mada Press, June 17, 2015、Naharnet, June 17, 2015、NNA, June 17, 2015、Reuters, June 17, 2015、SANA, June 17, 2015、UPI, June 17, 2015などをもとに作成。

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ムスリム民主統一党党首「事態が収束し、恐怖がなくなれば、YPGはタッル・アブヤドから撤退し、行政を地元の住民に移譲するだろう」(2015年6月17日)

民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首は、トルコ日刊紙『ヒュッリイェト』(6月17日付)のインタビューに応じ、そのなかで、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊によるタッル・アブヤド市(クルド語名ギレ・スピー)に関して、「事態が収束し、恐怖がなくなれば、人民防衛隊と関連する部隊は同地から撤退し、行政を地元の住民に移譲するだろう」と述べた。

またダーイシュ(イスラーム国)との戦闘でトルコ領内に避難した住民の帰宅に関しては「トルコ高官と国境通行所にかかる問題について協議、協力する用意がある。我々は通行所を人民防衛隊の掌握下に置くことに固執しておらず、この問題に関しては自由シリア軍と協力したいと考えている」と述べた。

一方、アラブ人、トルクメン人を強制移住させているとするトルコ側の批判に関しては「トルコは冷静であるべきだ。もし冷静であれば、我々も冷静でいよう」としたうえで、「人民防衛隊がギレ・スピーのアラブ人、トルクメン人を排除しているとの主張に関して言うと、人々を家や国から追い出すことができる者などいない。こうした批判、言説、そして嘘には何の根拠もない」と否定した。

AFP, June 17, 2015、AP, June 17, 2015、ARA News, June 17, 2015、Champress, June 17, 2015、al-Hayat, June 18, 2015、Hurriyet, June 17, 2015、Iraqi News, June 17, 2015、Kull-na Shuraka’, June 17, 2015、al-Mada Press, June 17, 2015、Naharnet, June 17, 2015、NNA, June 17, 2015、Reuters, June 17, 2015、SANA, June 17, 2015、UPI, June 17, 2015などをもとに作成。

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シリア国民連合のハティーブ氏「ラッカ県で強制移住や民族浄化が行われているという主張は根拠がない」(2015年6月17日)

シリア革命反体制勢力国民連立のカースィム・ハティーブ氏は、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のユーフラテスの火山合同作戦司令室によって制圧されたラッカ県タッル・アブヤド市に(トルコから)入国し、「ラッカ県で強制移住や民族浄化が行われているという主張は根拠がない」と述べ、トルコ政府やジハード主義武装集団らの主張を否定した。

クッルナー・シュラカー(6月17日付)が伝えた。

またシリア革命反体制勢力国民連立副議長でクルド人活動家のムスタファー・ウースー氏もARA News(6月17日付)に対し、「人民保護部隊に対する敵対的姿勢はとっていない…。(イスタンブールで14日に開催された)総合委員会ではタッル・アブヤド市制圧の是非について審議はされなかった」と述べた。

AFP, June 17, 2015、AP, June 17, 2015、ARA News, June 17, 2015、Champress, June 17, 2015、al-Hayat, June 18, 2015、Iraqi News, June 17, 2015、Kull-na Shuraka’, June 17, 2015、al-Mada Press, June 17, 2015、Naharnet, June 17, 2015、NNA, June 17, 2015、Reuters, June 17, 2015、SANA, June 17, 2015、UPI, June 17, 2015などをもとに作成。

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アレッポ県、スワイダー県でダーイシュ(イスラーム国)とシリア軍、ジハード主義武装集団が交戦(2015年6月17日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ジハード主義武装集団がダーイシュ(イスラーム国)支配下のウンム・クラー村を砲撃した。

一方、SANA(6月17日付)によると、アレッポ市東部の航空士官学校一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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スワイダー県では、SANA(6月17日付)によると、バナート・バイール丘東部で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, June 17, 2015、AP, June 17, 2015、ARA News, June 17, 2015、Champress, June 17, 2015、al-Hayat, June 18, 2015、Iraqi News, June 17, 2015、Kull-na Shuraka’, June 17, 2015、al-Mada Press, June 17, 2015、Naharnet, June 17, 2015、NNA, June 17, 2015、Reuters, June 17, 2015、SANA, June 17, 2015、UPI, June 17, 2015などをもとに作成。

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ジハード主義武装集団がゴラン高原のドゥルーズ派の村を包囲、シリア軍がドゥーマー市で「虐殺」、マアッラト・ヌウマーン市の博物館を破壊(2015年6月17日)

クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、ジハード主義武装集団が、ドゥルーズ派が多く暮らすハドル村北部の丘を制圧、同村を包囲した。

ハドル村は、イスラエルの占領によって二分されているゴラン高原のマジュダル・シャムス村に隣接する村。

ハドル村一帯では、ジハード主義武装集団と、シリア軍と地元住民(ドゥルーズ派)からなる民兵との間で戦闘が16日から激化、シリア軍側の兵士・戦闘員14人、ジハード主義者10人が死亡しているという。

ジハード主義武装集団はまた、クナイトラ県北部のブザーク丘、ハルシュ・ジャバーにあるシリア軍拠点を砲撃、ダマスカス郊外県境でも、シャームの民のヌスラ戦線などがシリア軍と交戦した。

これに対して、シリア軍はダマスカス郊外県境やウンム・バーティナ村一帯を「樽爆弾」などで空爆したという。

ARA News(6月17日付)によると、ゴラン高原での戦闘激化を受け、イスラエル当局は対シリア国境地域を「軍事閉鎖地区」に指定した。

なおこれに先だって、自由シリア軍南部戦線第1軍は16日付で声明を出し、クナイトラ県バアス市(県庁所在地)の開放を目的とした新たな作戦「我ら自由人救済の戦い」を開始すると発表した。

Kull-na Shuraka', June 17, 2015
Kull-na Shuraka’, June 17, 2015

一方、SANA(6月17日付)によると、ウンム・バーティナ村、カルーム・ジャッバー村、ティーハ村、マスハラ村、ジャバーター・ハシャブ村、シャッアール丘、ブザーク丘で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、フルカーン旅団、シャーム自由人イスラーム運動、アバービール軍、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(6月17日付)によると、ウンム・ワラド村、ヌアイマ村、タファス市、ヤードゥーダ村、カフルシャムス町、ナスィーブ村、ハーッラ丘、ダルアー市難民キャンプ地区などで、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍は、16日に反体制武装集団がダマスカス各所に行った砲撃に報復するかたちで、反体制武装集団の支配下にあるドゥーマー市各所を迫撃砲、ロケット弾で攻撃し、子供5人を含む24人が死亡した。

Kull-na Shuraka', June 17, 2015
Kull-na Shuraka’, June 17, 2015

一方、イスラーム軍は、ハラスター市に突入しようとしたシリア軍を撃退、兵士30人以上を殲滅したと発表した。

このほか、シリア人権監視団によると、ジハード主義武装集団がカタナー市の軍住宅地区を砲撃、カラムーン地方無人地帯では、シリア軍、国防対、ヒズブッラー戦闘員がシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

他方、SANA(6月17日付)によると、ハーン・シャイフ・キャンプ一帯、バイト・ジン村農場地帯、マガル・ミール村、バイト・サービル町、バイト・ティーマー村、ナシャービーヤ町一帯、ハムーリーヤ市一帯をシリア軍が空爆し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ラーシディーン地区カルム・タッラーブ地区などで、ジハード主義武装集団とシリア軍、国防隊が激しく交戦した。

これに関して、ヌールッディーン・ザンキー運動は、アレッポ・ファトフ軍がラーシディーン地区北部を制圧したと発表した。

しかし、SANA(6月17日付)は、この発表を事実無根として否定した。

このほか、アレッポ市サラーフッディーン地区、カルム・タッラーブ地区などでも、ジハード主義武装集団とシリア軍、国防隊が交戦した。

一方、SANA(6月17日付)によると、アレッポ市バニー・ザイド地区、ライラムーン地区、アシュラフィーヤ地区、サラーフッディーン地区、旧市街、ラーシディーン地区、ブスターン・バーシャー地区、スッカリー地区、ナアナーイー地区、フライターン市、カフルハムラ村、ハーン・アサル村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、クッルナー・シュラカー(6月17日付)によると、シリア軍ヘリコプターがマアッラト・ヌウマーン市内の国立博物館を「樽爆弾」で空爆し、破壊した。

博物館には、古代ローマ・ビザンツ時代のモザイクなどが所蔵されていたという。

Kull-na Shuraka', June 17, 2015
Kull-na Shuraka’, June 17, 2015

一方、SANA(6月17日付)によると、バシュラームーン村一帯、ジャンナト・クラー村、サフン村をシリア軍が空爆し、ファトフ軍の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア軍はまた、マジャース村、タッル・サラムー村、アブー・ズフール航空基地南部、アイン・ハムラー村、バーリス村、タルマラー村、ジャダーリヤー村で反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(6月17日付)によると、ムシャイリファ村郊外、ハッターブ村一帯、サアン村、アイン・フサイン村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(6月17日付)によると、マアルカバ村、スカイク村、カフルズィーター市、ムーリク市北部郊外、中カスタル村、ウカイリバート町で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, June 17, 2015、AP, June 17, 2015、ARA News, June 17, 2015、Champress, June 17, 2015、al-Hayat, June 18, 2015、Iraqi News, June 17, 2015、Kull-na Shuraka’, June 17, 2015、al-Mada Press, June 17, 2015、Naharnet, June 17, 2015、NNA, June 17, 2015、Reuters, June 17, 2015、SANA, June 17, 2015、UPI, June 17, 2015などをもとに作成。

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