シリア領内に進入したばかりの「穏健な反体制派」戦闘員75人がアル=カーイダ系組織のヌスラ戦線に降伏し、武器弾薬を提供(2015年9月22日)

『テレグラフ』(9月22日付)は、トルコ領内で米国の軍事教練を受け、シリア領内に派遣されたばかりの「穏健な反体制派」戦闘員からなる第30(歩兵)師団が21日夜、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線に降伏し、武器弾薬を提供したと伝えた。

ヌスラ戦線に降伏したとのは、シリア人権監視団は19日にシリア領に進入したと発表した「穏健な反体制派」戦闘員75人と思われる。

同監視団によると、この新たな「穏健な反体制派」戦闘員は、トルコ領内の基地で、米、英、トルコ軍から軍事教練を受け、18日深夜から19日にかけて、軽火器を装備した車輌12輌に分乗し、有志連合が航空支援するなか、アレッポ県バーブ・サラーマ国境通行所を通過してシリア領内(米トルコ領政府が設置合意した「安全地帯」)に進入していたという。

『テレグラフ』によると、アブー・ファフド・トゥーニスィーを名乗るヌスラ戦線メンバーがツイッターで、「米国への強打…昨日進入した第30師団の新たなグループは、ヌスラ戦線にすべての武器を手渡し、安全に脱出することを許された」、「彼らは大量の弾薬、中火器、何台ものピックアップカーを手渡した」と綴ったという。

また、ヌスラ戦線メンバーだというアブー・ハッターブ・マクディスィーを名乗る人物は、第30師団司令官のアナス・イブラーヒーム・ウバイド氏がヌスラ戦線に対して、自分は武器が必要だったので有志連合を騙したと説明している、と綴った。

「彼は、第30師団、有志連合、そして自分を教練した人々との絶縁を表明する…声明を出すと約束した」、「彼はまた大量の武器をヌスラ戦線に提供した」と綴っている。

なお、第30(歩兵)師団師団を名乗る「穏健な反体制派」戦闘員は、7月半ばに54人が第1陣としてトルコ領内からシリアに進入したが、7月末にアレッポ県アフリーン市郊外でヌスラ戦線によって司令官らを捕捉され、拠点を攻撃され、壊滅状態に陥っていた。

米中央軍のロイド・オースティン司令官(陸軍大将)は9月16日、米議会上院の軍事委員会で、トルコ領内で米軍が軍事教練したシリアの「穏健な反体制派」の戦闘員54人のうち、シリア領内でダーイシュ(イスラーム国)との戦闘に従事しているのが「4、5人」しかいないと証言した。

The Telegraph, September 23, 2015などをもとに作成。

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チェチェン人ら外国人からなるムハージリーン・ワ・アンサール軍がアル=カーイダ系のヌスラ戦線に忠誠を誓う(2015年9月22日)

ロイター通信(9月23日付)は、シリア北部(アレッポ県など)で活動する外国人戦闘員を主体とするムハージリーン・ワ・アンサール軍は、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線への忠誠を誓ったと報じた。

シリア人権監視団によると、ムハージリーン・ワ・アンサール軍は、ヌスラ戦線に忠誠を誓ったとする声明を出し、メンバーに回付したという。

ヌスラ戦線への忠誠は、ダーイシュ(イスラーム国)に対抗するためだという。

ムハージリーン・ワ・アンサール軍は、兵員約1,500人を擁し、そのほとんどが、チェチェン人、ウズベク人、タジク人といった外国人からなる。

Kull-na Shuraka', September 23, 2015
Kull-na Shuraka’, September 23, 2015
Kull-na Shuraka', September 24, 2015
Kull-na Shuraka’, September 24, 2015

 

AFP, September 23, 2015、AP, September 23, 2015、ARA News, September 23, 2015、Champress, September 23, 2015、al-Hayat, September 24, 2015、Iraqi News, September 23, 2015、Kull-na Shuraka’, September 23, 2015、al-Mada Press, September 23, 2015、Naharnet, September 23, 2015、NNA, September 23, 2015、Reuters, September 23, 2015、SANA, September 23, 2015、UPI, September 23, 2015などをもとに作成。

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IHS・ジェーンズ・インテリジェンス・レビューは衛星写真をもとに、ロシアがシリア領内の2カ所で新たな軍事基地を建設していると指摘(2015年9月22日)

IHS・ジェーンズ・インテリジェンス・レビュー(https://www.ihs.com/)は、シリア上空から撮影した衛星写真を分析し、シリア領内の2カ所でロシア軍が新たな軍事基地を建設していると思われると発表した。

衛星写真の分析は、2015年3月10日と9月13日までの期間に撮影された衛星写真を比較するかたちで行われ、その結果、ラタキア県のスヌーバル村近郊に位置するシリア軍の基地に、ロシア軍仕様と思われるテントが設営されているほか、イスターム村の軍複合施設近くでも土地の整備や建物が建設されていることが確認できたという。

これに関して、IHSの編集者のロバート・ムンク氏は「派遣部隊の一部もおそらくこの二つの基地に到着している」と推測している。

IHS, September 22, 2015
IHS, September 22, 2015

AFP, September 23, 2015、AP, September 23, 2015、ARA News, September 23, 2015、Champress, September 23, 2015、al-Hayat, September 24, 2015、Iraqi News, September 23, 2015、Kull-na Shuraka’, September 23, 2015、al-Mada Press, September 23, 2015、Naharnet, September 23, 2015、NNA, September 23, 2015、Reuters, September 23, 2015、SANA, September 23, 2015、UPI, September 23, 2015などをもとに作成。

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シリア軍がアレッポ市の反体制派支配地域への攻勢を開始(2015年9月22日)

アレッポ県では、ARA News(9月22日付)によると、シリア軍がアレッポ市サラーフッディーン地区の前線、アシュラフィーヤ地区の前線などに軍備を増強、空爆を激化させ、ラーシディーン地区、ハラブ・ジャディーダ地区でシャーム戦線と激しく交戦した。

一方、SANA(9月22日付)によると、アレッポ市ブスターン・バーシャー地区、カルム・ジャバル地区、カッラーサ地区、シャイフ・サイード地区、カーディー・アスカル地区、マシュハド地区、ラーシディーン地区、サーリヒーン地区、バニー・ザイド地区、カルム・カーティルジー地区、シャッアール地区、ハーン・アサル村、ハワービー・アサル村、マンスーラ村、アズィーザ村で、シリア軍がタウヒード旅団、シャーム自由人イスラーム運動、シャームの鷹旅団、イスラーム軍などからなるジハード主義武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、ARA News(9月22日付)によると、ヒムス市ザフラー地区で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、12人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(9月22日付)によると、東グータ地方西部山岳部でイスラーム軍との交戦を続け、同地の尾根一帯を制圧した。

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ラタキア県では、SANA(9月22日付)によると、シリア軍がラウダ村の反体制武装集団拠点を攻撃し、チェチェン人15人を含む20人を殲滅した。

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クナイトラ県では、SANA(9月22日付)によると、ハミーディーヤ村、アブー・シャトバ村、ジュャバーター・ハシャブ村、ハーン・アルナバ市、ハドル村、タルジャナ村東部のアマル農場、ハラファー村、西サムダーニーヤ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(9月22日付)によると、シリア軍がマアッラト・ヌウマーン市、タルマラ村、カフルナブル村、ハザーリーン村、マアッルディブサ村の反体制武装集団拠点を空爆し、ファトフ軍の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(9月22日付)によると、シリア軍がラターミナ町、カフルズィータ市の反体制武装集団拠点を空爆し、ファトフ軍の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア軍はまた、バフサ村で反体制武装集団と交戦した。

AFP, September 22, 2015、AP, September 22, 2015、ARA News, September 22, 2015、Champress, September 22, 2015、al-Hayat, September 23, 2015、Iraqi News, September 22, 2015、Kull-na Shuraka’, September 22, 2015、al-Mada Press, September 22, 2015、Naharnet, September 22, 2015、NNA, September 22, 2015、Reuters, September 22, 2015、SANA, September 22, 2015、UPI, September 22, 2015などをもとに作成。

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シリア軍はアレッポ市東部、タドムル市でダーイシュへの攻勢を続ける(2015年9月22日)

アレッポ県では、SANA(9月22日付)によると、アレッポ市東部航空士官学校一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(9月22日付)によると、タドムル市およびその一帯をシリア軍が空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, September 22, 2015、AP, September 22, 2015、ARA News, September 22, 2015、Champress, September 22, 2015、al-Hayat, September 23, 2015、Iraqi News, September 22, 2015、Kull-na Shuraka’, September 22, 2015、al-Mada Press, September 22, 2015、Naharnet, September 22, 2015、NNA, September 22, 2015、Reuters, September 22, 2015、SANA, September 22, 2015、UPI, September 22, 2015などをもとに作成。

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カービー米国務省報道官「我々はYPGをテロ組織とはみなさない」(2015年9月22日)

ジョン・カービー米国務省報道官は「我々は人民防衛隊(YPG)をテロ組織とはみなさない。彼らはシリアでのダーイシュ(イスラーム国)との戦いで成功を収めた」と述べた。

また「我々はこのテロ組織と戦う戦闘員との協力を続ける。我々はこの組織に対する勝利を実現するために彼らへの支援を行う」と付言した。

人民防衛隊は、ハサカ県、アレッポ県で自治を行う西クルディスタン移行期民政局の武装部隊で、民政局を主導するクルド民族主義政党の民主統一党は、トルコのクルディスタン労働者党(PKK)と「姉妹関係」にあるとされ、密接な関係を維持している。

なお、米国は、トルコとともにこのPKKをテロ組織に指定している。

ARA News(9月22日付)が伝えた。

AFP, September 22, 2015、AP, September 22, 2015、ARA News, September 22, 2015、Champress, September 22, 2015、al-Hayat, September 23, 2015、Iraqi News, September 22, 2015、Kull-na Shuraka’, September 22, 2015、al-Mada Press, September 22, 2015、Naharnet, September 22, 2015、NNA, September 22, 2015、Reuters, September 22, 2015、SANA, September 22, 2015、UPI, September 22, 2015などをもとに作成。

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シリア軍匿名高官は、戦闘機5機を含む軍事支援物資が18日にラタキア県の軍事基地に到着したことを認める(2015年9月22日)

シリア軍の匿名高官は、AFP(9月22日付)に対して、ロシア軍戦闘機5機などからなるロシアからの軍事支援物資が今月18日、ラタキア県の軍事基地に到着したと述べた。

同高官によると、シリア軍はまた、照準器、誘導式ミサイルなど「ダーイシュ(イスラーム国)と戦うための高性能の軍装備品も受け取り、これらの兵器は、すでにダイル・ザウル市、ラッカ市でのダーイシュ(イスラーム国)に対する作戦に配備されているという。

これに関して、シリア人権監視団は、AFP(9月22日付)に対し、ロシアから供与された軍装備品のなかには、無人偵察機が含まれており、これによりシリア軍の地上部隊、航空部隊はより正確な攻撃ができるようになるだろう、と述べた。

同監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は、シリア軍がタドムル市一帯に行った空爆に関して、ダーイシュ戦闘員少なくとも38人が殲滅されたとしたうえで、「シリア軍へのモスクワからの武器供与で…、出撃回数は増加しており、空爆はより正確になっている」と指摘した。

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ペトレウス元CIA長官「シリアは「地政学的チェルノブイリ」となり…シリア衰退の悪影響は長期間にわたって残るだろう」(2015年9月22日)

デイヴィッド・ペトレウス元CIA長官は、米上院の軍事委員会に参考人として出席し、米国がシリア軍による樽爆弾投下を阻止するために飛行禁止空域を設置すべきだと証言した。

ペトレウス元長官は、有志連合による作戦が充分な効果をあげていないとする一方、シリアでの紛争が「地政学的チェルノブイリ」になると指摘、「シリア衰退の悪影響は長期間にわたって残るだろう…。この戦闘が長く続くことを許すたびに、その損害はより深刻なものとなる」と述べた。

『ハヤート』(9月23日付)が伝えた。

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